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30代の若者も参加、長期滞在希望者向けのタイ・チェンマイ ロングステイフォーラム
旅行業界向け商談会「TTM+」も同時開催。チェンマイ長期滞在に向けた心構えとは
2017年6月19日 13:35
- 2017年6月15日 開催
タイ国政府観光庁は15日、タイ北部の都市チェンマイで、同地域での長期滞在を検討している日本人向けに、現地説明会「チェンマイ ロングステイフォーラム」を開催した。チェンマイでの暮らしに関心を持つ、おもに仕事をリタイアした60~70代の男女を対象にしたイベント。穏やかな気候や充実した施設によるチェンマイの生活のしやすさをアピールしただけでなく、現在タイで生活している日本人からの実体験に基づいたアドバイスもあった。
また、ロングステイフォーラムと同じタイミングで旅行業界向けの商談会「Thailand Travel Mart Plus(TTM+)2017」も開催され、バイヤー(旅行代理店など)となる日本を含む56カ国、360人以上の参加者を集めた。タイをはじめ、メコン川流域に位置するベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーなどがセラー(団体、施設など)として出展し、タイのカルチャーや食の魅力、チェンマイが位置するタイ北部の伝統などを伝えていた。
いきなり長期滞在ではなく「いつでも日本に帰れる」という気持ちで
チェンマイ ロングステイフォーラムには、日本全国から旅行会社の現地下見ツアーなどに申し込んだ60~70代が一般参加者として多く来場した。なかには場所に縛られないノマドなスタイルで仕事をしている30代夫婦の姿も見られ、計36名の参加者が現地の雰囲気を肌で感じつつ、チェンマイでのロングステイに関する情報を収集した。
フォーラムの冒頭では、タイ国政府観光庁 東京事務所 所長のパッタラアノン・ナチェンマイ氏が登壇し、チェンマイを「日本人のロングステイ先に最適」な都市として認知してもらうという、フォーラムの開催意図を説明。そのうえで、タイが日本人のロングステイ先の国として世界で2番目に人気があるという調査結果を引き合いに、「タイ人のホスピタリティに加え、ショッピングセンター、高度医療施設などのインフラが整っている」ことを紹介した。
同東京事務所の藤村氏は、チェンマイがタイのなかでもとりわけ暮らしやすい地域である理由として、「温暖な気候」と「物価の安さ」に加え、「街がコンパクト」であるほか、日本語も通じる「高い医療水準」を備えていることを挙げた。ゴルフコースやスパが近郊に多くあるなど、充実したアクティビティもチェンマイの魅力だと語った。
さらに、ロングステイ財団の川嶋氏と、現地に居住して数年という日本人の2人を交え、パネルディスカッションも行なわれた。川嶋氏によると、ロングステイする日本人の滞在スタイルは、定住拠点を決め、その近隣を周遊するという暮らし方で、期間は一度に3カ月未満が多いとのこと。滞在国の気に入った地域周辺を、無理のない範囲で楽しんでいる様子がうかがえる。
1カ月の滞在費用は、ロングステイを経験したことのない人は安価に見積もる傾向がある、と同氏。実際のところタイでは15~19万円の予算で過ごしているケースが多く、マレーシアやハワイ、あるいはタイのバンコクなどほかの代表的なロングステイ先と比べれば低予算で生活できる。とはいえ、事前に想定していた予算よりも費用がかさむ場合もあり、「余裕をもって、為替に影響を受けにくい予算組みをしてほしい」とアドバイスした。
また、後々のトラブルを防止するためにも、ロングステイを実行に移す前に計画段階から家族とコミュニケーションをしっかり取り、ロングステイの滞在先では現地の習慣を尊重してほしい、とも。「何かを頼んでも時間どおりに来ないことがあるが、広い心で受け止めて」と呼びかけた。
現在ロングステイしている男性は、滞在先にチェンマイを選んだ理由について「適度に都会で、適度に田舎。施設は都会並みにあり、ちょっと郊外に行けば自然が多いところ」だと話した。1カ月の生活費は15~19万円。早朝の散歩とジム通いは欠かさず、週に2、3回ゴルフをしたり、週末は市場で買い物をしたりと、マイペースの生活ができているとした。
ロングステイを検討している人に対しては、「死ぬまでいよう、みたいな気負いはないほうがいい」と、あくまでも生活の1拠点として、いつでも日本に戻れるようにしておくことが大事だと訴えた。また、宿泊先を探すときは11~2月のハイシーズンではなく、ローシーズンの6月ごろがお勧めだとも話した。
同じようにロングステイして数年という女性は、「年金内で過ごしたい」と考え、最初に1カ月だけバックパッカーとしてタイに滞在。その後ロングステイビザを取得し、月あたり10万円余りという比較的低予算でチェンマイを拠点に生活しているという。
また、「チェンマイロングステイライフの会」という、チェンマイ在住の日本人による会員組織に所属し、広報の役割をこなしたり、組織内の趣味の同好会に参加したりなどして忙しく過ごしているとのこと。この女性も「いつでも日本に帰れる、という気持ちで来たのがよかった」と、数年間続いているロングステイの秘訣を語っていた。
60~70代の参加者が大多数を占めるなか、最年少の30代でフォーラムに参加していた夫婦は、場所の自由が利く仕事に就いていることもあり、東南アジアのほかの国ですでにロングステイを経験。チェンマイはタイのなかでも暑すぎず、治安がよいところが気に入っているとし、都会のバンコクと自然の多いチェンマイとで天秤にかけているところだと明かしてくれた。