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京急、地域連携型MaaS実現に向けて「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」第2期募集。「最終的にM&Aの可能性も。大きな事業展開に期待」
2018年11月21日 20:10
- 2018年11月21日 発表
京急(京浜急行電鉄)とサムライインキュベートは11月21日、ベンチャー企業やスタートアップ企業とのオープンイノベーションで新規事業の創出を目指す「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第2期を開始することを発表した。
これは、「モビリティを軸とした豊かなライフスタイルの創出」をビジョンとする新規事業創出に向けた取り組みであり、「Mobility」(移動)、「Living・Working」(暮らし・働き方)、「Retail」(買い物)、「Entertainment」(観光・レジャー)、「Connectivity」(テクノロジ)の各テーマにおいて、ベンチャーおよびスタートアップ企業からアイデアを募り、新たな顧客体験を生み出すことを目指すもの。さらに鉄道を軸とした移動インフラと各サービス、沿線地域をつなげる「地域連携型MaaS」の実現を図るとする。
京急のこの取り組みをパートナーとして支えるのがサムライインキュベートだ。同社ではグローバルでのスタートアップ企業への投資・育成とともに、大企業のオープンイノベーションを積極的に推進することを狙う「サムライインキュベートファンド6号」を運営している。このファンドに対して京急も出資を行なっており、KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMで採択した企業に対し、このサムライインキュベートファンド6号を通じて出資するなど、プログラムとファンドの連携も積極的に行なうとした。
プログラムのスケジュールは、まず12月10日に事前説明会を行ない、2019年1月18日に募集を締め切る。そして2019年3月18日に事業審査会を実施し、5社程度の企業を採択する予定だ。その後、2019年4月から7月の事業共創期間(テストマーケティング)を経て2019年8月に成果発表会を実施、2019年9月以降に事業共創の実現を目指すという。
KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMに採択されれば、鉄道や不動産、レジャー施設、流通といった京急のアセット(資産)をテストマーケティングに活用できるほか、サムライインキュベートからの1000万円の出資の検討、社内外のエキスパートによる伴走支援、そして横浜市、横須賀市、三浦市の各地域/沿線パートナーによるサポートが受けられるとした。
2017年10月に募集を開始した同プログラム第1期では、187件の応募から7社が採択されており、現在まで4件の実証実験および事業連携が実現されている。具体的には、エンジョイワークスのクラウドファンディングを活用した空き家の再生、チャプターエイトのビジネスホテルにおける民泊のチェックイン代行事業、日本美食が展開するQRコード決済の導入と外国人の回遊性向上を目指した取り組み、そしてヤマップの三浦半島における新たな観光資源の掘り起こしを狙う「MIURA ALPS PROJECT」がある。
当日行なわれた発表会において、京急 新規事業企画室 部長の沼田英治氏は「アクセラレータプログラムは期間が決まっている。期間内に実証実験を通じて成果を得られるため、取り組みがスピーディという意味での長所はあるが、それが終わったあとに事業連携に結び付けて発展させていくことが、第1期の取り組みを通じて感じた課題」と話す。そして第2期のKEIKYU ACCELERATOR PROGRAMに対して「アクセラレータプログラムが完了したあと、事業連携、あるいは最終的にはM&Aなどもう少し大きな取り組みにつながっていく可能性もあると思っている。そういったところまで事業を広げていけるかに期待している」と述べた。
サムライインキュベートの創業者で代表取締役 共同パートナーの榊原健太郎氏は、KEIKYU ACCELERATOR PROGRAMに応募してほしい企業像として「アマゾンなどインターネットの巨人がリアルに進出してきている。そのため、インターネットというバーチャルな世界からリアルをどうつなげるのか、そしてリアルな空間をどう組み上げていくのかといったところを大きな視点で考えられるスタートアップに来てほしい」と話す。
また榊原氏は今回のKEIKYU ACCELERATOR PROGRAMのロゴは「志」と「NEXT」をデザインしたものであることを紹介しつつ、「ひどい戦争があったが、73年前の人たちの志の積み重ねが今の豊かな日本を作っている。このプログラムによって作られたモノが73年後に感謝されるモノを作る、そういった志を持ったスタートアップに期待したい」と語った。