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ANA、マレーシアへのロングステイ向け新運賃を期間限定販売。ビジネス9万円~/エコノミー4万円~

変更・払い戻しが手数料1万円で可能、滞在期間は9日~6カ月

2017年11月20日 発表

2017年11月17日~12月31日 販売

2018年1月10日~9月30日 搭乗分

ロングステイフェア2017会場で、ANAがマレーシアへのロングステイ向け新運賃を発表

 ANA(全日本空輸)は11月20日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開催されたロングステイフェア2017の会場において、マレーシアへのロングステイ向けプロモーション運賃を発表した。

 ロングステイ財団が主催する同イベントは、生活の拠点は日本に置きつつ、海外におおむね2週間以上と長期滞在する“ロングステイ”を訴求するイベントで、国内外の自治体や政府機関、旅行会社などが出展し、各地、各国へのロングステイを訴求している。

 その会場で発表されたANAの新運賃は、ロングステイの渡航先として圧倒的な人気を集めるマレーシアにフォーカスしたもの。マレーシアはビザ制度やインフラ整備など、ロングステイを受け入れる体制が国レベルで整っていることから、同財団の調べで11年連続で人気ロングステイ先のナンバーワンになる実績を持つ。

会場に掲示されたロングステイ財団調べによる人気のロングステイ渡航先。海外ではマレーシアが不動の1位

 ANAは2015年9月1日に成田~クアラルンプール線、2016年10月30日の冬期スケジュールから羽田~クアラルンプール線の運航を開始。2017年度の平均搭乗率は8割程度と好調を維持しているという。そのマレーシア路線において、人気のあるロングステイの需要取り込みを図るのが狙いの一つとなる。

ANAのマレーシア・クアラルンプール線の運航スケジュール

NH815便:成田(17時15分)発~クアラルンプール(23時55分)着
NH816便:クアラルンプール(08時00分)発~成田(15時40分)着

NH885便:羽田(00時05分)発~クアラルンプール(06時45分)着
NH886便:クアラルンプール(14時15分)発~羽田(22時05分)着

マレーシアへのロングステイ向け新運賃を紹介した全日本空輸株式会社 マーケティング室 観光アクション部 観光振興チーム アシスタントマネージャー 平田郁子氏

 ロングステイを想定した運賃としては、普通運賃を除くと、欧米・オセアニアで滞在日数が65日~1年、中国では35日~1年という割引運賃の例があるほか、東南アジアでは、マレーシアへ65日~1年間滞在可能なエコノミークラス10万7000円~(ビジネスクラスの販売はなし)という割引運賃例がある。ただ、この日数を見ても分かるとおり、これらの運賃はワーキングビザを持つ駐在員などの利用を想定したもので、海外であれば2週間から1カ月程度が多い“ロングステイ”という形態を想定したものではなく、今回は、このロングステイ市場の将来的な拡大も見据えて、運賃の発売を決めたとしている。

 今回の運賃は滞在は9日~6カ月となっている。これまで、先述の長期滞在向けのエコノミー運賃を除いては、マレーシアへの割引運賃で2カ月を超えて滞在できる運賃はなく、特にビジネスクラスではロングステイや長期滞在を想定した割引運賃は初めてとなる。

 運賃はエコノミークラスが4万円、ビジネスクラスが9万円(いずれも燃油サーチャージ、諸税など別途)。日本国内で往路/復路各1回の乗り継ぎがプラス1万円で可能なので、首都圏以外からも使いやすい。

 特筆すべきは予約変更と払い戻しを1万円で可能な点。特に多くの割引運賃では予約変更が不可となるが、これを手数料1万円でできる点は、突発的な事情により帰国が必要になった場合にも対応しやすい点で大きな利便性になる。

 マイルの積算率はエコノミークラスが30%、ビジネスクラスが70%。成田/羽田~クアラルンプール片道では、区間基本マイル3338マイルに対し、エコノミークラスで1001マイル、ビジネスクラスで2336マイルが積算されることになる。

