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オーストラリア政府観光局 オサリバン本局長インタビュー。ANAのパース線就航で西オーストラリア観光をより気軽に

2019年4月8日~12日(現地時間)開催

オーストラリア政府観光局 本局 局長 ジョン・オサリバン氏

 オーストラリア政府の外局で観光振興にあたるオーストラリア政府観光局(Tourism Australia)は、オーストラリア連邦西オーストラリア州パースにあるパース・コンベンション・センターにおいて、B2B(Business to Business、業者間)向けの旅行をテーマにした国際会議「ATE19(Australian Tourism Exchange Perth 2019)」を4月8日~4月12日(現地時間)の5日間にわたって開催した。

 会期中、オーストラリア政府観光局 本局 局長のジョン・オサリバン氏が、日本の報道関係者の取材に応じた。

西オーストラリアが持つ東海岸にはない魅力に気がついてもらうことが可能になるとオサリバン氏

――ANA(全日本空輸)が9月1日に成田国際空港~オーストラリア・パース空港線の直行便を就航するが、オーストラリア観光への影響は?

オサリバン氏:日本市場はオーストラリアの観光産業にとって5番目に規模の大きな市場で、かつハイバリューなお客さまが多い非常に重要な市場だ。ANAがパース直行便を就航することはもちろんポジティブなニュースだ。これまで日本のお客さまは、シドニーやメルボルン、ゴールドコーストといった東海岸のゲートウェイシティを経由して西オーストラリアにアクセスされていたと思うが、これからは直接行っていただけるのだから非常にポジティブだ。

 そして、もう1つ言えることは西オーストラリアは、同じオーストラリアであってもそうした東海岸とは異なる面を持っている。プレミアムワインの産地、ジンベイザメと泳ぐ体験、キンバリーの絶景やパースなどの東とは違った都市など、さまざまなユニークな体験型のコンテンツを持っており、9月にはワイルドフラワーフェスティバルがキングスパークで行なわれるなど、日本からも沢山のお客さまにいらしていただいているイベントもある。

 繰り返しになるが、日本のお客さまは我々の産業にとってとても歓迎すべきお客さまで、今後も日本のお客さまを見据えたキャンペーンや製品などを提供していきたいと考えている。

西オーストラリアはプレミアムワインの産地としても知られており、マーガレット・リバーやデンマークなど各地にプレミアムワインを生産するワイナリーが沢山ある
サウザンフォレスト地域にある国立公園内の砂丘。白い砂が特徴的の砂丘でオフロード車で訪れるツアーなどに参加できる

――2030年に向けて1800億オーストラリアドル(約14兆3000億円)の旅行者支出をターゲットにすることを明らかにした(関連記事「ATE19が開幕。『ANAのパース直行便には非常に大きな可能性がある』と西オーストラリア州政府観光大臣」)が、そこに日本が貢献する分はどのぐらいになるか?

オサリバン氏:2030年の目標に関しては現在まだ制定した段階であり、その内訳に関しては何も議論がされていない段階なので、そのうちどれくらいを日本が占めるのかなどに関してお話しできる段階ではない。

――日本では2020年の羽田拡張によるスロットの割り当てに向けての議論が始まっているが、日本とオーストラリア間のキャパシティはもっと増えるだろうか?

オサリバン氏:それは航空会社が答えるべき質問だとは思うが、もちろん常に航空会社とはお話しをさせていただいており、羽田のスロットに関して興味があるというのはどこの航空会社も同じだと思う。そして、それを欲しがっているのは我々だけでなく、米国もカナダも、みな同様であると思う。そしてそれがどのくらい必要かどうかに関しては、需要と供給で決まってくる。

 例えば、ANAはエアバス A380型機のような大きな飛行機を導入してハワイ路線に投入すると聞いているが、飛行機のキャパシティも要素として考えないといけない。いずれにせよ、羽田の割り当てに関して決定されるのは日豪の政府が話し合って決めることになるので、我々としてはその行方に注意を払っている。

――ワーキングホリデーに関して、日本へのアピールは?

オサリバン氏:ワーキングホリデーの最大のターゲットは英独仏のような西ヨーロッパの国家だが、もちろん日本を含む多くのアジアの国とワーキングホリデーに関する協定を結んでいる。どんな市場でも、どんな種類のお客さまであっても、多くのお客さまが来ていただけることは我々にとって歓迎すべきことだ。

 我々はすでに日本でのオーストラリア再発見というマーケティングよりも、ワーキングホリデー関連のマーケティング予算を増やすなどの決定を行なって、注力している。

――シドニーに新空港ができるのはいつになりそうか?

