ニュース
六甲アイランド~ポートアイランド~駒栄を大阪湾岸道路で接続。全国ワースト1の3号神戸線渋滞解消へ
国交省、阪神高速など大阪湾岸道路西伸部起工式
2018年12月22日 15:26
- 2018年12月22日 実施
国土交通省 近畿地方整備局と阪神高速道路、兵庫県、神戸市は12月22日、神戸・六甲アイランドで大阪湾岸道路西伸部の起工式を行なった。
大阪湾岸道路とは、神戸淡路鳴門自動車道(E28)垂水JCT(ジャンクション)から関西空港自動車道(E71)りんくうJCTまでの延長約80kmを結ぶ自動車専用道路で、これまでに阪神高速5号湾岸線 六甲アイランド北IC(インターチェンジ)からりんくうJCTまでの約59kmが開通している。
今回起工したのは、5号湾岸線 六甲アイランド北ICから31号神戸山手線につながる駒栄ランプ(仮称)まで、神戸市東灘区の六甲アイランドから中央区のポートアイランドを経由して和田岬を越えて、長田区西池尻町のまでの延長約14.5km。3号神戸線と並行するように6車線の道路が2つの島を渡る。事業の総費用は約5000億円、完成までは10年程度を見込んでいる。
その効果は、渋滞による損失時間で全国ワースト1になっている3号神戸線下りの西宮JCT~第二神明接続部、およびワースト2の3号神戸線上り 第二神明接続部~西宮JCTを回避するルートを選択できるようになることが大きい。開通すれば神戸空港から関空まで海沿いのルートができるほか、神戸港や大阪港と都市部、関西3空港(伊丹、関空、神戸)など物流拠点を結ぶルートが整備されることになる。また、交通事故などで3号神戸線が通行規制された場合の代替路としての効果も発揮する。
もう少し具体的に西伸部を説明すると、現状5号湾岸線の六甲アイランド北ICまで供用されている道路を島の西端まで伸ばし、「六甲アイランド西ランプ(仮称)」を新設、そこからポートアイランドの東端に新設する「ポートアイランド東ランプ(仮称)」までの間は国内最大級の長大橋を架ける。その下は世界最大級の大型客船でも通過できる桁下高65.7mを確保し、神戸港(神戸ポートターミナル)の客船ターミナルとしての能力を維持する。
ポートアイランドの西端には「ポートアイランド西ランプ(仮称)」を新設し、そこから和田岬までを架橋、本土に入ってから「駒栄ランプ(仮称)」まで西伸し、31号神戸山手線に接続する。
起工式には国土交通省、阪神高速道路、兵庫県、神戸市の関係者をはじめ、阪神湾岸地域高速道路網整備促進国会議員連盟の構成メンバーや地元の議員らが臨席。
主催者を代表して登壇した国土交通省 道路局長の池田豊人氏は、最初の着工は六甲アイランドの港下部の関連工事と駒栄地区のトンネル工事であることを説明、兵庫県知事の井戸敏三氏、神戸市長の久元喜造氏があいさつを行なった。
阪神高速道路 代表取締役社長の幸和範氏は、「この起工式で長年の夢の第一歩を踏み出すことができた。大阪湾岸道路西伸部は、慢性的な渋滞で知られる3号神戸線の混雑解消、阪神港の機能強化など、阪神地域の持続的な発展に不可欠。
この道路の構造物の検討では、従来の阪神高速道路ネット260kmの建設・管理の技術的知見に加えて、阪神大震災で被災した経験を踏まえた免災の技術、長期の維持管理を見据えた新技術の導入などに取り組んでいる。特に長大橋については、学識経験者で構成する委員会で、災害時のネットワーク機能、長期にわたる健全性の確保、港・神戸にふさわしい景観の創出をコンセプトに、橋梁形式について議論してきた」と述べ、開通効果だけでなく開通後の維持管理を含めて検討を重ねてきたことに言及した。
また、阪神湾岸地域高速道路網整備策新国会議員連盟で会長を努める参議院議員の末松信介氏は、2016年の事業化から今日までを振り返り、「川西ICから神戸JCTの新名神が開通したことで、宝塚トンネルの渋滞は7割減少した。これから人口は減少するが、クルマの数がどうなるかは分からない。いずれにせよ自動運転の受け皿となる高速道路の整備が求められる」として、着工したばかりの6車線道路の将来の展望を語った。
会長代行を努める衆議院議員の赤羽一嘉氏は、「私は初当選から25年間、本事業に関わってきたが、今日の日は夢のよう。地方自治体の財政が厳しいなか、これだけ大型の事業が実現するのは想像しにくい状況だったが、兵庫県と神戸市が本気になって進めてきたことが大きい。予算の確保など、皆さんの熱い想いにこれからも応えていきたい」と継続的な支援を約束した。
関係者のあいさつののち、着工を記念して「クワ入れ」を実施。関係者が盛り砂にクワを振り下ろし、一日も早い竣工と工事の安全を祈念した。