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「ザ・リッツ・カールトン日光」2020年7月開業予定

東武鉄道とマリオット・インターナショナルが正式契約。設計は東京スカイツリーを手がけた日建設計

2016年11月7日 発表

2020年7月 開業予定

 東武鉄道とマリオット・インターナショナルは11月7日、栃木県日光市にマリオット・インターナショナルの最高級ブランドを冠する「ザ・リッツ・カールトン日光」を2020年夏に開業することで合意し、契約を締結したと発表。東京・銀座のコートヤード・マリオット銀座東武ホテルで記者発表会を開き、ホテルの概要、設計コンセプトなどについて説明した。

リゾート地「日光」復権の中核となる「ザ・リッツ・カールトン日光」

東武鉄道株式会社 取締役社長 根津嘉澄氏

 登壇した東武鉄道の取締役社長である根津嘉澄氏は、「明治27年(1894年)に『レーキサイドホテル』、のちの『日光レークサイドホテル』が開業し、2016年1月まで120年以上もの間、歴史あるホテルの一つとして営業してきた地に、『ザ・リッツ・カールトン日光』という名で新たな歴史を築いていきます」と挨拶した。

 日光は国内有数の観光地ではあるが、訪日外国人も日帰りが増え、宿泊者数が減少傾向にあったため、日光のリゾート地としての復権を考えていると狙いを説明。日光は東武グループの重要な経営資源の1つであるという認識であり、積極的な投資を行なっており、2017年夏にはSL(C11形207号機)の復活運転、日光への新型特急「Revaty」(500系)の運行、中禅寺湖での遊覧船の新造を計画しており、これらの施策によってさらなる日光の魅力の創出に注力していきたいとした。

 そしてそれらの施策の中核となるのが、世界的な知名度をもつ「ザ・リッツ・カールトン」を冠するホテルの開業であり、これにより日本中、世界中から日光エリアへのさらなる誘客を喚起し、東武グループや地元日光、北関東、東北エリアにもシナジー効果を及ぼしていきたいと話した。

 また、8月に東武グループに加わった金谷ホテルにも触れ、ハイエンドをターゲットにした「ザ・リッツ・カールトン日光」、伝統と格式をもつ金谷ホテル、良質な天然温泉をもちながら値ごろ感のある日光アストリアホテルという陣容で、多様化する旅行者のニーズを満たし、「“世界に愛される日光”が復権することに、東武グループとして貢献できることを喜びに思う」と挨拶を締めくくった。

「日光」ブランドに「ザ・リッツ・カールトン」ブランドを加えることであらたな需要を喚起する

マリオット・インターナショナル アジア太平洋地区開発担当 エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント ポール・フォスキー氏

 マリオット・インターナショナルのアジア太平洋地区開発担当 エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントであるポール・フォスキー氏は、「ザ・リッツ・カールトン」は、日本では東京、大阪、京都、沖縄にあり、そしてニセコの開業が予定され、大都市におけるホテルとしては評価されているが、インバウンドを中心とした観光客は、新しい目的地、新しいフロンティアの開拓を求めるようになってきているとトレンドを説明。「だからこそ、外国人観光客の新しい目的地、新しい体験の場所に、世界遺産と美しい国立公園がある日光がなれるのだと自負しています」と話した。

 そして日本人観光客にとって「日光」は確立された、定番のブランドであることを認めつつ、「『ザ・リッツ・カールトン』を日光で展開することで、さらなる『ワクワク感』を生み出すことができ、新しい次元を日光というブランドに加えることができると考えています。それがあらためて日光に行こうという理由になり、より長く滞在するための理由にもなると思います」と日光に開業する意義について語った。

「ザ・リッツ・カールトン日光」概要

開業時期:2020年7月予定
所在地:栃木県日光市中宮祠2482番ほか(日光レークサイドホテル跡地)
敷地面積:約1万9000m2
延床面積:約1万3000m2(鉄筋4階建て)
客室数:94室(予定)

東武鉄道株式会社 専務取締役 猪森信二氏

 東武鉄道の専務取締役である猪森信二氏からは、「ザ・リッツ・カールトン日光」の概要について説明があった。まず、中禅寺湖の湖畔、東武日光駅や日光東照宮からクルマで30分~40分ほどのアクセスであり、湖がすぐ目の前に広がり、華厳の滝も徒歩圏内、日光国立公園の豊かな自然を身近に感じられる環境であると、立地について紹介。

 ホテルは鉄筋4階建てで、客室は94室の予定。そのうち84室が50m2超のスタンダードルーム、10室が100~200m2のスイートルームになり、レストランは2カ所、バーラウンジ、ジム、スパを備えると説明。日光湯元温泉から引いた大浴場には露天風呂も併設され、温泉としても「十分ご満足いただける」ものだとした。

 ホテルの経営、運営は東武鉄道の100%出資による新会社によって行なわれ、MC(Management Contract)方式によってマリオット・インターナショナルの運営ノウハウが提供されるとのこと。新会社の従業員には東武グループから、新規採用から、どの程度の規模になるかはこれからであると説明。

 宿泊料金は、「日本で展開している『ザ・リッツ・カールトン』に近い価格設定になると思う」と説明した。

ホテルの設計は東京スカイツリーを手掛けた日建設計が担当

記者発表会会場では「ザ・リッツ・カールトン日光」の模型が展示されていた。中禅寺湖の湖畔に2020年7月に完成する
株式会社日建設計 代表取締役社長 亀井忠夫氏

「ザ・リッツ・カールトン日光」の設計は、ホテルなど数々のプロジェクト、そして東京スカイツリーを手掛けた日建設計が担当する。記者発表会では代表取締役社長である亀井忠夫氏が臨席し、「建設地は素晴らしい立地であり、中禅寺湖の静かな水面、西の白根山、北には男体山を望み、どの季節に訪れても素晴らしいこの環境を最大限に活かして、最高の体験をゲストの皆さまに提供することが、設計者の使命と考えています」と挨拶した。

 そして客室は中禅寺湖に向き合う客室、男体山に向き合う客室で構成され、いずれも風景を窓のフレームに収めることを意識し、「客室に入った途端、正面に広がる風景に目を奪われることだと思います」と眺望のよさをアピール。

「豊かな外部と内部のつながり」をコンセプトとして、客室にはバルコニーと縁側のようなスペースを設け、どの季節でもゲストがその日の気分で外の景色を楽しめるように設計していると説明。レストランやスパといったパブリックスペースでも、ランドスケープとインテリアを一体化、豊かな外部と内部のつながりを演出しているという。「ゲストの皆さまには忘れがたい体験を提供できるのではと確信していますので、ぜひご期待ください」と締めくくった。