オサリバン氏:西シドニーに新空港を地元政府が計画している。西シドニーは現在オーストラリアで最も急成長している地域の1つだ。現在の計画では2026年に完成する予定だ。空港などのインフラストラクチャーの建設に関しては我々の管轄ではないので直接的なコメントはできないが、オーストラリアの航空需要は増える一方で、新しい空港はそれへの備えになることは歓迎してよいと考えている。

オーストラリアの観光業界はテクノロジーにも常に前向きに取り組む

オーストラリア政府観光局 本局 局長 ジョン・オサリバン氏(左)と日本局長 中沢祥行氏(右)

――オーストラリアでの日本の存在感は上がっているのか?

オサリバン氏:それは我々の日本局長であるジョー(中沢祥行氏)より紹介してもらいたい。

中沢氏:2つのパートがある。1つはパートナーシップで、もう1つはブランディングだ。パートナーシップに関しては、例えばカンタス航空のようなパートナーと引き続き良好な協力関係を構築している。そしてデジタルメディアや我々のWebサイト向けに、オーストラリアの都市や観光地を紹介するブランディングキャンペーンを日本語で行なっている。それで日本のお客さまに対して日本語でまだあまり知られていない新しいオーストラリアの体験という提案を行なっている。

 そしてもちろん日本の旅行代理店に対しても、そうした新しい目的地をお客さまに紹介する取り組みを行なっている。特に2018年からは、南オーストラリアや西オーストラリアの体験の紹介に力を入れている。

オサリバン氏:オーストラリアにはまだまだ皆さんに知られていない魅力的な観光地や体験が沢山ある。例えば、シンガポールが非常によい例だが、東南アジアの国々にとっては西オーストラリアはタイムゾーンも同じで週末に気軽にでかける観光地だ。日本に関しても1時間しか時差がない。そこに直行便という新しい要素が加わることで、魅力がさらに増すのではないか、私たちはそう考えている。

西オーストラリアにはコアラはいない(ユーカリの木が西にはないため)が、もちろん動物園ではコアラと触れ合える体験ツアーは用意されている
オーストラリアを代表する動物の1つであるカンガルー
パース近郊のロットネスト島にしかないというクオッカ

――ATEの記者会見では中国のITベンダーとのパートナーシップを話していたが、例えばLINEのような日本で普及しているチャットソフトなどとの提携は考えているか?

オサリバン氏:もちろんだ。中国は独自のITを利用している市場で、中国のコンシューマがそれを利用しているのだからWeChat(微信)などとの提携を決めた。日本でも同様に考えており、必要があればそうした提携を進めていきたいと考えている。

――日本市場の成長にはどの程度の数字を期待しているか?

オサリバン氏:10%程度の成長を期待している。ここ数年オーストラリアを訪れる日本の観光客は日々増加しており、それに対してオーストラリア側でも十分ハンドルできていると思う。大事なことは今後も我々が日本のお客さまに喜んでいただけるような新しいことをアピールしていくことだと考えている。

――団体旅行は依然として重要か?

オサリバン氏:もちろんだ。その重要性は変わっていない。しかし、それと同時に団体旅行を利用せず、自分で旅程を組んで旅行をする日本のお客さまも増えている。特にそうしたお客さまは、非常に多くの支出をしていただけるので、そうしたお客さまにオーストラリアを訪れていただくことも重要なのは言うまでもない。また、修学旅行需要には引き続き大きな可能性がある。

――日本の観光客が外国を訪れるうえでハードルになることの1つに言葉の問題があるが、それはどのように解決していけばよいと思うか?

オサリバン氏:テクノロジが解決してくれると考えている。QRコードを利用したりサイネージを利用したり、スマートフォンでGoogle翻訳などを利用したりという形になっていくだろう。1990年代のゴールドコーストでは、アナログのオーディオレシーバーなどを使っていたが、複数の言語に対応するのは難しかった。しかし、今ならGoogleやAmazonなどと協力したりすれば、よりよいサービスを提供することができると考えている。

【お詫びと訂正】初出時、ジョン・オサリバン氏と中沢祥行氏の肩書きに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。