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ANA、日本ブラインドサッカー協会とパートナーシップ契約を6月16日締結

発表会には日本代表の川村選手や北澤豪氏も登場

2016年6月16日 発表

 ANA(全日本空輸)とJBFA(日本ブラインドサッカー協会)は、2016年6月16日~2018年3月31日の期間でパートナーシップ契約を締結。6月16日、羽田空港ANAエアフレームメンテナンスビル格納庫において、日本ブラインドサッカー協会の代表理事である釜本美佐子氏、日本障がい者サッカー連盟の会長である北澤豪氏、アクサ生命保険/Avanzareつくば所属でブラインドサッカー日本代表の川村怜選手、そしてANA代表取締役社長の篠辺修氏が臨席し、本締結についての発表会が開催された。

羽田空港ANAエアフレームメンテナンスビル格納庫において、ボーイング 777型機を背景に発表会が開かれた

 ブラインドサッカーは視覚障がい者のためのサッカーで、転がると音がするボールを使いフットサルをベースにしたルールでプレイするもの。今回の締結でANAは、ブラインドサッカー日本代表のスポンサー、オフィシャルエアラインパートナーとして国内外遠征への渡航を支援。選手、関係者からANAのサ-ビスへのフィードバックをもらい、さらなるユニバ-サル対応の強化を図る。

 また、JBFAが実施しているブラインドサッカー体験型研修プログラム「OFF TIME Biz」を社内研修に取り込み、障がい者への理解をより深め、心のバリアフリ-の推進、障がい者雇用を促進する環境を整備。さらに小・中学生を対象としたブラインドサッカー出張授業「スポ育」も支援し、障がい者への理解や思いやりの気持ち、協力することを学ぶ子どもを応援していくという。

 発表会では人工芝を敷いてゴールを設置、北澤氏が司会を務め、川村選手とANAの篠辺氏でブラインドサッカーの実演が行なわれた。

北澤氏が司会を務め、川村選手とANAの篠辺氏でブラインドサッカーが実演された
格納庫内に人工芝が敷かれ、ゴールも設置された

「あそこでANA社員も見ているので、あとで怒られないようにがんばりたい」とスーツからジャージに着替えた篠辺氏は、アイマスクを着用してパスにチャレンジ。ブラインドサッカーでは、視覚障がいの度合いを平等にするために選手はアイマスクを着用する。そして選手の存在を知らせ、危険な衝突を避けるため、ボールを持った選手に向かうときにはスペイン語で「行く」という意味の「ボイ(Voy)」と声を出すルールになっている。

スーツからジャージに着替え、ブラインドサッカーに挑戦する篠辺氏

 川村選手からパスが出されるが、やはり音がするボールでも位置を把握するのは難しく、苦戦する篠辺氏。「ボールが見えないんだもん」と言いながらも何回か挑戦し、ボールの音を頼りにボールをトラップすることに成功。川村選手にボールを蹴り返すことができた。

 北澤氏に感想を聞かれた篠辺氏は、「目隠しをすると3歩目ぐらいから周りが分からなくなって、歩くのも怖い。見えないことでこれほど日常得ている情報を遮断してしまうのかと、あらためて痛感した。そして音の大切さがよく分かった」と実際に体験してみて分かる目が見えないことの難しさを語った。そして篠辺氏のパスを受けた川村選手は、「非常にセンスがあり、愛のあるパスをいただきました」と答えた。

ブラインドサッカー日本代表の川村怜選手

 川村選手は1989年生まれで大阪府出身。ブラインドサッカー日本代表では主将を務めている。「今回このような支援をいただけることを非常にうれしく思っています。先日のブラジル遠征でも感じましたが、国内だけでは得られないことを世界の強豪チームと実戦を重ねていくことで学ぶことができます。競技力を向上するためにはこういった経験の蓄積が非常に重要なので、このパートナーシップ締結をありがたく思っています」とANAへの感謝を述べた。

 そして「我々日本代表はいま世界ランキングで7位。1位のブラジルを倒すことを目標に日々努力しています。2020年に向けて1日1日、日本代表の自覚をもって、世界を意識してトレーニングに取り組んでいきます。そして皆さんに日本代表がメダルを獲得する瞬間をお見せできるように、努力していきます」と、抱負を語った。

NPO法人日本ブラインドサッカー協会代表理事の釜本美佐子氏

 釜本氏はツアーコンダクターとして世界を巡る仕事をしていたが、50代で目の病気になり70歳のころに視力を失う。知人の紹介でブラインドサッカーに出会い、その魅力を広めようとJBFAを設立した。元サッカー選手の釜本邦茂氏は実弟。

「私は旅行業に長らくかかわってきたので、ANAさんとこうやってつながることができた個人的なうれしさがありますが、我々の十数年の活動が評価されたといううれしさもあります。航空会社はバリアフリーであるとか、障がい者への対応を重要視しなければならない業界でありますから、多様性が認められ、共生する社会を目指すことにご理解いただいたこのうれしさをもって、ともに進んでいきたいと思います」とパートナーシップ締結への喜びを語った。

発表会場ではボーイング 777型機が駐機していた