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シンガポール航空、プレミアムエコノミークラスを導入以来初のサービス刷新。豪華な機内食はうな丼にカツカレーなど和食も充実

2024年3月15日 発表

シンガポール本国で記者発表。写真は羽田/成田~シンガポール線 ボーイング 777-300ER型機のプレミアムエコノミークラス

 シンガポール航空は3月15日、プレミアムエコノミークラスのサービスを次の夏期スケジュール(2024年3月31日~)からリニューアルすると発表した。2015年のプレエコ導入以来初となる大幅刷新で、同社が就航する世界約30都市以上(日本の羽田・成田を含む)の路線において、さらに豪華になった機内食やエシカルなアメニティを提供する。

 これにあわせ、チャンギ国際空港に隣接する「SATS インフライトケータリングセンター」(1日60万食を製造・管理するSATS本社兼工場)でお披露目イベントを実施。米国、ヨーロッパ、インド、日本、アジア諸国、オーストラリアなど、各国から集まったメディアに向けて新サービスの説明を行なった。

各路線のメニュー内容がリニューアル。食器もプラスチック製から高級感ある磁器に変更
シンガポール航空の担当者が新サービスやメニューについてこだわりを説明した
チャンギ国際空港に隣接する「SATS インフライトケータリングセンター」。機内食の製造・管理を担う

 シンガポール航空 シニアバイスプレジデント(カスタマーエクスペリエンス担当)のヨー・ピーテック氏は、「プレミアムエコノミークラスは広くて快適なパーソナルスペースと好みに応じて選べる豊富な食事メニューが特徴で、お客さまから大変人気があります。しかし我々は進化のために立ち止まることなく、定期的に利用客からフィードバックを収集、市場調査を行ない、旅行者が機内で求める価値・要望についてリサーチしてきました。今回の大幅リニューアルによって、お客さまに喜んでいただけると信じています」とプレゼン。

 多民族国家であるシンガポールならではの“パーソナライズされた世界クラスの機内体験”を提供し続けたいという。

シンガポール航空 シニアバイスプレジデント(カスタマーエクスペリエンス担当)のヨー・ピーテック氏
運航路線や季節に応じて、常時さまざまなメニューを用意
何度搭乗しても飽きずに楽しめるよう、シンガポールらしい料理はもちろん和洋バリエーションを揃える
シンガポール航空 ディビジョナル・バイスプレジデント・インフライトサービス&デザインのベティ・ウォン氏
プレミアムエコノミークラスでの新サービスについて
シンガポール航空 フード&ビバレッジ ディレクターのアントニー・マックネイル氏
プレミアムエコノミークラスで新たに提供する機内食の構成

 進化したプレミアムエコノミークラスでは、まず離陸直後に「シャルル・ド・カザノーヴ・ブリュット・トラディション NV」のシャンパンを1杯提供し、これから始まるフライトの期待感を高める。また各都市、季節ごとに内容が異なる食事(路線によって1~3回)は、高級感とエコを兼ね備えたカスタムメイドの磁器に盛り付け。これまでプラスチック製の使い捨て食器・カトラリーだったものから素材・サイズともに変わり、フルサイズのトレイに美しくセットされた状態で配膳される。

 また機内食の拡充の一環として、200種類を超える新しい前菜、メインディッシュ、パン、デザートを開発している。例えばグレードアップしたパンのサービスには、朝食用にクロワッサン、ランチ・ディナー用にガーリックブレッドロールが追加。

 新しい前菜は「エビのガーリック ローストとスモーク アイオリ添え」「パタタス ブラバス(スペイン風フライドポテト)」「ブロッコリーのサラダとホットスモークサーモン添え」「季節限定の日本風冷麺とそばつゆ添え」など。

 そしてメインディッシュは、シンガポールを代表する「バクチョーミー(豚挽肉麺)」をはじめ、ベーコン、キノコ、野菜、ポテトグラタンを添えたフランス料理の「ビーフブルギニヨン」、ジャスミンライスと玄米を組み合わせた「タイ風蟹カレー」、季節の野菜と卵などをラインアップしている。

日本や香港路線の機内食
日本~シンガポール線のランチ・ディナー。メインディッシュは和食(ポークカツカレーなど)または洋食(鶏肉の赤ワイン煮込みなど)を選べる
日本~シンガポール線の朝食。メインディッシュは和食(炊き込みご飯など)または洋食(チーズオムレツなど)を選べる
鶏肉の赤ワイン煮込み
チーズオムレツ
ランチ・ディナーのサイドメニューには、冷たいそばなど和食メニューが1品付く。朝食は、和食をメインに選んだ場合でもクロワッサンが付く
デザートのケーキも本格的なものが1カット
ガーリックバターがじゅわっと染み出るパン

