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フィンランド政府観光局、「2018年はチャレンジの年」。2019年の外交関係樹立100周年に向けた施策発表
航空便の増便や新規顧客層獲得で2桁成長を目標に
2018年9月11日 16:00
- 2018年9月5日 実施
Visit Finland(フィンランド政府観光局)が9月5日開催の商談会「Finland Moi Moi Workshop 2018」に合わせ記者会見を行なった。会見ではフィンランドへの日本からの渡航者の推移、今後の見通しとともに新たな層に対するプロモーションの展開、2019年に外交関係樹立100周年を迎える日本の市場に対する戦略などを、 Visit Finland 本局局長パーヴォ・ヴィルックネン氏らが語った。
Visit Finland 本局局長パーヴォ・ヴィルックネン氏は冒頭で、2017年度におけるフィンランドへの海外渡航者が過去最高となり宿泊滞在数が約17%の伸びを記録。日本からの観光客の滞在者数も約24万人と約11.1%の伸び率となったと紹介。フィンランド独立100周年というお祝いの年でもあったことからデスティネーションとして多くの旅行者に選ばれたと解説した。
日本からの渡航者数は2014年度から右肩上がりの成長を続けているが、独立100周年やフィギュアスケートのチャンピオンシップで盛り上がった2017年に比べると、2018年上半期は15%減少しているとのことで「今年はチャレンジの年」と話した。
なお、過去最高の参加企業数となった今回の「Finland Moi Moi Workshop 2018」を例に挙げ、イベントや各方面との協力なタッグにより現状況を挽回し、ポジティブな流れに戻すことを誓った。なお、7~9月が日本からの渡航者が増えるシーズンとのことで、7月の速報値を楽しみにしているとも話した。
フィンランド、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、アイスランドの北欧5か国のなかでフィンランドは日本人観光客の滞在先に多く選ばれており、約39%でシェアナンバーワン。同時に、日本はフィンランドにとって、とてもユニークで興味深いマーケットであるとも話した。
現在は20~40代の女性を中心に、フィンランドの国民的キャラクターの「ムーミン」に、フィンランドデザインの代表格「マリメッコ」や「イッタラ」、もちろん映画の影響などでポジティブなイメージがある。また、安全でクリーンな部分とともに時間厳守、さらに先の米ロ首脳会談でのイベント運営力をはじめ、緊急を要する場面での高品質なサービス提供にも言及した。
今後は男性旅行者や現在増加傾向にある個人旅行者に、3世代を含めたファミリー層向けの施策も行なっていくという。
2019年のフィンランドと日本の外交関係樹立100周年を迎えるにあたり、トピックとプロモーション展開も紹介。
ロゴの紹介とともに2019年の大きなトピックとして、2019年3月16日オープンの「ムーミンバレーパーク」に関しては10年以上前からのプロジェクトであり、ようやくオープンを迎えると語る。2018年11月9日に先行オープンする「メッツァビレッジ」では、フィンランドデザインアイテムや北欧食材などがそろうことも紹介した。
また、フィンランドで撮影が行なわれた2019年公開の映画「雪の華」では、夏のヘルシンキと冬のラップランドの美しさが楽しめ、フィンランドのよさの訴求を期待しているとも語った。
さらにフィンランド人の聖域、サウナにおける近年の「サウナ・ルネッサンス」(公共サウナブーム)を意識し、日本でも100周年の文化事業にふさわしいとしてキャンペーンを実施予定とのこと。詳細は追って公開するとのことだ。
なお、Visit Finland 本局局長 パーヴォ・ヴィルックネン氏はサウナ文化に対し、「フィンランド人にとってサウナは大切な社会交流の場であると同時に、スピリチュアルな場所でもあります。200~300年前はサウナで生まれ、お清めをする(Birth to Burial)。まさに“生まれてから墓場まで”だったのです。現在でも先祖と魂の深いつながりを感じる場所と認識されています」とも教えてくれた。
「Finland Moi Moi Workshop 2018」開催に関して、同席していたDirector, Head of Global Sales Promotion Visit Finlandのヘリ・メンデ氏がコメント。
「同様のイベントを通して企業間取引の商談の場を設けることを非常に重要視しています。商談会以外にも研修旅行を開催し、肌でフィンランドを体験していただけるよう努めています。今年から開始したジョイント・プロモーションでは異業種コラボを積極的に行ない、商品造成やプロモーションに反映していく予定です」と、新たな取り組みについても語った。
Visit Finland 本局局長に日本市場への期待とお勧めエリアを聞いた
記者会見後にVisit Finland 本局局長 パーヴォ・ヴィルックネン氏へのインタビューを実施した。
――日本市場への期待や同氏お勧めのフィンランドでの体験について
ヴィルックネン氏:日本市場への期待値は高く、フィンエアーの2019年夏期スケジュールが週41便と発表され、フィンランドと日本をさらに近づける推進力になると信じています。ヨーロッパ旅行でのストップオーバーでの宿泊も増えるのではと考えています。
Visit Finlandとして36のイベントを全世界で開催しますが、日本での「Finland Moi Moi Workshop」はとても重要な位置付けです。今年は過去最大級の企業が国内外から参加しており、2019年は渡航者数の2桁成長を目標に多くの旅行者に対しアプローチを行なっていきます。
また、私たちはミレニアル世代も新たな渡航者として注目しています。個人主義的な部分や新しいことへのチャレンジ精神に好奇心、さらにローカルな文化に興味があり、現地の人々との交流など、彼らのニーズに応えるべく積極的なアプローチを模索しています。
教養が高く所得も十分で今までとは異なる購買行動を行ない、テクノロジーにも強い。新しいターゲット層として、取り込んでいければと考えています。
――初めてフィンランドを訪れるファーストタイマーに向けた、お勧めの体験やエリアについて
ヴィルックネン氏:初めてのフィンランドならば、やはりヘルシンキを訪れることをお勧めします。建築や美術館にサウナも楽しめ活気あるセントラルシティを目にすることができるでしょう。フィンランドの都会的な面を味わったあとは、クルマを1時間半ほど走らせて手付かずの自然体験へ。夏はベリー摘みに秋はキノコ狩りとローカルフードをたっぷりと味わうのもいいですね。そして秋のラップランドはオーロラのシーズンです。北部出身の私も小さいころ、静かに水面に映るダブルオーロラを見たのですが、今でも忘れられない素晴らしい思い出になっています。
よりピュアな自然と湖を堪能し、さらに深くフィンランドを知る場合にはタンペレ方面へ。タンペレに2017年にオープンした「ムーミン美術館」(関連記事「夏期増便のフィンエアーで行く! ヘルシンキとタンペレを巡るアート&グルメ旅(その3)」参照)では、トーベの創作におけるフィロソフィーを実感することができるはずです。ご紹介したいことはまだまだ沢山ありますが、まずはフィンランドへ一度ぜひ訪れていただけたらうれしいです。