ニュース

JALと宮城県、観光に特化した協定。JAL外国人社員目線の報告書で仙台の観光課題を掘り起こす

2018年3月19日 実施

JALと宮城県が観光に特化した協定を締結した

 JAL(日本航空)と宮城県は3月19日、連携協力協定を結び、宮城県行政庁舎で締結式を行なった。JALは日本各地の自治体と包括連携協定を締結しているが、今回は観光に特化した協定と位置付けており、こうした協定は初めてという。

 締結式には宮城県知事の村井嘉浩氏とJAL 取締役会長の大西賢氏が出席。本協定は、宮城県の観光資源の掘り起こしとプロモーション活動など「観光振興に関する事項」と、JALと宮城県での人材交流、接遇教育など「人材育成に関する事項」の2つの柱があり、前者は特に「“インバウンドに刺さる”観光素材」を開発することに注力するとしており、後者はJALのCA(客室乗務員)が宮城県に出向して、観光事業者の“おもてなし力の向上”に努める、といった取り組みを行なう。

宮城県知事 村井嘉浩氏
日本航空株式会社 取締役会長 大西賢氏

 これには、東北地方における外国人の宿泊数(全国シェア)が1%強しかない、という背景がある。そこでもう1つの取り組みとして紹介されたのが、JALの現地採用外国人社員による「外国人目線による宮城県観光素材に対する調査報告書」の提出だ。

 実際にJALデリー支社のインド人男性社員が単独で仙台を訪れ、初回はまったくの独力で3泊ほど滞在、2回目は宮城県からお勧めの観光スポットを紹介されて旅をして、そうして得た所感をまとめたレポートがJALから宮城県へ手渡された。そのインド人社員によると、1回目はどこを訪れればよいのか分からなかったが、2回目にお勧めされた観光地は「大変素晴らしかった」そうで、外国人に対して仙台が持つ観光素材がうまく伝わっていない、情報を探しにくいという課題が明らかになった。今後ほかの国で採用した外国人社員でも同様のレポートを重ねることで、インバウンドに対する観光素材のアピール方法を模索していきたいという。

 また、この「外国人社員による調査報告」について、大西氏は締結式後の囲み取材で、今回の取り組みがうまくいけば、宮城県を発端として各自治体で展開していきたいと意欲を明らかにした。

協定の骨子
協定書への署名を行なった
実は地元が近く、隣の中学校に通っていたことが判明して笑顔になる村井氏と大西氏
「外国人目線による宮城県観光素材に対する調査報告書」の手交