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ANAケータリング、新ブランド「FINDELISH」立ち上げ。機内食シェフ監修カレーや“各地の名店の味”を販売

2019年11月6日 発表

ANAケータリングサービスは、外販事業の新ブランド「ANA FINDELISH(ファインデリッシュ)」を立ち上げるとともに、新たな商品展開を発表した

 ANA(全日本空輸)グループで機内食などを手がけるANAC(ANAケータリングサービス)は11月6日、外販事業のブランドをリニューアルし、「ANA FINDELISH(ファインデリッシュ)」のブランドを立ち上げることを発表した。

 ANACは、機内食製造で培ったノウハウや技術などを活かし、機内食シェフの料理を地上で楽しめることをコンセプトとした「ANAのおいしいコレクション」を2016年に立ち上げた(関連記事「ANAケータリング、機内食の味を地上で楽しめる『ANAのおいしいコレクション』を10月発売」)。今回、このブランドを「FINDELISH」に変更するとともに、新たな取り組みを進める。

 説明にあたったANAC 取締役の小林義己氏はブランドリニューアルの理由を3つ挙げた。

 1つ目は「ANAケータリングの経営ビジョン実現」で、「我々のビジョンである『食の新たな事業領域に挑戦し続けます、“その先の笑顔のために…”』。そのための新たな事業領域が外販戦略になっている」と説明。

 2つ目はANAHD(ANAホールディングス)のグループ企業のなかで、(ANACが外貨を獲得できる可能性がある企業をカテゴリー1に認定されたことで、「外貨収入を増やしてよいと認められたことになるので、これを追い風として、従来から取り組みたかったBtoCの事業に船出をしようと考えた」とした。

 3つ目は「ポスト2020の成長戦略」を挙げ、「2020年までは景気も含めてそこそこいけると思うが、そのあと独自の力で次の成長ドライバーを確保したい」と説明。

 そして、「外販事業を強く、太くしたい。そのためにブランドリニューアルが必要」と、その理由をまとめた。

株式会社ANAケータリングサービス 取締役 小林義己氏

 ANACの新ブランドとなる「FINDELISH」は、見つける・探求を意味する「FIND」と、美味しいを意味する「DELISH」を組み合わせた造語。新ロゴは、料理のソースをイメージに飛行機をあしらったものとなっている。

 さらに小林氏は、外販事業におけるANACの強みとして、「大きく2つある」と言及。

 1つ目は「シェフが機内食のプロとして培ってきたレシピを作成する能力、そうしたシェフが多くいること」と紹介し、「この能力を最大限に活用して、『遊び心を持って、食べる時間をもっと楽しものにする。知らなかった美味しさとのワクワクする出会いを届ける』という理念のもと、既存の商品群をストレッチして、より大きな商品群にしたい」と説明した。

 2つ目は「ANAグループにいること。グループ内に多くの企業があり、力を借りながらほかではできない商品造成ができる。具体的にはANAHD、ANA、ANAセールス、ANA総合研究所といったグループ企業と連動、連携を図りながら、ゆかりのある地方自治体や、その先にある各地の有名店の皆さま、食材を調達する地場の優良企業の紹介をしてもらえる優位性がある」と紹介。その結果として、新たに「グルメ紀行ボックス」という地域の厳選食材を利用した商品を提供することを紹介。「ANAグループとして総力を挙げて地方創生、地域貢献に力を注いでるが、ANACは食を通じてこの取り組みに貢献したい」との意欲を示した。

ANA FINDELISHのロゴ。ソースをデザインのモチーフとし、そこに飛行機をあしらっている
ANA FINDELISHのコンセプト
「ANAのおいしいコレクション」に新たな商品を加え、かつ地方自治体と連携した商品展開も行なっていく

 ANACは、現在の売上高が288億円、2020年に予定されている羽田空港の国際線増便後は300億円を超えることを予想しているが、発表会後の囲み取材で小林氏は、2018年の外販事業の売上高について「まだほとんどなく数千万円」と明かし、先に挙がった「ポスト2020」の目標について「6億円程度を目標にしたい」と話した。

 また、販路については現在、全日空商事が運営する空港内ショップや、ECサイト「ANA STORE/ANA ショッピング A-style」を通じての販売が中心になっているが、「ANAセレクションといったマイル償還の仕組みや、カタログギフトでの提供もする。また、ANAグループだけでは限りがあるので、A-styleでの成果を判定して、グループ外のECサイトにも広げたい。既存商品群をストレッチした商品については、百貨店なども含めていろいろなところ販売を始めようとしている」と、販売についての新たな展開も進めていく考えを示した。

「手に取りやすい価格」のカレーやフィナンシェなどを新発売

株式会社ANAケータリングサービス 執行役員 調理統括室兼洋食統括部 清水誠氏

 続いて、ANAC 執行役員 調理統括室兼洋食統括部の清水誠氏がマイクを持ち、FINDELISHで展開する新商品を紹介した。いずれも2019年度中の発売を予定している。

