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横浜の神奈川県庁と日本大通りがベトナム一色に染まった大盛況の「ベトナムフェスタ in 神奈川」

剛力彩芽さんや河村隆一さんによるトークショーも実施

2015年9月19日~20日 開催

 神奈川県や同県内の関連団体で構成されるベトナムフェスティバル in 神奈川実行委員会ならびに駐日ベトナム社会主義共和国大使館は9月18日~20日、“ベトナムを、もっと身近に。”をテーマにした文化交流イベント「ベトナムフェスタ in 神奈川 ~越 Beyond the NEXT!~」を実施した。

 9月18日は経済プログラムとして企業の投資セミナーや商談会などを実施。9月19日と20日は一般向けの文化交流プログラムとして、神奈川県本庁舎と日本大通りに78の団体が出展し、ブース展示、セミナー、各国料理の提供など通じて活動紹介を行なった。本稿では、19日と20日に行なわれた文化交流プログラムの模様をお伝えする。

神奈川県庁本庁舎前の日本大通りに多数のブースが出展。ベトナムと神奈川それぞれの特徴をPRする展示や販売が行なわれた
神奈川県知事 黒岩祐治氏

 19日のオープニングイベントで挨拶にたった神奈川県知事の黒岩祐治氏は「神奈川県内には160カ国の人が住んでいる。そのなかでベトナムが方がどんどん増えている。ベトナムの人は4番目。留学生も急増している。留学生はなんと2位。そのぐらい存在感をどんどん大きくしているベトナムのことを、私達はもっともっと知りたい。その思いでこのイベントを企画した」とイベントの目的を紹介。

 続けて、「2014年の7月に私自身がベトナムを訪問して、サン国家主席(チュオン・タン・サン氏)と会談して、こういうイベントをやりたいと話をしてきた。ベトナム大使館、ベトナム政府も今回のイベントには大協力してくれた。驚いたことに、このベトナムフェスタに併せて、チョン書記長(グエン・フー・チョン氏)が昨日(18日)やってきてくれた。チョン書記長とは実はベトナムで一番偉い人で、そんな人がこのベトナムフェスタのオープニングのためにやってきてくれた。そうやって出来上がったこのイベント」とベトナムによるイベントへの協力体制を語った。

駐日ベトナム社会主義共和国大使館 駐日ベトナム特命全権大使のグエン・クオック・クオン氏

 もう1人の主催者代表として登壇した駐日ベトナム社会主義共和国大使館 駐日ベトナム特命全権大使のグエン・クオック・クオン氏は「日本、ベトナムの両国関係は古く、歴史的変遷を経て素晴らしく発展してきた。現在、最良の発展段階に入っていると言えるだろう。両国の関係はすべての分野において良好に発展している。政治、外交、国防、安保、経済貿易投資、科学技術、教育訓練だけでなく、もっとも重要なことは国民間の関係、地方間の関係が大変良好に発展したことが、我々両民族の緊密化に繋がった」と両国の親密さをアピール。

 また、「そしてこのイベントで名前を挙げなければならない人物がいる。私の前任であるドアン・スアン・フン前駐日大使で、黒岩知事とともにイベントについて協議をし、私は着任して間もないうちに実行に移したもの。フン前大使がベトナムの地方自治体、ビジネス界、アーティスト関係を200名ほど連れてきた。ここ2日間、神奈川県民の皆様はベトナムの民俗文化、音楽、芸術などのパフォーマンスを実感できると思う。この2日間のイベントを通じて、日本国民、神奈川県民がベトナムの国、人、文化について、より知っていただくことを確信している」とコメントした。

 続いて、同イベントのプロデューサーを務めた、インフィオラータ・アソシエイツ 代表取締役社長の藤川靖彦氏も挨拶。「昨日は僕もアオザイを着ていたが、あまりに暑いので今日はスーツでやろうという話になったが、なぜか裏切られて(笑)、僕だけこんな格好で失礼します」と冒頭で笑いを誘ったあと、「4月に知事からプロデュースを任命され、5カ月間いろいろベトナムのことを勉強し、皆さんに楽しんでもらえるプログラムを考えた。出展のブースもたくさんあるが、イベントをたくさん仕込んでいる。県庁の周りはすべてイベント会場。県庁の3階(大会議場)にも素晴らしいステージを用意し、音楽やダンス、盛り上がれるようなイベントプログラムを用意した。ベトナムの文化が分かるようないろいろなコンテンツ、映画やアート、コンサート、そういったものを予定している」と述べ、幅広い分野でベトナムと神奈川の相互理解に繋がるプログラムを準備したことをアピールした。

