旅レポ
タイ・チェンマイの観光、長期滞在をもっと充実させるグルメ&観光スポット(後編)
生活拠点、必需品の入手場所、料理教室から芸術、秘境まで
2017年8月1日 00:00
タイ国政府観光庁は6月15日、タイ北部の都市チェンマイで、同地域での長期滞在を検討している日本人向けに、現地説明会「チェンマイ ロングステイフォーラム」を開催した。本稿では、同庁が実施したプレスツアーの際に訪れた観光スポットをレポートする。
「北方のバラ」とも呼ばれるタイ北部の美しい都市チェンマイ。首都バンコクから各地への交通の便がさほどよくないとされているタイのなかでも、市街地近くに国際空港があるチェンマイは、比較的アクセスの良好な地域で、一帯には日本からの長期滞在者が現在約3000人暮らしているという。
長期滞在や観光で訪れる日本人も多く、チェンマイの街中には日本人向けのショッピングセンターがあり、日本語の文字や言葉を見聞きする場面も少なくない。タイが親日国で、バンコクほどには暑すぎない穏やかな気候ということもあり、チェンマイは日本人にとって過ごしやすい環境が整っているのだ。
そんなチェンマイでロングステイしてみたい、あるいは少し長めに観光してみたい、という人に、あらかじめ知っておくと便利な施設、ぜひ訪れてほしいスポットを11カ所、紹介しよう。
長期滞在に最適なコンドミニアム「The Nimmana Chiang Mai」
チェンマイ国際空港の北側ほど近くに、高級コンドミニアムとして2016年にオープンしたのが「The Nimmana Chiang Mai」。1~8階の3棟からなる巨大な建物に、およそ40~140m2の広さの349室が設けられ、分譲もしくは賃貸の物件として提供されている。緑豊かな中庭にはプールもある。
部屋の種類はスタジオ、1ベッドルーム、2ベッドルーム、3ベッドルームの4タイプ。1部屋の販売価格は広さに応じて390万~1100万バーツ(約1170万~3300万円、1バーツ=約3円換算)と幅があり、現地で働く日本人の購入者も多いという。繁華街が目の前にあり、特にゲートが設置されているわけではないが、治安は良好とのこと。取材した6月中旬の時点で、まだ一部に空き部屋があった。
The Nimmana Chiang Mai
所在地:Su Thep, Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200
日本の料理と日本製品がお得に手に入る「Japan Village」
チェンマイの市街地の真ん中に、黒で塗り固められた一見して異質な建物がある。「Japan Village」と名付けられたこの場所は、日本の食や製品、美容の最先端を体験できる、日本人の運営する施設。2016年12月にオープンしたばかりだという。
うどんやそば、鶏の唐揚げ、まぜそば、スイーツと、バリエーション豊かな料理を提供する4つの店舗に加え、フェイシャルエステやまつげエクステの専門店がテナントとして入居。日本のメーカーが自信を持ってお勧めするアパレル、美容製品、食品などの販売スペースもある。
販売している各種アイテムは、会員になれば割引価格が適用され、場合によっては日本で購入するよりも安価に手に入れることができるという。というのも、ここは日本の企業がタイへ本格進出する前に、本当に売れるのかどうか推し量る、テストマーケティングの場として提供されているから。
店舗やアイテムはすべて6カ月ごとにどんどん新しいものに入れ替わっていく。日本人客はまだ少ないそうだが、今後はイベントスペースとしても稼働し、北海道物産展などを開催する計画もあるとのこと。気軽に立ち寄って、本格的な日本を味わってほしい。
Japan Village
所在地:8 Nimmanahaeminda Rd Lane 15, T.Suthep, A.Mueang Chiang Mai, Chiang Mai 50200
歴史ある雰囲気抜群のスパリゾート「RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort」
140年前に建築された古民家の雰囲気を残したまま改装し、施設の一部として使っている、歴史を感じさせるスパリゾートが「RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort」だ。
