旅レポ

タイ・チェンマイの観光、長期滞在をもっと充実させるグルメ&観光スポット(前編)

辛い! 甘い! でもウマい! チェンマイのカレーラーメンとカオニャオ、日本人好みの豆腐スープ

チェンマイ料理は辛くて、甘いものが多いが、ずっと食べ続けたくなる“魔力”がある

 タイ国政府観光庁は6月15日、タイ北部の都市チェンマイで、同地域での長期滞在を検討している日本人向けに、現地説明会「チェンマイ ロングステイフォーラム」を開催した。本稿では、同庁が実施したプレスツアーの際に訪れた食のスポットをレポートする。

 タイの首都バンコクから飛行機で1時間あまり、周囲を山々に囲まれたタイ北部に位置するチェンマイでは、バンコクとはひと味違う伝統料理が息づいている。例えばトムヤムクンやガパオライス、カオマンガイは、今や日本人の誰もが知っているといえるほどメジャーなタイ料理だが、これらはチェンマイではあまり熱心に食べられていないようだ。

 海から遠いこともあって、特にトムヤムクンに使われるエビのように海鮮を使ったものは、ほかと比べるとさほど目立たない。それよりは、タイ北部ならではのレシピが圧倒的に大きな存在感を放っている。ここでは、チェンマイで味わえるそんなタイ北部料理の数々を紹介しよう。

スープまで飲み干したくなる、チェンマイ名物「カオソーイ・ガイ」

 チェンマイで最もポピュラーなメニューとされているのが、カレーラーメンの「カオソーイ」。ココナッツミルクを加えたカレースープに、やや太め、少し平麺気味の卵麺を合わせ、これによく煮込まれた柔らかい骨付き鶏肉(ガイ)を乗せたものが、チェンマイのスタンダードなスタイル。「カオソーイ・ガイ」と呼ばれる。

カレーラーメン「カオソーイ・ガイ」。45バーツ
右下に見える揚げた豚皮や、その左に見えるタマネギなどをトッピングしたりする。左端は東南アジアでよく食べられる串焼き「サテー」

 トッピングとして、揚げ麺や高菜、タマネギ、豚皮揚げを好みで加えたりもする。カレースープ自体の辛さはタイ料理のなかでは控えめで、最後まで一気に飲み干せるほど(現地の人は余ったスープは飲まないそうだが……)。辛さが物足りないなら、チリペッパーを追加で投入するのもOKだ。

 地元で人気のお店「カオソーイ・ラムドゥアン・ファーハーム」のカオソーイ・ガイは、普通盛りが45バーツ(約135円、1バーツ=約3円換算)。ただし、これだと量が少なめなので、大盛り(55バーツ、約165円)を注文することをお勧めしたい。

「カオソーイ・ラムドゥアン・ファーハーム」
カオ・ソーイの大量の注文をさばいていく厨房
カオソーイ・ラムドゥアン・ファーハーム

所在地:6/1 Moo 3, Super Highway Road, Tambon Chang Phueak, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chiang Mai, 50300

豚の血を使った、食がどんどん進む地元料理

 チェンマイはタイの北部ということでミャンマーの国境に近く、歴史的にミャンマーの食文化も入り込んできているとされる。「フアンペン」というお店の、タイの餅米を使ったカオニャオをアレンジしたこちらの料理もそんななかの1つだ。

「フアンペン」の「カオニャオ」。20バーツ(約60円)

 メニュー上は「カオニャオ」となっているのだが、一般的なタイのカオニャオは蒸した餅米そのままか、色づけしてスイーツなどに用いられるもの。このようにちまき状に形が整えられ、豚の血を混ぜ込んだものは、やはり北部料理ならではなのだろう。

 血の食感なのかはわからないが、柔らかな米のなかにサクサクという歯ごたえがあり、咀嚼するたびにうまみが出てくる。特に血の臭みを感じることはなく、ある意味チャーハンのようで食が進む。

 豚の血を使った料理はほかにもある。唐辛子の効いたスープに米粉ベースの麺を加え、そこに豆腐状に固めた豚の血が具材として乗っているこちらがそう。スープの辛さは強すぎず、豚の血自体もクセのない、豆腐といわれても信じてくしまうくらいにシンプルな味わいだった。完食。

