旅レポ

タイ・チェンマイの観光、長期滞在をもっと充実させるグルメ&観光スポット(後編)

生活拠点、必需品の入手場所、料理教室から芸術、秘境まで

チェンマイを長く、楽しく過ごすなら知っておきたい11のスポットとは

 タイ国政府観光庁は6月15日、タイ北部の都市チェンマイで、同地域での長期滞在を検討している日本人向けに、現地説明会「チェンマイ ロングステイフォーラム」を開催した。本稿では、同庁が実施したプレスツアーの際に訪れた観光スポットをレポートする。

「北方のバラ」とも呼ばれるタイ北部の美しい都市チェンマイ。首都バンコクから各地への交通の便がさほどよくないとされているタイのなかでも、市街地近くに国際空港があるチェンマイは、比較的アクセスの良好な地域で、一帯には日本からの長期滞在者が現在約3000人暮らしているという。

山の上から見たチェンマイの市街地
移動にはタクシーとして使えるソンテウが便利。窓と後ろのドアは開けっ放しなので注意

 長期滞在や観光で訪れる日本人も多く、チェンマイの街中には日本人向けのショッピングセンターがあり、日本語の文字や言葉を見聞きする場面も少なくない。タイが親日国で、バンコクほどには暑すぎない穏やかな気候ということもあり、チェンマイは日本人にとって過ごしやすい環境が整っているのだ。

 そんなチェンマイでロングステイしてみたい、あるいは少し長めに観光してみたい、という人に、あらかじめ知っておくと便利な施設、ぜひ訪れてほしいスポットを11カ所、紹介しよう。

長期滞在に最適なコンドミニアム「The Nimmana Chiang Mai」

 チェンマイ国際空港の北側ほど近くに、高級コンドミニアムとして2016年にオープンしたのが「The Nimmana Chiang Mai」。1~8階の3棟からなる巨大な建物に、およそ40~140m2の広さの349室が設けられ、分譲もしくは賃貸の物件として提供されている。緑豊かな中庭にはプールもある。

The Nimmana Chiang Mai
プールのある中庭

 部屋の種類はスタジオ、1ベッドルーム、2ベッドルーム、3ベッドルームの4タイプ。1部屋の販売価格は広さに応じて390万~1100万バーツ(約1170万~3300万円、1バーツ=約3円換算)と幅があり、現地で働く日本人の購入者も多いという。繁華街が目の前にあり、特にゲートが設置されているわけではないが、治安は良好とのこと。取材した6月中旬の時点で、まだ一部に空き部屋があった。

43m2の1ベッドルーム。390万バーツ(約1170万円)。こちらはバルコニーなしの部屋だが、似た間取りでバルコニーありも用意されている
バスルームには湯船がないのが通常。どうしても湯船に浸かりたい人は、物件探しに苦労するかもしれない
55m2の2ベッドルーム。500万バーツ(約1500万円)
バルコニー付き。3~4人家族で暮らせるくらいのサイズだろう
The Nimmana Chiang Mai

所在地:Su Thep, Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200

日本の料理と日本製品がお得に手に入る「Japan Village」

 チェンマイの市街地の真ん中に、黒で塗り固められた一見して異質な建物がある。「Japan Village」と名付けられたこの場所は、日本の食や製品、美容の最先端を体験できる、日本人の運営する施設。2016年12月にオープンしたばかりだという。

Japan Village
なんとなく日本家屋を思わせる建物。飲食スペースは広々としている

 うどんやそば、鶏の唐揚げ、まぜそば、スイーツと、バリエーション豊かな料理を提供する4つの店舗に加え、フェイシャルエステやまつげエクステの専門店がテナントとして入居。日本のメーカーが自信を持ってお勧めするアパレル、美容製品、食品などの販売スペースもある。

料理を提供するのは4店舗。半年に1回、入れ替わっていく
バーもある

 販売している各種アイテムは、会員になれば割引価格が適用され、場合によっては日本で購入するよりも安価に手に入れることができるという。というのも、ここは日本の企業がタイへ本格進出する前に、本当に売れるのかどうか推し量る、テストマーケティングの場として提供されているから。

日本のさまざまな製品が販売
なかにはお酒やLinuxゲートウェイも

 店舗やアイテムはすべて6カ月ごとにどんどん新しいものに入れ替わっていく。日本人客はまだ少ないそうだが、今後はイベントスペースとしても稼働し、北海道物産展などを開催する計画もあるとのこと。気軽に立ち寄って、本格的な日本を味わってほしい。

