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クイーン・エリザベスが2019年のGWに7泊8日の横浜発着クルーズを実施
横浜・大黒ふ頭新客船ターミナルの竣工で実現。15万8573円から
2017年3月2日 20:37
- 2017年3月1日 発表
英国の客船会社キュナード・ラインは3月1日、豪華客船「クイーン・エリザベス」による横浜発着の日本周遊クルーズを、2019年のゴールデンウィーク時期に実施すると発表した。2019年4月19日~4月28日の9泊10日、4月28日~5月5日の7泊8日の2コースで、2017年4月19日から発売する。
世界で最も有名な客船「クイーン・エリザベス」による3年連続の日本発着クルーズが決定
豪華客船の代名詞として知られるクイーン・エリザベス。現在運航しているのは2010年に就航した3代目で、憧れの客船の名を受け継いだ、高い人気を誇る9万トンクラスの客船だ。このクイーン・エリザベスを運航するのが1839年に英国で創業されたキューナード・ライン。「クイーン・エリザベス」「クイーン・メリー2」「クイーン・ヴィクトリア」の3隻を所有している。
クイーン・エリザベス(3代目)
進水/就航:2010年1月5日/10月12日
船籍:英国領バミューダ
総トン数:9万900トン
全長:294m
全幅:32.25m(ブリッジ・ウイング 36.8m)
全高:64.6m(海面から上の高さ 56.6m)
喫水:8m
乗客定員:2081名
乗客デッキ:12デッキ(全16デッキ)
巡航速度:21.7ノット(約40km/h)
最大速度:23.7ノット(約44km/h)
建造:フィンカンティエリ モンファルコーネ造船所(イタリア)
通常、この3隻は1月にイギリスのサウサンプトン港を出発し、数カ月かけてそれぞれ違うルートを通って世界を一周。全行程に乗船するフルクルーズのほか、一部の日程を部分的に乗船する区間乗船も行なえる。
クイーン・エリザベスは、これまで世界一周の一環で日本に寄港することはあっても、日本の港から発着することはなかったため基本的にフライ&クルーズでの利用に限られていた。2017年3月に実施される神戸港発着クルーズで初めて日本発着クルーズが実現。続く2018年3月の大阪港発着クルーズも設定され、両コースとも発売日に即日完売した。
今回発表された2019年4~5月実施の横浜港発着クルーズにより、3年連続でクイーン・エリザベスによる日本発着クルーズが設定されたこととなる。2019年に実施される日本発着クルーズは4月19日~4月28日の9泊10日(Q913)と、4月28日~5月5日の7泊8日(Q914)。特に4月19日からのクルーズで寄港する函館、秋田、金沢、境港、八代はクイーン・エリザベス初寄港となる。
スタンダード内側(14m2)の部屋であれば9泊10日(Q913)が19万3684円、7泊8日(Q914)が15万8573円と、ラグジュアリー船でありながら利用しやすい価格に抑えられており、憧れの豪華客船を気軽に体験できる。
日本発着クルーズ/横浜発着
・2019年4月19日(金)~4月28日(日)9泊10日(Q913)
寄港地:横浜(4月19日)、函館(4月21日)、秋田(4月22日)、金沢(4月23日)、境港(4月24日)、韓国・釜山(4月25日)、八代(4月26日)、横浜(4月28日)
料金:19万3686円(IF)~68万8974円(Q6)
・2019年4月28日(日)~5月5日(日)7泊8日(Q914)
寄港地:横浜(4月28日)、広島(4月30日)、韓国・釜山(5月2日)、長崎(5月3日)、横浜(5月5日)
料金:15万8573円(IF)~56万4072円(Q6)
横浜市民に愛されるクイーン・エリザベスがついに横浜港から発着へ
記者発表会の会場には、キュナード・ラインの日本でのクルーズ商品の販売やマーケティングを行なうカーニバル・ジャパンの関係者のほか、寄港する県の行政や港湾関係者が一同に参加。まず、カーニバル・ジャパン 代表取締役社長 堀川悟氏から、「クイーン・エリザベスの2017年度、2018年度の日本発着クルーズは即日完売となった。今回2019年の日本発着クルーズは、多くの港の関係者にご協力いただき実現した。今後、よりキュナードブランド確立のために力を入れていきたい」と挨拶があった。
