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空の上で本格京懐石! シンガポール航空の新たなファーストクラスメニューを食べてみました
2023年1月20日 12:00
- 2023年1月18日 実施
シンガポール航空は、ファーストクラス向けの機内食「京懐石」のメニューを1月6日に刷新した。東京~シンガポール線、東京発ロサンゼルス線に導入済みで、京都の老舗料亭「菊乃井」の村田吉弘氏が手がけたメニューを空の上で楽しめる。
その機内食を早速試食してきた。
「旨味を活かし、もっと食べたいと思ってもらえる料理を機内食で目指している」と村田氏
20年以上にわたりシンガポール航空の機内食をプロデュースし続けている村田氏は、今回の新メニューについて「非常にトラディッショナルなコースとなりました」と話す。
和食を世界に発信してユネスコ無形文化遺産登録への道を作り、料理人初の文化功労者に選ばれている村田氏は、「和食が世界の料理となるなか、本物の和食を食べたい人が増えています。しっかりと日本文化に根ざした伝統的な懐石料理を、10年ぶりに新たにあつらえた器で提供し、トータルで美味しさと美しさを感じてもらえるようにしました」という。
また、「一番最初に機内食の美味しさを追求し始めたのがシンガポール航空。世界中のエアラインが追随し、今日に至ります。その進化の過程で初期から関わってこれたのは、社会的に非常に大きな仕事ができました」と振り返った。
なお、機内食開発に関しては「上空では味覚も嗅覚も非常に鈍くなります。味をはっきりさせ、何を食べているのかが分からないと利用者は箸をつけてくれない場合も……。食欲のわく見た目を意識するとともに、しっかり料理を味わっていただけるよう塩を使う代わりに旨味を活用し、もっと食べたい!と思っていただける料理を目指しているんです」と裏話も。
約20年以上もの間タッグを組み、機内食を村田氏とともに作り上げてきたコスモ企業 調理部担当部長 和食担当料理長の星勝徳氏も登壇。「機内食の味わいが格段に上がったのは出汁のおかげ。村田さんから温度と時間をはじめ、科学的に出汁の取り方や料理の基本を教わったのが大きい。野菜出汁や精進料理をはじめ、さまざまな出汁のアイディアを取り入れています」と語った。
また、客室乗務員が行なう盛り付けに関する工夫も紹介。正しく盛り付けできるよう、表示に気を配り、スピーディに美しく完成へ導く表示をパッケージにしているとのこと。
機内サービスやラウンジを含めすべてを統括するシンガポール航空 ディビジョナル・バイスプレジデント・インフライトサービス&デザインのベティ・ウォン氏は、「日本市場は非常に大事。開発には実際のお客さまの声も反映しています。新たなコンセプトのファーストクラスの京懐石で、最高のファーストクラス体験をぜひお楽しみください」とコメントした。
「縁高」入りで、開ける楽しみも。華やかさと美味しさは、まるでお祝いの席のよう
今回味わったのは、東京発~シンガポール行きの冬メニュー。運ばれてきたのは、黒漆の上に朱を塗った「根来(ねごろ)」塗りの2段の縁高(ふちだか)。茶会席など料理を振る舞う際に使われる伝統的な器だ。
ワクワクしながら蓋を開けると一の重には「先付三種(黒豆落雁、数の子西京漬け/明太蓮根、鰤のタルタル/烏賊と筍の木の芽味噌和え)」「向付(炙りとろ、鳴門巻/金目(人参)/車海老(胡瓜)」と目にも鮮やかな小鉢が並ぶ。
続く「蓋物(北海道雪国ポーク、黒酢鞍煮、大根、しめじ、人参、九条葱 )」は、黒酢の酸味が際立つ一品。柔らかなポークに、白飯を思わすリクエストしたくなる。
メインの「台の物(鰆味噌柚庵コンフィ、和牛煮込み バター照り焼きソース」は、魚とお肉両方を美味しい量だけ味わえる一皿。「鰆味噌柚庵コンフィ」は味噌柚庵の美味しさにうっとり。旨味たっぷりのご飯は「鶏五目飯」。出汁の旨味しみしみの「強肴(野菜の煮物、里芋、くわい、梅麩、いんげん、蕪)」はまさに懐石な一品。「椀(真鯛の吉野打ち、花人参、大根)」はほっとする味わいで、たっぷりの香の物でどんどんご飯も進む。
締めの「水物(わらび餅)」は、黒蜜ときなこにストロベリーで季節感も。ほどよい甘味ともちもち食感で、ずっと食べ続けられそう。
朝食メニューや朝食も同時に刷新。今まで難しかった茶碗蒸しの提供も
試食会では、東京発~ロサンゼルス線の朝食も展示。新たな京懐石朝食は、今まで納得する形での提供が難しかったという茶碗蒸しを導入。外国籍利用者からも人気の高い一品だけに気合いが入っているという。また、ご飯類も白飯とお粥などを用意して、ニーズにあわせたラインアップが魅力だ。
村田氏いわく、「たっぷりの漬物」の提供も大事。美味しいご飯と味噌汁、漬物があれば幸せな時間が過ごせる日本人ならではの嗜好をしっかりと押さえてくれている部分もうれしい。
グループ全体でコロナ前の80%、2023年中に大阪・羽田の増便も
試食会では、シンガポール航空のビジネスアップデートについても口頭で説明があった。シンガポール航空 日本支社長のケニー・テオ氏は「グループ全体で9月末までの約6か月間で約1130万人の旅客を運び、対前年比13倍。キャパシティはコロナ前の80%に戻っており、半期としては過去最高の営業利益」と紹介。「日本発着フライトの拡大に努め、今年中に大阪・羽田を3便にしていきたい」と話した。
また、シンガポール航空 北アジア地区リージョナルバイスプレジデントのフー・チャイウー氏は「シンガポール航空にとって大切なことはお客さまとのコミュニケーション。世界中のお客さまに、ハイクオリティな日本の伝統的な食事を楽しんでいただくことは、顧客満足度にもつながります。今後も機内での充実のひとときを過ごしていただけるようサービスを拡大していきます」と語った。