Japan Village

所在地:8 Nimmanahaeminda Rd Lane 15, T.Suthep, A.Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200

歴史ある雰囲気抜群のスパリゾート「RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort」

 140年前に建築された古民家の雰囲気を残したまま改装し、施設の一部として使っている、歴史を感じさせるスパリゾートが「RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort」だ。

RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort
古民家を改装した建物が一部で使われている

 46~164m2の部屋が35室という、こぢんまりとした施設ではあるものの、古民家のほかに、亜熱帯の植生を活かした庭園、ジャグジー(ハイドロセラピー)プール、ジム、マッサージルーム、オリジナル商品を扱うショップなどが敷地内に密度高く凝縮。そして、名前にもあるとおり、日本の温泉の雰囲気を味わえる風呂があるのも特徴だ。

象が水を吹き出すプール
ゆったり使えそうなジャグジープール
もちろんトレーニングジムもある
オリジナル商品を中心に扱うショップ
日本から取り寄せた成分を使っているという温泉(奥)。中央が冷泉、手前が炭酸泉
53m2の広さがある部屋「デラックス プールアクセス」。1泊料金は9000バーツ(約2万7000円、ローシーズン)~1万1000バーツ(約3万3000円、ハイシーズン)とのこと
湯船のあるバスルーム。寝室とはガラス1枚で隔てられている
RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort

所在地:14 Charoenraj Road, T.Watkate, Muang, Chiang Mai 50000

足湯と温泉卵で体の中と外から癒やす「San Kampaeng Hot Spring Hill」

 チェンマイの市街地からクルマで1時間ほど、山に囲まれた東の郊外に、多くの人々が集まる温泉スポットがある。「San Kampaeng Hot Spring Hill」と呼ばれるこの場所では、地下から勢いよく温泉が噴き出す噴出口を複数見ることができ、ただただその迫力に圧倒される。ただでさえ常夏に近いタイの気候のなか、さらに焼けるような熱水の温度を間近で感じることができるのは、貴重な経験だ。

Sankampang Hot Spring Hill
入園料は100バーツ(約300円)。常に熱水を吹き上げている様を見ることができる

 吹き出した温泉は人工的に作られたプールにとおされており、近くの露天で販売されているカゴに入った卵を沈めて温泉卵を作ることができる。そこから下流に向けては、総延長で数百メートルは下らない大規模な足湯エリアとなっていて、筆者が訪れたのは平日だったにもかかわらず大勢が訪れ、足の疲れを癒やしていた。家族揃って、ちょっとピクニックに行くような感覚で楽しんでいるのが印象的だ。

露天でカゴ入りの卵を購入して、温泉卵を作ることができる
下流方向には長々とした足湯エリア
こちらは噴出口に近い上流側だが、人が少ないのはおそらくお湯が熱すぎるから
敷地内には宿泊施設やプールもある

食材や生活必需品はスーパー「Rimping Supermarket」へ

「Rimping Supermarket」は、チェンマイの各地に点在する代表的なスーパーマーケット。やや高級志向の品揃えで、日本でいうと紀ノ國屋に近いイメージかもしれない。タイならではのフルーツ、野菜、ドライフードはもちろんのこと、魚介類や肉、総菜も豊富に並べられている。保存食、酒類、冷凍食材、アイスクリーム、そのほか日用品もある。

Rimping Supermarket(Nim City Daily Branch)

 日本の米が複数ブランド販売されているのを見つけることもできた。日本食が懐かしくなったときにも便利に利用でき、簡単にタイ料理を作れるレトルト系の商品も数えきれないほどあるので、お土産を探すのにも最適だ。

整然と並んだ商品
ドリアン、ランブータン、ブドウなどフルーツが大量
野菜、肉もどっさり。魚はやや少なめか
総菜類も豊富。焼き魚に「Sushi」と書かれているのは理由不明。タイ産の日本米もあった
冷凍食品、雑貨類、雑誌も揃う
Rimping Supermarket(Nim City Daily Branch)

所在地:205/3 Mahidol Rd, Pa Daet, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chang Wat Chiang Mai 50100

