ニュース

車内販売で見かけた“ちょうどいいサイズ”の「新幹線ワイン」は駅弁にもマリアージュ。ソムリエ資格を持つ担当者に話を聞いた

東海道新幹線・車内販売用にカスタマイズしたオーストラリア産ワイン

「新幹線の車内でも美味しいワインを楽しんでいただけます。ご乗車の際は、ぜひお買い求めいただけたらうれしいです」と、ソムリエ資格を持つ「新幹線ワイン」輸入担当の田中雅人氏

 出張仕事を終えて東海道新幹線に乗る。新幹線が走り出し、「AMBITIOUS JAPAN!/いい日旅立ち(西へ)」が流れ、車内のあちこちから「プシュッ」と缶ビールを開ける音が聞こえる。「お疲れさま」の気持ちをなんとなく共有しつつ、自分も「プシュッ」。お楽しみの駅弁を食べ始める。

 しかし、おかず半ばで一缶空いてしまう。もう少しだけ飲みたい。でも、もう一缶買うのは多い気がする。そんなとき、車内販売のワゴンに、ハーフボトルよりも小ぶりな“ちょうどいいサイズ”のワインを見かけた。

 そこで本稿では、JR東海(東海旅客鉄道)グループで東海道新幹線の車内/駅売店販売、車掌業務、弁当類の製造・販売などを担うJRCP(ジェイアール東海パッセンジャーズ)に、この「新幹線ワイン」の正体を聞いてみた。

キャセグレイン「ストーンサークルクラシック(2018 赤)」

生産地: オーストラリア ニュースサウスウェールズ
品種: シラーズ、メルローなど(ビンテージで異なる)
アルコール: 13%
内容量: 187mL
価格: 500円

キャセグレイン「ストーンサークルクラシック(2019 白)」

生産地: オーストラリア ニュースサウスウェールズ
品種: シャルドネ、ヴェルデーリョなど(ビンテージで異なる)
アルコール: 12%
内容量: 187mL
価格: 500円

キャセグレイン「ストーンサークルクラシック(赤/白)」の750mlと187ml

 日本ソムリエ協会認定ソムリエの資格を持つ「新幹線ワイン」の輸入担当者、JRCP 営業推進部/店舗事業部 担当部長の田中雅人氏に話を聞いた。

 JRCPには商事会社の面もあってワインの輸入・販売も行なっており、オーストラリア東海岸・ニューサウスウェールズ州にあるワイナリー「キャセグレイン(Cassegrain)」と取り引きしている。キャセグレインは、シドニーとブリスベンを結ぶパシフィックハイウェイのほぼ中間にあり、1980年にフランスから移ってきたオーナー兼チーフワインメーカーであるジョン・キャセグレイン氏が、「穏やかな海沿いの気候がプレミアムワインの生産に最適」だとして創業したワイナリー。キャセグレインはもともと1600年代からフランスでコニャック、ブランデー、ワインの生産を手がけていた家柄で、その伝統とオーストラリアのブドウが出会い、さまざまなワインを生み出している。キャセグレインのワインは、JRCPのオンラインショップで購入可能だ。

JRCPのオンラインショップでは、キャセグレインのさまざまなワインを販売している

 東海道新幹線の車内販売でワインを扱うようになったのは1996年以降。最初はハーフサイズ(375mL)での販売だったが、「新幹線で1人で飲みきるには多い」という声が乗客から寄せられていた。

 当時キャセグレインには「クォーター(187mL)」サイズの規格はあったものの、車内販売向けの銘柄でこの規格商品が存在しなかったため、キャセグレインと協力して2002年に新たにクォーターサイズで商品化、車内販売を開始した。

 一般的なレストランで提供しているグラスワイン1杯は120~130mLといわれているので、それよりちょっと多めの量を500円で気軽に楽しめるのは、酒飲みにはうれしい選択肢だ。味が気に入ったら、JRCPのオンラインショップで187mL、375mL、750mLの各サイズを購入できる。

「ストーンサークルクラシック(2018 赤)」は、シラーズ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなど(ビンテージで異なる)を使いブレンドした赤ワイン。熟した赤系果実やカシス、フレンチオーク由来の繊細で複雑なスパイスの香り、柔らかくエレガントな味わいを感じられるという。

「ストーンサークルクラシック(2019 白)」は、シャルドネ、ヴェルデーリョなど(ビンテージで異なる)を使い、ステンレスタンクで熟成した白ワイン。爽やかなトロピカルフルーツの香りと、風味豊かで柔らかくエレガントな味わいが特徴とのこと。

 田中氏によると、赤と白どちらも親しみやすい味で、和洋どちらの駅弁にも合わせやすく、幕の内弁当のようないろいろなおかずの組み合わせでも雑味がでないよう配慮しているという。赤は赤身肉のほかに豚肉や鶏肉との相性もよく、「イベリコ豚ベジョータカルビ重」(1180円)がオススメ。白はチーズや魚介類との相性がよいが、炊き合わせ(煮物)のダシ感とも楽しんでほしいという。炊き合わせというと「東海道新幹線弁当」(1000円)、「特製幕之内御膳」(1380円)、「東海道新幹線 富士山弁當」(1380円)といったあたりだろうか。

 記者も試飲したが、赤はフレッシュな果実味で飲み応えはあるが重すぎず、塩たれベースの「牛たん弁当」(1260円)と楽しんでみたいと思った。白はいわゆる「ニューワールドのシャルドネ」の安心感。個人的に好きな「品川貝づくし」(1000円)などの魚介類と組み合わせてもいいし、肉と組み合わせてもちゃんと存在感を示してくれそうだ。

「イベリコ豚ベジョータカルビ重」(1180円)
「東海道新幹線弁当」(1000円)
「特製幕之内御膳」(1380円)
「牛たん弁当」(1260円)
「クォーターボトル(187mL)」サイズのワインは東海道新幹線の車内販売のほか、他商品と同じくJRCPのオンラインショップでも購入できる