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「みやこ下地島空港ターミナル」竣工式。玉城デニー沖縄県知事らが完成を祝う

「ネット・ゼロ・エネルギービルの取り組み」と三菱地所 吉田淳一社長

2019年3月16日 竣工式

2019年3月30日 オープン予定

三菱地所株式会社 代表執行役 執行役社長の吉田淳一氏(中央)、沖縄県知事の玉城デニー氏(右から2番目)らが笑顔で鏡割り

 三菱地所と下地島エアポートマネジメントが3月30日の開業に向けて準備を進める「みやこ下地島空港ターミナル」が3月11日に竣工し、16日に竣工式を実施した。

 下地島空港の運営は沖縄県、「みやこ下地島空港ターミナル」の運営は下地島エアポートマネジメントが行なう。国内外の旅行者に対し宮古諸島の魅力を伝えるための拠点となり、沖縄全域への観光振興の発展を後押しすることが期待されている。

CLT(直交集成板)を多用し、アラワシ構造を採用した「みやこ下地島空港ターミナル」のチェックイン棟

 下地島空港は、1979年から続く国内初のパイロット訓練飛行場としての機能とともに、新ターミナルの完成で、リゾートとして人気の沖縄・宮古エリアの新しい玄関となり、国内線、国際線の強化を担う。

「みやこ下地島空港ターミナル」は、チェックイン棟とラウンジ棟に分かれており、CLT(板の方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大判のパネル)と呼ばれる木材を多用したぬくもりのある空間と開放的な雰囲気が特徴だ。「空港から、リゾート、はじまる。」をコンセプトに、リゾートホテルのロビーを彷彿させる内装デザインとなっている。

 また、「メイド・イン・宮古」として地元産の食材を積極的に活用。棟内の軽食カウンター、バーを地元のグルメを発信する場所として位置付け、地域活性化への貢献を目指す(関連記事「『みやこ下地島空港ターミナル』、3月30日のオープン前に内覧会。開放感あふれる新しい沖縄・宮古島の玄関」)。

 3月16日の竣工式では、国際ターミナル側にて祝詞奏上、清祓之儀などが行なわれ、完成を祝った。

「みやこ下地島空港ターミナル」の外観
屋根と同様に壁などで木材を活用し棟内全体がナチュラルな雰囲気に
ラウンジ棟の中央にはカフェ&バーも。ゆったりとくつろげる空間に
「メイド・イン・宮古」として地元食材を採用したメニューが味わえる
国内線の搭乗ゲート。2ゲートでの運用となる
3月16日に竣工式が行なわれ関係者らが出席

新旅客ターミナルが慕われ、多くの人々に利用されるよう祈願

 竣工式後には竣工記念レセプションパーティを開催。琉球國祭り太鼓 宮古支部の面々が登場。エイサーを現代風にアレンジした力強い演舞で会場を沸かせた。

琉球國祭り太鼓 宮古支部のメンバーが大太鼓片手に演舞
力強いサウンドと踊りで会場を盛り上げた

 施主あいさつとして三菱地所 吉田淳一社長がステージへ。冒頭で関係者らに感謝を伝え、「沖縄県は世界トップレベルのリゾート地にすることを目標に掲げています。少しでも戦略に寄与したいと思い、今回三菱グループの総力をあげて空港整備に取り組ませていただきました。

 宮古島はすでに世界屈指のリゾート地です。それにふさわしい空港整備により、さらに国内外から多くのお客さまにお越しいただけると確信しております。ぜひ地域の皆さま、沖縄県、日本の観光に携わる方々と一緒に手をとって、日本・宮古島を盛り上げていきたいと思います」とあいさつ。

三菱地所株式会社 代表執行役 執行役社長 吉田淳一氏があいさつ

 さらに使用した木材CLTや今後の取り組み関しても言及。「日本の空港にこれまでなかったような開放的、かつCLTを活用しております。日本の建築でこれほどまでしっかりとCLTを活用しているのは初めてではないでしょうか(2017年10月11日現在、日本CLT協会調べで1棟あたりの使用量で日本一)。

 宮古島・下地島の空のブルーとエメラルドグリーンの海にマッチした風合いにこれから育っていく予定ですのでよろしくお願いいたします。また、新旅客ターミナルでは『ネット・ゼロ・エネルギービル(ZEB)』の取り組みで、エネルギーゼロにしていきたいと考えております。宮古島はエコアイランドですので、その考えと合致したものに仕上げていきたいと思います」と締めた。

