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渋谷から1駅の池尻大橋にあるホテル「大橋会館」がリニューアル。長期滞在を割引くリレントを導入、クリエイターが集うシェアオフィスも備える

2023年8月18日 開業

長期滞在可能なホテルとクリエイターの交流拠点としてリニューアルした大橋会館

 東急は田園都市線・池尻大橋駅にほど近い「大橋会館」(東京都目黒区東山3-7-11)をリニューアルし、8月18日にグランドオープンした。

 大橋会館は宿泊や研修施設として利用されてきたが、今回の改修により、長期滞在可能なホテル、シェアオフィス、レストラン・カフェ、多目的スペースなどを含む小規模複合施設として生まれ変わった。

期間限定のリニューアルは人の力で盛り上げていく

 リニューアルに至るプロセスについては、東急の都市開発事業部 事業戦略グループ主事である小池和希氏が説明した。東急では大規模再開発を進めている渋谷駅と周辺1.5km圏の「広域渋谷圏(Greater SHIBUYA)」の街づくりにも注力しており、大橋会館に関してはハードではなく、ソフト重視でリニューアルすることを決めた。

 具体的には、企画段階から池尻大橋エリアで活躍するクリエイターが多数参画することで、池尻大橋らしいカルチャーを感じられる施設を目指している。建物は築48年で古さは否めないが、そのレトロ感も活かしつつ、新しい取り組みを取り入れた複合施設とすることで地域の交流拠点とし、ネイバーフッド(地域住民やワーカー、来訪者など、地域に関わる人たち)の力で街を活性化させる取り組みになっている。

 このような施策となった背景としては、期間限定の暫定活用である点が大きい。今回のチャレンジを今後の池尻大橋の再開発に活かす考えで、それ以外のエリアについても「地域の文脈を丁寧にひも解いて、地域の足場作りを実施していきたい。ほかの東急沿線内においても地域内外のハブとなる場所を生み出し、東急ならではの長期的な視点で街づくりに貢献していきたい」と説明した。

昭和を感じさせる外装を残したままにしてあり、内装に関してもあえて手を加えていない部分もある
リニューアルにおけるコンセプトや概要を説明したスライド。東急のほか、多くの企業が参加している

 施設の各フロアの詳細については、株式会社301のCEO/Producerである大谷省吾氏が説明した。1階はカフェ・レストラン・ワインバーである「Massif」とストア&スペースになっている。Massifは国際色豊かなチームによる運営で、ヨーロッパやアメリカの料理を日本の食材とテイストで表現する店舗だ。ストア&スペースは多目的ホールで、展示会や販売会などに利用できるスペース。こけら落としとして、9月3日まで有名デザイナー10名による大橋会館オリジナル商品の販売を行なう。

 2階と3階はシェアオフィスになっている。オフィスは企業から個人までを対象にしており、用途に合った場所を提供する。契約者は共用ラウンジを利用でき、他業種間での交流もできる。また、コミュニティディレクターが滞在しており、ラウンジを利用した展示会や発表会などを開催することも可能で、大橋会館の情報発信も積極的に行なっていくとしている。

 4階と5階は長期滞在も可能な宿泊施設になっている。特徴的なのは、長期滞在中でも利用しない期間を貸し出す「リレント(Re-rent)」という仕組みを導入していることだ。これにより利用料金が外泊数に応じて減額されるので、長期間であってもよりフレキシブルにホテルを利用することができる。5階の一部には予約制のプライベートサウナもあり、宿泊者以外でも使うことができる。

東急株式会社 都市開発事業部 事業戦略グループ 主事 小池和希氏
株式会社301 CEO/Producer 大谷省吾氏

星付きレストラン出身のソムリエやシェフがプロデュースするレストラン「Massif」

 店名のMassifは英語で山塊を意味しており、時間の経過とともに表情が変わる山肌のように、朝昼夜とシーンに合わせた空間とメニューを提供する。ワインセラーには常時2000本以上を取り揃えるなど、ワインの種類が豊富なことも自慢の一つとしている。

カフェは8時~16時、バーは12時~23時、レストランは12時~15時と18時~23時までの営業。定休日は月曜日
多国籍なスタッフで運営していることもあり、キッチンでは英語で指示が飛び交っていた
レストラン部分は改装中で、一部はまだ未完成。完成予定の模型を見ると、4人掛け、6人掛けのテーブルも用意されている

個性豊かなクリエイターの作品展示や販売会を行なう多目的スペース

「いいものをつくる」という哲学のもと集ったクリエイターたちによるアソシエーション「CEKAI」がプロデュースする空間で、8月18日~9月3日までは10名の有名デザイナーが手掛けたオリジナルTシャツなどを展示販売する。

CEKAIがプロデュースする多目的スペース。営業時間は12時~19時。定休日は月曜日と火曜日
初回企画の「CEKAI DESIGN FIGHTERS」には、一ノ瀬雄太、金田遼平、川島大地、木内俊文、花房真也、三木章弘、三重野龍、森田良明、渡邉明日香、MACCIUの10名が参加

個人も利用可能なシェアオフィス

 シェアオフィスは2年契約で、21~85m2までの個室が22室用意されている。それ以外に個人向けとして、専有ブースと固定デスクを配置した「booth&desk」が設けられており、こちらは6か月から利用できる。

シェアオフィスでは、40人規模まで対応可能な空間を提供している
個人用スペースには、固定デスク(21席)と専有ブース(6区画)の2タイプが用意されている。デスクタイプは月額4万700円、ブースタイプは月額5万7200円
共用ラウンジは落ち着いた雰囲気になっており、打ち合わせや休憩に利用できる

リレントによる利用料金を減額できる逆サブスクが目新しいホテル

 4階と5階はUnitoが運営するホテル&レジデンス「ホテルレジデンス大橋会館 by Re-rent Residence」(全61室)で、1日単位の宿泊のほか、1か月単位での長期滞在も可能になっている。長期滞在者は独自システムのリレントを活用すれば、帰らない日を貸し出すことで料金を減額できる。

 具体的には、アプリから利用しない日を申請するだけであり(申請は1週間前が基本で、部屋によっては72時間前まで可能)、前後にはシーツ交換や清掃が行なわれる。置いておきたい荷物は鍵付きのクローゼットやベッド下スペースに保管することもできる。そのほか、滞在者用のキッチンやランドリーも備えている。部屋はシンプルな「ROOM A」と、デスクとイスを設置した少し広めの「ROOM B」が用意されている。

ベッドとサイドテーブルを備えたシンプルな「ROOM A」
デスクやソファも備えた「ROOM B」
長期滞在者はROOM Aならベッド下に、ROOM Bならクローゼットに荷物を保管できる
共用スペースにはキッチンやダイニング、ランドリーが設置されている。キッチンには部屋ごとの小物スペースが設けられており、カトラリーなども保管できる

完全予約制の個室サウナ

 5階にあるプライベートサウナは1回100分で、最大4名まで利用できる個室タイプ。サウナの内装は2Fラウンジと同じく「& Supply」が監修し、室内に流れる音楽とアロマは三軒茶屋のレコードショップでアンビエントミュージックを得意とする「Kankyo Records」が担当している。ホテルやオフィス利用者以外でも予約をすれば使える施設になっている。料金は1万4000円。

本格的なサウナでひと汗かける
休憩スペースももちろん完備されている
サウナに欠かせない水風呂
洗面台やトイレも備えている