旅レポ
初めてのクルーズ旅、高雄・安平・九份を巡った台湾の寄港地ツアー
2026年5月6日 12:00
クルーズは、船旅自体をのんびり楽しむのも魅力の一つだが、船の立ち寄り先(寄港地)をいかに有意義に過ごせるかこそ本題だ。
今回乗船した三井オーシャンフジの旅程は、那覇港を出発して台湾を下からぐるっと回り込み、台南~台中の3都市を巡るというコースを設定していた。実際には、3~4日目に海が荒れて、予定していた3都市目・台中に寄港できなくなったため、急遽北部の基隆へ寄港地を変更した。商船三井クルーズによると、日頃から現地のランドオペレーターと連携を深めておくことで、こうした急な寄港地変更(と、それに伴う寄港地ツアー催行)にも対応できるのだという。
ちなみに、ツアー開始直前にパスポートを船に預けているので、寄港地では身分を証明するために顔写真ページのコピー(船内で受け取る)を持ち歩く必要がある。
台南の港湾都市・高雄(カオシュン)
ツアー3日目、最初の寄港地は台湾の貿易港として発展著しい「高雄(カオシュン)」。最近ではジェットスターが本邦初の成田~高雄線を2025年12月に就航したばかりで、日本からのアクセスがよくなったと同時に観光地としての注目度も高まっている。
高雄は、台北と同様の地下鉄(MRT)やライトレール(LRT)が港湾エリアから市街の中心部に向かって南北に広く張り巡らされ、空白部分には路線バスが走っているため、交通の便はよい。そもそも比較的コンパクトな街なので、徒歩を絡めても移動が辛いということはないはず。
寄港地ツアーを選ばなかったので、高雄は自力で観光した。船内で実施した「寄港地説明会」には参加したものの、モデルプランが存在するわけではないので、具体的な旅程は自分で考える必要がある。そこで、前日のうちに行きたい場所をGoogleマップのピンで立てておいた。あとは鉄道とタクシーを使えばどうにかなるだろう、と思いつつ就寝。
翌朝下船して、高雄港のターミナルビルを出ると目の前にライトレールの駅があり、ちょうど車両が滑り込んでくるところだった。そのまま乗ってしまってもよかったが、知らない国の街中を歩いてみるのも旅の醍醐味で、どんなクルマが走っているか、どんな看板が掲げられているか、どんな暮らしが行なわれているかを少しでも知ることで、旅の解像度は高くなると思う。というわけで、少し港から歩いてみることにした。
港からMRTの「三多商圏」までは徒歩15~20分くらい。三多商圏は高雄MRT網で南北に延びる紅線の駅で、周辺に百貨店が集まっているという。実際、駅前でそごうの看板(遠東SOGO)に出くわした。駅は百貨店の入口を抜けて、地下に進むと構内につながっていた。
ここまで来て、以前台北で購入した「悠遊カード」(日本でいうSuica/PASMO)を持ってこなかったことを思い出したが、MRTの改札機は、Visa/JCBなど主要クレジットカードのタッチ決済にも対応している。駅の券売機ではQRコードを印刷した(レシートみたいに薄い)紙の乗車券の発券も可能で、試しに一度使ってみたが、日本で見る光景と同じように、紙で発券しているのは観光客だけだった。
蓮池潭と高雄熊主題商店
最初の目的地は、定番の観光スポットの「蓮池潭(蓮池潭風景区)」(Zuoying District, Kaohsiung City)。人工の湖を取り囲むようにいくつかの寺院が並び、古い街並みと市場が共存し、観光的フォトスポットでもあり地元のお散歩コースといった風情でもある。著名なのは湖の南にある「龍虎塔」(入場無料)で、龍の口から入って7階建ての2つの塔をめぐり、虎の口から退出することで福を得られるという。
蓮池潭における個人的なお勧めはあいにく龍虎塔ではなく、そのすぐ南にある高雄熊(カオシュンベア)のポップアップストア「高雄熊主題商店」(No. 110號, Shengli Rd, Zuoying District, Kaohsiung City)だ。台湾の熊のキャラクターといえば、台湾観光局の喔熊(オーベア)とばかり思っていたが、率直に言って高雄熊の方がポップで可愛らしい。
