旅レポ

時差のない西洋、オーストラリア・ブリスベンで体も心もリラックス(その2)

オーガニックな朝食で一日をスタート、市中心部の見どころを紹介

ブリスベン川から見た市内中心部“シティ”

 オーストラリアの人口第3位の大都市にして、クイーンズランド州の州都であり、日本からの直行便もあるというハイスペックな都市、オーストラリア・ブリスベン。クイーンズランド州政府観光局が主催したプレスツアーで訪れ、この地の魅力の一端に触れたレポートの第2回目では、市中心部の見どころを紹介する。

 第1回「時差のない西洋、オーストラリア・ブリスベンで体も心もリラックス(その1) カンタス航空直行便で起きたら目的地、中心部のクイーンストリートモールを散策」で紹介したクイーンストリートモールなど、セントラル駅から広がる一体のブリスベン中心部は「シティ」や「CBD(Central Business District、中心業務地区)」と呼ばれており、いわばダウンタウンということになる。

朝からボリュームも満点! オーガニックな野菜や果物を楽しめる「

 ダウンタウンといえば、朝の出勤前に立ち寄れる朝食スポットは気になるところ。カフェで軽めにパンもよいが、朝からしっかり食べたい、でもヘルシーに、という希望に応えてくれるのが「Felix for GOODNESS」だ。

 Felix for GOODNESSは同店こだわりの有機野菜や自然野菜(ホールフード)を使った料理が特徴のカフェ。ビーガン(完全なベジタリアン)向け、グルテンフリーがメニューに明記されているほか、料理によってはビーガン向けにしてもらうオプションの注文もできる。そんなナチュラル志向のお店だ。平日は朝7時からオープンしていて、朝からサラリーマンで賑わっている。

 記者は自家製ココナッツヨーグルトをかけたフルーツたっぷりのグラノーラ(14.5オーストラリアドル、約1120円、1オーストラリアドル=約77円換算)を注文したが、同店の朝食メニューとしては「Felix Big Breakfast」(22オーストラリアドル、約1700円)が特徴とのこと。現物を見ると、ハッシュドポテトにポーチドエッグ、メルゲーズソーセージ、これでもかと盛られた野菜と、名前のとおりの「Big Breakfast」。朝から満足できること間違いなしだ。

 余談ながら、Felix for GOODNESSがあるバーネット・レーン(Burnett Ln.)は、古くは刑務所があった通りだという。そんなバックストーリーもあるほか、ストリートではなくレーンであることからも分かるとおり、裏路地感の高さが地元に来た感を高めてくれる。しかも、道路上に蛍光塗料を使ったアートが描かれていて、夜は周囲のライトに照らされて雰囲気が変わる。ここも見どころの一つだ。

Felix for GOODNESS

営業時間:(月・火曜)7時~15時、(水~金曜)7時~21時30分、(土曜)8時~14時、日曜日や祝日は休業
所在地:50 Burnett Ln, Brisbane City, QLD
TEL:+61-7-3161-7966
Webサイト:Felix for GOODNESS(英文)

Felix for GOODNESS。窓が開かれ、開放的な雰囲気のお店だ
店内はレンガや鉄骨がむき出しの無骨さと、テーブルなどの木材の温もりが同居した空間
Felix for GOODNESSがあるバーネット・レーンは道路に蛍光塗料のアートが描かれており、夜の雰囲気も楽しめる
季節の野菜を使ったグリーンスムージーや、マンゴとココナッツのラッシーなど。8.5オーストラリアドル(約660円)
フルーツグラノーラ。パンジーなどの花びらも入っていて色鮮やか
ナチュラルな素材が使われているがボリューム感はアメリカンサイズな「Felix Big Breakfast」

「ブラック」「カフェオレ」が通じない~オーストラリアでのコーヒーの注文

 ところで、カフェに来た話をしたので、記者がオーストラリアで戸惑ったコーヒーの種類についても紹介。オーストラリアでコーヒーを頼むときに「ブラック」と言って頼むと「なんとかブラック?」と聞き返されるし、「カフェオレ」と言うとキョトンとされてしまう。“コーヒーでも飲んで一服しましょう”とリラックスする時間を過ごすはずだったのに、冷や汗をかくシーンに一変するのである。

 ということで、オーストラリア在住の方にみっちり仕込んでいただいたコーヒーの注文方法。いわゆるブラックコーヒーは「ロングブラック」と言って頼むのが正解。これに対して「ショートブラック」と言うと、エスプレッソを頼んだことになる。

 ミルク入りのコーヒーは、日本で飲むようないわゆるドリップコーヒーに牛乳を混ぜたカフェオレはなく、基本的にエスプレッソベース。エスプレッソにミルクを入れたものが「フラットホワイト(Flat White)」で、これがもっともカフェオレに近い存在だ。このほかに、フロス(泡)を加えた「カフェラテ」、そのフロスが多めの「カプチーノ」も注文できる。