ドアン・スアン・フン前駐日ベトナム大使
株式会社インフィオラータ・アソシエイツ 代表取締役社長 藤川靖彦氏

剛力彩芽さんがイベントのアンバサダーに就任

ベトナムフェスタ in 神奈川アンバサダーに任命された剛力彩芽さん

 同ステージでは、神奈川県出身で、ベトナムを舞台にしたドラマ「大使閣下の料理人」にも出演した剛力彩芽さんを「ベトナムフェスタ in 神奈川アンバサダー」に任命。就任式ならびに黒岩知事とのトークショーが行なわれた。

 就任式では黒岩知事からのたすきのプレゼントと、クオン大使からの花束贈呈を実施。クオン大使は「剛力さんにお願いしたいことがある。2日間の大使だけでなく、ここ数年間、ベトナムの名誉大使でお願いしたいと思う」と突然の発表で場を盛り上げた。

 剛力さんは挨拶で「本日は天気もよくて、多くの人に集まっていただきうれしい気持ちで一杯です。神奈川という私の身近な場所で、最近お世話になったベトナムの魅力をどんどん皆さんにお届けできる、そんなアンバサダーに就任できたことをうれしく思います。私もまだまだ知らないことがたくさんありますが、もっと魅力をアピールできるようにこれからも頑張りたいと思います。皆さん、今日、明日と精一杯楽しんで、素敵な思い出を作ってください」と呼びかけた。

アンバサダーに任命され、知事の手でたすきがかけられた
クオン大使は花束を贈呈するとともに、剛力さんを「名誉大使」に任命
アンバサダーに任命されて挨拶する剛力彩芽さん
トークショーを行なう剛力彩芽さん(左)、黒岩祐治 神奈川県知事(右)

 続けて行なわれた剛力彩芽さんと黒岩祐治知事とのトークショーでは、司会者からの「特に楽しみにしているイベントは?」の問いに黒岩知事が、「もちろん、このトークショーです(笑)。僕は彩芽ちゃんの大ファンでねぇ。僕が勝手に決めたわけじゃないけども、うちのスタッフが剛力彩芽さんをアンバサダーにするって言ってきたから、うちの県庁職員もなかなかやるなぁと思って。しかも冒頭で彩芽ちゃんとのトークショーを企画するって言うから“やったー!!”ってね」と声を弾ませる場面も。

 一方、アンバサダーとしての意気込みを問われた剛力さんは「神奈川県民として、今年まさにベトナムのドラマで、ベトナム人のハーフ役をやらせていただいているので、本当にご縁があるなぁと。でも正直、そこまで詳しい方ではないので、アンバサダーとして皆さんにどれだけ魅力を伝えられるかな、勉強しなきゃな。もちろん楽しみながら私自身も勉強して、皆さんにお届けできたらいいなって思います」と謙虚な挨拶。

 2015年1月に放映されたドラマ「大使閣下の料理人」を通じて交流があったというベトナム人に対しては「温かくて、元気な方、笑顔の方がすごく多くてご一緒できてよかったと思いました。日本語で話してくださったり、みんな優しい」と好印象を述べた。黒岩知事から「ベトナム語お上手でしたね、ベトナムはどのぐらい滞在してたんですか?」と問われると、「すごく難しいです。終わったら全部忘れました(笑)。滞在は実は1泊」と明かすと、黒岩知事は「1泊であれだけ撮れちゃうんだ。さすがフジテレビ」と元フジテレビキャスターという自身の経歴にかけたジョークで笑わせた。