 小林氏が説明した「既存の商品群をストレッチした商品」について、ANACでファーストクラスの料理やデザートを担当するシェフが監修したオリジナル商品として、3種類の「ANAオリジナルカレー」と、4種類の「ANAオリジナルフィナンシェ」を発売。

 清水氏は特にカレーについて紹介し、「これまで『阿波尾鶏とマッシュルームのカレー』を販売していたが、チキンカレー以外はないの? ほかのカレーも食べてみたい、などの声があった」と紹介し、今回は「ビーフカレー」「チキンカレー」「ポークカレー」の3種類を展開。

 ルーはすべて異なっており、ビーフカレーは「さまざまなフルーツやチャツネを使用し、フルーツのすっきりとした甘さがビーフの旨味をひき立て、甘さと爽やかな酸味、あとから追いかけてくるガラムマサラのスパイシーな辛さがくせになる。お肉は旨味の強いウデ肉をブイヨンで煮込み、お肉の旨味を余すことなくソースに溶け込ませた」。

 チキンカレーは「飴色に炒めた玉ねぎ、野菜の持つ甘みとガーリックの旨味を溶け込ませている。鶏肉はもも肉を使い、トマトベースのブイヨンですっきりと煮込んでいる。最後に中国醤油ですっきりとひきしめ、食欲をそそる一品にしている」。

 ポークカレーは「昆布のエキス、マッシュルームのエキス、和と洋の両方の旨味をベースにした。醤油とウスターソースを加えて日本人に親しみやすい飽きのこない味にした。ていねいに下茹でした豚ばら肉はクセが少なく、まろやかな旨味とキレのある辛味」とそれぞれ紹介した。

 そして、「多くのお客さまに召し上がっていただきたいため、手に取りやすい価格帯の500円台で販売」と説明。ビーフカレーは550円(税別)、チキンカレーとポークカレーは500円(税別)で販売する。

 そして、パッケージは飛行機のシルエットをモチーフに採用。ビーフカレーにはエアバス A380型機、チキンカレーにはボーイング 787-9型機、ポークカレーにはDHC-8-Q400型機を描き、パッケージの裏面にはそれぞれの飛行機の「豆知識」を記載している。

「ANACシェフ監修 ANAオリジナルカレー」
“食欲をそそる”「チキンカレー」。パッケージはボーイング 787-9型機。価格は500円(税別)
“くせになる”「ビーフカレー」。パッケージはエアバス A380型機。価格は550円(税別)
“飽きのこない味”「ポークカレー」。パッケージはDHC-8-Q400型機。価格は500円(税別)
パッケージ裏面には、表面に描かれた飛行機の豆知識が記載されている

 また、シェフパティシエ監修のANAオリジナルフィナンシェは、「ラ・フランス」「すいか」「梅」「和栗」の4種類をセットにして販売。季節感も感じられる風味が特徴。8個入りパッケージは滑走路も描くことでANACらしさを出している。

 パッケージと価格は、4個入りが800円、8個入りが1600円、フィナンシェ12個/プリフィナンシェ2袋入りが3000円、フィナンシェ20個/プチフィナンシェ4袋入りが5000円(すべて税別)。

「ANACシェフ監修 ANAオリジナルフィナンシェ」。左から「ラ・フランス」「すいか」「梅」「和栗」
8個入りパッケージに滑走路を描く
「ANAのおいしいコレクション」として販売されている既存商品も、「ANA FINDELISH」へとリブランドして発売。写真左から「阿波尾鶏とマッシュルームのカレー」「ファーストクラスのサラダセット」「機内食で採用された魚の切り身詰め合わせセット」
9月から受け付けている「<ANAオリジナル>謹製 迎春おせち三段重(オリジナル豆皿付)」も継続して販売

地方自治体や有名店とコラボした「グルメ紀行ボックス」

「グルメ紀行ボックス」のパッケージ。各地の名店の味を家庭で味わい、その土地に行きたくなることを期待した商品

 先の小林氏の説明にもあったとおり、地方自治体や地方の有名店などとコラボレーションした商品として新たに展開する「グルメ紀行ボックス」については、11月6日から順次販売を開始する。

 今回発表されたのは、富山県、長崎県、高知県の商品。グルメ紀行ボックスは食材や調味料がレシピとともにパッケージされており、簡単に調理できるようにして販売。各地の名店の味を家庭で楽しめることをコンセプトにしている。併せて、パッケージには各地の観光ガイドなども収められているほか、富山県には現地で使える「富山湾鮨セットクーポン引換券」も収納。クーポンは富山空港で引き換えることができ、ANAに乗って各地域へ足を運んでもらうことも期待したものとなっている。

