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首都高、2019年度決算会見。営業利益は20億円減の5億円。新型コロナの影響で4月の交通量は約3割減

オリパラ延期の影響やUber Eatsスタッフの誤進入対策なども説明

2020年6月12日 開催

首都高は6月12日に決算会見を開いた

 首都高(首都高速道路)は6月12日、東京・霞が関の本社で決算会見を開いた。

 会見には代表取締役専務執行役員の前田信弘氏、財務部長の田部井聡氏、経営企画部長の井上誠氏が出席し、新型コロナウイルス感染症の影響と、第15期(2019年度:令和2年3月期)決算について説明した。

左から首都高速道路株式会社 財務部長 田部井聡氏、代表取締役専務執行役員 前田信弘氏、経営企画部長 井上誠氏

新型コロナウイルスの影響など近況

2020年2月~4月の通行台数、料金収入、休憩施設売上

 新型コロナウイルス感染症の影響として、2020年2月~4月の通行台数などのデータが明示された。外出自粛要請の影響により首都高の通行台数は徐々に減少し、2月は微減だったものの、3月は前期比10.0%減の94万6629台に、4月はほぼ3割(29.2%)減の71万9169台と大幅に減少した。通行台数の減少に伴い、料金収入も同じように減少し、休憩施設の売上はさらに大幅に減少している。

 ちなみに5月のデータは集計中だが、速報値として5月31日~6月6日のデータは82.4万台、前期比18%減と4月の約30%よりは回復傾向に見られる。3月~4月の落ち込みはあるが1年全体の中での一時的な落ち込みなので、「今後の動向を注意深く見ていきたい」とした。

 今夏に予定していた東京オリンピック・パラリンピックの延期については、補修や準備などは2019年度までの計画で完了しているものなので、2020年度への大きな影響はないという。混雑を抑制するためのロードプライシングなどの施策もスライドする。

 更新事業を進めている1号羽田線の東品川桟橋・鮫洲埋立部区間については、6月16日に羽田線(下り)の交通を更新線に切り替えるところまできており(関連記事「首都高、1号羽田線 東品川付近の下り線を新しい高架道路へ切り替え。6月16日1時」)、首都高が進める工事・補修関連について「大勢に影響はない」という。

 また、6号三郷線の八潮PA(パーキングエリア)は改修工事を行なっていたが、6月4日11時にリニューアルオープン。「リンガーハット」と「濱かつ」のコラボ飲食店「リンガー食堂」を日本初の店舗としてオープンしている。

 Uber Eatsの配達スタッフが首都高に進入してしまったことがニュースとなったが、首都高出口からの誤進入があることから警告表示や警告音で注意を促すとともに、スマートフォン向けナビアプリの一部には、一般の道路と自動車専用道路が分かりやすく明示されていないものもあるため、改善をお願いしているとのことだ。

首都高 第15期(2019年度:令和2年3月期)決算

首都高 連結決算概要

 首都高グループの連結決算では、営業収益は前期比38.4%増の5346億円、営業費用は39.3%増の5327億円に。主な要因は、横浜環状北西線、横浜環状北線(馬場出入口)、小松川JCT(ジャンクション)、渋谷入口(下り)など、1819億円の完成、引き渡しがあったことによるもの。親会社株主に帰属する当期純利益は△0億円。新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う外出自粛要請の影響などによる、料金収入の減少などによる。

高速道路事業の損益状況(連結)

 営業収益のうち料金収入は、2019年10月の台風など天候の影響、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う外出自粛要請の影響などにより前期比1.9%減の2635億円。特に2020年3月だけを見ると前期比10.3%減と影響の大きさが分かる。交通量は対前期比1.3%減で1日あたり100.1万台/日だが、3月は前期比10.0%減となっている。

 道路資産完成高は建設事業、改築事業、修繕事業などの引渡しを実施し、前期比213.3%増の2345億円。営業費用において、道路資産完成高と同額の道路資産完成原価を計上しているため、損益に与える影響はない。

 道路資産賃借料は高速道路機構との協定に定める道路資産賃借料の減少、変動貸付料制度の適用があったことによる減少により前期比1.8%減。これらにより、高速道路事業の営業利益は20億円減の5億円となった。

関連事業の損益状況(連結)

 駐車場事業は主に都市計画駐車場(5か所)と高架下等駐車場(64か所)を運営し、営業収益は前期比1.6%減とほぼ前期並み。受託事業は、横浜環状北西線のシールドトンネル工事協定の出来高が減少したことなどにより、営業収益は前期比19.6%減の289億円、営業費用は20.9%減の284億円となっている。

連結財政状態

 資産の部は、仕掛道路資産について特定更新工事などの進捗による増加があった一方、横浜環状北西線、横浜環状北線(馬場出入口)、小松川JCT、渋谷入口(下り)などの工事完成に伴う高速道路機構への資産引渡しによる減などにより、825億の減となり、その結果資産残高は3681億円。負債の部は、新規路線建設の資金調達による増、高速道路機構への債務引き渡しによる減により、負債残高は3033億円となった。

単体決算の概要

 単体決算として当期純利益は28億円減のマイナス12億円となった。第16期(令和3年3月期)の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の影響による同行が不透明であることから、現時点では未定としている。

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