 一方の黒岩知事もベトナム人に対しては親しみを覚えているそうで、「このイベントも元々、フン前大使が“兄弟だー!”って言ってくれたところから始まった。そこからは会う度に“ブラザー!!”ってやってると本当に兄弟みたいになって、国家主席に会ってくださいよ、なんてことを全部段取りしてくれた。今度新しい大使としてクオン大使が来られたが、この方はアメリカ大使をしていた大物。そんな大物大使も“今度は僕も兄弟だー!!”って。こういう感じで繋がってくる感じ」と駐日ベトナム大使との仲のよさを明かした。

 また、前述のドラマにおいて主人公の料理人が食材を選ぶときに、塩にこだわっていたことに話題が及ぶと、剛力さんは「実際に私もベトナムでお店に食べに行ったら、フルーツにちょっと辛味のある塩が一緒に出てきたんですよね。それがすごく美味しくて、似たお塩をスーパーで買い占めて帰ったんですけど、なににでも合うんです」と紹介。黒岩知事は観覧していたクオン大使に「大使! ベトナムの塩がブームになるかもしれない」と声をかけていた。

 最後に神奈川県のことについて聞かれた剛力さんは「ずっと神奈川、横浜に住んでいるからというのもあると思うんですが、そもそも空気感がすごく好きで、もう出られない、離れられないぐらい街も人も好きですし、いろんなものがギュっと詰まってる感じ。緑もあるし、海もあって、観光地とか遊べる場所も多くて、ずっといても、いくつになっても違う感覚で楽しめる場所だと思ってます」とコメント。

 ちょうどその時、霧笛の音が聞こえ、黒岩知事が「これ。知事室で執務している時も聞こえる。これ聞くと横浜にいるって感じがする。神奈川には160カ国、16万人といういろんな国の方が住んでらっしゃる。港町ですからね。そんなところだから突然やってきてもウエルカム。その空気感が好きなところじゃないですか」と剛力さんの気持ちを分析してるうちにタイムリミットを迎え、「もう終わっちゃうんですか、こんなに楽しみにしてたのに。もう終わっちゃうの?」と未練を残しつつトークショーは終了した。

 その後、黒岩知事、クオン大使、剛力さんは県庁本庁舎前に場所を移して、「インフィオラータ完成セレモニー」に臨んだ。インフィオラータはイタリア語で花の絨毯を意味し、200年以上の歴史を持つフラワーアートとして欧州を中心に世界各国で行なわれているという。今回のベトナムフェスタ in 神奈川では、イベントのメイン装飾として事前公募した参加者30名により、バラなどの県内生産の花を約1万本用いた5×5mのインフィオラータを制作した。

 セレモニーでは、上記来賓らが最後の花を乗せて完成。会期中、このインフィオラータが県庁本庁舎前を飾り、人々の目を引きつけていた。

インフィオラータ完成セレモニーに臨む一同
インフィオラータをデザインした、石川学園横浜デザイン学院在籍のベトナム人留学生のフォンディさんと、イタリア人留学生のジュリアさん
剛力さんや黒岩知事、クオン大使らが最後の花を飾り、約1万本の花で作られたインフィオラータが完成した

河村隆一さん、黒岩祐治知事がベトナム人留学生とトークイベント

 イベント2日目の9月20日には、県庁本庁舎3階の大会議場で、かながわ観光親善大使を務めるLUNA SEAの河村隆一さんと黒岩知事のスペシャルトークショーを実施。ベトナム人留学生が神奈川のグルメと観光地、ショッピングについて調査レポートを発表し、それを受けて黒岩知事と河村さんと意見交換をするというスタイルで進められた。

神奈川県庁本庁舎3階の大会議場ではベトナム音楽のコンサートやセミナーなどを実施。プロパガンダポスターも飾られた

 冒頭で黒岩知事は「史上最大のベトナムフェスタをやろうということでやってまいりましたが、本当に史上最大になりました。目標は2日間で20万人動員でしたが、初日だけで20万人を超えました。これで一気にベトナムと神奈川の絆を深めていきたい」と盛況ぶりを紹介。