料理教室「The Little Kitchen Chiang Mai」でタイ料理をマスター

 代表的なタイ料理の作り方を学べるのが、「The Little Kitchen Chiang Mai」。タイカレー、炒め物、スープ、デザート、前菜の各カテゴリーから1品ずつ、5品目を選んで、すぐ近くにある市場での食材の買い出しからスタート。3時間ほどかけてイチからじっくりタイ料理作りに取り組める。料金は食材を含め、1000バーツ(約3000円)と格安だ。

The Little Kitchen Chiang Mai
ガスコンロが並ぶキッチンスペース

 今のところ日本語の講師はいないが、英語のできる講師はおり、さほど英語が得意でなくても丁寧な指導で満足のいく料理に仕上げられる、というのは実際に体験した日本人旅行者らの談。レストランとしても営業していて、ビュッフェ形式でタイ料理を自由に味わえる。

日本人が作ったタイ料理。見事な出来栄え
修了証をもらうことができる
レストランとしても営業中
The Little Kitchen Chiang Mai

Facebook:The Little Kitchen Chiang Mai

ロングステイビザ取得時に必ずお世話になる「Bangkok Bank」

 タイでロングステイビザを取得するときは、銀行口座を開き、そこに1人当たり80万バーツ(約240万円)以上預金しておかなければならない決まりになっている。そのため、長期滞在を希望するならこうした銀行に必ずお世話になる。

 ある程度の信用が求められるため大金を預ける必要があるのだが、その半面メリットもある。定期預金の利率が日本では考えられないほど高く、たとえば5カ月定期で1.25%、12カ月定期で1.5%もの金利が提示されていた。ただし、金利が高いということは物価上昇のペースが早いと考えられる。物価の安いタイではあるけれど、いずれにしろ滞在中の予算は余裕を見て設定した方がよさそうだ。

Bangkok Bank
行内の様子。長期滞在を考えている人にとっては重要な施設だ
Bangkok Bank Nimman He Min支店

所在地:22/3, Nimman He Min Road, Tambon Suthep, Amphoe Muang Chiang Mai, Chiang Mai, 50200

チェンマイ随一の高度医療対応私立総合病院「Bangkok Hospital Chiang Mai」

 私立病院としてはタイ最大規模で、世界でも3本の指に入るというバンコク病院。その系列病院としてチェンマイにあるのが「Bangkok Hospital Chiang Mai」だ。もちろんチェンマイではNo.1の規模の総合病院となる。

Bangkok Hospital Chiang Mai

 内科、外科・整形外科、小児科、眼科、歯科、精神科に加え、救急救命センターや人間ドック施設も用意。現在は80床とまだそれほど多くないが、さらに建物を2棟建設中で、200床程度まで増やす計画。長く滞在するほど病気や怪我をする可能性は高まる。どこにどんな病院があるのか、頭に入れておくことは大変重要だ。

こちらは「スタンダード」の病室。入院費用(1室利用料金)は1日4000バーツ(約1万2000円)
リビングがあるスイートルームの「スーペリア」。入院費用(1室利用料金)は1日1万2000バーツ(約3万6000円)
透析を受けられる設備
歯科
リハビリルーム。偶然にも日本人の方が治療を受けていた
キッズスペースが広い
救急車の内部も見学させていただいた
Bangkok Hospital Chiang Mai

所在地:Thanuspong Soi 8, Mueang Chiang Mai District, Chiang Mai 50000

1日300円でプレーできる、ゴルフリゾート「Mae Jo Golf Resort&Spa」

 市街地からクルマで1時間弱ほどの北部にある「Mae Jo Golf Resort&Spa」。チェンマイでは主に郊外の比較的アクセスのよい場所にゴルフ場が複数あり、日本よりもずっと安価にプレーできるため、ゴルフを目的にチェンマイに訪れたり、長期滞在中に毎日のようにゴルフを楽しんだり、という人も少なくない。

 ここMae Jo Golf Resort&Spaでは、年会費を支払えば1日100バーツ(約300円。年会費3万バーツのプランの場合)から利用可能。これにキャディ(300バーツ)やカート(600バーツ~)の利用料金もかかるが、それでも安価なことには変わりない。会員になると、クラブハウスで使える2000バーツ(約6000円)分のフードバウチャーがもらえるので、頻繁に通い詰めたくなりそうだ。

