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首都高、東品川桟橋・鮫洲埋立部の更新工事など説明。日本橋の地下化着手はオリパラ以降に

2019年10月25日 実施

首都高速道路株式会社 代表取締役社長 宮田年耕氏

 首都高(首都高速道路)は10月25日、東京・霞ヶ関の本社で定例会見を開いた。その席上、代表取締役社長の宮田年耕氏が横浜北西線や東品川桟橋、小松川JCT(ジャンクション)および3号渋谷線下りの渋谷入口開通について説明した。

 宮田氏はまず、2020年3月の開通が予定されている横浜北西線の進捗状況について、「高架部はほぼ桁がかかっていて、舗装工や設備工を実施している。トンネル部についても去年の8月に掘り終わり、こちらも舗装工、設備工を行なっている状況」だとした。

横浜北西線の工事状況。高架部、トンネル部ともに現在は舗装工および設備工が行なわれている状況
東品川桟橋・鮫洲埋立部の更新工事。東京2020オリンピック・パラリンピック期間中は新たな上り線を暫定的に下り線として利用する

 東品川桟橋・鮫洲埋立部の更新工事については、「湾岸線の東行きから1号の上りにつながる大井JCTの連結路は、2016年6月から通行止めにしていたが、9月29日に40か月ぶりに通行止めを解除し、暫定的に上りの迂回路に大井JCTの連結路をつないだ。オリンピックが終われば、またここを切り離す予定」だとする。

 さらに「更新上り線は桁架設が6月に完了して、床版工、高欄工を実施している。オリンピック期間中は上りは迂回路、下りは新しい上り線を暫定的に利用する。これにより、オリンピック期間中は古い1号線を使わずに、新しい上り線と迂回路を利用する。オリンピックが終われば、モノレールのすぐ横にある下り線を壊して、新しい下り線を作る工事に入る」と話した。

 12月1日17時に開通する小松川JCTについて、宮田氏は「中央環状線と小松川線がつながることでルート選択幅が広がる」と説明、さらに「埼玉方面と千葉方面の行き来における所要時間が短縮し、小松川JCTから板橋JCTまで21分と、従来の約半分の時間で到達できる」と開通の効果を述べた。

12月1日に開通する小松川JCT。中央環状線の埼玉方面と小松川線の千葉方面がつながる

 12月19日2時には、3号線下りの渋谷入口が開通する。その効果としてまず挙げられたのはアクセス性の向上で、「渋谷、六本木からは池尻まで行かなければ3号線下りの入口がなかったが、渋谷入口ができることでアクセス性が向上する」とした。また今回の入口は中央環状線の内側であり、大橋JCTから中央環状線に入り、湾岸線経由で羽田空港へ行けるため、渋谷から羽田空港への所要時間が短縮することもメリットだと話す。

12月19日に開通する3号線下りの渋谷入口。周辺の一般道路の渋滞解消にも寄与するとしている

日本橋区間の地下化着手は「東京2020大会のあと」

 日本橋区間の地下化についても説明が行なわれた。首都高では6月4日に都市計画案を公告、10月11日には都市計画変更決定を告示している。宮田氏は「これから事業化の手続きを進め、東京2020オリンピック・パラリンピックが終わってから着工したい」と述べた。

東京2020オリンピック・パラリンピック後の着工が予定されている、日本橋区間の地下化工事

 なお工期について宮田氏は「長くかかりそう」だとしたうえで、15年程度はかかるのではないかと見通しを述べた。その理由として、同地には下水道や電力線などがあり、トンネルのための空間を確保するのに時間がかかること、またさまざまな構造物が近接しているので難工事になることが挙げられた。

 台風19号に伴って行なわれた首都高の通行止めについても説明があった。高潮浸水対策として1号羽田線と湾岸線、神奈川6号川崎線が12日12時から13日の6時まで、そのほかの路線は12日16時から13日6時まで通行止めとなった。また神奈川1号羽田線の子安と生麦JCT間は強風による飛来物の撤去が行なわれた影響で、13日11時45分まで通行止めが実施された。

台風19号に伴う対応について。東京港トンネルなどでは高潮浸水対策として事前に土のうが設置された

 この通行止めの告知について、宮田氏は「台風15号が接近した際の通行止めの反省も踏まえ、通行止めの可能性や予定に加え、今回は通行止め解除の見込みについても広報した」と述べた。

 大橋JCTにある大橋換気所の屋上に整備した自然再生空間である「おおはし里の杜」が「江戸のみどり登録緑地」の「優良緑地」として認定されたことも紹介された。江戸のみどり登録緑地とは、在来種を積極的に植栽し、生物多様性の保全に取り組む緑地を東京都が登録・公表する制度である。「これに手を挙げて、認定・登録を受けた」と宮田氏は話す。

大橋JCT内の大橋換気所にある「おおはし里の杜」が「江戸のみどり登録緑地」の「優良緑地」に認定された
2018年10月から2019年9月までの通行台数

 最後に通行台数の状況について説明が行なわれた。2019年6月は100.5万台、7月は102.8万台、8月は102万台、9月は103万台とのことで、前年度と大きな差はないとした。