46~164m2の部屋が35室という、こぢんまりとした施設ではあるものの、古民家のほかに、亜熱帯の植生を活かした庭園、ジャグジー(ハイドロセラピー)プール、ジム、マッサージルーム、オリジナル商品を扱うショップなどが敷地内に密度高く凝縮。そして、名前にもあるとおり、日本の温泉の雰囲気を味わえる風呂があるのも特徴だ。
RarinJinda Wellness Spa&Onsen Resort
所在地:14 Charoenraj Road, T.Watkate, Muang, Chiang Mai 50000
足湯と温泉卵で体の中と外から癒やす「San Kampaeng Hot Spring Hill」
チェンマイの市街地からクルマで1時間ほど、山に囲まれた東の郊外に、多くの人々が集まる温泉スポットがある。「San Kampaeng Hot Spring Hill」と呼ばれるこの場所では、地下から勢いよく温泉が噴き出す噴出口を複数見ることができ、ただただその迫力に圧倒される。ただでさえ常夏に近いタイの気候のなか、さらに焼けるような熱水の温度を間近で感じることができるのは、貴重な経験だ。
吹き出した温泉は人工的に作られたプールにとおされており、近くの露天で販売されているカゴに入った卵を沈めて温泉卵を作ることができる。そこから下流に向けては、総延長で数百メートルは下らない大規模な足湯エリアとなっていて、筆者が訪れたのは平日だったにもかかわらず大勢が訪れ、足の疲れを癒やしていた。家族揃って、ちょっとピクニックに行くような感覚で楽しんでいるのが印象的だ。
食材や生活必需品はスーパー「Rimping Supermarket」へ
「Rimping Supermarket」は、チェンマイの各地に点在する代表的なスーパーマーケット。やや高級志向の品揃えで、日本でいうと紀ノ國屋に近いイメージかもしれない。タイならではのフルーツ、野菜、ドライフードはもちろんのこと、魚介類や肉、総菜も豊富に並べられている。保存食、酒類、冷凍食材、アイスクリーム、そのほか日用品もある。
日本の米が複数ブランド販売されているのを見つけることもできた。日本食が懐かしくなったときにも便利に利用でき、簡単にタイ料理を作れるレトルト系の商品も数えきれないほどあるので、お土産を探すのにも最適だ。
Rimping Supermarket(Nim City Daily Branch)
所在地:205/3 Mahidol Rd, Pa Daet, Amphoe Mueang Chiang Mai, Chang Wat Chiang Mai 50100
料理教室「The Little Kitchen Chiang Mai」でタイ料理をマスター
代表的なタイ料理の作り方を学べるのが、「The Little Kitchen Chiang Mai」。タイカレー、炒め物、スープ、デザート、前菜の各カテゴリーから1品ずつ、5品目を選んで、すぐ近くにある市場での食材の買い出しからスタート。3時間ほどかけてイチからじっくりタイ料理作りに取り組める。料金は食材を含め、1000バーツ(約3000円)と格安だ。
今のところ日本語の講師はいないが、英語のできる講師はおり、さほど英語が得意でなくても丁寧な指導で満足のいく料理に仕上げられる、というのは実際に体験した日本人旅行者らの談。レストランとしても営業していて、ビュッフェ形式でタイ料理を自由に味わえる。
The Little Kitchen Chiang Mai
Facebook:The Little Kitchen Chiang Mai
ロングステイビザ取得時に必ずお世話になる「Bangkok Bank」
タイでロングステイビザを取得するときは、銀行口座を開き、そこに1人当たり80万バーツ(約240万円)以上預金しておかなければならない決まりになっている。そのため、長期滞在を希望するならこうした銀行に必ずお世話になる。
ある程度の信用が求められるため大金を預ける必要があるのだが、その半面メリットもある。定期預金の利率が日本では考えられないほど高く、たとえば5カ月定期で1.25%、12カ月定期で1.5%もの金利が提示されていた。ただし、金利が高いということは物価上昇のペースが早いと考えられる。物価の安いタイではあるけれど、いずれにしろ滞在中の予算は余裕を見て設定した方がよさそうだ。
Bangkok Bank Nimman He Min支店
所在地:22/3, Nimman He Min Road, Tambon Suthep, Amphoe Muang Chiang Mai, Chiang Mai, 50200
