旅レポ

スクートの羽田発直行便で行くシンガポール。自然と共存する都心の個性派ホテルに泊まってきた

シンガポールの5つ星ホテル「パン パシフィック オーチャード」

 シンガポールを拠点にするLCCのスクートは、羽田~シンガポール線を3月1日に就航している。

 本稿では、宿泊した施設を含む話題のホテルを3軒紹介しよう。シンガポールは「ラッフルズ ホテル」や「マリーナベイ サンズ」など魅力的なホテルが数多くあるが、新しいホテルも続々と登場している。

都会の高層ビルをジャングルにしてしまったユニークなホテル

 最初に紹介するのは宿泊した「パン パシフィック オーチャード(Pan Pacific Orchard)」(10 Claymore Rd, Singapore)だ。2023年にオープンした新しい5つ星ホテルで、特徴は何と言ってもそのビジュアル。23階建ての高層建築の4か所が大胆なオープン仕様になっており、それぞれ「森」「ビーチ」「庭園」「雲」をテーマにしたテラスになっている。

クルマのなかからこの異質な“たたずまい”を目にしたときの衝撃と言ったら!(写真提供:パン パシフィック オーチャード)

「都会のなかの自然」をコンセプトにしてデザインしたそうだが、近未来的な独創性あふれるフォルムにただただ驚くのみ。これを実現しているのは、地震が少ない、台風の発生源から離れている、火山が近くにない、といった自然災害の少なさが理由の一つなのだろう。

 蛇足だが、米国地質調査所(USGS)のWebサイトでシンガポールやマレーシア、インドネシアを含めたエリアの地震発生頻度を調べたことがあったが、マレー半島、ボルネオ島(カリマンタン島)はほとんど発生しないのに、お隣のスマトラ島やジャワ島は発生頻度も大きさもケタ違いだったのには驚いた。

見てのとおり、23階建ての4か所が開いた空間になっており、開放的なテラスが広がるなんとも大胆なデザイン(写真提供:パン パシフィック オーチャード)

 各テラスの印象的なデザインにもなっている円柱状の“緑の柱”は外周部分に多くの植物を擁し、高層ビルでありながらも1万4000m2以上の緑地を備えている(元の敷地面積の3倍)。この空間だけは、都会のホテルにありがちな“無機質”という言葉から解き放たれているようだ。

 ちなみに立地するオーチャード地区は、大型ショッピングモールや各国の大使館が立ち並ぶ、シンガポール屈指の商業地&高級住宅地で、同ホテルからは地下鉄オーチャード駅まで徒歩8分とアクセスもよい。

11階のテラスは庭園をイメージしたもの。植物をまとった巨大な円柱が印象的で、天井のミラーがさらなる開放感を演出している
シンガポールの中心地を貫くオーチャード ロードの近くに立地するパン パシフィック オーチャード
近くにはフォーシーズンズやグランドハイアットなど高級ホテルが立ち並び、レジデンスも富裕層が住む一等地であると現地ガイドの方に教えてもらった

 客室は343室で、さまざまなタイプの部屋を備えており、ワンランク上の客室や専用ラウンジなどを用意したクラブルーム仕様の部屋もある。独特なフロア形状をしていることから客室は“く”の字形に配置しており、外側に面した「シティビュー」と内側に面した「テラスビュー」に大きく分かれている。

テラス側の客室はバルコニーを備えている

 もちろん、人気があるのはテラス側で、部屋に“テラス”が付く部屋を数種類用意している。リゾート気分を味わいたいのであれば、5階フロアのプールテラスに面した部屋がオススメだ。

「ビーチ テラス バルコニー キング」は名前のとおりバルコニーを設けており、プールテラスのヤシの木も見えることから非日常を満喫できる。さらにスゴイのは「ビーチ クラブ プール アクセス ロフト」で、この部屋は目の前がプールになっており、バルコニーからダイレクトにアクセスできるのには驚いた。「こんな部屋あったらおもしろくね?」という発想を実現している姿勢にはただただ感心するばかり。

テラス側のバルコニーからの景色
眼下に見えるヤシの木とプール
5階のテラス側にはそのままプールに入れる「ビーチ クラブ プール アクセス ロフト」があり、10室を用意している

 宿泊したのは「デラックスルーム」のツインベッド仕様の部屋。内装は25m2のスペースを有効に活用している作りで、ソファにローチェアー、テーブルと必要十分な家具を揃えながらもくつろげるような設計になっていた。

宿泊したデラックスルーム
シンプルで落ち着きのある内装と家具

 環境面にも配慮している同ホテルでは、水は備え付けのウォーターサーバーからボトルに入れて利用する。バスまわりは2タイプのシャワーが使えるシャワールームを備えていた。日本人としてはバスタブが欲しいところだが、必要な機能は備えているので滞在に支障はない。

電動のウォーターサーバー。なんだかオシャレ
洗面台とシャワールーム

 外に目を移すと都市国家シンガポールらしい、高層ビルが立ち並ぶ景色が広がっていた。ビルの数は多いのだが、ところ狭しと乱立している感じではなく、しっかりとした都市計画に基づいて建てている印象だ。一等地なので厳しい規制もあるのだろうが、これがシンガポールかと感心してしまう。

