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キャセイパシフィック航空、初の個室型ビジネスクラスに乗ってみた! 新装777-300ERがいよいよ日本~香港線で運航
2024年12月6日 06:00
- 2024年12月 運航
キャセイパシフィック航空は、機内を完全リニューアルした新装ボーイング 777-300ER型機(77J)を先般10月に香港国際空港の格納庫でお披露目し、その初便となった香港〜北京線を皮切りに、日本路線を含む各就航路線で順次運航を開始している。
タイプ77Jは本来、ヨーロッパ、オセアニア、北米路線で使用される長距離用で、本格導入は2025年から。今後同タイプの改修を進め、2027年までに30機へ増やす予定になっており、機材繰りによっては成田~香港線などの中距離路線やその他近距離路線でも改修した77Jを使用する。
これに先駆け、12月いっぱいは成田~香港線でもテストフライトを実施中。12月に香港旅行を予定している人は、運がよければ現在世界に1機だけの新装777-300ER・初号機にひと足早く搭乗できるということだ。
最大のリニューアルポイントは、キャセイが初めて搭載した扉付き個室型ビジネスクラス「アリア・スイート」。さっそく搭乗し、そのスゴさを体験してきた。
好きなことに没頭できる、まるで書斎。完全プライベート空間の新ビジネスクラス「アリア・スイート」
改修後のボーイング 777-300ER型機(77J)は、ビジネスクラス(アリア・スイート)45席、プレミアム・エコノミークラス48席、エコノミークラス268席の、3クラス制・計361席となっている。
今回記者がアリア・スイートに搭乗したのは、成田(16時45分)発~香港(21時10分)着のCX521便で、片道5時間30分の中距離フライト。
アリア・スイートは、通路に対して座席を斜め逆向きに配置するリバース・ヘリンボーン式、フルフラットになるシート、収納スペースなど、従来から好評だった機能を維持しつつ、さらに改良を加えてラグジュアリーなビジネスクラスにアップグレードしたもの。
特にキャセイ初の扉付きになったことで、プライバシー性が格段に向上した。
配列は1-2-1で、全座席から通路へ直接アクセスできるのはもちろんのこと、中央席の2列は仕切りが可動式になっているため、2席を1つの個室のようにすることもテーブルスペースを共有することも可能。
たとえばパートナーや友人と搭乗する際に、仕切りを開ければ一緒に会話や食事を楽しめ、1人で映画に没頭したい時や就寝時には仕切りを閉めてプライベートを確保できる。
マルチな収納スペースに、スマホを置くだけで充電できるサイドテーブル。こんなの欲しかった!に応えるバツグンの機能性
続いて、各席に備わる機能を紹介。まず、個人用モニターは24インチの4Kウルトラハイビジョンスクリーンで、キャセイが提供するスクリーンとしては最大サイズ。
備え付けのBOSEノイズキャンセリングヘッドフォンや自分のBluetooth対応ヘッドフォン/イヤフォンを使用して、機内エンターテイメント「Studio CX」を楽しめる。機内エンタメは、新作含む1000本以上の映画をはじめ、Disney+オリジナル作品、スポーツ中継、ゲーム、音楽などが充実し、日本語音声・字幕も多くのコンテンツに対応している。
また、小物収納スペースを数か所にわけて設置したのも大きな改善点。足をのばした先のモニター下スペース、足元脇にある蓋付きボックス、キャビネット、サイドテーブル内のスライド式引き出し、ローブフックを備えている。
サイドテーブルは可動式で、軽く押すとスライドして開く引き出しが内蔵。スエード生地で照明も灯るので、パスポートや財布など貴重品、就寝時に外した腕時計やメガネ、アクセサリーなども失くさないように収納しておける。
キャビネットを開けるとヘッドフォンフックと飲料ボトル専用トレイがあり、扉の内側にはミラー付き。またキャビネットが載る大理石調テーブルは、スマホを置くだけで高速充電できる「ワイヤレス充電ステーション」になっているので、対応機種(iOS/Android)であれば充電器を荷物から取り出しつなぐ手間も省ける。
サイドテーブル下コンソールには、USB充電ポートType-A/Type-C、ユニバーサルAC電源も搭載。ちなみに、従来ファーストクラスのみだった機内Wi-Fi無料接続サービスをこの秋からビジネスクラスで提供開始しており、キャセイダイヤモンド会員ならプレエコおよびエコノミークラスでも無料で使えるようになった。
食事用のメインテーブルは、個人用モニター下の取っ手を引き出すとセッティングできる。前後に位置も調節可能な二つ折り式で、とにかくビッグサイズ。13インチPCを置いてもマウスを使って操作できる十分な広さというのがありがたい。
さらに、メインテーブル前部には溝があり、スマホやタブレットを置ける細かなこだわり。ダークな色合いの木目柄で高級感を演出しているのもポイントだ。
電動リクライニングで、就寝時はフルフラットベッドに。新たにタッチスクリーン式コントローラーが備わった!