建材として活用されたCLTについても紹介した

 来賓からはまず、内閣府特命担当大臣の宮腰光寛氏が祝辞を述べた。本土復帰以降の取り組みについて言及し、近年はクルーズ船の寄港やホテルの建設ラッシュなどを挙げ、かつてない盛り上がりを見せていると紹介し、「新ターミナルの開業は、2015年の伊良部大橋の開通により可能となった下地島空港の利活用を大きく進めるものであり、大きな可能性と潜在力を有しております。

 引き続き官民の創意工夫を活かしたエアポートセールスが行なわれるとともに、連携した受け入れ体制を整備することにより宮古圏域、沖縄の振興をさらに加速させるものであると確信しております。

『平成31年度税制改正の大綱』において関係者のご尽力により航空機燃料税の軽減措置の対象に下地島空港を加えることが盛り込まれました。引き続き宮古県域の一層の振興、沖縄のますますの振興・発展の向けて内閣府特命担当大臣として必要な支援を講じていく所存でございます」と述べた。

内閣府特命担当大臣 宮腰光寛氏

 続いて、沖縄県知事の玉城デニー氏が祝辞と、下地島空港の活用までの経緯・利活用への期待を語った。「下地島空港は1979年7月に我が国唯一のジェットパイロット養成の実機訓練飛行場として開港しましたが、時代の移り変わりとともに地方空港の役割が多様化するなか、下地島空港においても新たな役割が求められておりました。そのため、沖縄県では広く事業提案の募集を行ない、新たな利活用の促進に取り組んでまいりました。

 その結果三菱地所に実施していただくこととなった『国際線等旅客施設整備・運営及びプライベート機受入事業』は、旅客ターミナル施設の整備運営をとおして国際線定期便をはじめ、国内線LCC定期便やチャーター機、プライベート機など多様な航空需要を担うものであり、宮古圏域のみならず本県全域への波及効果があると期待するものであります。

『みやこ下地島空港ターミナル』の開業により、下地島空港は宮古圏域の第2の空の玄関としてスタートを切ります。今後、航空内外の多くの方々に下地島空港を利用して宮古地域を訪れていただけるよう、関係者の皆さまと協力して取り組んでいきますので引き続きご協力をよろしくお願いいたします」と、関係者への協力と空港、旅客ターミナルの積極的な利用をアピールした。

沖縄県知事 玉城デニー氏

 宮古島市長の下地敏彦氏は、「実用的かつ利便的な機能を備えながら『空港から、リゾート、はじまる。』というコンセプトのとおり、訪れた瞬間から宮古の空・太陽・風を感じられる作りはまさに亜熱帯・南国に位置する宮古島市にイメージに合致するものであります。

 空港機能のみならず観光施設としても十分に活用可能な施設であると思っております。また、木のぬくもりや優しさを感じさせる木材の利用や省エネルギーへの取り組みも推進する新旅客ターミナルの特徴は、本市が目指すエコアイランド宮古島宣言に通じております。

 なお、入域観光客数は2017年度過去最高となる約99万人に対し、2018年度は約110万人を突破する勢いでございます。とりわけ飛躍的な海外観光客数の伸びによって国際化が急速に進んでおり、そのなかで『みやこ下地島空港ターミナル』の開業は国際化と観光産業に大きく寄与するものであると期待しております」と語った。

宮古島市長 下地敏彦氏

 レセプションパーティでは、宮古島大使のオペラ歌手の中丸三千繪氏によるパフォーマンスも。「宮古島が好きで7年間住んでいました。日本の宮古島ではなく、世界に通用する海を持つ宮古島を世界に伝えています」と宮古島愛を語り、ジャコモ・プッチーニ作曲の「私のお父さん」、フランツ・シューベルト作曲の「エレンの歌第3番(アヴェ・マリア)」、美智子皇后陛下作詞の「ねむの木の子守唄」など全5曲を歌唱。会場を感動で包み込んだ。

オペラ歌手 中丸三千繪氏による歌唱が披露され、会場が荘厳な雰囲気に
会場が一気に歌の世界へと引き込まれた

 セレプションパーティのラストには鏡割りと乾杯を実施。沖縄らしく泡盛の酒樽が並べられ、来賓らが木槌を持ち、掛け声に合わせて勢いよく鏡割りを行なった。新旅客ターミナルの開業を祝福し、レセプションは閉幕した。

三菱地所の吉田淳一社長、内閣府特命担当大臣の宮腰光寛氏、玉城デニー沖縄県知事らが鏡割りに参加
掛け声に合わせて木槌で鏡割り
笑顔で「みやこ下地島空港ターミナル」の竣工とスタートを祝った