 この運賃の販売は2017年11月17日~12月31日の期間限定で、対象となる搭乗期間は2018年1月10日~9月30日。

マレーシアへのロングステイステイ向け新運賃の条件
一般財団法人ロングステイ財団 理事長・事務局長 弓野克彦氏

 発表会で挨拶したロングステイ財団 理事長・事務局長の弓野克彦氏は、ロングステイの定義などを説明したあと、「トレンドとして、私どもは『安・近・暖』、安くて、近くて、暖かい国を推進している。現在、渡航先希望人気国の10カ国中6カ国がアジア。そのなかで、マレーシアは11年連続希望国トップワンに君臨。マレーシアの魅力はロングステイ先として制度やインフラ整備がしっかりできていること。マレーシアが、東南アジアのロングステイをひっぱているといっても過言ではない」と、今回の運賃の対象となったマレーシアのロングステイ人気を紹介。

 今回の運賃について、「長期滞在型運賃、ロングステイ運賃が誕生したという点でいえば、現在158万人ぐらいの海外ロングステイの底上げになると信じている。今回はマレーシアに特化しているが、将来的にさまざまな地域にロングステイ運賃が普及することを祈っている」と、市場への刺激になる点や、将来の展開にも期待を示した。

マレーシア政府観光局 東京支局長 ノール・アズラン(NOOR AZLAN)氏

 続いて挨拶した、マレーシア政府観光局 東京支局長 ノール・アズラン(NOOR AZLAN)氏はまず、年間40万人以上の日本人がマレーシアを訪れていることを紹介。そして、ロングステイ向けに「マレーシア・マイ・セカンドホーム」という10年間の長期滞在が可能なビザプログラムを紹介し、「年齢制限はなく、リタイアした人や子供の教育のために利用できる」としたほか、「パスポートだけで90日間はビザフリーなので、ロングステイにはこれでも十分」と、ビザ制度の便利さをアピールした。

 また、先述の11年連続でロングステイの人気渡航先ナンバーワンに選ばれる理由について、「1つ目は安全であること。2つ目は経済的に安定していること。3つ目は生活コストが安いこと。そのほか、東南アジアでもっともインフラの整備が進んだ国の一つであり、医療水準も高い。日本から留学する人がいるほど教育水準も高い」と紹介。「イオンや伊勢丹などの日本のお店も多く、日本の物も手に入れやすい」といった利便性も紹介した。

 このほか、マレーシアでお勧めのロングステイ先を尋ねると、「私としてはどこもお勧めだが、クアラルンプール、ペナン、マラッカ、ジョホールバル、コナキタバルが住みたい街として挙げられることが多い」と紹介。さらに、最近の人気の街として、クアラルンプールとペナンの中間ぐらいにある「イポー」も人気であると紹介した。

ロングステイフェア2017に出展したANAセールスのブースでは、早速、新運賃を訴求するチラシを配布した

 ロングステイフェア2017には、東南アジアを中心に海外の政府観光局などが出展。先のランキングで海外の人気ロングステイ先としてここ数年は安定して2位に入っているタイは、タイ国政府観光庁などの関連機関が出展。今夏に日本人向けのロングステイフォーラムを開催(関連記事「30代の若者も参加、長期滞在希望者向けのタイ・チェンマイ ロングステイフォーラム」)したチェンマイがロングステイ先として環境が整っていることから人気を集めており、日本人は年間2000~3000名程度がロングステイしているという。また、「タイランドエリート」という長期滞在ビザを含むプログラムの提供などをアピールしていた。

 このほか、インドネシアでは、リゾートへの滞在や、バリ伝統のマッサージや楽器を極めるなどの文化的な魅力を深掘りしてもらうためのロングステイといった訴求に取り組んでいる。

 これと同様の視点はロングステイ財団の弓野氏も語っており、従来的なリタイアした人によるロングステイだけでなく、昨今の働き方改革などで生まれた時間を使った現役世代のロングステイも訴求。その一つとして、海外では2週間以上、国内では1週間以上と定義をし、国内へのロングステイにもより力を入れているという。

ロングステイフェア2017