アリア・スイートの各座席は、シート幅が約53cm、アーム部を含めると約79cm。ベッド長が最大約191cm(いずれも非公式の数字)。離着陸時のノーマルな状態で座ってみると、身長165cmの記者の場合、前方は十分な広さ。フルフラットにして横になってみても、思いきり足をのばすことができた。
また、足元の収納ボックスと逆サイドにあるアームレストは、シートをベッド状にした際に面積を広げられるように設計されているため窮屈感がなく、寝返りも打ちやすい。
さらに、タッチスクリーン式の新シートコントローラーが手元に内蔵されたことで、リクライニングとフットレストのポジションを自分好みにワンタッチで調整できるようになった。
このコントローラーには、3つの方向灯モード(食事、読書、キャビネット)にそれぞれ明るさを調整できるキャセイオリジナルシグネチャーランプの操作ボタンや客室乗務員のコールボタン(中距離路線でアメニティキットの配布はなく、客室乗務員に申し出れば毛布・アイマスク・歯ブラシがもらえる)なども集約されており、機内で過ごすシーンに合わせて自由にリラックス空間を作ることができる。
ビジネスクラスの機内食を紹介。本場の味にこだわるコース料理「香港フレーバー」を楽しんで
キャセイの日本路線における機内食は、往復1回ずつ。和食や洋食のほか、本場の味にこだわる「香港フレーバー」と称した広東料理が楽しめる。
今回搭乗したCX521便は成田16時45分発の夜便。搭乗してまもなくおしぼり、ウェルカムシャンパンなどのドリンクとスナック、そして2時間ほどでディナーが提供される。
ビジネスクラスの食事はコース仕立てになっていて、この日はまず前菜プレートにタコの煮付け、鰻、三色かまぼこ、アスパラガス、ゼリー寄せ、そのほか根強い人気があるという茶そば、季節のミックスサラダ、オリーブオイルとバルサミコ酢、パン2種類とバター。
その後メインディッシュが配膳される。今回選んだ「香港フレーバー」メニューで用意されたのは、鶏肉とネギと生姜の中国酒煮込みで、甘辛いたれがたっぷり絡んだ鶏肉は分厚いながらやわらかく食べ応え抜群。そこにアスパラガス、ニンジン、ジャスミンライスが添えられて、蓋を開けた瞬間からエスニックな香り。
食後には、各国のチーズセレクションとクラッカー、季節のフレッシュフルーツとハーゲンダッツのアイスクリームが供される。
ドリンクも、上質なワインセレクションやシャンパン、ビールをはじめ、日本茶やウーロン茶、コーラ、オレンジジュースなどがラインアップ。さらにビジネスクラスでは、イタリアのエスプレッソコーヒーブランド「illy(イリー)」と英国高級紅茶ブランド「JING Tea(ジンティー)」の淹れたてを味わうことができた。
せっかくの快適なビジネスクラス。香港旅行だけじゃなく、香港を起点に世界の就航都市へ!
離陸してしばらくすると、機内照明は薄暗いブルーの落ち着いた雰囲気に。機内食を終え、扉を再び閉めて、フルフラットベッドにすると、壁による守られ感も相まって気持ちよく就寝することができた。
と言っても、成田~香港線の5時間半はあっという間で、機内エンタメや機内食を堪能していると寝ることを忘れてしまいそうになるが、香港に到着してすぐ観光やビジネスに向かう人にとっては、十分身体を休められそうな快適さだった。
現在キャセイの日本路線では、成田/羽田/関空/セントレア(中部)/福岡/新千歳(札幌)の5都市6空港から香港へ、直行便を毎日17便以上を運航。香港からは、日本を含み世界80都市以上へ就航している。例として、成田~香港線の往復ビジネスクラスは19万4800円(12月3日~5日の価格)。
新装ボーイング 777-300ER型機(77J)は2025年1月以降、成田以外の日本路線でも順次投入される見通しだが、せっかくの新ビジネスクラス。日本~香港/台北の直行便はもちろん、そこからキャセイのハブ空港・香港を起点とした長距離路線の旅にも活用していただきたい。