 さらにプレミアムエコノミークラスでは食事オプションとして引き続き「Book the Cook(ブック・ザ・クック)」という無料サービスが使える。これは、搭乗24時間前までにシンガポール航空アプリなどから事前選択することで、機内メニューには載っていない特別なグルメを楽しめるというもの。

 羽田~シンガポール線のBook the Cookメニューを例に挙げると、西洋料理は「牛ステーキ 赤ワインソース 季節の新鮮野菜とベイクドポテトのチーズ添え」「ベリーのコンポートを添えたパンケーキとスクランブルエッグ、ベーコン、ポークソーセージ」、日本料理は「肉カレー ターメリックライス、野菜、大根のピクルス添え」「炙ったエビ、ホタテ、鮭の切り身をトッピングした野菜入り和風焼きそば 紅生姜と海苔パウダーを添えて」「豚肉の生姜焼き 季節野菜とたけのこご飯添え」「うなぎ丼 味付ご飯に卵焼き、枝豆添え」など。

「Book the Cook」で事前に注文すると食べられるシンガポールの麺料理、シーフード ホー ファン。平太ライスヌードルに海鮮あんかけがたっぷり
和洋中とさまざまなメイン・サイドメニューが用意されている「Book the Cook」。搭乗24時間前のオーダーでこだわりの食事が楽しめる
こちらは鮭の照り焼き。日本の白米のうえにのっていて、季節の野菜と玉子焼きも添えられた健康的なメニュー
海老と卵と大根の“フライドキャロットケーキ”は、シンガポールの屋台などでもよく売っている定番ローカルフード

 シンガポールのご当地料理やエスニック料理なら「シーフード・ホッケンミー」「シンガポール・チキンライス」「ナシレマッ」「シーフード ホー ファン」「チキン ビリヤニ」と、バラエティ豊かに揃う。

 さらにじっくり煮込んだ子羊のラグー、サーモンの照り焼きソース、キノコとナスのミートボールといった、植物ベースの健康的な“ウェルネス料理”がラインアップしており、「Book the Cook」メニューだけも選択肢が最大20品に拡大した。

 そのほかプレミアムエコノミークラスのお膳には豪華なデザートやクラッカーが付き、もちろんフライト中は、厳選ワインをはじめとするドリンク、スナック、軽食、チョコレートといったサービスも受けられる。

シンガポール航空には、独自の資格を取得した「エアソムリエ」がいる
軽食やスナック、チョコレートなど
ソフトドリンクや紅茶ティーパックなど

 機内で各シートに用意されているアメニティも生まれ変わった。環境に優しく、持続可能なライフスタイル製品を製造する米国ブランド「アウト・オブ・ザ・ウッズ」と提携し、プレミアムエコノミークラスの顧客向けに新しいアメニティキット開発したという。

 森林管理協議会(FSC)認証のクラフト紙生地を使用したアメニティポーチのなかに、再生PET素材を使用したアイシェードとスリッパ、生分解性素材でパッケージされたリップクリームが入っている。歯磨きセットやボディケア、保湿剤などのバスアメニティは、引き続き洗面所に完備されたものを利用可能。また12歳未満には、キッズ向けのディズニー限定アイテムがプレゼントされる。

各座席に用意されるアメニティ。シンプルかつ機能的なプロダクトにリニューアルした
アメニティキットの中身はアイマスク、スリッパ、リップクリーム
アクティブノイズキャンセリングヘッドフォンで機内エンタメを満喫
プレミアムエコノミークラスのための大きな枕と毛布
歯磨きセットやボディケア製品はトイレ洗面台にあらかじめ完備されている
子供用アメニティはディズニーの限定グッズなどプレゼント
機内ゲームやアニメも楽しめる子供用ヘッドフォン
世界のあらゆるエリアに就航するシンガポール航空。その国・その路線ごとに利用客が好む料理をリサーチし、メニューを開発する。ハラールやアレルギー食品など考慮した特別食・子供食まで細かく対応しているのも特徴

 このほかプレミアムエコノミークラスの特権として、地上では専用カウンターでの優先チェックインと優先搭乗、受託手荷物許容量は35kg(クリスフライヤー エリート ゴールドおよびスター アライアンス ゴールド会員はさらに20kg、PPSクラブ会員はさらに35kgで最大70kg)まで利用できる。受託手荷物には優先タグが付いており、到着後もスムーズに受け取れる。

羽田の出発を待つ、朝イチのSQ631便
シンガポール航空の日本路線には日本人CAも添乗。制服は「サロンケバヤ」のデザインが象徴的

 日本路線(羽田/成田/関空/セントレア/福岡)のうちプレミアムエコノミークラスを利用できるのは、羽田/成田~シンガポール線のみ。使用機材は4クラス制、総座席数264席のボーイング 777-300ER型機。プレミアムエコノミークラスは2-4-2の配置で全28席あり、幅18.5インチ、シートピッチ38インチ、そしてほぼベッドのように寝られる最大傾斜125度のリクライニングが可能となっている。