 河村さんは「黒岩さんに任命していただいてかながわ観光親善大使をやらせていただいていますが、本当に神奈川県にたくさんの外国の方々が学生さんを含めて住んでいるのはよいことだと思います。そのご家族の方も観光に訪れることもあるでしょうし、もっと世界的に開かれた都市として、神奈川を広めていきたいとのことなので感激しています」とコメントした。

神奈川県知事の黒岩祐治氏
和気藹々とした雰囲気でトークショーは進んだ
かながわ観光親善大使の河村隆一さん。河村さん目当てのファンと思われる女性も多数来場し、会場を埋め尽くした

 留学生からのレポートは、まず神奈川の食の観点で、チュンさんとザンさんが紹介。海が好きで三浦半島を訪れたチュンさんは「魚がすごく新鮮で美味しかった。食べたときは本当にびっくりして感動した。しかしちょっと値段が高い」と紹介。さらに、「ベトナムは野菜がすごく多く、私も肉派か野菜派かと聞かれたら野菜派。神奈川のレストランとかに入ったらサラダを注文するが、野菜は美味しいけど量がちょっと少ない。あと値段も」と、味には満足だか料金に課題がある点を指摘。

 ザンさんは食べ物にはあまり関心がないそうだが、ベトナムにはない果物狩りで新鮮な果物に感動したそう。また、「神奈川はすごく自然に恵まれ、風景がきれいなところが多くて、それをうまく利用してレストランなどを作っている場所が多いと思っていた。でも、よい場所ほど値段が高い。もっと学生割とかがあったらよいなぁと思っている」とやはり料金への課題に触れた。

 それを受けた黒岩知事は「高くて申し訳ないですね。なんとか工夫したいと思いますけど……。神奈川県の農業の特徴は生産地から近いところ。特に三浦半島は海の幸も農作物もいっぱいある。三浦大根なども有名。本当は近いからもうちょっと安くできるとよいですよね。工夫したいですね」と、検討に含みを持たせつつコメントした。

 河村さんは「僕もバンドを始めた頃はお金が全然なくて、後輩が5人ぐらいいつも付いていて兄貴、兄貴っていうんだけど、何も食べられない。当時はまだスマホがなかったからお店の情報は全部口コミ。当時、ラーメンを100円を食べられるお店があったんですよ。神奈川にもランチの時間だけ海鮮丼をこの値段で食べられる、といったお店があると思う。皆さんも探していただいければ」と提案した。

 こうした情報の発信を外国語でやってほしいとの要望に黒岩知事は「ベトナム語の情報発信は大事ですね。これは県がやる仕事。約束します」と取り組みを約束した。

 このほか、お土産物について留学生2名に問われ、黒岩知事は「私が1つ挙げると別のところから怒られるかも知れないけど(笑)、例えば湘南ゴールド。神奈川県の農業技術センターが開発した新しいオレンジで、これは美味いですよ。すごくきれいな黄色で、グレープフルーツのようだけど甘みがある。これを使ったケーキなどもある。一番新しいトレンドなので、ぜひベトナムで宣伝してほしい」とPR。

 河村さんは「神奈川はとにかく水がきれい。水がきれいなところは食べ物全般美味しいし、例えば豆腐とかお酒とかが実は生まれているところなので、そういう隠れた名品を探してほしいですね」とコメントした。

 さらに、留学生から箱根の黒たまごについて問われ、黒岩知事は「もうちょっと待ってください。もうそろそろ収まりそうですから。噴火警戒レベルというのがあって、こないだまでレベル3に上がってて入れないエリアが広かった。今はレベル2に下がって半径500mエリアだけになりました。ただ、黒たまごは、まだこのなかにまだあるので、もうちょっと待ってください」と事態の沈静化を待望している様子でコメントした。