 この5つを言葉を覚えておけば、だいたいOKだ。ニュージーランドも同様とのことなので、参考にしてほしい。

・ロングブラック ← 普通のブラックコーヒーを飲みたいとき
・ショートブラック ← エスプレッソを飲みたいとき
・フラットホワイト ← ミルク入りコーヒーを飲みたいとき
・カフェラテ
・カプチーノ

カフェラテ(左)とフラットホワイト(右)。カフェラテはグラスで出されることが多かった

ブリスベン発のナチュラルスキンケアブランド「パーフェクトポーション」

日本でも人気が高まっている「パーフェクトポーション」。ブリスベン発のブランドだ

 日本でも人気が高まっている「パーフェクトポーション(Perfect Potion)」。名前は聞いたことがなくても、緑色のラベルに見覚えがある人もいるのではないだろうか。このパーフェクトポーションはブリスベン発祥のブランド。市内にはいくつかの直営店がある。

 日本でも愛用者が増えている自然素材を使った虫除けスプレー「outdoor body spray」は、オーストラリアでも一番人気とのこと。コアラの保護基金団体とコラボレーションしたパッケージもあり、オーストラリアらしさもブリスベンらしさもあるお土産によいだろう。

 ブリスベン市内にあるお店では、アロマオイルを使ったマッサージ(30分60オーストラリアドル、約4620円から)や、アロマテラピーのスキンケア(30分60オーストラリアドル、約4620円から)が受けられるほか、市内中心部のAlbert St.沿いのお店では、毎週オーガニックアロマを使った自然療法などのワークショップも開催している(有料、スケジュールはWebサイトに掲載)。

Perfect Potion Brisbane CBD

営業時間:(月~木曜、土曜)9時~18時、(金曜)9時~21時、(日曜)11時~17時
所在地:230 Albert St, cnr Adelaide & Albert Sts, Brisbane City, QLD
TEL:+61-7-3012-7470
Webサイト:Perfect Potion(英文)

ブリスベン市中心部のアルバート・ストリート沿いにある「パーフェクトポーション」直営店
自然素材のヘルスケア製品やハーブティなど同ブランドの商品が並ぶ
オーストラリア感のあるコアラの保護基金団体とコラボしたパッケージ
人気の虫除けスプレー
人間の「気」のバランスを整える「chakra」シリーズ
エッセンシャルオイルを含有させたハンドメイドソープ
ハーブティの試飲コーナーも
ハーブティを楽しむためのティーポット&カップのセット

カカオにこだわるチョコレート専門店「ヌーサ・チョコレート・ファクトリー」

「ヌーサ・チョコレート・ファクトリー」

 映画「チャーリーとチョコレート工場」の頃からだろうか、耳にすることが増えた「チョコレートファクトリー」。今年はアメリカの「ダンデライオン・チョコレートファクトリー」が日本に上陸したことでも話題になった。オーストラリアでもこうした、チョコレート工場と自社ショップを持って生産から販売まで行ないそれぞれの会社の独自性あるクラフトチョコレートを提供する会社が増えているという。

 そうしたチョコレートファクトリーのなかで、ブリスベンを拠点に展開しているのが「ヌーサ・チョコレート・ファクトリー(NOOSA CHOCOLATE FACTORY)」だ。創業は2009年と新鋭といってよいだろう。

 ヌーサ・チョコレート・ファクトリーのチョコレートは「100%パーム油フリー」が一つの特徴。市販のチョコレートはカカオバターと親和性の高い植物油を使って生産量を高める手法が使われるが、その植物油の代表がパーム油。だが、カカオバター本来の風味が損なわれることもあり、コストが高くなってもパーム油を使わない「カカオと砂糖だけ」のチョコレートにこだわっている。さらにダークチョコレートがビーガン製品であることもアピールポイントになっている。

 表面処理の「パンニング」技術も特徴で、ココアパウダーを使っているという表面は無造作に積まれた状態のチョコレートを手にとってもサラサラだ。

ブリスベン市街地中心部にあるヌーサ・チョコレートファクトリーのフラッグシップ店
店内は、木箱に入ったさまざまなチョコレートが積まれている
イートインのカフェも併設。ホット/アイスチョコレートやコーヒーを楽しめる
木箱にビッシリと詰め込まれたチョコレート
美しい仕上げの表面も特徴。写真は同店で人気を集める2種類

 そんな同社のフラッグシップ店がブリスベン市中心部のアデレード・ストリート沿いにある。チョコレートは100gで5.2オーストラリアドル(約400円)の量り売りで、種類は自由に選べる。また、カフェも併設されているので、店内でホットチョコレートを楽しむ、なんてことも可能。

 いくつか試食させてもらったが、ミルクチョコもダークチョコも甘さ控えめで、これぞチョコレート! というカカオの風味が口に広がる。甘い物が苦手な人にもお勧めしやすいチョコレートだった。

