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東急・JR東日本、伊豆半島で「観光型MaaS」実証実験。交通や観光の決済をスマホのブラウザに一元化
アプリからブラウザベースになった「Izuko」Phase2
2019年11月20日 18:57
- 2019年11月20日 発表
東急、JR東日本(東日本旅客鉄道)、ジェイアール東日本企画は11月20日、都内で発表会を開き、静岡・伊豆半島における観光型MaaS(マース/マーズ:Mobility as a Service)による地域活性化の実証実験について説明した。
3者は鉄道、バス、AIオンデマンド乗合交通、レンタカー、レンタサイクルといった交通機関を、スマートフォンで検索・予約・決済し、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合型サービス「Izuko」として、12月1日から2020年3月10日まで実証実験を行なう。
ハードルが高かった「アプリのダウンロード」。「Izuko」をブラウザベースへ
2019年4月1日から6月30日まで実施したIzukoの「Phase1」について、ジェイアール東日本企画 常務取締役 営業本部長の高橋敦司氏が振り返った。
Phase1でのIzukoは、スマートフォンなどにインストールして利用するアプリとしてリリース。クレジットカードとアプリを紐付けることで、例えば電車やバスに乗るとき、目的地に到着して観光施設に入場料を払うとき、あらゆる支払いを一元化してスムーズに移動できるようになる。伊豆エリアの飲食店や土産物店、観光施設にはキャッシュレス決済に対応している場所は少なく、Izukoが普及すれば、観光客の利便性は高まり、訪日外国人の利用も伸びるはずだ。
Phase1の結果としては、定量目標として「ダウンロード数:2万件」は「2万3231ダウンロード」と目標達成できたものの、「デジタルパス類:1万件購入」は「1045件」と大きく下回った。ダウンロードはしてもらえたものの、その後の交通や施設利用が伸びない形だ。
さらに「アプリのダウンロード」そのものにも相当なハードルの高さを感じたという。年代が上がれば上がるほどスマートフォンを所持していなかったり、アプリをインストールするという作業が分からない人が増え、Izukoのサポートセンターに寄せられた問い合わせで一番多かったのが「ダウンロード方法」にまつわるものだった。
そこでPhase2ではIzukoをアプリベースからブラウザベースへ移行。Webブラウザで会員登録してログインすればIzukoを利用できるようにした。
より感覚的になったUI。利用エリアも拡大
IzukoのPhase2の特徴を、東急 都市交通戦略企画グループ 課長の森田創氏が説明した。Izukoをダウンロードが不要なブラウザベースに移行することで、ユーザーにとっては導入のハードルが下がり操作性は向上。運営側にとってはメンテナンスや新サービスの追加など運用性が改善された。
新しいUIはより直感的に使いやすいものに改善され、少ない画面遷移で「選ぶ」「買う」「(店員や駅員に)見せる」までを行なうことができる。
Izukoのサービスエリアは従来の伊豆半島・東側にJR伊東線の熱海駅~伊東駅が加わった。ブーム再燃中の熱海や、東京エリアから伊豆半島への入口にあたる伊東が加わることでユーザーもサービス加入企業も可能性が広がる。
当初の計画ではPhase2は9月1日~11月30日を予定していたが、Phase1で見つかった課題を解決する時間が必要だったことと、「河津桜」に国内外から観光客が訪れる2月を含めた伊豆エリアへの来訪が多いシーズンに合わせたことも分母の拡大につながる。
また、伊豆半島に住む高齢者の日常の足としてもMaaSの活用は考えられており、スマートフォンなどを使わなくても、例えばテレビとリモコンで乗り合いタクシーの予約などができるiTSCOMの「テレビ・プッシュ」サービスを普及させていく。
「Izuko」Phase2概要
実施期間: 2019年12月1日~2020年3月10日
システム: Webブラウザで利用
対応言語: 日本語、英語、繁体字
デジタルチケット:
[デジタルフリーパス]Phase1のフリーエリアにJR伊東線 熱海駅~伊東駅間を追加。熱海市内のバス乗り放題チケットなど新たに4種類追加。計6種類を販売
[デジタルパス]「アカオハーブ&ローズガーデン」「伊豆・三津シーパラダイス」など12種類の観光施設入場券のデジタルパス、下田市内で運行するAIオンデマンド乗合交通のチケット、伊豆各地で使える観光体験チケットを販売
※AIオンデマンド乗合交通は観光施設、行政機関、病院、宿泊施設など11か所増え27の停留所を利用可能
※経路検索機能が鉄道、バス(Phase1)に飛行機、船舶を追加
※レンタサイクル「伊豆ぽた」のサービスに伊豆高原駅(Phase1)に伊豆急下田駅も追加