ベトナム人留学生が神奈川の食、観光地、ショッピングの観点でレポートを紹介

 続いてのレポートは神奈川県の観光地で、ヒェンさんとフェさんがプレゼン。ヒェンさんは紹介したい観光地として湘南海岸を挙げた。「なぜ湘南海岸かというと、何年か前に桑田佳祐さんの歌を聴いて、そのなかで多くの湘南海岸のイメージが登場していたから。私のイメージとしては、湘南海岸は暑くて、サーフィンとかマリンスポーツで皆さんが楽しんでいる海岸。桑田さんもご出身は神奈川県なので、この海を愛してる方だと歌のなかでも感じ、こういったイメージが歌からも伝わってきて、私も偶然歌に出会って、外国人にとって歌というのは、かなり共通の言語で、国境を超えて文化を伝えるものだと思っている。ぜひそういう歌を通じて、観光を盛り上げて、その交流を盛り上げることができたらよいと思う」とし、「音楽のフェスなどを湘南海岸でできないでしょうか。あとできれば、サザンオールスターズや桑田佳祐さんと一度会ってみたいと思っています」と発表。

 黒岩知事は「留学生ならではの恐れを知らぬ発言が(笑)。サザンオールスターズもいいけど、ここにおわすお方をどなたと心得る(笑)。あのLUNA SEAの河村隆一さんですから!」と会場を笑いに包む一方で、河村さんは「でもね、知事。僕、湘南でずっとサーフィンしてたんですよ。小さい頃から。湘南海岸に子供の頃、親とか近所のお兄ちゃん達と行くと、本当に混んでるんですよね。湘南って夏の間は正直そんなに大きな産業を興さなくても人であふれかえるじゃないですか。でも冬の間はパタッといなくなる。あそこで何かやったらいいのになっていうのはずっと考えてました。あと、地域の海はボランティア的な活動で守られていて、暗黙のルールもある。もっと開かれて、みんなが楽しめるようなルール作りができたらよいなぁと思ってます」と冷静なコメントで返した。

 続けて黒岩知事は「神奈川の海は財産。神奈川はいまシープロジェクトという、神奈川の海全体の魅力を増していこうというプロジェクトをやっている。そのなかで江ノ島の海がオリンピックのセーリング会場に決まった。これを勝ち取るのは大変だったが、水がきれい、潮がいい、風がいい、景色がいい。湘南をこれから盛り上げてまいりますからよろしくお願いします」とアピールした。

 フェさんは観光地として箱根を紹介。東京から行くのにちょうどよい距離であることが理由の1つだという。そして、その絶景に心を打たれたといい、「こういう箱根の風景写真は、日本人ならパンフレットとかでみんなご存じだと思います。でも留学生はみんな知らない。こういう素晴らしい景色なのに。こういうところへ行けば、こういう景色が見られるとかをアピールしてほしい。仙石原のススキもホテルの紹介で行ったが健康的だしよかった。もっと留学生向けアピールを考えて、多くの学生が訪問するように頑張って欲しい」と切望。

 また、「日本では留学生や海外のお客さんだとWi-Fiでインターネットにアクセスする。Wi-Fiアクセスするときにエリアが整備されているのに、認証が必要とか、パスワードが必要とかになると、みんな断念してしまう。そういうことが多い。利便性を高めるためにどうすればよいのか」と指摘。

 黒岩知事は後者について、「会社ごとにエリア整備が進んでいるところもあって、県だけで全部やるのは難しい。ちょっとずつよくなってますが、頑張ります」と前向きな姿勢を見せていた。

 併せて、「神奈川の観光地は横浜、神奈川、箱根が中心。それにプラスして、大きな観光地を新たに作っていこうということで、大磯、大山、三浦海岸の城ヶ崎などを育てている。河村さんには大山(阿夫利神社)に昨年来ていただいた。あのコンサートよかったですね」と神奈川の観光地について紹介。

 河村さんは大山のコンサートについて触れ、「屋外の能舞台でのライブを大山でやらせていただいた。歴史がある場所ですし、周りに神気が満ちている感じ。神社とかって不思議ですよね、空気がシーンとして透明感がありますね」と感想を語ると、黒岩知事も「あの能舞台って、背景は普通書き割りの松なんですけど、あそこは本物の松。あれは素晴らしかったですね」と述べた。

 そのような話のなか、留学生から河村さんに「歌をぜひ披露していただきたい」と要望が寄せられると、黒岩知事は再び「またまた留学生からの恐れを知らぬ……(笑)」と困惑。河村さんは「知事、曲書きますよ。神奈川の海のイメージの詩と曲を書いて、ここで披露しますよ」と約束。黒岩知事もこの発言には驚き、「皆さん楽しみにしましょう」と呼びかけると会場は拍手喝采に包まれた。

