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ANA、9月1日就航の成田~クアラルンプール線の就航セレモニーを実施

2002年以来、約13年9カ月ぶりの路線再開

2015年9月1日 就航

 ANA(全日本空輸)は9月1日、成田空港~クアラルンプール空港(マレーシア)線の運航を開始した。ANAは同路線を過去に運航していたが、2002年1月14日をもって運休しており、およそ13年9カ月ぶりの路線再開となる。その初便の搭乗ゲートでは就航セレモニーも実施された。

 ANAが就航した成田~クアラルンプール線のダイヤは下記のとおり。成田発は夕方、クアラルンプール発は朝に出発するダイヤとなっているのが特徴だ。これは北米路線などとの接続を考慮したもので、成田を東南アジアと北米を結ぶハブとして活用しようというANAの方針に沿ったものでもある。なお、今回のクアラルンプール線就航で、ANAの国際線就航地は39都市となった。

NH815便:成田(17時20分)発~クアラルンプール(23時35分)着
NH816便:クアラルンプール(07時00分)発~成田(15時00分)着

 ちなみに、成田とクアラルンプールを結ぶ路線は、JAL(日本航空)、マレーシア航空も運航しているが、両航空会社ともデイリー運航便は午前中に成田発(JL723便およびMH89便)、深夜にクアラルンプール発(JL724便およびMH88便)となっている。また、マレーシア航空は週3便で夜に成田発(MH71便)、午前中にクアラルンプール発(MH72便)を運航しており、MH72便はANAのダイヤに近いものの、ANAはこれまでの成田~クアラルンプール線とは傾向の異なるダイヤに設定した。

 また、両航空会社とも航空連合はワンワールドに所属しており、スターアライアンス加盟航空会社の就航という点でも注目され、ANAの成田~クアラルンプール線は、ユナイテッド航空、エア・カナダとのコードシェア運航も行なわれている。

 機材は240席仕様のボーイング 787-8を使用する。

初便の使用機材となったボーイング 787-8(登録記号:JA829A)

初便の51番搭乗口で就航セレモニーを実施

全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏

 就航セレモニーの冒頭で挨拶した、ANA代表取締役社長の篠辺修氏は、「このクアラルンプール線は2002年に休止した。当時の経済状況でやむなく休止したが、元々マレーシアと日本の関係は良好で、その後もASEANのなかでマレーシアは順調に経済成長を遂げている。2013年からはビザも緩和が進み、2014年度はマレーシアからの訪日外国人は前年比で40%を超えるところまで来た。ANAはアジアのネットワークを充実させており、マレーシア・クアラルンプールは、どうしても再開したい都市だった」と、路線再開に喜びを表明。

 また、「ダイヤは成田発夕方、クアラルンプール発は朝方になる。ANAは成田で夕方に米国線をたくさん用意しているので、ここにうまく接続できるダイヤを作っている。日本のお客様だけではなく、アメリカとマレーシアの行き来するお客様にも便利なダイヤを作った」と、運航ダイヤの方針についても説明した。

国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 木村茂夫氏

 来賓として挨拶に立った、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長の木村茂夫氏は、「クアラルンプールはマレーシアの首都で、人口が160万人弱。東南アジア有数の国際都市。マレーシアは、ASEAN加盟国のなかでも急速に経済発展をしつつある国の1つであり、特に“ルックイースト”政策という、日本をお手本にした経済政策を進めているということで、日本との間では頻繁に要人の往来や、貿易、技術協力が活発。日本にも多くの留学生が来ている。両国の関係は大変良好」とマレーシアを紹介。

 さらに「観光資源としては、建設当時は高さ世界一だったペトロナスツインタワー、クアラルンプールタワー。市内最古のモスクであるマスジット・ジャメなどの歴史的建造物、繁華街のブキッ・ビンタン、マラッカ海峡に面してはリゾート地のペナン島がある。このような状況を反映して、2014年には年間55万人を超える日本人がマレーシアを訪れている。また、マレーシアからは25万人弱が日本を訪れている。これは対前年40%を超える高い伸び」とし、路線開設によって往来がより活発になることに期待した。

 空港としては、「5年後に迫った東京オリンピック/パラリンピック開催なども視野に入れながら、空港機能のさらなる拡充に向け、関係者とともに鋭意取り組んでいるところ。そのようななかにあって、ANAのクアラルンプール線の再開をお祝いできることは、成田空港の一層の発展に繋がるものとして、空港関係者としても大いに喜びとするところ」とし、乗り継ぎ需要も含めた空港活性化に期待を寄せた。

成田市長 小泉一成氏

 続いて挨拶した成田市長の小泉一成氏は、「成田空港は1月から6月の上半期の外国人旅客数が前年同期比25%の大幅増となる618万人を記録し、半期として初めて600万人突破するなど開港以来最高となっている。日本政府観光局発表による上半期のマレーシアからの訪日来客数は、前年同期比15%増となる13万4000人となり、こちらも過去最高を記録している。このような状況を追い風に、今回のクアラルンプール線就航により、成田空港の国際航空ネットワークがさらに充実していくことは、アジアを代表するハブ空港として、ますます重要になってくると思う」と紹介。

 併せて、「クアラルンプールはインフラ整備が進み、豊かな緑のなかに高層ビルが建ち並ぶ東南アジア有数の近代都市であるばかりでなく、市街地が清潔で治安がよいとも聞いている。そのような都市と成田市がドア・トゥ・ドアで結ばれる本数が増えることは大変喜ばしいことであり、マレーシアからお越しの皆様にも是非、市内へ立ち寄っていただき、成田を堪能していただくなど、成田空港ともども成田の発展に繋げていきたいと思っている」と期待した。

 挨拶のあとには、千葉県銚子市に江戸時代から伝わる、大漁を願う漁民が生んだという伝統的な祭り太鼓「銚子はね太鼓」のパフォーマンスが披露された。ダイナミックな動きと、雄壮な太鼓の響きに集まった人々も見入っている様子だった。

 このあとは、来賓各位が参加してのテープカットが行なわれ、セレモニーは終了。乗客の登場が開始された。240席の機材に対して、予約は満席。実際の登場は227名となった。搭乗客には初便搭乗の記念品として、ANAおよびマレーシア政府観光局からのプレゼントが収められた巾着袋が手渡された。

銚子はね太鼓のパフォーマンス
セレモニーへの列席者によるテープカット。左から全日本空輸株式会社 執行役員 成田空港支店長 南日隆男氏、成田国際空港株式会社 代表取締役社長 夏目誠氏、成田市長 小泉一成氏、国土交通省 東京航空局 成田空港事務所 成田国際空港長 木村茂夫氏、マレーシア政府観光局 東京支局長 ノール・アズラン氏、全日本空輸株式会社 代表取締役社長 篠辺修氏
227名の乗客が搭乗。初便の記念品も手渡された
記念品は、初便の日付や便名が入った巾着袋に、日付入りのオリジナル「ポッキー」や手ぬぐい、扇子、緑茶のティーバッグ、クアラルンプールの観光ガイドが収められている
初便の使用機材となったボーイング 787-8(登録記号:JA829A)。定刻の17時20分に、傾きかけた陽の光を浴びながらプッシュバック
地上のスタッフに見送られながら出発。17時38分に離陸した

(編集部:多和田新也)