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100年に一度の東急・渋谷再開発が最終局面に。東急百貨店本店跡地と宮益坂の具体的な動線・構造・景観も判明
2025年6月4日 13:32
- 2025年6月3日 実施
東急は、現在渋谷で進行中の100年に一度と呼ばれる再開発において、東急グループが進める渋谷のまちづくりの未来像と進行中の大規模プロジェクトについて、報道向けの説明会を行なった。
今回説明した大型プロジェクトは大きく3つに分かれており、すでに着工した渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)を核とした「渋谷駅街区計画」、東急百貨店本店跡地で推進する「Shibuya Upper West Project」、渋谷駅東口の新たな顔となる「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」となっている。
まず冒頭、東急 執行役員 都市開発本部 渋谷開発事業部長の坂井洋一郎氏が登壇し、これまでの渋谷のまちづくりと現在地を総括した。1927年の東横線渋谷駅の開業から始まる渋谷のまちづくりの歴史に触れ、現在では11の再開発プロジェクトが進んでいることを紹介。
「東急は時代時代のライフスタイルをとらえ、半歩先の提案をしていく企業姿勢で100年間取り組んできています」と、SNSのビッグデータを分析することで作成した、食や音楽、スポーツ、アートなど10のカテゴリーで、どれだけ人々の関心を集めていたかを可視化した渋谷の地図により、2011年と渋谷スクランブルスクエア東棟までが開業した2023年の動向比較を紹介した。
これについて「開発によって生まれたスポットを中心に、渋谷の人々と文化との新たな関わりが生まれていることが分かります。新スポットを中心に町の風景や地域に関する投稿が増えています。こうした風景づくりを進めていくことも、町の文化を支える大切な要素であると考えています。
これからも街を訪れる人々の活動や文化の関心をとらえながら、デジタルの時代に逆に人々が欲しているセレンディピティ(予期していなかった素晴らしい偶然の出会いや発見)を重要し、まちづくりを進めていきたいと考えています」と再開発プロジェクトの重要性を強調した。
続いて、都市開発本部 渋谷開発事業部 開発推進グループ統括部長の田邊秀治氏が、「渋谷駅街区計画」の渋谷スクランブルスクエアについて解説した。渋谷スクランブルスクエアは、東急、JR東日本、東京メトロの事業者3社が共同で手掛ける渋谷駅と一体となった大規模再開発事業。すでに2019年に第I期(東棟)が開業していて、今年5月に第II期(中央棟・西棟)の工事が着工した。
2030年度には、渋谷駅および渋谷の東西南北を地上およびデッキ階で結ぶ多層な歩行者ネットワークが生まれ、駅には改札およびコンコースの整備がおおむね完了する。2031年度には、渋谷スクランブルスクエア第II期(中央棟・西棟)完成するとしている。
渋谷スクランブルスクエア全体が完成すると、延床面積が約27万6000m2あり、日本最大級の都心型駅直上ショッピングセンターを含めた複合用途ビルとなる。
着工した中央棟と西棟は主に商業用途ビルとなる。中央棟の10階には屋上パビリオンが用意され、スクランブル交差点方面で唯一無二の眺望を楽しむことができるようになるという。ハチ公改札前と南改札前には、東西地上広場をつなぐ最大幅員20mを超える自由通路が整備されるとともに、宮益坂方面から道玄坂方面までをデッキ階で接続する東口のスカイウェイ。そして西口の上空施設が整備され、東西南北につながる快適な歩行者ネットワークが整備されることになる。
また、デザインアーキテクトに、日建設計のほか、隈研吾建築都市設計事務所とSANAA事務所が加わっていて、「渋谷スクランブルスクエアでは、日本を代表する建築家がひとつの建物で共演するという唯一無二のデザインとなり、世界に誇る渋谷を象徴するランドマークとなる」と付け加えた。
「Shibuya Upper West Project」の説明は、都市開発本部 渋谷開発事業部 プロジェクト推進第一グループ 統括部長の江島隆広氏が行なった。「Shibuya Upper West Project」は、東急百貨店本店跡地にて地上34階、地下4階の新築部と、Bunkamuraの地上7階、地下2階を融合させ、新たな大型文化複合ビルとするプロジェクト。LVMHとAgacheにより設立された投資会社「L Catterton Real Estate」と東急グループが共同で事業主となり開発する。
地下1~6階にはリテール(小売)関連が、8~17階にはホテルとして「Swire Hotels」のスモールラグジュアリーホテルブランド「The House Collective」が日本初進出する。ほか、レジデンス(18~33階)、「Bunkamuraザ・ミュージアム(7階)」などが入る予定。デザインアーキテクトは、ノルウェーの「Snøhetta(スノヘッタ)」が担当する。
最後に改めて坂井氏が登壇し、「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」の解説とこれからのまちづくりについての説明があった。
「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」は、渋谷駅東側に隣接し、宮益坂と明治通りの交差点に面するエリアで、高さ180mの複合施設になる。渋谷ヒカリエと対をなす形の新たな都市景観を生み出すもので、2025年5月26日に再開発組合が設立されている。
地上33階のA街区は低層部に商業施設、中層部にホール&カンファレンスや産業育成支援施設、中高層部にオフィス、高層部にはホテルを整備する。地上7階のB街区は商業フロアを整備、C街区では御嶽神社を建て替え再整備する。
渋谷駅とは地下および、「渋谷駅街区計画」事業のなかで整備される4階東口スカイウェイの歩行者デッキの動線とのマルチアクセスで直結される。渋谷ヒカリエとは4階レベルでシームレスに移動ができるようになるという。
最後に「Shibuya Upper West Project」が2029年度竣工予定、渋谷スクランブルスクエアの東棟・中央棟・西棟の全棟が2031年度竣工予定、「宮益坂地区第一種市街地再開発事業」も2031年度竣工の予定であることがまとめられた。東急では2030年~2034年度を「まちびらき最終章」と位置づけていて、「渋谷とともに歩み続けてまもなく100年。人が集い、交わり、多様な価値観やチャレンジを受け入れながら、文化が育まれてきた、このリベラルなまちで、これからの100年も渋谷とまっすぐ向き合い、人と文化を真ん中に、ヒューマンフロント渋谷のまちづくりを続けていきます」と坂井氏が意気込みを語って締めくくった。