 販売はANAショッピングサイトのA-styleのほか、ANAマイレージクラブの「ANAセレクション」でマイルから交換もできる。

 11月6日にまず「グルメ紀行ボックス富山」と「グルメ紀行ボックス高知ミニ」を発売。12月末日に「グルメ紀行ボックス高知」、2020年3月に「グルメ紀行ボックス長崎」と順次展開していく。それぞれのグルメ紀行ボックスは販売期間を4か月に限定しているが、「グルメ紀行ボックス高知ミニ」のみ通年販売する。

 発表会には各県でコラボレーションした名店の代表者も出席。それぞれに思いを述べた。

グルメ紀行ボックス富山

「グルメ紀行ボックス富山」は、日本の伝統を受け継ぎつつ、時代に沿った工夫を凝らす、県内屈指の和食店「御料理ふじ居」とコラボレーション。富山湾の天然ブリを使った「特製だれを使ったブリの照り焼き」と、富山県産紅ズワイガニや富山米「富富富(ふふふ)」を使った「紅ズワイガニと富富富の炊き込みご飯」を楽しめる。さらに、銘酒「満寿泉」のオリジナルボトル版も同梱されている。

 店主の藤井寛徳氏は「富山の秋~冬にかけての食材の絶対王者ともいうべきブリ、カニという二大食材を使った料理。富山を代表する銘酒『満寿泉』もセットにした、富山を凝縮したようなボックスになっている」と説明。「北陸といえば金沢のイメージが強いと思うが、一度来ていただいたら、必ず好きになっていただけると自信を持って言える」と来訪を呼びかけた。

店名: 御料理ふじ居
販売期間: 2019年11月6日~2020年2月
価格/必要マイル: 8000円(税別)/1万マイル

調理した「グルメ紀行ボックス富山」
御料理ふじ居 店主 藤井寛徳氏
「グルメ紀行ボックス富山」

グルメ紀行ボックス高知

「グルメ紀行ボックス高知」は、緑と清流に抱かれたホテル「オーベルジュ土佐山」とコラボ。高知県産の鰹と金目鯛を用い、「カツオ炭焼き田舎タタキ塩ポン酢」「金目鯛の治部煮」を楽しめる。

 料理長の松本昇吾氏は、「鰹の旨味を十分に引き出すために特性の塩ポン酢を用意している。厚めに切った魚は黒潮のダイナミックさを感じていただける。これらの料理をもとに高知で育まれた食文化と食の豊かさを感じていただき、足を運んでいただければ」とコメントした。

店名: オーベルジュ土佐山
販売期間:(予定) 2019年12月末日から2020年4月(ミニは11月6日から通年販売)
価格/必要マイル(予定): 8000円(税別)/1万マイル(ミニは5000マイル)

調理した「グルメ紀行ボックス高知ミニ」
「グルメ紀行ボックス」の「カツオ炭焼き田舎タタキ塩ポン酢」」
オーベルジュ土佐山 料理長 松本昇吾氏
「グルメ紀行ボックス高知

グルメ紀行ボックス長崎

「グルメ紀行ボックス長崎」は、長崎伝統の卓袱料理を楽しめ、江戸時代から続く建物には坂本龍馬が付けたと言われる刀傷が残る「史跡料亭 花月」とコラボ。五島列島の「五島うどん」や、長崎県産の「かんぼこ(蒲鉾)」を食材に、角煮料理の「『花月』東坡煮」や、「長崎ソボロ」を楽しめる。

 代表取締役社長で女将の中村由紀子氏は、「卓袱料理は県外ではなかなか食べられず、わざわざ長崎まで来て召し上がっていただいており、観光の一つではないかと思っている。盛り合わせを皆さんで取り分けながら食べる和やかな食べ方で、江戸時代に中国から伝わり、いまでは当たり前の食べ方。その発祥の地」と、長崎ならではの卓袱料理について紹介した。

店名: 史跡料亭 花月
販売期間(予定): 2020年3月~2020年6月
価格/必要マイル(予定): 8000円(税別)/1万マイル

調理した「グルメ紀行ボックス長崎」
史跡料亭 花月 代表取締役社長 女将 中村由紀子氏
「グルメ紀行ボックス長崎」
「ANA FINDELISH」発表会参加者。両脇にCA(客室乗務員)が立ち、左から順に、株式会社ANAケータリングサービス 取締役 小林義己氏、オーベルジュ土佐山(高知県)料理長 松本昇吾氏、御料理ふじ居(富山県)店主 藤井寛徳氏、史跡料亭 花月(長崎県)代表取締役社長 女将 中村由紀子氏、株式会社ANAケータリングサービス 執行役員 調理統括室兼洋食統括部 清水誠氏、株式会社ANAケータリングサービス ペストリー部 部長 相田紀昭氏