ニュース
小田急と江ノ電、江の島でレベル3の自動運転バスの実証実験。試乗レポート
神奈川県知事や藤沢市長が出発式に参加
2018年9月7日 17:39
- 2018年9月6日~16日 実施
小田急(小田急電鉄)とグループ会社の江ノ島電鉄は、神奈川県と連携して江の島周辺の公道において、自動運転バスの実証実験を9月6日から16日まで実施しているが、その初日となる9月6日の様子を取材した。
江の島の小田急ヨットクラブで開いた出発式には、神奈川県知事の黒岩祐治氏、藤沢市長の鈴木恒夫氏、小田急電鉄 取締役社長の星野晃司氏、江ノ島電鉄 取締役社長の楢井進氏、SBドライブ 代表取締役社長兼CEOの佐治友基氏が出席。実験車両の試乗も行なわれた。
出発式では、黒岩神奈川県知事と小田急電鉄・星野社長が代表してあいさつ
実証実験はSBドライブの協力で行なわれ、「セーリングワールドカップシリーズ江の島大会」の開催に合わせ、江ノ電バスの運行区間を「江ノ島海岸バス停」から江の島にある「小田急ヨットクラブ」まで延長。このバス停間の約1kmに実験車両を「レベル3自動運転」(限定条件下でシステムがすべての運転タスクを実施し、システムが要請したときのみドライバーが対応する)で走行させる。一般モニターによる乗車を9月11日から16日まで無料で行なうにあたり、8月14日から事前予約を「Yahoo!乗換案内」と専用Webサイトで受け付けたが、即日満員で終了したほどの人気だった。
出発式で主催者代表のあいさつに立った黒岩神奈川県知事は、「この江の島の地域は、さがみロボット産業特区のエリアになっています。今からちょうど5年前ですが、さがみ縦貫道路(自動車専用道)を使った自動運転走行システムに試乗したことを覚えていますが、あれからわずか5年で世界中に自動運転の流れが広まってまいりました。この藤沢ではその後、ロボットタクシーやロボネコヤマトなど、さまざまな自動運転の先導的な役割を果たしてまいりました。そしてこのたび、自動運転バスの実際の公道を使った実証実感を行ないます。
このような大きな観光地、たくさん人が訪れるところの公道を使って、自動運転バスの実証実験を行なうのは初めてです。セーリングワールドカップシリーズの時期に合わせて実証実験が行なわれるということに、世界中の目が集まることが、あらたな日本のアピールになるとともに、2年後の東京オリンピック・パラリンピックにつなげていけると期待をしているところです」と語った。
小田急の星野社長は、「先ほど黒岩知事からもお話があったとおり、この実験は神奈川県が進めているロボット共生社会推進事業で、我々も参加させていただいております。このような機会をご提供いただき本当にありがとうございます。
私どもでは新しいテクノロジを活かして新しいモビリティサービスを提供したいということで、一生懸命研究を真摯に心掛けており、その第1弾といたしまして6月に慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス駅を結ぶバスにおいての実証実験を行ないました。今回が第2弾となりますが、神奈川県では初めて公道を使っての(バスの)実証実験となりますので、一歩進んだかなというところでございます。
車両につきましては前回同様、SBドライブさまに全体的にご協力をいただきまして、運行は地元の江ノ島電鉄が行ないます。当然ながら、安全を第一としながら、応募でご乗車いただく皆さまに、本当に乗り心地や安全性を肌で感じ取っていただければと期待いたします」とコメントした。
また「この江の島は、皆さんご存知のとおりオリンピックにおけるセーリングの会場に指定されております。そして小田急ヨットクラブの選手が先般のアジア大会で金メダルを獲得すると言う、本当に素晴らしい強豪選手揃いですので、ワールドカップやオリンピックでも大活躍が期待されております。私どもも選手の頑張りに負けないように一生懸命取り組んで、早く(自動運転が)実用化されますよう頑張ってまいりますので、皆さまにおかれましては、引き続きのご支援とご協力をお願い申し上げます」とあいさつした。
SBドライブの佐治社長は「乗っていただいて、非常に満足感が高かったのは私もよいことだと思っています。手応えがありました。技術に完成はないのですが、今後も安全を最重視して、できるところから少しづつ実験していきます。今回も歩行者、非常に観光客が多いなかですが、実用化できなくはないと思っておりますので、これからも横展開を進め、2019年から本番のサービス運用に近い実証を行ない、2020年のオリンピックの前には実用化につなげたいと思っています」とコメントした。
報道向けに実験車両の試乗会を開催
今回の実験車両は日野自動車の2ドアタイプ「ポンチョ」にSBドライブのシステムを組み込んだもので、GNSS(GPS)、QZSS、磁気マーカーによる「車線維持制御」、信号情報の活用やACC、PCS機能による「速度維持制御」、AIや高精度地図の活用により「障害物回避制御」などを行なっている。
9月11日から実施する一般モニターによる試乗では、1回の定員はドライバーとアシスタントを除いて8名。バスの事故は、33%が車内での転倒や怪我との統計数値があることから、乗客は全員着席する。