 人間工学に基づいて設計されたシートは高級感あるフルレザー仕上げで、角度・高さを変形できるヘッドレスト、大きなクッションとブランケット、レッグレスト、フットレストが備わる。

 そのほか各座席には読書灯、カクテルテーブル、水筒やスマホなどの身のまわり品を収納できるスペース、ユニバーサルAC電源、2つのUSB充電ポート、13.3インチのフルHDモニターなど。機内エンタメも充実しており、アクティブノイズキャンセリングヘッドフォンを使ってゲームや音楽、400本以上の映画などを多言語で楽しめる。

 またシンガポール航空では2023年7月以降、プレミアムエコノミークラスで旅行するクリスフライヤー会員は、無制限の無料Wi-Fiアクセス特典を利用できるようになっている。

プレミアムエコノミークラスを搭載した全4クラス総座席数264席の「ボーイング 777-300ER型機」。日本路線のなかでは羽田/成田の一部便で運航
チャンギ国際空港に駐機するシンガポール航空の飛行機
こちらは羽田に向けて出発を待つ「エアバス A350-900型機」(プレエコなしの2クラス制)
シンガポール航空は世界各国に多くの路線を持つことから、日本~シンガポール間だけでなく、ヨーロッパや米国への経由便としてお得に利用できるのもポイント
空港から市内中心部のオーチャードやマリーナベイまでは地下鉄やタクシーで20~30分

 日本路線の夏期運航スケジュール(2024年3月31日~10月27日)は下記のとおり。現行同様、成田1日3便、羽田1日3便、セントレア(名古屋)1日1便、関空1日3便、福岡1日1便となっている。

 なお、成田発着のSQ637/SQ638便で使用しているエアバス A380-800型機(スイート/ビジネス/プレエコ/エコノミーの4クラス制)は3月30日をもって運航終了し、3月31日から同便はボーイング 787-10型機(ビジネス/エコノミーの2クラス制)に機材変更となる。

シンガポール航空 日本路線 夏期運航スケジュール(2024年3月31日~10月27日)

成田~シンガポール線

SQ637便:成田(11時10分)発~シンガポール(17時20分)着、毎日運航
SQ011便: 成田(19時00分)発~シンガポール(翌01時15分)着、毎日運航
SQ012便: 成田(18時40分)発~ロサンゼルス(12時50分)着、毎日運航
SQ638便:シンガポール(23時55分)発~成田(翌08時00分)着、毎日運航
SQ012便: シンガポール(09時25分)発~成田(17時30分)着、毎日運航
SQ011便: ロサンゼルス(14時20分)発~成田(翌17時50分)着、毎日運航
※プレミアムエコノミークラス設定便は SQ011/SQ012便
※SQ011/SQ012便は、シンガポール~成田経由~ロサンゼルス間の運航

羽田~シンガポール線

SQ631便: 羽田(09時15分)発~シンガポール(15時15分)着、毎日運航
SQ633便:羽田(17時05分)発~シンガポール(23時05分)着、毎日運航
SQ635便:羽田(22時55分)発~シンガポール(翌04時55分)着、毎日運航
SQ632便:シンガポール(08時00分)発~羽田(15時55分)着、毎日運航
SQ634便:シンガポール(13時55分)発~羽田(21時50分)着、毎日運航
SQ636便: シンガポール(22時50分)発~羽田(翌06時45分)着、毎日運航
※プレミアムエコノミークラス設定便は SQ631/SQ636便

セントレア~シンガポール線

SQ671便:セントレア(10時25分)発~シンガポール(16時00分)着、毎日運航
SQ672便:シンガポール(01時20分)発~セントレア(09時00分)着、毎日運航
※プレミアムエコノミークラス設定便なし

関空~シンガポール線

SQ619便:関空(10時55分)発~シンガポール(16時40分)着、毎日運航
SQ621便:関空(17時25分)発~シンガポール(23時05分)着、毎日運航
SQ623便:関空(23時25分)発~シンガポール(翌04時40分)着、毎日運航
SQ618便:シンガポール(01時25分)発~関空(8時50分)着、毎日運航
SQ620便:シンガポール(08時30分)発~関空(16時10分)着、毎日運航
SQ622便:シンガポール(13時55分)発~関空(21時35分)着、毎日運航
※プレミアムエコノミークラス設定便なし

福岡~シンガポール線

SQ655便:福岡(09時55分)発~シンガポール(15時00分)着、毎日運航
SQ656便:シンガポール(01時20分)発~福岡(08時20分)着、毎日運航
※プレミアムエコノミークラス設定便なし