“恐れを知らない発言”も飛び出す留学生達に丁寧に答える河村隆一さん
知事が着ているアオザイは特注品とのこと

 最後はショッピングについて発表したチャンさんが登壇。神奈川県内のショッピングモールや、横浜中華街のヨーロッパのアクセサリショップやインテリアのお店、ベトナム料理店などを中華料理だけでない魅力があることを紹介。

 これを受けた黒岩知事は「神奈川県にはいろいろモールがあって、それぞれが充実していて凄く楽しい。でもそれだけじゃなくて、いま神奈川県でやろうとしているのは、それぞれの地域にある商店街。商店街は元々地元の人が物を買いに行くところだったんだけど、わざわざ人が買いに行く、磁石のように引きつける“マグネット商店街”を目指している。例えば元町商店街はマグネット商店街。実験的に商店街観光ツアーをやった。面白い商店街を3つぐらい選んでバスでまわって、お昼の時間はお弁当箱を渡して商店街をまわってお総菜を集めてみんなで食べるんです。普通の商店街を楽しもうという企画をやったら大人気。こういう企画をどんどん繋いでいこうと思っています。これに外国の方もお連れするという流れにしていきたい。きれいなショッピングモールも魅力、さらに地域に根ざした土地の香りや生活の臭いがする地元の皆さんの気持ちになってショッピングをする」と地元に根ざした取り組みも紹介。

 また、チャンさんも経済力がなく、いつもウインドウショッピングを楽しんでいることで外国人向けのクーポンなどを要望されると、黒岩知事は「そういうご要望は多いですね。ふるさと創生の基金とがあって、いろいろな形で使ってはいるんですけど、外国人向けに特化したものはないので工夫したいですね」とコメントした。

 河村さんは、「若いときってそんなにお金はないと思います。僕も17歳とか18歳でライブハウスに出るようになったんですけど、その頃に衣装費ってないんですよね。かき集めても3000円、5000円っていうときに、800円とか1000円の普通のワイシャツを買ってきて自分で裁断したり、染めたりして衣装を作りました。大きなショッピングモールを歩いて、靴でもバッグでも服でもアクセサリでもいろんな物を見ておくと、本当のよさが分かってくるし、よい物と安い物の差も分かって、安いんだけどよいものも分かってきて、伝統的な物にも興味をそそられるようになる。買わないまでも若いウチにできるだけ手に触れて、目にしてもらうと、審美眼が身につくと思うので、そういうことを神奈川でたくさん学んでほしいと思いますね」と知事とは別の視点で留学生にメッセージを送った。

 最後に2020年に向けてのインバウンド政策について黒岩知事は「東京オリンピック/パラリンピックで世界中のお客様が見にいらっしゃるわけですから、どれだけか神奈川に呼び込めるか。しかも江ノ島でセーリングが行なわれますからね。もっと引きつけたい、魅力を増したいと思っています。また、その1年前にはラグビーのワールドカップがある。ちょうどイギリスで始まったばかりですけど、その4年後が日本で、横浜も開催地に入っている。本当は予選だけだったんだけど、国立競技場が間に合わないということになって、今のままいくと……(笑)。お客様がどんどん来られて、満足していただけるよう、施設などを全部整備したいと思っています」と意欲を示した。

 河村さんは結びに、「少子高齢化が騒がれている日本ですけど、島国なので子供の頃は近所で外国の方と仲よくする機会は少なかったですが、でもこうやって留学生の方と話もできて、日本語を話してずっと日本にいる方もたくさんいらっしゃるし、神奈川もたくさんの方に住んでいただきたいですね。民族衣装、例えば日本の夏だと花火大会で浴衣を着たりするんですけど、例えば神奈川のどこかでみんな自国の衣装を着て集まるイベントを作るとか、どんどん楽しい文化交流をこれからも考えられると思う。知事にもリーダーシップを執っていただいて、たくさんの方が住む、大きな大きな神奈川県を背負っていただきたいと思いました」と知事に要望してトークショーを締めた。

