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まわりに音漏れしない? JAL新型機、世界初のヘッドレスト内蔵スピーカーのヒミツを西垣プロジェクトマネージャーに聞いた

ファーストクラス/ビジネスクラスで採用

2023年12月13日(現地時間) 公開

JALのA350-1000型機のファーストクラス/ビジネスクラスで世界初採用したヘッドレスト内蔵型スピーカーについて、日本航空株式会社 商品・サービス開発部 商品・サービス企画グループ プロジェクトマネージャーの西垣淳太氏に聞いた

 JALとエアバスは12月13日(現地時間)、JALの国際線新型機A350-1000の実機をフランス・トゥルーズで公開した。就航日は2024年1月24日で、投入路線は羽田~ニューヨーク(JL006/JL005便)。

 すべての座席を一新して、ファーストクラス6席、ビジネスクラス54席、プレミアムエコノミー24席、エコノミー155席の計239席を搭載することはすでにお伝えしているとおりだが、なかでもファーストクラスとビジネスクラスのシートのヘッドレストには、内蔵型スピーカーを世界で初めて搭載している。

 この詳細について、商品・サービス開発部 商品・サービス企画グループ プロジェクトマネージャーの西垣淳太氏にお話を伺った。

シートには世界初のヘッドレスト内蔵型スピーカーを搭載。スピーカーユニットのメーカーは「Devialet(デビアレ)」

 前提として、今回のシートは全クラスで4K解像度の個人用モニターを採用し、手持ちのヘッドフォン/イヤフォンを利用するためのBluetooth接続にも対応している。例えば、ノイズキャンセリングヘッドフォンを所有しているなら、使い慣れたものを持参して映画鑑賞などを行なうことができる。

 とはいえ、眠くなったときにヘッドフォン/イヤフォンを装着したままでいると、顔を横に向けたときにヘッドレストに干渉して痛くなったり、イヤフォンなら耳から外れてしまったりする。フルフラットにできるファーストクラス/ビジネスクラスならなおさらだ。

 こうしたシーンでヘッドレスト内蔵型スピーカーが真価を発揮する。頭部/耳に装着する必要がないため、どんなに寝返りを打っても干渉や脱落がなく、頭のまわりに音が定位する。意外なことにノイズキャンセリング機能は搭載しておらず、機内の騒音を検出して動的に音量を変化させることで聞き取りやすくしているという。

 JALのA350はロールスロイスのエンジンの性能もあって静かになってはいるものの、飛行機の仕組みとして「ゴーッ」というノイズからは逃げられない。逆に言えば、そのノイズがあるために、特定の空間に直接音を出してもまわりの席まで響かないということも分かっていた。

 プロジェクトチームはさらに、実際にシートを制作したサフランの協力のもと、A350の内部形状を再現したモックにシートを入れて、録音したA350-900型機の機内のノイズを流して検証を行なったそうだが、確かに周辺の席への音漏れは確認できなかったという。映画は台詞を小さな音で、劇伴やSEを大きな音で鳴らす(ダイナミックレンジが広い)という場合もよくあるが、耳元にスピーカーがあるヘッドレスト内蔵型かつ動的な音量調節によって、このあたりの問題もクリアできているとのこと。

 ちなみに、内蔵スピーカーはGINZA SIXに旗艦店を出店しているフランスの高級スピーカーメーカー「Devialet(デビアレ)」のものを採用している。