旅レポ

西オーストラリア州マーガレット・リバーのワイナリーで試飲しまくって過ごす日

マーガレット・リバーには最高級ワインを生産するワイナリーが多数存在する

 西オーストラリアを巡るツアーの2日目は、マーガレット・リバーのワイナリーを訪問する日となった。マーガレット・リバーには実に多数のワイナリーがあり、それぞれ特色のあるワインを生産し、オーストラリア国内で消費するだけでなく、国外へも輸出されて人気を博している。

 さほど大酒飲みではない筆者でも、マーガレット・リバーのワインはとても飲みやすく、午後はずっとお酒に酔っ払っている、そんな幸せな1日を過ごすことになった。

岬から岬へのハイキング、運動不足の筆者には苦行だったが、苦行の先には美しい風景が待っていた

Cape to Cape Explorer Toursでハイキングした岬、海が美しく、いかにもオーストラリアという風景

 ツアー初日は、イルカやカンガルーなど野生動物と触れあうという、とても刺激的な1日を過ごすことができた。予定表によれば、2日目の朝は、朝から「Cape to Cape Explorer Tours」に行くとある。英語でExplorerとは、探検とか探索とかだが、探索とはどういう意味だろうとよく理解していない筆者が普段どおりのビジネスカジュアルの格好で向かうと、ほかの参加者は皆「これからジムにでも行くんですか?」という完全武装。

ハイキング入り口の看板。要するに高波や岩から滑って落ちないでねという注意書き。文字どおり自己責任で気を付けろということだ
素足のガイドさんはあんな重そうなリュックを背負っているのにひょいひょい登っていく。普段の取材活動の服装・荷物(ビジネスカジュアル+PC、カメラのバック)で来てしまったことを後悔しているなどとは言えない雰囲気(笑)
坂がとても急……
釣りをしている人も。何が釣れるのだろうか
振り返れば坂が急……
途中でガイドさんが気候や岬のことなどを説明してくれる
展望台らしきところに到達

 筆者はまったく理解していなかったが、これからツアーが向かうのは文字どおり「Cape to Cape Explorer Tours(岬の先から次の岬の先までの探検ツアー)、つまりハイキングだ。

 コースは、獣道のような道なき道を登ったり降りたりする。そのガイドさんと言えば、屈強な肉体を駆使してひょいひょい登っていく。それに対して、仕事と言えばPCのキーボードを叩くだけで明らかに運動不足気味の筆者にとっては苦行、苦行、苦行の連続……その後も登ったり降りたりを繰り返しながら、結局3時間のハイキングになった。確実に言えることは筆者のかかりつけ医は大喜びだったに違いないということだ……。

海と空が美しく、心洗われる想いだった……

 だが、それもハイキング中に見えたインド洋の美しさ、苦行のあとの休憩中にガイドさんが出してくれたなんてことないコーヒーがあまりに美味しくて、それだけですべてが取り返せた気がした。せっかく旅行に来ているのだから、普段しないようなことをすべきだというのは、本当にそうだなと感じた午前中だった。

マーガレット・リバーの最大の見どころは各地に点在しているワイナリー、オーストラリアの高級ワインの産地でもある

Vasse Felixのワイン倉庫

 ハイキングが終わったあとは、ワイナリーへ移動してワイナリーの倉庫を見学させてもらったり、昼食を取ったりした。実はこの日の午後はずっとワイナリーを訪問する時間が続き、有り体に言えば「飲みっぱなし、酔っ払いっぱなし」という状況だった。

 その話に移る前に、西オーストラリアのワインの名産地であるマーガレット・リバーについて説明しておく必要がある。広大なオーストラリアは地方によって天候がまったく異なっており、特に南極寄りの南側には、ブドウの生育にちょうどよい気候の地域が多く、多くのワインの名産地がある。例えばアデレードなどもそうで、アデレード周辺には多数のワイナリーがあり、そこでは多くの高級ワインが生産されている。

 西オーストラリア州で南側に位置しているマーガレット・リバーも同様で、生産量こそオーストラリア全体の5%以下だが、最高級のワインの5分の1はここで生産されているというほど高水準のワイナリーが集中している。それぞれのワイナリーは異なる特徴を持っており、生産の様子を見せてくれるところ、特徴的なワイン倉庫を見せてくれるところ、それぞれのワイナリーが異なるアトラクションを用意していることが多い。

