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ATE19が開幕。「ANAのパース直行便には非常に大きな可能性がある」と西オーストラリア州政府観光大臣

2019年4月8日~12日(現地時間)開催

オーストラリア政府観光局が主催する「ATE19」が開幕した

 オーストラリア政府観光局(Tourism Australia)が主催する、B2B(Business to Business、業者間)向けの旅行をテーマにした国際会議「ATE19(Australian Tourism Exchange)」が、オーストラリア連邦西オーストラリア州パースにあるパース・コンベンション・センターにおいて、4月8日~4月12日(現地時間)の5日間にわたり開催されている。

 4月9日には主催者のオーストラリア政府観光局を代表して、オーストラリア政府観光局 本局 局長のジョン・オサリバン氏からオーストラリアの旅行業界の概要に関する説明が行なわれたほか、オーストラリア連邦 貿易・観光・投資大臣のサイモン・バーミンガム氏、西オーストラリア州政府 観光大臣のポール・パパリア氏も登壇し、ATEの成功を祝った。

オーストラリア州政府観光局のビジョン

2030年には観光客の支出が1800億ドルになることを目指すとオーストラリア政府観光局 本局長

オーストラリア連邦 貿易・観光・投資大臣 サイモン・バーミンガム氏

 会見の冒頭ではオーストラリア連邦 貿易・観光・投資大臣のサイモン・バーミンガム氏が登壇し、ATE開始から40周年を迎えたことを祝った。

「ATEは40年前にシドニーで始まった。シドニーは今では国際社会へのゲートウェイになっており、2番目の空港の建設も進んでいる。ここパースにはロンドンからの直行便が就航しており、今年はアジアからも新しい直行便もできる。ATEではそうしたオーストラリアの旅行業界をパートナーに紹介するよい機会だ。オーストラリアは、先住民の文化、過ごしやすい気候、きれいな海、美味しいワインや食事……など観光客のすべてのデマンドを満たしてくれる安全でユニークな観光地でり、それをパートナーに訴えていきたい」と述べた。

オーストラリア政府観光局 本局 局長 ジョン・オサリバン氏

 続いて、主催者のオーストラリア政府観光局を代表してオーストラリア政府観光局 本局 局長のジョン・オサリバン氏が登壇し、オーストラリアの観光業界の現状などについて説明した。

 オサリバン氏は、「我々のビジョンはずっと変わっていない。オーストラリアをすべての観光客にとって魅力的で記憶に残る場所にすることだ。そのために、さまざまな投資やテクノロジなどを導入していく」と述べ、オーストラリア政府としても積極的に観光やITなどに投資を行なうことで、オーストラリアの魅力を世界中の観光客にアピールしていきたいと述べた。

 そのうえでオーストラリアの観光業界の現状について説明し、「2009年の段階では700億オーストラリアドル(約5兆5000億円、1オーストラリアドル=約79円換算)だった国内からと国外からを合計した観光客の支出は、2018年には1140億オーストラリアドル(約9兆500億円)と大きく上昇した。2020年にはそれが1300億オーストラリアドル(約10兆3000億円)になることを我々は目指しており、2030年には1800億オーストラリアドル(約14兆3000億円)にしていきたい」と述べ、オーストラリアの観光業が順調に成長にしていることをアピールした。

オーストラリア観光の現状
オーストラリアのインバウンドの需要
国別旅客数と支出の額、日本はどちらも5位

 さらに、2018年の1140億オーストラリアドルの観光客の支出のうち、38%が国外からの観光客であると述べ、2018年12月では44億オーストラリアドルが国外からの観光客の支出で、それは7%の成長率で成長していると説明した。このうち、国別の割合では中国からの観光客が1位で、成長率ではインドからの観光客が1位ということだった。日本は国別の観光客数で、中国、ニュージーランド、アメリカ、イギリスに次ぐ5位。前年比8%の成長で、支出では+11%と拡大傾向にあると説明された。

サプライの状況

 オサリバン氏は、「我々は2020年に必要な2万2000室というホテルの部屋数のターゲットをすでに達成しており、デマンドを満たすだけのサプライを行なっている。また、エアラインではここパースへの直行便としてイギリスからのカンタス航空のフライトを就航し、9月には日本からANA(全日本空輸)のフライトが就航する予定。それにより、座席数も4.4%増えている」と述べ、9月に就航する予定のANAの成田~パース線の就航により、より利便性が増すことで日本からの乗客の増加も期待できることなどを説明した。

9月に開設されるANAの成田~パース直行便には非常に大きな可能性があると西オーストラリア政府観光大臣

ハイバリューの観光客にフォーカス

 そして今後のさらなる成長に向けたプランについてに説明。オサリバン氏は「我々はハイバリューの観光客にフォーカスしている。ハイバリュートラベラーは平均的な観光客に比べて2~3倍の支出をしてくれる。オーストラリアにはそうした旅行者のニーズを満たす、ワインや料理、自然やめずらしい動物などがいる。それらを効果的にアピールしていきたい」と述べ、中国、東南アジアやインド、そして日本でキャンペーンなどを行ない、エアラインの搭乗率が上がるなどの効果を得たと説明した。そのほか、ワーキングホリデーも市場規模が大きいと述べ、英独仏などでキャンペーンを行なっていくと説明した。

各種のマーケティング施策
ワーキングホリデー

 オサリバン氏はIT業界との強力についても説明した。特に中国のIT企業、例えばWeChat(中国版のLINEのようなサービスを展開している)などと協力して、オーストラリア旅行用のミニアプリをWeChatに組み込んだりしていくという。そのほかにも、中国のCTRIPや中国の旅行サイト「Mafengwo」とパートナーシップを結んで、中国の旅客取り込みに取り組んでいくと説明した。

中国のIT企業とのパートナーシップ
IRへの投資も行なう

 最後にATE19が行なわれている地元州となる西オーストラリア政府を代表して、西オーストラリア州政府 観光大臣のポール・パパリア氏が、西オーストラリア州の観光の現状などに説明した。

 パパリア氏は「以前に西オーストラリアに観光客として来ても大自然ぐらいで見るものがなく、少なく退屈だったのではないだろうか。だが、今は完全に変わっている。我々は環境に積極的に投資を行ない、多くのホテルの部屋を確保し、クルーズに投資し、コーヒーに投資し、ワイナリーに投資し……とさまざまな観光資源に投資してきた。

 9月にはANAが成田からのパースへの直行便を開設してくれ、大きな成長の可能性を秘めている。ワイナリーが集まっていることで知られるマーガレットリバーやパースでプレミアムワインのイベントを行なうが、それも開催日数を拡張して行なう。このように我々は観光を中心産業であると考えており、今後も投資やアピールを続けていきたい」と述べ、西オーストラリア州が多くの投資を行なったことで、より魅力的な観光地になったとアピールした。

西オーストラリア州政府 観光大臣 ポール・パパリア氏

【お詫びと訂正】初出時、ジョン・オサリバン氏の肩書きに誤りがありました。お詫びして訂正いたします。