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JAL、5回目を迎えた本社ビルでの東北物産販売会「東北市場@天王洲ビル」開催
大西会長「東北支援は継続。簡単に終わるものではない」
2018年3月29日 17:56
- 2018年3月29日 開催
JAL(日本航空)は3月28日、本社のある野村不動産天王洲ビル2階のウイングホールで、東北6県の物産を販売する「第5回東北市場@天王洲ビル」を開催した。2013年度を皮切りに毎年3~4月ごろに実施しているもので、今年で5回目。
2009年9月から旅行パンフレットなどの配布を通じて顧客に感謝の気持ちを伝える「がんばるJAL大作戦」を定期的に実施しているほか、2013年6月からは「JAL東北応援プロジェクト『行こう! 東北へ』」といった取り組みのなかで、都内にある東北各県のアンテナショップ前の街頭で物販サポートなどを行なってきた。
東北市場@天王洲ビルはその一環として毎年開かれているもので、東北6県のアンテナショップが一同に介して販売を行なうイベント。JAL社員のほか、同ビルの他会社や地域住民なども立ち入り可能なオープンなイベントとなっており、各県のブースでは各県にゆかりのある社員を中心にJALスタッフもボランティアとして販売のサポートをしている。
販売されるのは飲食物が中心となっており、11時のスタート直後から早速訪れるJAL社員も。12時になると昼休みになることから活気も増す。例年、山形県が弁当を販売し、お昼ご飯として人気を博しているが、今年は宮城県もお弁当市場に参入。宮城県というと牛タン弁当のイメージが強いが、真っ先に売り切れたのは海鮮丼の「みやぎ三陸 新黄金街道」という展開を見せた。一方の山形県も、「牛丼どまん中」「米沢牛炭火焼き 特上カルビ弁当」などの定番品のほかに、山形新幹線つばさの容器に入った「つばさ弁当」や、SLの容器に入った「1号機関車弁当」などを販売していた。
11時のスタート直後には、JAL取締役会長の大西賢氏も来場。各県のブースをまわり、担当者らと談笑。お弁当などを購入した。
会場で取材に応じた大西氏は、東北路線について、「我々が考えるロードファクター(搭乗率)になっているので、機材の大型化を進めているのが現状。その流れが続いている」と好調であるとのコメント。実際、この1年間だけでも、J-AIRが運航する大阪~青森や福岡~仙台などがエンブラエル E170型機(70席級)からE190型機(90席級)へと大型化するなど、座席数を増加させている。
この東北市場について「単純な物販ではなく、実際に食べたり飲んだりすると大半が美味しいものなので発信するようになる。東北市場の趣旨は“全員が東北のセールスマンになる”こと。まだまだ続けられると思うし、ぜひ新商品などを出してパイロットセールスなどもやっていただいてもよいと思う」と説明。
さらに、東北支援について「継続するのか?」の問いには「当然!」と断言。「数年で終わるような支援とは思っていない。例えば、インバウンド(訪日旅客)の増加が騒がれているが、東北地方に宿泊される人のシェアは全国の1.3%しかない。東北が持っている資源などを考えれば、もっとお客さまを呼び込めるポテンシャルがあると思うので、少しでもお手伝いしたい。まだまだやることはいっぱいあるし、簡単に終わるようなものではない」と話した。
今回の東北市場では、新しい取り組みとして「東北コットンプロジェクト」から生まれた「JALオリジナルてぬぐい」「JALオリジナルハンカチ」を販売。東北コットンとは、津波の影響で海水の塩が入ってしまった田畑で、塩に強いが温暖な場所でしか育たない綿花の栽培に取り組んだプロジェクト。綿花を作る農家や紡績業、アパレル業が集まり、手ぬぐいなどの製品化につながった。大西氏は「塩が抜けたところは稲作に戻っている方もいるし、相変わらずコットンを続けている方もいる。産業として根付いたと思う」とし、震災後初めて訪れた際には田畑に船や大きな流木があった当時のことを振り返っていた。
ちなみに、今回用意された東北コットンの商品は、マイル交換限定で提供された旧商品のため、すでに入手できなくなっている貴重なもの。さらに、この機会を利用して、熊本復興を応援すべく、震災で犠牲になった吉永和子さんの遺品の着物で作った「絆ポーチ」の販売も行なっている。
大西氏自身は4月1日付けで会長職を退任して取締役となるが、今後のJALによる被災地支援に望むことを尋ねると、「やはり継続。ずっと復興応援研修をやっている。報道で見るのと実際に見るのとでは圧倒的に違うのを実感する。ぜひみんなに行ってもらいたい。行ったことがいろいろな面で発信につながったり、アイディアにつながったりする。これは私が一生懸命やったわけではなく、JALのみんながそう考えている取り組みだと思っているので、私が会長を退任しようが続いていくと思う」とコメントした。