Vasse Felix
販売されているワイン
倉庫に眠るビンテージモノのワイン

 この日に最初に行ったのは「Vasse Felix」というワイナリー。このワイナリーにはレストランが併設されており、この日のお昼ご飯もここでいただくことになった。

Vasse Felix

所在地: Caves Rd & Tom Cullity Drive, Margaret River WA 6284
Webサイト: Vasse Felix

 まずはワイナリーにはつきものの試飲。白と赤のワインを楽しんだあとで、ワイナリーの見学に出かけることになった。ワイナリーに併設されているブドウ畑でブドウを試食したり、ワイン工場に併設されているワイン倉庫で、普段は見ることがないワインの樽などを見学したりした。

敷地内にはブドウ畑が広がる
ブドウの木
ブドウ
ワイン工場

 そのあとは昼食。ふとメニューを見ると前菜の選択のなかに「Kangaroo」の文字を発見。実はカンガルーは食用の肉としても流通しており、食べることができるのだ(日本にも輸出されており、レストランなどで食べられる)。前の日にカンガルーと戯れたばかりなのに、食べちゃうなんてという向きもあると思うが、食物連鎖の最上位にいる人類の一員として命のありがたさに感謝しつつ、いただくことにした。

ワインの試飲
カンガルーの蒸し焼き
ビーフステーキ
チーズとブレッド
フラットホワイト

 気になるお味だが、ちょっと堅いビーフといったところだろうか。正直にいってものすごく美味しいというほどではないが、まぁまぁな牛肉という感じだった。メインコースには牛肉のステーキを選び、すでにお昼なのにお腹がいっぱいになり、いつものとおり、オーストラリアのミルク多めのカプチーノになる「フラットホワイト」を食後のコーヒーとして注文して大満足の昼食となった。

それぞれに特徴があるマーガレット・リバーのワイナリー

 この日の午後はワイナリー訪問が続き、続々とワイナリーを訪問し、試飲を繰り返した。どこのワイナリーもやはり試飲には力を入れており、油断しているとどんどんグラスにつがれてしまい、最後の方はもう酔ってフラフラになるように……お酒が大好きな人にとっては、このマーガレット・リバーはまさに「パラダイス」と言ってよいのではないだろうか。前日に訪問した分を含めて、訪問したワイナリーは以下のとおりだ。

Clairault Streicker Wines

所在地: 3277 Caves Rd, Wilyabrup WA 6282
Webサイト: Clairault Streicker Wines

Clairault Streicker Wines
Howard Park

所在地: 543 Miamup Road, Cowaramup WA 6284
Webサイト: Howard Park

Howard Park
MadFish Wines

所在地: 137 Fifty One Rd, Cowaramup WA 6284
Webサイト: MadFish Wines

MadFish Wines

 ワイナリーを巡っていて気が付いたのは、同じワイナリーでもそれぞれに特徴があるということだ。あるワイナリーはワインだけでなくチーズの販売にも力を入れていて、チーズと一緒に出してくれてその美味しさに舌鼓を打ったりなど、さまざまな工夫をしている。あまりお酒は飲めない筆者でも、チーズとセットで出されると、ついつい飲み進めてかなり酔っ払ってしまった。

 試飲したワインはその場で購入することもできる。もちろん日本に持って帰る場合には、それなりに準備(免税範囲を超える場合には申請して、割れないように預け入れ手荷物として預け入れるための用意)などが必要になるが、滞在中のホテルで飲んだりする分にはそれも必要ないので、持って帰るならそれなりの準備を、持って帰らないならホテルの部屋でおつまみでも用意しながら楽しむのがよいだろう。

夕飯にはオーストラリア産の「WAGYU」を美味しくいただく

宿の近くで日の入りを堪能

 1日で3軒のワイナリーを回るという充実の午後を過ごしたあとは、昨晩泊まった宿に戻り、近くで日の入りを堪能したあとで夕食に出かけた。

徐々に明かりが変わっていく様子

 夕食をいただいたのは「Cape Lodge」というホテルにあるレストラン。このCape Lodgeのレストランでは、マーガレット・リバーの地場料理を出すレストランとして知られており、この日もWAGYUビーフとホタテのカルパッチョが前菜として出され、メインコースはラムだった。なお、「WAGYU」と言っても日本の和牛ではなくて、日本の牛が先祖になっているオーストラリア産の牛(なのでアルファベットでWAGYU)となる。日本人としてはオーストラリア産で「WAGYU」と言われるととても不思議な気分だが、もちろんアンガス牛のようなほかのオーストラリア産の牛肉と同じように美味しかった。

WAGYUのカルパッチョ
魚のトルテッリ
ステーキ
デザート

 そんなこんなで、普段はしないよい運動から始まり、ワイナリーを巡って試飲だけで酔っ払うという幸せな1日もこれでクローズ。結局この日もベッドに入るとそのまま朝まで起きないという幸せな夜を過ごすことができた。

笠原一輝