「インフラとして安心・安全を根付かせ、次の展開へ」と三菱地所 吉田社長

 レセプション後の囲み取材で三菱地所の吉田淳一社長は、「宮古諸島のポテンシャルを非常に感じます。今後の増便に期待しておりますし、そうなると信じております。まずは安定的な運営を目指し、インフラですので安心・安全を含めしっかりと根付かせていきたいと思います。そのうえで我々は不動産事業も行なっていますので今後観光に寄与できる形でいろいろ検討できればと。

 まずはいろいろな地域からお越しいただけたらうれしいですね。東南アジアを含めてニーズが増えていくと思いますし、宮古島にお越しいただき、その後日本のどちらかの空港へというような周遊ルート的なものも形作っていけたらと。また、プラベートジェットにつきましても、日本は就航できる空港がまだ多くはないので、そのあたりも受け入れをしていければと思います」と話した。

三菱地所の吉田淳一社長は「みやこ下地島空港ターミナル」と今後の展開などについてコメント

 また、国内線については「首都圏や関西圏はジェットスター・ジャパンさまに就航いただきますが、今後伸びる北海道エリアを含めて先ほどの周遊ルートの作り込みにより可能性は広がると思います」とした。

 さらにCLTに関して「建材として非常に軽量で使い勝手も豊富ですので、国産材の活用や日本の循環型社会を作っていくうえでの社会課題の解決の一つとして認識しています。今回は、住宅とは異なり、木目の肌の温かさやぬくもりを出せるのでCLTをアピールできるのではないかと。

 青い空とエメラルドグリーンの海、下地ブルーの豊かな自然とマッチングし、リゾート感あふれる空間が生み出せたと思います。今後も日本の木材の有効活用と木のぬくもりを空間づくりで活かすというCLTならではのよさをアピールしていきます」と語った。

 地域や利用者へは「すでに宮古島は自然環境や美味しい食べ物を含めて、観光資源が豊富な観光の一大拠点であると思います。その一大拠点に色付けをする意味でもこの新しい下地島空港、みやこ下地島空港ターミナルは皆さまに愛していただける空港だと確信しております。飛行機に乗るために空港を訪れるだけではなく、空港を楽しむ場所としてご利用いただければと。ぜひ皆さまとともに宮古、沖縄県を盛り上げていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします」とコメントした。

「アイランドホッピングなどで下地島便の活用も視野に」香港エクスプレスのジョナサン・ハット氏

 7月19日から下地島空港初の国際定期便として香港国際空港~下地島空港線を火・金・日曜の週3往復での運航が決定している香港エクスプレス。式典参加のために訪れていた香港エクスプレス コマーシャル・ダイレクターのジョナサン・ハット氏へ新路線への思いを聞いた。

香港エクスプレス コマーシャル・ダイレクター ジョナサン・ハット氏

 ジョナサン・ハット氏は、「すでに石垣に就航しており、沖縄での第2の就航となりました。リピートのお客さまから多くご利用いただきますので、新たな就航都市をご提案するためにも就航を決めました。

 宮古島には独特の文化やキュイジーヌがありますので、ショートタイムトラベルをするにはぴったりではないかと思います。石垣は香港マーケットでハイブランドバケーションとして認知されていますので、宮古島と石垣のアイランドホッピングも実現させたいですね。

 現在香港空港の発着枠が厳しく、なんとか3スロット取ることができました。週3往復からのスタートとし、まずはこのスロットを使いまして宮古島や下地島のよさを香港の利用者に味わっていただければと思います。今後、新たなスロットが空き次第デイリーに向け頑張っていきたいと考えています」と就航に向けて語った。

 ターミナルについては、「とてもナチュラルな印象を受けました。香港はとても都会ですので、空港に着いた瞬間に必ずリラックスできると思います。また、沖縄や宮古島は住んでいる方々はとても親しみやすく、訪れた訪問者を歓迎してくれて、心がとてもあたたかくなる場所だと感じています。利用者の方は、この新ターミナルから始まる旅、出会い、アドベンチャーを楽しんでもらえたらうれしいですね」と話した。

みやこ下地島空港ターミナル 概要

開業日: 2019年3月30日
所在地: 沖縄県宮古島市伊良部字佐和田1727番地
敷地面積: 3万2586m 2
延床面積: 1万2027m 2
規模・構造: RC造 一部鉄骨造及び木造(CLT)・地下1階 地上2階(旅客エリアは地上1階のみ)
空港施設: チェックインカウンター12か所、搭乗ゲート3か所、到着ロビー国際線・国内線各1か所、飲食店2店舗、物販店3店舗(免税店含む)、バス乗り場、タクシー乗り場、レンタカー受付カウンター、ATM