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環八で1時間のルートを12分に短縮。東名と関越道を接続する外環道の大泉JCTでシールドマシン発進式開催

北行きが「カラッキィー」、南行きが「グリルド」

2019年1月26日 実施

外環道の関越自動車道~東名高速道路間を接続。大泉JCT南行きトンネル工事で使用される国内最大シールドマシンのカッターヘッド。たくさんのビットが見える

 国土交通省 関東地方整備局およびNEXCO東日本(東日本高速道路)、NEXCO中日本(中日本高速道路)は1月26日、大泉JCT(ジャンクション)の予定地(東京都練馬区)において、外環道(東京外かく環状道路)の関越自動車道~東名高速道路間のトンネル工事で使用するシールドマシンの発進式を行なった。

 東名高速から向かう工事で使用するシールドマシンについては、2017年2月19日に発進式が開催されていて、現在も工事は進行中。

練馬側からのシールドマシンの発進式が行なわれた大泉JCT
大泉JCTのループ道路内に式典会場が作られていた
東京外かく環状道路(関越~東名)シールドマシンの発進式

 発進式には、国土交通大臣 石井啓一氏をはじめ、東京都知事 小池百合子氏、衆参両国会議員、都議会議員、周辺区長など約190名が列席した。

国土交通大臣 石井啓一氏

 冒頭に主催者を代表してあいさつに立った石井国土交通大臣は、「外環道の東京区間は平成19年(2007年)に沿道環境に配慮し、地下トンネル構造に都市計画を変更したのち、事業に着手し、本日東名高速側からに続き、関越道側からもシールドマシンを発進できる節目となった」と報告。「今後、この区間の1日も早い開通に向け、安全を最優先に工事を進めていく。外環道が環状道路として、機能を最大限発揮できるよう、東名高速以南の湾岸部につなぐ計画の具体化も進める。首都圏三環状道路の整備は約8割まで進んでいて、残る区間の全線開通と4車線化について、引き続き整備を続けていく」と述べた。

東京都知事 小池百合子氏

 続いて東京都知事 小池百合子氏が登壇し、来賓として祝辞を述べた。「わが国が持続的な成長を遂げるには東京が日本を牽引する必要があり、経済の血液である人と物のスムーズな流れを確保するために、大動脈の外環道は大幅な効率化に重要」と位置付けた。2018年6月の千葉区間開通により、都内の交通量が減りストック効果が現われていることにも言及。東京都として関係機関と連携し、東名高速~湾岸部へ計画の具体化へも取り組んでいき、外環道の一日も早い開通を望むと述べた。

 そのほか、7名が登壇し祝辞を述べ、続けて来賓の紹介があった。

衆議院議員 菅原一秀氏
参議院議員 佐藤信秋氏
東京都議会議員 東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟副会長 木村基成氏
練馬区長 前川耀男氏
杉並区長 田中良氏
狛江市長 松原俊雄氏
東京外かく環状道路整備促進連絡会議 東京商工会議所 常務理事 西尾昇治氏

 続けて、シールドマシンの命名発表と記念品贈呈が行なわれた。近隣の大泉北小学校の児童に愛称を募集して集まった371通の応募のなかから、2台のシールドマシンの名前は、北行きが「カラッキィー」、南行きが「グリルド」に決まった。

北行きの名称は「カラッキィー」
南行きの名称は「グリルド」
命名者にはパネルと記念品の贈呈
大泉北小の命名者

 最後に、主催者と来賓、命名者の計24名による「シールドマシン発進スイッチ押釦(おしぼたん)」を実施。24名が手元のボタンを押すとシールドマシンのカッターフェイスが回転する様子がモニターに映し出されて、発進式は終了した。

24名によるシールドマシン発進スイッチ押釦
石井大臣や小池都知事、シールドマシン命名者の小学生も参加
シールドマシンのカッターフェイスが回転する様子がモニターに映し出された

