ニュース

ANA、成田~豪パース線運航開始。予約好調で「興味、関心の強さをひしひし感じる」と平子社長

機内では鹿児島のお酒や食材提供。鹿児島市とパースが姉妹都市45周年

2019年9月1日 就航

ANAが成田~パース線を運航開始。就航セレモニーが行なわれた

 ANA(全日本空輸)は9月1日、成田~パース線の運航を開始した。同社にとっては2015年12月に就航した羽田~シドニー線に続いてオーストラリア2都市目の路線となる。

 機材は184席(ビジネスクラス32席、プレミアムエコノミー14席、エコノミークラス138席)のボーイング 787-8型機を使用。ダイヤは下記のとおりで、日本からおよそ10時間強のフライトとなる。

ANAの成田~パース線(2019年9月1日~)

NH881便: 成田(11時10分)発~パース(20時15分)着
NH882便: パース(21時45分)発~成田(翌08時25分)着

 9月1日の初便運航に合わせ、成田空港の51番搭乗口前では就航セレモニーが行なわれた。

初便就航を記念したセレモニーで行なわれた「銚子はね太鼓」のパフォーマンス
ANA NRT SKY BANDはオーストラリアの伝統曲「ワルチング・マチルダ」をジャズ風にアレンジ
全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏

 冒頭あいさつしたANA 代表取締役社長の平子裕志氏は「日本の航空会社として初めて成田空港からパースに直行便を開設する。昨年(2018年)の12月に発表して以来、待ちに待った日。おかげさまで評判も上々で、9月、10月の2か月間の予約率は70%の予約率を超えるほどで、本当に西オーストラリアへの皆さまのご興味、ご関心の強さをひしひしと感じている」と同路線への反響の大きさをコメント。

 パースへ向かう観光客に向けては、「オーストラリアには日本からいくつか直行便が飛んでおり、シドニー以外にも、ケアンズ、メルボルン、ゴールドコースト、ブリスベンに飛んでいるが、こういった都市になくてパースにしかないものがある。それはインド洋に沈む夕陽。パースの空は夕方になると赤からピンク、そして紫と色が変わっていく、これをパープルスカイと地元の人は呼んでいる。どうか西海岸ならでは夕陽の絶景を皆さまにもお楽しみいただきたい」と呼びかけ。機内誌「翼の王国」の9月号では、奇岩群「ピナクルズ」を特集していることも紹介した。

 また、9月20日にラグビーワールドカップ2019が開幕することにも触れ、「前回のラグビーワールドカップで日本チームは大活躍したが、それを率いたのがエディ・ジョーンズコーチでオーストラリア出身の方。前回はオーストラリアチームも準優勝しており、日本大会での両国の代表チームの活躍が今から楽しみ。我々の直行便が、ワールドカップに間に合ったことは本当によかった」とコメント。

 最後に「ANAはこれからもパースの魅力を存分に紹介していきたいし、直行便就航がきっかけとなって日本とオーストラリアの友好の増強が図られれば」との意欲を示した。

駐日オーストラリア大使 リチャード・コート氏

 パース在住という駐日オーストラリア大使のリチャード・コート氏は、「いままで初就航イベントの多くに参加しているが、搭乗客として参加するのは初めて。直行便で帰るのをなによりうれしく思う」と開設を歓迎。「西オーストラリア産の新鮮な青果物が直接届くとともに、観光業のサクセスストーリーが増える。オーストラリアを訪れる日本人は48万5000人、前年比9.5%増が見込まれている。日本からは毎年50万人を超えている。今般の成田~パース線の直行便は西オーストラリア州を発見する機会をまったく新しい世代の日本人に届けるもの。もちろん日本を訪れるオーストラリア人にとってもそうだ」と直行便開設のさまざまな効果に期待を寄せた。

西オーストラリア州 観光大臣 ポール・パパリア氏

 西オーストラリア州 観光大臣のポール・パパリア氏は、「世界屈指の航空会社が、世界中のどこよりも美しい街への直行便ができた。西オーストラリア州がオーストラリア本土の3分の1を占めており、世界のどこよりも観光資源が集まっている場所の一つだと思っている」とパースの街をアピール。この日の搭乗客に向けて「本日の利用客の皆さまを歓迎したい。パース市内のスタジアムとその隣の橋をANAのブルーで点灯する」といった取り組みを行なうことを紹介した。

成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村明比古氏

 NAA(成田国際空港)代表取締役社長の田村明比古氏は、パース路線について「豊富に資源があり日本の商社やエネルギー関係の企業なども多数進出している。植民地時代の美しい街並みと今の街の繁栄を象徴するような近代的な建物が調和している美しい街で、ビーチも美しく、まわりの自然も豊かな素晴らしいデスティネーション。これまで飛んでなかったのが不思議なぐらい」と、その魅力を紹介。

 さらに両国の交流について、「日本から西オーストラリアに行かれる方に非常に便利になると思うし、オーストラリアの方も訪れてほしい。日本とオーストラリアの交流人口は合わせて100万人を超えている。日本からオーストラリア、オーストラリアから日本は人数がほとんど同じぐらいで、非常に均衡の取れた交流。これがますます発展する」との期待を寄せた。

テープカット
フォトセッション。左右に地上旅客スタッフをはさみ、左から順に全日本空輸株式会社 執行役員 成田空港支店長 石田洋平氏、成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村明比古氏、鹿児島市長 森博幸氏、西オーストラリア州 観光大臣 ポール・パパリア氏、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 平子裕志氏、駐日オーストラリア大使 リチャード・コート氏夫妻、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 次長 原野京太郎氏、京成電鉄株式会社 代表取締役社長 小林敏也氏
鹿児島市長 森博幸氏

 ちなみに、今回のセレモニーには鹿児島市長の森博幸氏も来賓として隣席。これは鹿児島市とパースが姉妹都市を結んでいる縁でのもの。1974年の盟約締結から2019年で45周年を迎えた。

 ANAの成田~パース線では新規就航記念として、9月1日~7日に村尾酒造の焼酎「村尾」、9月8日~11月30日に本坊酒造の焼酎「千貫全量」をビジネスクラスで提供するほか、プレミアムエコノミーとエコノミークラスで9月1日~7日に西酒造の「鹿児島ハイボール」を提供。

 また、成田発便の全クラスで明石屋の「かるかん饅頭」を9月1日~7日に、パース発便のビジネスクラスで「きびなごの南蛮漬け」を9月1日~11月30日に提供する。

 このような鹿児島産のお酒や食材を機内で提供することに対して森市長は「記念すべき直行便で世界に誇れる食が披露されるのはたいへんうれしく思う。多くの方々に食を楽しんでいただきたい」と喜びを表わした。

搭乗口でANA代表取締役社長の平子氏と、成田空港支店長の石田氏が歓迎
搭乗口の様子。ゲート通過後に記念品を配布
地上からもPBB(旅客搭乗橋)をわたる搭乗客を歓迎
初便の搭乗記念品。オーストラリア南西部の固有種であるクオッカ(クアッカワラビー)のぬいぐるみや、クオッカが描かれたトラベルポーチなど

 搭乗開始は当初予定されていた時刻からはやや遅れたものの、出発はほぼ定刻どおりとなり、11時14分にプッシュバックを開始した。そして、地上から平子社長ほか多くのANAスタッフが横断幕を持って見送るなか、173名(幼児1名含む)を乗せたNH881便は地上走行をスタート。11時39分に成田空港のA(34L)滑走路から離陸し、パースへと向かった。

平子社長以下、多くのANAスタッフが横断幕を持ってお見送り