チェンマイ随一の高度医療対応私立総合病院「Bangkok Hospital Chiang Mai」
私立病院としてはタイ最大規模で、世界でも3本の指に入るというバンコク病院。その系列病院としてチェンマイにあるのが「Bangkok Hospital Chiang Mai」だ。もちろんチェンマイではNo.1の規模の総合病院となる。
内科、外科・整形外科、小児科、眼科、歯科、精神科に加え、救急救命センターや人間ドック施設も用意。現在は80床とまだそれほど多くないが、さらに建物を2棟建設中で、200床程度まで増やす計画。長く滞在するほど病気や怪我をする可能性は高まる。どこにどんな病院があるのか、頭に入れておくことは大変重要だ。
Bangkok Hospital Chiang Mai
所在地:Thanuspong Soi 8, Mueang Chiang Mai District, Chiang Mai 50000
1日300円でプレーできる、ゴルフリゾート「Mae Jo Golf Resort&Spa」
市街地からクルマで1時間弱ほどの北部にある「Mae Jo Golf Resort&Spa」。チェンマイでは主に郊外の比較的アクセスのよい場所にゴルフ場が複数あり、日本よりもずっと安価にプレーできるため、ゴルフを目的にチェンマイに訪れたり、長期滞在中に毎日のようにゴルフを楽しんだり、という人も少なくない。
ここMae Jo Golf Resort&Spaでは、年会費を支払えば1日100バーツ(約300円。年会費3万バーツのプランの場合)から利用可能。これにキャディ(300バーツ)やカート(600バーツ~)の利用料金もかかるが、それでも安価なことには変わりない。会員になると、クラブハウスで使える2000バーツ(約6000円)分のフードバウチャーがもらえるので、頻繁に通い詰めたくなりそうだ。
Mae Jo Golf Resort&Spa
所在地:112 Moo 7 Ban Sriboonruang, Pahpai Sansai, Chiang Mai, 50210
暑さを忘れ、静かに現代アートと向き合う「MAIIAM Contemporary Art Museum」
幹線道路をクルマで走っていると、突如出現する全面ミラー張りの建物。この「MAIIAM Contemporary Art Museum」は、もともとモデルをしていた女性が、自身のアートやほかのアーティストの作品を展示する場所として開いたものだという。
入り口にはアーティストのユニークな作品を販売するスペースがあり、カフェも併設。美術館内部では常設展示と企画展示があり、取材に訪れた日はファッションをテーマにしたアートなどを見ることができた。
MAIIAM Contemporary Art Museum
所在地:122, Moo 7 Tonpao Amphoe San Kamphaeng, Chang Wat Chiang Mai 50130
芸能人ご用達カフェで一息つける、秘境の「Mae Kampong」村
チェンマイの東の山奥、狭く急な峠道をクルマに揺られてたどり着いたのが、Mae Kampong(メー・カンポン)村。よく整備された1本の道路の左右には木々が鬱蒼と生い茂る山々がそびえ立ち、その道路と斜面のわずかな隙間に貼り付くように家々が建ち並ぶ。きれいな道路を除けば、まるで秘境というのにふさわしい集落で、木の葉でふかれた特徴的な屋根の造りがその印象をより強くしている。
しかし、こんなへんぴなところなのに訪れる観光客は多いようで、なかにはタイの現地人と思われる人もよく見かける。なぜかというと、ここにはタイの芸能人御用達のカフェがあるから。「Lung Pud Pa Peng(ルンプッド&パーペン)」、日本語にすると「ルンじいさんとペンばあさん」という名前のお店だ。建物のたたずまいがほかとは明らかに異なっており、その前で記念撮影する人たちが引きも切らない。
コーヒーやソフトドリンク、スイーツ、おつまみなどを注文できる、至って普通のカフェではある(ただし、筆者たちが訪れたときはすでにスイーツのほとんどが売り切れていた)。店内はそれほど広くはないものの、しかし眼下を流れる沢の上に張り出すかのごとく設置されたテラス席が最高に気持ちよい。時間をかけてここまで来たなら、ぜひとも立ち寄ってのんびりしてほしい。
Lung Pud Pa Peng
所在地:Huai Kaeo, Mae On, Chiang Mai 50130