 外環道はいわゆる「首都圏三環状道路」の1つで、首都高速中央環状線と圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の間に位置する半径約15km、延長約85kmの道路。2018年6月2日には千葉湾岸地域と接続する三郷南IC(インターチェンジ)~高谷JCT間が開通し、大泉JCT~高谷JCT間が約49kmとなっている(関連記事「NEXCO東日本、外環道 三郷南IC~高谷JCT開通記念セレモニー。石井啓一大臣や森田健作県知事が出席」)。

 外環道(関越~中央~東名)シールドトンネル工事は、外環道と関越自動車道のつながる大泉JCTから、中央自動車道を経て東名JCT(仮称)でつながる東名高速道路まで、ほぼ全線の16.2kmを地下トンネルでつなげる工事。外環道 大泉JCT以南は多くの部分で地下40m以上の深さの大深度地下トンネルを掘削するシールド工法のトンネル工事となっている。大深度地下の利用では用地取得が不要となり、予算を抑え、完成を早めるメリットがある。

 トンネルは内径が14.5m、外径が15.8mとなり、全線で片側が3車線分ある。南行きと北行きのトンネル2本で計6車線。開通により新設される予定の出入口は、目白通りIC、青梅街道IC、東八道路ICの3か所。換気所が合計5か所で、東名JCT、中央JCTに2か所、青梅街道IC、大泉JCTに設置される。

 練馬JCT側からの本線トンネルは南行きをNEXCO東日本、北行きをNEXCO中日本が発注。南行き、北行きトンネルを2台のシールドマシンが同時に東名IC方面に向け、約7kmを2年半かけて掘り進める。大泉JCTと東名ICの両端から掘り進んだシールドマシンは、中間地点の井の頭通り付近で地中で接合する。接合地点では立坑は掘らず、凍結工法で地下水の流入を防ぎながらシールドマシンを解体しトンネルを接合する。

 現在一般道の環状八号を使っているルートが、そのまま地下高速道になり、これまで順調でも約1時間かかっていたものが、約12分と大幅に時間短縮ができるようになる。

発進式会場に展示されていた解説パネル「東京外環プロジェクト・女性技術者の会」が作成し解説している
今回シールドマシンが設置されている大泉JCT北側の解説
シールドマシンの組み立て工程(南行き)
シールドマシンの組み立て工程(北行き)
掘った土をベルトコンベアの解説
トンネル上となる大泉JCT南側の解説
JCTとICの解説
中央道と接続する中央JCTの解説
東名と接続する東名JCTの解説
シールドマシンの構造を解説
待ち時間にはシールドマシンを組み立てる様子のタイムラプス映像も流されていた

 発進式の終了後には、シールドマシンが公開された。シールドマシンは、片側3車線の本線トンネルを掘削できる直径約16.1mで総重量約4000トンの国内最大のもの。今回はNEXCO東日本が発注する南行きシールドマシンを見ることができた。

 南行きの前面カッターヘッドには、約1000個の「ビット」と呼ばれる、土砂の切込みやかきこみをする歯が付いている。赤は支障物を切削する支障物切削用ビット、黄が先行して土砂の切込みをする長寿命化ビット、白が土砂のかきこみをする1次メインビット、青も同じ役割の2次メインビット、普段は引っ込んでいて非常時に出して使う銀色の可動式予備ビットがある。このビットがカッターフレームと呼ばれる16本のスポーク(黄緑)に取り付けられている。

シールドマシンを後部から見ている
シールドマシン後部
石井大臣と小池都知事が現場を見学した
前方側へと入っていく部分
シールドマシンの前面部分。カッターヘッド
カッタービット。赤は支障物切削用ビット、黄が長寿命化ビット、白が1次メインビット、青が2次メインビット
非常時に出して使う銀色の可動式予備ビット
固められているが、ここから掘り進めていく面
シールドマシン本体横
本体横の前方部分に名前とイラストが書かれていた
隣の北行きシールドマシンが覗けた
カッターフレームはカッタービットの色が異なる
現場での解説パネル。航空写真
トンネル工事のルートと使われる4基のシールドマシン
今回見学した大泉JCTから南行きのシールドマシン
外環道の大泉JCT~新倉PA間の中央分離帯には7kmに渡って土砂を運び出すコンベアがすでに設置されている
今回見学した場所を外環道上から見たところ