焦げ茶色の穴が空いた豆腐のように見えるのが豚の血を固めたもの
トムヤムクンも注文し、おいしくいただいた
ジャックフルーツの繊維状の果肉がたっぷり使われた、さっぱりしたサラダ。食感や味わいはフルーツっぽくはない
ちなみにこちらがジャックフルーツ。木の幹にくっつくように実っているのが不思議だ
こぢんまりとしているように見えるが、意外に中は広い「フアンペン」
フアンペン

所在地:112 Ratchamanka Rd, Tambon Phra Sing, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chang Wat Chiang Mai 50200

よりどりみどりな家庭料理「カントーク」セット

 長期滞在希望者向けのイベント「チェンマイ ロングステイフォーラム」の参加者らを招いて、多彩な北部料理を提供する「クム・カントーク」で開かれたディナー。ここでいただいたのが、チェンマイの家庭料理として知られる「カントーク」のセットだ。

「カントーク」セット

 大皿に乗った8つの小皿に、それぞれ異なる料理が盛り付けられている。チェンマイの一般家庭では、実際にはこのうち1、2品だけ用意するとのことだが、クム・カントークではフルセットで提供している。中央の小皿にある、焼き唐辛子とニンニクなどを混ぜ合わせた味噌のような「ナムプリック・ヌム」をディップして、野菜や豚皮揚げ、そのほかの料理をいただく。

鶏の唐揚げ
揚げビーフン。甘い味付けで、カラメルを感じさせるねっとりした食感
タイのレストランでは必ずといっていいほど出てくる、揚げた豚皮
野菜炒め。まったく辛くないので、安心できる
トロットロに煮込まれた豚肉のカレー
辛さと旨味を加える調味料「ナムプリック・ヌム」

 もちろんカオニャオや普通のライスと一緒に食べるのもよい。個人的には、挽肉、トマト、カレーペーストに少しの唐辛子を加えた「ナムプリック・オン」がツボ。ピリ辛とともに挽肉の旨味が口のなかにじゅわっと広がる濃いめの味付けで、思わずライスにかけてかき込んでしまった。

「ナムプリック・オン」。見た目はものすごく辛そうに見えるが、トマトと挽肉の旨味とのバランスが絶妙
揚げバナナ。タイでよく食べられているおやつ
北部料理とともに伝統舞踊も楽しめる「クム・カントーク」。敷地は広大
クム・カントーク

所在地:139 Moo 4, Nong Pakrung,Amphur Muang ,Chiang Mai 50000

川の畔でいただく、卵豆腐スープと餅米スイーツ

 市街を縦に貫く、ピン川のほとりにあるレストラン「サンセン・ヴィラ」。ここでぜひトライしたいのが、卵豆腐入りスープ「トム・ジュート・タオフー」だ。塩風味ベースのスープに、つるっと一口でいけるサイズの卵豆腐が入ったもの。もちろんまったく辛くない。卵豆腐もおいしいのだが、チェンマイでは珍しい海藻もスープに含まれていて、海の幸のうまみが辛いもの続きだった胃袋を癒やしてくれるかのよう。

卵豆腐スープの「トム・ジュート・タオフー」。卵豆腐もそうだが、久しぶりに味わった海藻の旨味に感動。これ、日本人が絶対に好きなヤツ

 そして、締めはタイのスイーツとして定番の、餅米のカオニャオとマンゴーフルーツを合わせた「カオニャオ・マムアン」。カオニャオにはココナッツミルクがかかっていて、想像通り甘ったるいのだけれど、甘さ控えめのとろけるようなマンゴーと一緒に食べることでなぜか中和され、絶妙の食べ合わせを実現している。摂取カロリーがすごいことになっている気がするが、それでもエンドレスで食べ続けたくなる不思議な魔力を秘めている。

「カオニャオ・マムアン」。甘ったるいが、おなか一杯になっていても食べ続けたくなる。体重増間違いなし
エビのすり身揚げ「トートマンクン」。見た目はまるでとんかつ
レッドカレーに小さな貝が無数に入った「ゲーン・クア・ホイ・コム」
空心菜炒め。歯ごたえがよく、ニンニクも効いていて、これだけでご飯を何杯もいける
「サンセン・ヴィラ」。川沿いの雰囲気あるテラス席が魅力
サンセン・ヴィラ

Webサイト:Restaurant Samsen Villa, Chiang Mai

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。独身時代はレンタカーで車中泊しながら国内中を巡ったこともあり、どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。