続いて国土交通省 港湾局長の菊地身智雄氏が、「国土交通省では、2020年にクルーズ訪日客500万人という大きな目標を掲げている。世界で最も格式が高く人気のあるクイーン・エリザベスが、寄港する港の格も上げてくれると思う。乗客の方には魅力ある各地の観光資源を存分に満喫いただける機会となるはず。国土交通省では、日本周辺の海を北東アジアのカリブ海になるべく取り組みを続けている。今後もカーニバル・ジャパン社をはじめ各社と連携を取って、取り組みを進めていきたい」とコメントした。
また、発着地となる横浜市からは、横浜市長の林文子氏による歓迎メッセージを、横浜市港湾局の伊東慎介氏が代読。「2019年4月、世界で最も有名な客船、クイーン・エリザベスの横浜港発着がついに実現する。海の女王・クイーン・エリザベスは多くの横浜市民に愛されており、横浜港はその寄港を願い、熱いメッセージを送り続けてきた。
この度、その願いがかなったことはこのうえない喜び。クイーン・エリザベスを迎えるのは、大黒ふ頭に現在整備を進めている新たな客船バース。近接するバースからは横浜の美しいインナーハーバーの風景を一望でき、市街地へのアクセスも良好な場所となっている。
2019年はイギリス発祥であるラグビーのワールドカップが開催される年でもあり、横浜では決勝戦が予定されている。翌年のオリンピックではイギリス代表の事前キャンプ地となることも決定しており、イギリスと横浜がより強い絆で結ばれていくことは間違いない。
クルーズ500万人時代に向けてオールジャパンで取り組むなか、横浜港は日本を代表するクルーズポートとして、クイーン・エリザベスを万全の体勢でお迎えするとともに、今後もわが国におけるクルーズの発展に貢献できるよう、力を尽くしていきたい」とのコメントを寄せた。
日本市場を重視、5港に初寄港。国内・訪日客両方が楽しめるコースに
続いて、クイーン・エリザベスの紹介や具体的なコースについて、カーニバル・ジャパンのキュナード・ライン事業部長である児島得正氏から解説があった。
クイーン・エリザベスを所有するキューナード・ラインは、1840年のブリタニアによる大西洋航海からはじまる老舗の客船会社。タイタニックが遭難した際に最初に救助した船、カルパチアもキュナード・ラインの所有していた船である。
1922年にラコルニャによりスエズとパナマの両運河を利用した世界初のワールドクルーズを実施。このなかで神戸や長崎へも寄港している。キュナード・ラインでは世界一周のクルーズを年に1度実施しているが、2019年はクイーン・エリザベスの世界一周を実施せず、新市場の開拓に向けて、新しい取り組みを行なう年として位置付けるという。
近年、東南アジアを中心とした大型客船によるクルーズが急増しているが、中国人の顧客を中心としたほかの客船と比べ、クイーン・エリザベスの場合はアジア市場全体の約80%を日本市場が占めているという。2018年の日本発着クルーズの成功により、新たな顧客の獲得が行なえ、英国や欧州に次ぐ市場を開拓するためにも、2019年に日本に約3週間配船し、豪州や米国市場と共に力を入れていくという。
日本周遊クルーズでは全体の8割を日本の顧客と想定しているが、欧米からの来日客にとっても楽しめるような日本周遊コースを設定。横浜と韓国・釜山をのぞく5港が初寄港となる。また、日本発着クルーズのあと、アラスカへのクルーズが計画されており、その行程のなかで青森にも初寄港する。
日程もゴールデンウィークにコースを設定することで、リタイア前でまだ長い休みが取りづらい年齢層や、ファミリー層も利用しやすい日程を考慮したという。7泊8日のコースでは、長崎沖での軍艦島のシーニッククルーズも計画中。
内側の部屋であれば7泊8日で15万8573円からと、利用しやすい価格に設定されている。同室利用の3人目、4人目は半額となるため、「孫と一緒に3世代で乗船したい」といったケースも利用しやすいとのこと。ラグジュアリー船の代名詞となっているだけに費用が高額というイメージがあるが、日本発着クルーズならではの手軽さをアピールし、より広い層に高品質なクルーズを体験してほしいと語った。