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首都高、1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」を公開。開通50年の損傷をリニューアル中
2019年9月24日 21:25
- 2019年9月24日 公開
首都高(首都高速道路)は9月24日、高速1号羽田線「東品川桟橋・鮫洲埋立部」更新工事を報道向けに現場公開を行なった。
同区間は「首都高、1号羽田線『東品川桟橋・鮫洲埋立部』更新の迂回路を事前公開」で紹介しているように、2016年2月から更新工事が進行中となっている。この工事は「上り線のう回路を設置」「上り線の更新」「大井JCT(ジャンクション)の通行止めを解除」「下り線の更新」「う回路を撤去/完成」の5ステップとなっており、上り線の迂回路への切り替えが2017年9月に完了。いよいよ3番目のステップを迎えることになる。
現在、首都高速湾岸線の大井JCT Aランプと1号羽田線を結ぶ連絡路は2016年6月から通行止めとなっているが、この9月29日14時に上り線のう回路への通行が可能となる。同時に湾岸線羽田方面から中央環状線(C2)外回りへの車線運用も変更され、現状の1車線から2車線へと増やされる。
なお、この変更に伴い、湾岸線(東行き、西行きとも)からC2への区間は9月27日21時から9月29日14時まで41時間の通行止めとなる。同時にC2大井南入口も閉鎖されるので注意が必要だ。雨天など悪天候時の予備日は10月4日~6日、10月11~13日、10月12日~14日となっている(関連記事「首都高、大井JCTの通行止めを約40か月ぶりに解除。湾岸線→C2中央環状線方面は9月27日~29日に41時間連続通行止め」)。
現場公開を前に現場詰所において概要説明が実施された。まず、首都高速道路 東京西局プロジェクト本部 本部長 高橋三雅氏が登壇。今回の工事区間について、1964年の東京オリンピック開催に間に合わせるために1963年12月に供用を開始したこと、海面に立地するなど過酷な環境にあることなどを紹介。長期にわたって安全な使用を確保するためにリニューアル事業を行なっていると説明するとともに、順調に工事が進捗していること、40か月ぶりに大井JCTの通行止めを解除することなどを明らかにした。
続いて同 東京西局プロジェクト本部 更新事業部長 波津久毅彦氏が更新工事の概要を述べた。まず、この区間の特徴として「開通以来50年以上が経過」していることに加え、海水面に近接するなど「厳しい使用環境」であることを挙げ、「コンクリートの剥離」「鉄筋の腐食」「鮫洲埋め立て部では路面のひび割れ、路面の陥没」など重大な損傷が多数発生していると現状を説明。こうした状況に対しては日々点検や補修に取り組んできたが、長期的な安全性や維持管理性の確保のため構造物の更新に踏み切ったと話した。
今回の更新工事では、東品川桟橋においては海面からの距離を離した高架構造としたうえで常設の維持管理用足場(恒久足場)を設置したほか、鋼製の橋脚部には腐食防止のために金属溶射、ステンレス被膜を実施していることを紹介。一方、鮫洲埋め立て部においては地盤改良を行なったうえで維持管理用空間を備えた中空構造のコンクリートボックスを適用、ボックス内部の鉄筋には樹脂被膜材を採用することにより耐久性の強化を図るなど、長期運用を見据えた構造となっているとした。どちらの区間においても工場製作によるプレキャスト材を適用することで、工期の短縮を図っていることもあわせて紹介した。
続いて同 東京西局 土木保全部長 清野勝氏が大井JCTにおける車線運用変更の概要について説明した。現在、湾岸線からC2へは横浜方面、千葉方面とも1車線ずつで流入しているが、改良後は横浜方向から2車線、千葉方面からは合流となる形態に変わると説明。「当該箇所では2万台を超えるとピーク時間で渋滞が発生する恐れがある」ことから、C2開通後から通行量が4割増加していることを踏まえ「交通容量を増やす」ことが目的だとした。さらに今後、神奈川県内の高速道路ネットワークが整備されると、「東名道や(首都高速)3号線の交通状況によっては大井JCT経由の車両が増加」することが予想されることから、「大井JCT横浜方向からの渡り線の交通容量を増やす」ことで、「予防的に渋滞対策を行なう」と述べた。
また、今回の改良においては「舗装をすべて剥がし区画線を引き直し、区画線に合わせた安全施設、標識を設置する必要がある」ため、41時間の通行止めを実施すると説明。「お客さまには大変ご不便、ご迷惑をおかけいたしますが、ご協力をよろしくお願いいたします」と協力を求めた。