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ANA、「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」新施設「ANA Blue Base」で開催。約8000人の頂点はハノイ空港のリンさん
2019年11月5日 12:43
- 2019年11月1日 開催
ANA(全日本空輸)は11月1日、「空港カスタマーサービス スキルコンテスト」を開催した。
国内外の空港で働く仲間の磨き上げられたサービススキルを学ぶ場とし、それを自空港に持ち帰って波及することで、旅客部門全体の基本品質向上につなげていくことを目標とするもの。12回目となる2019年のテーマは「ARE YOU READY FOR 2020 ー磨き上げたスキルで世界を結ぶー」。
空港カスタマーサービス スキルコンテストは「出発ロビー部門」と「ゲート部門」で構成されており、まずは出発ロビー部門の実技から。2018年と同様に国内・海外空港の計96空港を対象とし、全世界のグランドスタッフ約8000名から106名が9月の予選に参加。そのなかから国内線7名、国際線6名の合わせて13名が選出され、この日のファイナルに臨んだ。
2018年にグランプリを受賞した北京空港のWENWAN QIさんより激励のビデオメッセージが流れたあとは、いよいよ実技がスタート。持ち時間は1人8分で、ステージに次々と現われる6組の「お客さま」の応対をする。審査はお客さま視点での気付きや、能動的な動き、コミュニケーション力が重点項目となる。
実技内容は「1時間後のフライトなのに株主優待券を忘れてしまった」や「このあたりでカメラをなくしてしまった!」などの臨機応変な応対や、「買い物をしてしまって荷物が3つになってしまった」などサービスについでの問い合わせ応対。
「天候不順の予報で飛行機が欠航になるかもしれず便を早めたいのだが、変更できない航空券らしいのだけれど」などといったお客さまのご希望に添えない場合の応対など5~6項目のパフォーマンスとなる。なお出題は全員同じ内容になるため、ファイナリストは自分の実技がスタートするまでは控室で待機している。
ステージの目の前には6名の審査員が座った。ゲスト審査員は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織員会の江上綾乃氏と、高島屋 常務取締役 営業推進部長の安田洋子氏。
社内審査員は、ANA 代表取締役社長の平子裕志氏、代表取締役 専務執行役員 安全統括管理者 オペレーション部門統括の清水信三氏、取締役 執行役員 CEマネジメント室長の功刀秀記氏、執行役員 マーケティング室副室長の高橋誠一氏の4名。各審査員が評価した点数の合計点数でグランプリが決まる。
国内線担当のファイナリスト7名の実技が終了したところで、社内審査員のANA 執行役員 マーケティング室副室長の高橋誠一氏から講評があった。
高橋氏は「笑いあり感動あり。見ていて元気をもらうシーンをたくさん見せていただいた」と述べたうえで、事務局側の運営についても「工夫があって素晴らしい。お客さま役の演技がとてもリアルなのでロビーの雰囲気がよくでていて、それがファイナリストの皆さんの普段の仕事っぷりを引き出しているのではないかと思う」と言及した。
続いて国際線担当の出場者6名。ステージに現われるお客さまのニーズは同じだが、ここからはほぼ英語での対応となる。
国際線担当部門6名が終了し13名のファイナリストすべての実技が終わると、ANA 取締役 執行役員 CEマネジメント室長の功刀秀記氏が登壇し講評。「皆さんに共通して感じたのは人に対する愛情やリスペクト。サービスをしたあとにほか何かお困りのことはと聞く心がけ。お客さまの名前を呼ぶことや、待たせるお客さまへの一言などがファイナリストに選ばれた差なんだろうなと思った」と述べた。
続いて江上綾乃氏と安田洋子氏のゲスト審査員2名も登壇し、ファイナリスト13名のパフォーマンスを間近で見ての感想を興奮気味に語っていた。
いよいよ表彰式。まずは「ゲート部門」。こちらは「スムーズな搭乗がマネジメントできているか?」を基準に6空港がすでに選出さており事前に審査済だった。選出されていた国内線は伊丹空港、関西空港、松山空港、神戸空港の4空港。国際線はバンコク空港、大連空港の2空港。
国内線最優秀空港を受賞したのは伊丹空港。「狭い限られたゲート空間の中で、上手に動き回ってロビーサービスを行ない、お客さまの搭乗をスムーズに快適にサポートしていた」ことが選出理由となった。
国際線は大連空港が受賞。「スタッフ全体でこのゲートのオペレーションをよくしようという気持ちが伝わってきた一体感が決め手」だという。受賞空港にはトロフィーが手渡された。
続いていよいよ「出発ロビー部門」の表彰。ファイナリスト13名が再びステージへ上がると、審査員特別賞、準グランプリ、グランプリが発表された。審査員特別賞には長崎空港の杉町碧さん。準グランプリには伊丹空港の玉城絢子さんとシンガポール空港のMUHAMMAD BIN OMAR(モハマド ビン オマール)さん。さらに僅差の審査となった今年は、準グランプリがもう1人ということで、3人目の準グランプリに羽田空港の松尾彩音さんの名前が呼ばれた。
そして出発ロビー部門のグランプリは、ハノイ空港のVU HAI LINH(ヴ ハイ リン)さんの手に。清水専務執行役員から「ハノイ空港の……」と発表されると会場にはどよめきと大きな拍手があがった。ふだんは職場の新人教育などにも携わっているという彼女は「私のこの受賞が同じ職場のスタッフの一つのモチベーションとなって、今後ANAのサービスを高めるきっかけになれたら」と喜びを語っていた。
最後にANA 代表取締役社長 平子裕志氏が登壇。総評の冒頭で「このコンテストは年々レベルが上がっており、今年も昨年の北京空港に引き続き海外のスタッフがグランプリとなった。いよいよANAも国際化してきたなという印象を持った」と述べた。
そして「いよいよ来年は東京オリンピック・パラリンピックの年。それだけではなく、羽田空港で発着枠が増えて第3ターミナルと第2ターミナルでスプリット・オペレーションすることになる前の年に、このようなハイレベルなコンテストが開催されて自信を持つことができた」と、同コンテストの結果を高く評価した。
さらに、「一番大切なことは、今日ここに来ている皆さんが何かを感じ取り自分の形に変換をし、次は自分がインフルエンサーとなって自空港のお手本になること。それこそがANAの品質がより高まっていく貴重なプロセスである」と盛り上がった同コンテストの総評を結んだ。