部屋からの夜景を見ていると、箱庭ゲーム「シムシティ」が思い浮かんだ

 エントランスフロアにあるオールデイダイニング「モセラ(Mosella)」についても紹介しよう。モセラのあるテラスは森をイメージしたもので、その奥に水上に建つロングハウスのようなデザインを取り入れているのが特徴だ。都会のど真んなかにありながらも、周辺国のリゾート地を訪れたような気分にさせてくれる。

熱帯植物に囲まれたロングハウスをイメージして建てられた「モセラ」。高床式の柱も再現しているところがスゴイ!
反対側のエントランス近くには水上に浮かぶバーがある。ホテル全体で水をふんだんに使っている印象だが、高度な再処理システムを導入するなど環境にも配慮している。電気の一部も太陽光発電によってまかなっているそうだ

 店内は天井が高く、開放感あふれる空間になっている。こちらではビュッフェ形式の朝食をいただくにとどまったので、ランチやディナーメニューについては分からないが、地中海料理がウリであるとのことだ。朝食ビュッフェは5つ星ホテルにふさわしい、洋風と中華のメニューを数多く揃えていた。ライブキッチンではゆでたての麺料理も提供していた。

広々とした店内
いろいろなメニューを用意しているビュッフェはあれこれ眺めるのも楽しい
麺料理を提供しているライブキッチンでは「シンガポール ラクサ」と「チキン ブロス」を提供していた
ラクサと迷ったが、さっぱりとしたチキンを選択してみた
朝から好きなものだけを味わえるシアワセ

 スケジュールの都合でホテルに滞在している時間はほとんどなかったのだが、都会のオアシスを具現化したユニークな建物、名門ホテルのホスピタリティを感じられるサービスは、優雅な時間を提供してくれるはずだ。ゆっくりとシンガポール滞在を楽しみたい人にオススメ。

リゾートアイランド・セントーサ島の5つ星ホテル

 地図を見るとシンガポールの中心部からすぐの場所に大きな島があるのが分かる。ここはリゾート地として開発された「セントーサ島」で、ゴルフ場、マリーナ、ビーチ、水族館、遊園地などがあるほか、人気の「ユニバーサル スタジオ シンガポール」もある、まさに夢の島。もちろん、リゾートホテルも数多くあり、その一つが2025年にオープンした「ザ ローラス(The Laurus)」(28 Sentosa Gateway, Singapore)だ。

島全体がリゾート地として開発されたセントーサ島
2025年オープンの「ザ ローラス(The Laurus)」

 マリオット・インターナショナルとの提携により開発されたラグジュアリー・コレクション・リゾートである「ザ ローラス」の特徴は、183室ある部屋が全部スイート仕様になっていること。スイートもいくつかの部屋タイプを用意しており、人数や予算に合わせて選べる。リゾートアイランド・セントーサ島で優雅な滞在を目的とした旅なら検討してもらいたいホテルだ。

自然豊かなジャングルに隣接した5つ星ホテル

 もう一つ、2025年にオープンした注目の5つ星ホテルを紹介しよう。シンガポールの中心部から北側にかけて広がる自然豊かなエリアにあるのが「マンダイ レインフォレスト リゾート by バンヤンツリー(Mandai Rainforest Resort by Banyan Tree)」(60 Mandai Lake Rd, Singapore)だ。

2025年オープンの「マンダイ レインフォレスト リゾート by バンヤンツリー(Mandai Rainforest Resort by Banyan Tree)」
熱帯雨林に囲まれたアッパーセレター貯水池のほとりにある

 バンヤンツリーブランドとしてシンガポール初進出となる全338室の客室を擁し、生命とのつながりを意味する「ビオフィリア」をコンセプトに、建築デザインをはじめ、設備やサービスの細部にまでその精神が活かされている。アッパーセレター貯水池のほとりに建つ同ホテルは、自然豊かな熱帯雨林との調和を大切にしているのが、エクステリア、インテリアのデザインからも伝わってくる。実際に多くの鳥類が生息し、サルも出没するそうだ(注意の看板がある)。

 客室はスタンダードな部屋からファミリー向け、スイートルームなどさまざまなタイプを用意しているが、そのなかでもひときわユニークなのが「マンダイ・サンクチュアリ・ツリーハウス」だ。植物の種子をモチーフにした外観はホテルの客室とは思えないフォルムで、ウリである開放感あふれるテラスは間近にジャングルを感じられるとっておきの癒しスポットになっている。

貝殻にも見える「マンダイ・サンクチュアリ・ツリーハウス」
自然のど真んなかでリラックスできるテラス。サルが入ってこないように金網が設置されているが、開放感は抜群だ

 近隣には「シンガポール動物園」「ナイトサファリ」「リバーワンダーズ」などがあり、2025年3月にオープンした「レインフォレスト・ワイルド・アジア」にもアクセスが容易なので、自然を満喫したい人にオススメだ。

 次回はシンガポールで女性に大人気のカフェや新しい観光スポットなどを紹介する予定だ。

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。