 また、同店から100mも離れていない場所にも、もう1店舗ある。こちらは量り売りではなく、詰め合わせをパッケージとして販売してお店になる。パッケージはどれも1つ6オーストラリアドル(約470円)で、3個で15オーストラリアドル(約1160円)で4種類入っている。どの種類のチョコレートが入っているかもシールに明記されているので量り売りでごちゃ混ぜになるよりも分かりやすく、お土産にも向きそうだ。

同じくアデレード・ストリート沿いにある系列ショップでは、量り売りではなくパッケージングして販売している
NOOSA CHOCOLATE FACTORY

営業時間:(月~土曜)7時~19時、(日曜)7時30分~18時
所在地:156 Adelaide Street, Brisbane City, QLD
Webサイト:NOOSA CHOCOLATE FACTORY(英文)

ブリスベン中心部の象徴的建造物「シティホール」

シティホール

 さて、本稿で最後に紹介するのが、ブリスベン市の市政府施設として1930年に竣工した「シティホール(City Hall)」だ。高さ92mの時計台が特徴で、ブリスベンのシンボルにもなっている。現在は市政府の多くの機能が移転し、市長室と副市長室が残される以外は、博物館、公共の公会堂、観光スポットとして利用されている。

 シティホールでは、毎日時計台に上るツアーや館内ツアーを無料で提供している。時計台に上るツアーは平日の10時~17時に15分間隔で実施しており、予約は不要。各回の人数は制限されるので、当日訪問して3階のカウンターで申し込みを行なう。

 もう一つが館内ツアーで、1時間程度をかけてガイドさんが館内の各所を説明してくれる。こちらは英語での電話予約が必要なので、少しハードルが高いかもしれない。館内に入るのは自由なので、雰囲気を味わうだけでもよいと思う。

 リノベーションが行なわれた2013年に再オープンしたが、建造当時の様子を多く残すルネッサンス様式の建築物。エントランスにある大理石の階段や、石造りの壁面など、ただ見ているだけでもその美しさに息をのむ。

 そのほかにも見どころは多いが、建築当初から設置されている公会堂のパイプオルガンは2階席から見ただけでも、その大きさに圧倒される。一方で、天井はプロジェクターを使ってさまざまな映像を映し出せるにするなど、新旧のテクノロジが融合したような空間になっている。

 また、第2次世界大戦時に兵士が残したサインが残された壁という、日本との関係の深い遺産もある。

Brisbane City Hall

開館時間:(月~金曜)8時~17時、(土日休)9時~17時
所在地:64 Adelaide St, Brisbane City, QLD
Webサイト:Brisbane City Hall(英文)
アクティビティ:
クロックタワーツアー:10時~15時(15分おきに出発)
館内ツアー(要予約)10時30分~15時30分(12時30分を除く1時間おきに出発)

シティホールのエントランス
吹き抜けの2階からエントランス方向を見る
エントランスの天井。アートのような美しさ
シティホールは1930年4月8日にオープン。オーストラリアの歴史遺産に認定されている
エントランスの床面もタイルを敷き詰めた一種のアート作品
大理石でできた階段が古き時代を感じさせる
館内ツアーではスタッフが引率して、見どころやその背景などを解説してくれる
左の写真で床を指していたのは、タイルが魚の鱗のように配置されていることを説明していたから
色鮮やかなステンドグラスも
円形の公会堂
パイプオルガンは1800年代の製造で、建設当初にここへ移設されたものとのこと。4391本のパイプが使われている
天井はプロジェクターを使ってさまざまな演出を行なえる
第2次世界大戦の兵士たちが残したサイン。連合軍として戦ったオーストラリアの主な相手国は言うまでもなく日本。いきなり気が引き締まった

 1階には「ブリスベン最古のカフェ」という「SHINGLE INN」も入居。1936年に別の場所で創業されたレストランで、現在はシティホールに移転。クッションのない板張り&据え付けの椅子など、20世紀前半の“喫茶店”の雰囲気を残す。従業員のメイド衣装にも注目だ。

SHINGLE INN City Hall

営業時間:9時~16時
Webサイト:SHINGLE INN(英文)

シティホールの1階にあるブリスベン最古のカフェ「SHINGLE INN」
店内は木の温もりに満ちている。TVドラマや映画で見る“戦前の喫茶店”のスタイルそのままだ
表にも座席。大理石のテーブルやソファが置かれ、窓から射し込む光を照明に使った優雅な感じ
ロゴ入りのコーヒーカップやティーポット
創業当時のスタイルを受け継ぐメイド風のユニフォーム

 さて、今回はブリスベン市中心部の見どころをいくつか巡ってきた。観光ということで、ブリスベンらしさが分かりやすい場所を中心にまわったが、特にシティホールはブリスベンに来たら外せないスポットだ。

 もっとも、この中心部はダウンタウンらしく整然とした町並みなので、目的を定めずにぶらぶらしてみるのも楽しいだろう。

編集部:多和田新也