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「けがをして日付変更したい」「犬と一緒でいい?」ANA、電話応対スキルを競う第17回「よりそいの達人コンテスト」
約1100名の頂点が決まる
2019年11月7日 17:07
- 2019年11月6日 開催
ANA(全日本空輸)グループのANAテレマートは11月6日、電話応対の品質向上を目的とした「よりそいの達人コンテスト」を開催した。
「応対コンクール」として2003年度から毎年開催していたもので、2018年から名称が「よりそいの達人コンテスト」に変更。2019年で17回目と、ANAグループではもっとも歴史のあるコンテストとなる。
ANAテレマートは、ANA利用者からの航空券予約やマイレージの問い合わせなどを電話で受ける「コンタクトセンター」としての業務を担っており、東京、札幌、長崎と3つの支店を持つ。
この「よりそいの達人コンテスト」は、各コンタクトセンターから選出された代表が、日頃の電話応対スキルを社内外審査員7名の前で披露するというもの。今年は「コミュニケーター部門」と「コントローラー」部門の2部門に分け、それぞれ4名ずつ、合計8名がパフォーマンスを行なった。
2019年のテーマは「ANAテレマートだからこそできる~顧客体験価値の創造~」。5つの「S」であるSpeedy(速さ)、Solution(解決)、Suggestion(提案)、Sophistication(知識)、Satisfaction(満足)が短い時間でいかに発揮できるかを競い合う。
判断力、課題解決力、コミュニケーション力が試される「コミュニケーター部門」
まずは「コミュニケーター部門」から。選手は順番に1人ずつ登壇し、ステージ上に設けられたデスクに着席。ヘッドセットを装着して、入電する「お客さま」からの模擬通話に対応する。「お客さま」の声は会場にも流れる。
今回は「ポイントって何かに使えるんですか?」という「お客さま役」からの第一声と、「仙台在住、5歳の娘がいる、32歳の夫婦」という設定のみを、事前に選手に開示している。よって「お客さま」の真意が会話ごとに微妙に違うため、選手ごとに会話展開が変わることになる。
審査のポイントは「会話をしながらお客さまの真意を聞けているか?」「お客さまの状況や心情にあわせて効率よく対応できているか?」など。あらかじめ分かっているお客さま情報を活用した提案やアドバイスも注目ポイントとなる。
責任者としてお客さまの状況や心情にどう対応するかが重要なコントローラー部門
続いて、責任者資格のあるスタッフが出場する「コントローラー部門」の競技がスタート。コミュニケーターを上回る判断力が求められ、責任者としてイレギュラー案件やトラブル、要望などあらゆる状況に臨機応変に対応しなくてはならない。
コントローラー部門への第一声は選手ごとに違い、コミュニケーターからの内線をバトンタッチする形になっている。今回は「お客さまがけがをしたとおっしゃっていて、とりあえず上に代わってほしいと言われています。代わっていただけますか?」や、「お客さまが届いたご利用券のことで、とりあえず上に代わってほしいと言われています。代わっていただけますか?」など。
なおコントローラー部門は制限時間が決められいて、1人7分。超えた場合はその時点で競技終了となるのだが、親身に「お客さま」に寄り添った結果、全員が会話の途中で時間切れとなっていた。
すべての競技が終了したあとは、審査員の講評へ。まずは社外審査員として日本IBM(日本アイ・ビー・エム)から常務執行役員 クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業本部長の伊藤昇氏が登壇し「素晴らしい応対を目の当たりにした。そして選手の方々への応援も素晴らしい。温かい社風に感動した」と述べた。
社内審査員のANA 代表取締役副社長執行役員 志岐隆史氏は、メモを片手に、選手一人一人に対して総評を述べ、常に寄り添ってお客さまの心をつかんでいた質の高いパフォーマンスに賛辞をおくっていた。
結果発表と表彰式、優勝は東京支店の中川さんと宮脇さん
休憩・審査を挟んでいよいよ結果発表。2019年の優勝賞品は、国内線搭乗券とダイヤモンド会員が利用できるスイートラウンジ体験。これには「お客さま」として実際にANAのサービスを体験し、今後の応対に役立ててほしいという狙いがあるという。
「コミュニケーター部門」の優勝は、トップバッターだった東京支店 AMCグループの中川栞さんの手に。プレゼンターを務めたANAテレマート株式会社 代表取締役社長 梶田恵美子氏から表彰状と賞品、そして花束が贈られた。入社2年目だという中川さん、この日は「まだ受賞は信じられないが、聞かれたことを的確に答えたことがよかったのでは」と語っていた。
続いて「コントローラー部門」。プレゼンターのANA 代表取締役社長 平子裕志氏から、東京支店 国内グループ 宮脇由紀子さんの名前が呼ばれると、応援席から大きな歓声があがり、涙ぐみながらの受賞スピーチに大きな拍手が送られていた。「今日の勝因は?」と聞かれた宮脇さんは「お客さまの気持ちに共感しながら自分らしくできたことが一番よかった」とコメント。
中川さんも宮脇さんも「お客さまの真意をつかむ難しさ」をこのコンテストを通じて感じたという。今後はそれを自分なりに勉強して、さらに上の応対を目指しますと頼もしい言葉も飛び出していた。
最後はANAテレマート 常務取締役 東京支店の北村支店長が登壇し、閉会のあいさつ。北村氏からは「今回は特にコントローラー部門が難しい内容だったと思う。でも実際の業務では、もっと複雑でもっと難しい内容を日々対応してもらっていることを知っています」と選手へ労いの言葉も。この「よりそいの達人コンテスト」、2020年は長崎支店で開催する予定だ。