Mae Jo Golf Resort&Spa
ここでもまた運よく日本人の方がプレーしているところに居合わせた
カートの利用は600バーツから
クラブハウスの様子
Mae Jo Golf Resort&Spa

所在地:112 Moo 7 Ban Sriboonruang, Pahpai Sansai, Chiang Mai, 50210

暑さを忘れ、静かに現代アートと向き合う「MAIIAM Contemporary Art Museum」

 幹線道路をクルマで走っていると、突如出現する全面ミラー張りの建物。この「MAIIAM Contemporary Art Museum」は、もともとモデルをしていた女性が、自身のアートやほかのアーティストの作品を展示する場所として開いたものだという。

MAIIAM Contemporary Art Museum

 入り口にはアーティストのユニークな作品を販売するスペースがあり、カフェも併設。美術館内部では常設展示と企画展示があり、取材に訪れた日はファッションをテーマにしたアートなどを見ることができた。

入り口では作品を販売
カフェが併設されている
スクーターに乗った有名俳優と思われる人のマネキン
日本をテーマにしたらしいアートも
かつて使われていた三輪車
ファッションをテーマにしたアート
現代美術館ということで、前衛的な作品が多い
リアルなマネキン2体。背景の描き込まれた絵ともども見応えがある
MAIIAM Contemporary Art Museum

所在地:122, Moo 7 Tonpao Amphoe San Kamphaeng, Chang Wat Chiang Mai 50130

芸能人ご用達カフェで一息つける、秘境の「Mae Kampong」村

 チェンマイの東の山奥、狭く急な峠道をクルマに揺られてたどり着いたのが、Mae Kampong(メー・カンポン)村。よく整備された1本の道路の左右には木々が鬱蒼と生い茂る山々がそびえ立ち、その道路と斜面のわずかな隙間に貼り付くように家々が建ち並ぶ。きれいな道路を除けば、まるで秘境というのにふさわしい集落で、木の葉でふかれた特徴的な屋根の造りがその印象をより強くしている。

1本の道路脇に家々が建ち並ぶMae Kampong村
大きな木の葉が屋根に使われている
駄菓子屋、タイラーメン屋など、店構えが日本の昔の風景を思い起こさせるような風情

 しかし、こんなへんぴなところなのに訪れる観光客は多いようで、なかにはタイの現地人と思われる人もよく見かける。なぜかというと、ここにはタイの芸能人御用達のカフェがあるから。「Lung Pud Pa Peng(ルンプッド&パーペン)」、日本語にすると「ルンじいさんとペンばあさん」という名前のお店だ。建物のたたずまいがほかとは明らかに異なっており、その前で記念撮影する人たちが引きも切らない。

芸能人御用達だというカフェ「ルンじいさんとペンばあさん」のお店。記念撮影する人が多い

 コーヒーやソフトドリンク、スイーツ、おつまみなどを注文できる、至って普通のカフェではある(ただし、筆者たちが訪れたときはすでにスイーツのほとんどが売り切れていた)。店内はそれほど広くはないものの、しかし眼下を流れる沢の上に張り出すかのごとく設置されたテラス席が最高に気持ちよい。時間をかけてここまで来たなら、ぜひとも立ち寄ってのんびりしてほしい。

店内。ガラスケース内にあったはずのスイーツは1つ残らずなくなっていた
沢に張り出すように設置されたテラス席の居心地は最高だ
坂道になっている道路を登っていくと、寺がある
谷に降りると、沢のなかに建物。静謐な環境で、心が清らかになっていく(気分)
Lung Pud Pa Peng

所在地:Huai Kaeo, Mae On, Chiang Mai 50130

日沼諭史

1977年北海道生まれ。Web媒体記者、モバイルサイト・アプリ運営、IT系広告代理店などを経て、現在は株式会社ライターズハイにて執筆・編集業を営む。IT、モバイル、オーディオ・ビジュアル分野のほか、二輪や旅行などさまざまなジャンルで活動中。独身時代はレンタカーで車中泊しながら国内中を巡ったこともあり、どちらかというと癒やしではなく体力を消耗する旅行(仕事)が好み。著書に「できるGoPro スタート→活用 完全ガイド」(インプレス)、「はじめての今さら聞けないGoPro入門」(秀和システム)、「今すぐ使えるかんたんPLUS Androidアプリ大事典」(技術評論社)などがある。