イベントはアオザイのファッションショーや水上人形劇などに注目が集まる

 ベトナムフェスタ in 神奈川では、上記のようなトークショー以外にもさまざまな催しが行なわれた。特に人気を集めていたのがアオザイショーと水上人形劇だ。

 アオザイはベトナムの民俗衣装で、体にフィットした薄手の長丈衣装に、深く切れ込んだスリットが特徴的。日本でも広く知られた民俗衣装の1つと言えるだろう。このアオザイのファッションショーは十数種類の衣装を次々に披露。下に掲載した写真はすべての衣装ではないが、次々に登場するアオザイの美しさに観衆も魅了されていた様子だった。

 また、県庁前では、アオザイの試着コーナーや即売が行なわれ、こちらも盛況。ラーナと呼ばれる葉笠にオリジナルのペイントを施すワークショップも開かれていた。

アオザイの試着&販売コーナーは常に列ができる盛況ぶりだった
オリジナルの装飾を施してオリジナルのラーナを作るワークショップも

 一方の水上人形劇も、ベトナムの伝統的演芸の1つ。水面を地面に見立てた人形劇で、水を活かしたダイナミックな演出が特徴。時には煙なども上がる迫力あるもののほか、演奏や歌もライブ演奏となっており、1時間に1回の上演時には近くを通行できないほどに人であふれかえるほどの人気となっていた。

ベトナムの水上人形劇
この水上人形劇は通路をふさいでしまうほどの盛況を見せた
水面を地面に見立てた人形劇。波しぶきなどのおかげで躍動感にあふれる
歌や生演奏が劇を盛り上げる

 会場のブースでは、それぞれの企業、団体が神奈川やベトナムの魅力を伝えるべく、その活動を紹介した。最後に目に留まったブースをピックアップして紹介する。

即売会やプレゼント抽選会、飲食コーナーなど多数のブースが出展した
水分補給の大切さを啓蒙する目的で、箱根の湧き水を水源とする神奈川県営水道水の缶を配布。
平塚市の有志による出展コーナーでは、ビキニやラーナの形のアイシングを施したクッキーを販売
神奈川県商工会連合会では、10月~11月に実施されるイベントを告知。足柄茶など地元産の直売も行なった
10月24日~11月3日は羽田空港国内線第2旅客ターミナルで「神奈川みやげもの市場」、11月22日には横浜 赤レンガ倉庫のイベント広場で「かながわ商工会まつり」を実施する
近畿日本ツーリストのブースでは、東海大学の学生が考案し、ふるさと割を用いた神奈川県の日帰りツアーを紹介
神奈川県内の23公園の管理運営を行なう西部造園グループのブースでは、各地の公園で販売しているグッズを販売。松田山ハーブガーデンの河津桜を利用した桜飴は試食も提供
エースコックはベトナムで人気を集めるインスタント麺「ハオハオ」を、イベントのために輸入販売。2個で100円というお得さもあって、時間によっては行列ができるほどの人気を集めていた
深入りの豆をステンレスのフィルターで抽出する濃厚な味わいが特徴のベトナムコーヒーは会場内の随所で見られた。アイ・ジー・エムは販売許可が下りたばかりというクリーム入りのインスタントコーヒーを2個500円で販売
横浜YMCA学院専門学校は、一般来場者も誘ってバンブーダンスを実施。会場に竹の心地よい音が響き渡っていた
ベトナム料理コーナーは安定した人気で、終日人の列ができていた
京急はFacebookページをいいね!することで参加できるガラポン抽選会を実施。マスコットキャラクターの「けいきゅん」をプレゼント
アオザイを着たスタッフが出迎えたH.I.S.ブースは、LINE登録で参加できるガラポン抽選会を実施。1等はシェラトンサイゴン宿泊券と豪華
夜は、ベトナムのクアンナム省ホイアンで満月の夜に行なわれる「ランタン祭り」を実施。クアンナム省から送られた2000個のランタンが県庁周辺を飾った

(編集部:多和田新也)