JALふるさとアンバサダー/応援隊に聞く地域愛
祝・国宝指定! 宇治の隠れざる名所「黄檗宗大本山萬福寺」をJAL客室乗務員がご紹介
2025年3月29日 06:00
全国各地に拠点を持つJALは、地域活性化の取り組みを継続的に実施してきており(現在は「JALふるさとプロジェクト」)、2020年8月には社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に移住して、それぞれの地域での取り組みを推進する「JALふるさとアンバサダー」を発足しているほか、同12月には乗務しながら地域活性化に携わる「JALふるさと応援隊」を任命している。故郷や縁のある地域に対して、客室乗務員として培ってきた知見を活かした商品開発や地域課題の解決などを展開する狙いがある。
今回お話を聞いたのは、京都で宇治の情報発信を行なうJALふるさとアンバサダーの山本めぐ美さん。
――取り組みについて教えてください。
JALふるさとアンバサダー京都府担当の山本めぐ美です。
昨年大河ドラマで盛り上がった宇治ですが、放送終了後もその熱はまだまだ覚めておりません! 皆さまは「宇治」と言えば何を思い浮かべますか?
宇治川の両側に位置する2つの世界遺産(平等院・宇治上神社)、宇治橋から臨む悠久の昔から変わらない景色、立ち並ぶ多くの老舗茶舗、オープンして間もないニンテンドーミュージアムなどでしょうか。音楽好きとしてはフェスの存在も欠かせません。
魅力あふれる宇治ですが、2024年12月に国宝指定された穴場スポットがあることをご存じでしょうか。その名も「黄檗宗大本山萬福寺」。今後さらに注目が集まること間違いなしのお寺をご紹介します。
――この取り組みにはどのように関わっているのでしょうか。
3月上旬に開催された宇治市主催の事業者向けツアーに参加してまいりました。
JR奈良線「黄檗駅(おうばくえき)」・京阪宇治線「黄檗駅」から徒歩5分とアクセスも抜群で、駅から案内板に沿って歩いていくとまもなく立派な総門が見えてきます。
「黄檗宗大本山萬福寺」は日本三大禅宗の一つである黄檗宗のお寺で、1661年に中国から来日した隠元禅師によって開創されました。総門の屋根上に鎮座する像もご注目いただきたいポイントの一つ。
しゃちほこのようにも見えるこれらの正体は「摩伽羅(まから)」と呼ばれるインドの空想上の生き物で、目を凝らして見てみるとワニのような形状をしています。広大な境内にはさまざまな伽藍(がらん:寺院の建物の総称)が配置されていますが、今回国宝に指定されたのは「法堂・大雄宝殿・天王殿」です。そのほかの主要な伽藍は国の重要文化財に指定されています。
萬福寺を開創したのが中国の僧ということで、いたるところに中国の文化が感じられます。例えば「桃扉(ももど)」という桃の絵があしらわれた扉。桃は中国では縁起物として重宝されているそうで、萬福寺には「桃扉」が3つあるとのこと。ぜひ見つけてみてください。
隠元禅師が日本へもたらしたといわれるものに、インゲン豆・スイカ・明朝体・木魚などがあります。トップ写真にもある「木の魚」は木魚の原型と言われており、現在も朝・昼の食事、法要の時間と時報代わりに修行僧が打って鳴らしているそうです。魚は常に目を開いていることから「寝る間も惜しんで修行に励みなさい」という戒めも込められています。
「普茶料理」という精進料理もその一つ。「あまねく大衆と茶を喫す」という意味があり、食卓を囲んでいる全員で大皿料理を取り分けながら食事を楽しむスタイルです。今回は一人前に盛り付けられた「普茶弁当」をいただきました。楽しみたい方はぜひ事前のご予約を。
――今後の展開・展望について教えてください。
今回は坐禅体験もさせていただきました。4名さま以上であれば坐禅・写経・法話・食事作法・作務などが基本になった禅体験も可能です。決められた体勢でただ一点を半眼で見つめ続けるという一見シンプルに見える修行ですが、つい考えごとが浮かんできてしまい無心になる難しさを身をもって実感……。
この日は宇治市内の小学生が校外学習で訪れており、ノートを手に一つ一つの伽藍を熱心に学んでいる様子が印象的でした。広大な境内で京都市内のようなオーバーツーリズムも発生していないため、知的好奇心を高める場所としてお子さま連れのご家族にもお勧めです。これから行楽シーズン到来ということで、ぜひ春のお出かけ先の候補にいかがでしょうか。
――旅行者に向けてメッセージをお願いします。
京都府内には北部から南部まで「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」というさまざまな特色あるエリアがあります。今回ご紹介した宇治市は「お茶の京都」に位置しており、京都市内からもアクセス良好な観光地の一つです。
皆さま、「もうひとつの京都」に出会う旅もいかがでしょうか? 京都府内のまだ十分に知られていない魅力に出会っていただければうれしいです。