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「スキー、スノボで現金を持ち歩く不便さをスマホ一つで解消」。北海道・ニセコひらふエリアで電子地域通貨の実証実験スタート

QRコード決済でのキャッシュレス化で利便性向上、地域活性化を目指す

2018年11月23日 開始

ニセコひらふエリアマネジメント、東急リゾートサービス、SBIホールディングス、Orb、INDETAILの5社が、北海道・ニセコひらふエリア限定の地域通貨「NISEKO Pay(ニセコ・ペイ)」の実証実験をスタート

 ニセコひらふエリアマネジメント、東急リゾートサービス、SBIホールディングス、Orb、INDETAILは11月22日、北海道・ニセコひらふエリアでQRコードを用いたキャッシュレス決済アプリ「NISEKO Pay(ニセコ・ペイ)」の実証実験を11月23日より実施することについての説明会を実施した。

「NISEKO Pay」は、スマートフォン上でチャージや決済などをできる、北海道虻田郡倶知安町にあるニセコひらふエリア限定の電子地域通貨で、1コインを1円として使うことができる。

 この電子地域通貨を導入することにより、スキーヤーやスノーボーダーの利便性向上や地域活性化を目的としているが、今回は実証実験ということで、対象をニセコひらふエリアで働く従業員や住人約2000名に限定しており、現段階で一般客は利用できない。

 東急リゾートサービスが運営するニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフを始めとするスキーリゾートエリアの飲食店約23店舗などでは、すでにNISEKO Payを利用できる状態で、手続きが済んだ店舗を合わせると約50店舗となる。

 実証実験の実施期間は11月23日から2019年4月までで、地域主導で行なうのは日本で初。実験の結果を踏まえて一般客への導入を目指すという。

 実証実験の主催者である、ニセコひらふエリアマネジメントの代表理事 渡辺淳子氏は、「スキー、スノーボードをしに行く際に現金などを持ち歩くのがものすごく不便。その不便さをこのスマートフォン一つで解決していくことを目指す。今後このようなプラットホームを使い、観光情報の発信やイベント、キャンペーン情報の提供、現在数多く存在する特典カードなどを統一、一元化していきたい」と考えを述べた。

 将来的展望として、「NISEKO Payを通じて、エリア内の経済循環を促すような、お金の地産地消を目指していきたいと考えております。そうすることで、エリア内の経済活性化と持続可能な街づくり、世界に誇れる魅力的なマウンテンリゾートづくりに、ニセコひらふエリアマネジメントが寄与できるように努めてまいりたい」と語った。

一般社団法人ニセコひらふエリアマネジメント 代表理事 渡辺淳子氏

 NISEKO Payが利用している「ブロックチェーン/分散台帳技術」を用いた新しい決済プラットホーム「Sコインプラットホーム」を提供している、SBIホールディングス 執行役員 ブロックチェーン推進室長 藤本守氏は、地域からお金が外に逃げない地域通貨の仕組みを取り上げ、「このような取り組みがいろんな地域に広まることによって、最終的には地域創生につながっていくんじゃないかと考えて、私ども各地域にこういった提案をさせていただきたい。ぜひ、このプロジェクトを成功させて、エリアマネジメント活動の財務基盤にも資するような形になればと考えております」と述べた。

SBIホールディングス株式会社 執行役員 ブロックチェーン推進室長 藤本守氏

 続いて「ブロックチェーン/分散台帳技術」が苦手とする課題を乗り越えた独自の技術を提供する、Orb COO 岡部正寛氏は、「今回はQRコードの決済にさせていただきましたが、顔で認証して決済したり、スタンプで決済をするような実験もすでに行なっており、これからさまざまな認証技術を組み合わせていきたい」と述べ、チャージの仕組みについても「今回は現金とクレジットカードを用意しておりますが、今後銀行とつないだり、いろいろな形を提供していきたい」と、今後の展開を語った。

株式会社Orb COO 岡部正寛氏

 最後にNISEKO Payのアプリケーションを開発したINDETAIの代表取締役 坪井大輔氏は、「テクノロジというものが、地方・地域関係なく新しいのものを生み出すきっかけになるものだと確信をしております。今日この機に、ニセコというユースケース、ブランドを、新しい地域通貨のブランドとして新たなスタートを切っていただけたらなと思っております」と述べた。

株式会社INDETAI 代表取締役 坪井大輔氏
「NISEKO Pay(ニセコ ペイ)」実証実験説明会の様子

 上にも書いたとおり、NISEKO Payは実証実験段階のため、一般客は利用できないが、デモンストレーションとして説明する。

 利用にはまずアプリをスマートフォンにダウンロードしてインストールする必要がある。自分のメールアドレスを入れて新規登録をし、現金かクレジットカードでのチャージをすることになる。

 現金の場合はホテルニセコアルペンのフロントで専用のQRコードを読み、チャージする金額を入力して現金を支払うとチャージできる。クレジットカードの場合はスマートフォンのアプリ上でチャージする金額を選択し、クレジットカード情報を入力するとチャージされるという流れだ。

 チャージできる金額は1000円から1円単位。現金チャージは3万円が上限でクレジットカードからのチャージは10万円。残高の上限も10万円までとなっている。

 NISEKO Pay加盟店での支払いは、アプリ画面で「支払う」ボタンをタップ、各店舗に置いてあるQRコードを読むカメラが立ち上がる。カメラにQRコードを読ませたあと、支払う金額を入力して、「スライドして支払う」ボタンをスライドさせると店舗側に確認してもらう画面に移る。

 店舗の人に「店員用ボタン」をタップしてもらうと、残高から支払った金額が引かれて決済終了となる。店舗側のメールアドレスに決済終了の案内が送られ、Webサイト上の管理画面では、取引がデータとして積み上がっていく仕組みになっている。

加盟店で支払う時は店舗を識別するためのQRコードをアプリに読ませる
支払う金額を入力して……
支払い確認画面へ
スライドして支払いを確定
店員用の確認ボタンを店員さんにタップしてもらい
支払いが完了

 また、NISEKO Payのアプリには、マップアプリと連動して加盟している店舗の情報や、位置、経路を表示させたり、ユーザー間でお金の送金をしたりすることもできる。

 さらに、ニセコひらふエリアでのボランティア活動に参加した人たちへ、インセンティブとしてNISEKO Payのコインをプレゼントする仕組みや、ニセコひらふエリアマネジメントに協賛金を供出することのできる仕組みもアプリ上に設けている。

 実際に先週から行なわれているひらふ坂のイルミネーションの設置にボランティアで参加した人たちには、3000コインがプレゼントされる予定だ。

加盟店舗一覧で店舗を見つけてマップへ表示。近くの加盟店も近い順に表示してくれる機能もある
実証実験中でまだ店舗の写真などは表示されてないが、店舗への経路も表示してくれる
発表会の列席者。右から株式会社INDETAI 代表取締役 坪井大輔氏、株式会社Orb COO 岡部正寛氏、SBIホールディングス株式会社 執行役員 ブロックチェーン推進室長 藤本守氏、一般社団法人ニセコひらふエリアマネジメント 代表理事 渡辺淳子氏、倶知安町議会議員・一般社団法人ニセコひらふエリアマネジメント 理事 田中義人氏