開店を祝うフラワースタンドがあり、まだ比較的新しい施設のようだった。狭いながらもきれいな店内にはポストカードやキーホルダー、エコバッグ、ピンズ、グラス、Tシャツ、ぬいぐるみなどを豊富に取り揃えていた。決済には各種クレジットカードが利用できるが、レジで普通に日本語が通じたことに一番驚いた。
鼎泰豊 高雄店
蓮池潭から東に2kmくらいの位置に第二の目的地、「鼎泰豐 高雄店」があった。言わずと知れた小籠包と点心の名店で、日本各地にも支店がある。
店舗は「漢神アリーナデパート(漢神巨蛋購物廣場)」(No. 777號, Bo-ai 2nd Rd, Zuoying District, Kaohsiung City)の地下にあり、旅程の都合でちょうど12時に着いてしまったため、お店の前は入店待ちの人でごった返していた。しかし混雑時の鼎泰豐はQRコード付きの整理券を配布していて、読み取ると待ち時間をリアルタイムに確認できる。
ちなみに受付ではこちらが口を開く前に日本語で話しかけられたので、やっぱり見た目で分かるらしい。
駁二アート特区
お腹が満たされたので、漢神アリーナデパートの最寄り駅「巨蛋站」から乗車して、紅線と橘線の交わる「美麗島站」へ。ここは高雄で最も著名な観光スポット「六合夜市」の最寄り駅で、夜に屋台フードを食べ歩きするなら間違いなく立ち寄っていたのだけど、まだ明るい時間帯なのでスルーして「駁二アート特区(駁二藝術特區)」(No. 1號, Dayong Rd, Yancheng District, Kaohsiung City)へ。
古い倉庫街をリノベした一帯には、アート・カルチャー・雑貨を扱う店舗やアミューズメント施設、カフェ、ポップアップストア、屋外パブリックアートなどが集まっていて、平日でも若者や家族連れでにぎわう人気のエリア。
台湾の書店・雑貨店として著名な「誠品生活」の常設店舗はもちろん、日本のマンガ・アニメやムーミンのような世界的IPを扱うポップアップ、アメコミ専門店、木彫りの工芸品を扱う雑貨店など、半日~1日ないと全体を把握しきれない一大エンタメ空間になっている。
歴史ある古い港町・安平(アンピン)
ツアー4日目と5日目は寄港地ツアーに参加した。バスの往復送迎と日本語ガイドがセットになっているので、公共交通機関の少ない地域や初訪問でまったく土地勘のない地域では、すべてお膳立てしてくれる寄港地ツアーに参加するのがよいだろう。ツアーは基本的に食事を含んでいないので、出発前早朝に朝食を済ませておいて、昼食は帰港後に船内で食べることになる。立ち寄った先で飲み食いするのは自由だが、その費用は別途自分持ちだ。
第2の寄港地「安平(アンピン)」は古い港町で、ガイドさんの説明によると、近代台湾の歴史は400年前の台南から始まっているという。17世紀初頭に台南に上陸したオランダ人が安平に要塞を作り、日本を含む東南アジア諸国と交易を開始。そのオランダ人を追い出した明朝を清朝が破り、19世紀末に日清戦争が起こり、その後50年ほどの日本統治を経て、戦後の台湾へとつながっていく。
第3の寄港地・基隆(キールン)
今回のクルーズ中、台湾西岸部は少々海が荒れていて、5日目に予定していた台中は「安全な着岸・離岸ができない」ことから急遽寄港地が変更になった。新しい寄港地は台湾北部の「基隆(キールン)」。
港から15kmほど離れた観光名所の「九份(カウフン)」は、映画「千と千尋の神隠し」のモデルになったとも言われる古い金鉱山の町だ。きつめの斜面に急な階段と曲がりくねった細い道が交わる一帯なので、ある程度足腰が元気でないと楽しめないと思う。
湯婆婆の湯屋っぽいところはみんな写真を撮っているので行けば分かるが、スタジオジブリは否定しているという話もあり、個人的にもちょっと違う気がする。ただ、九份の魅力はフォトジェニックな街並みだけではなく、屋台村のような雰囲気もある地元グルメや、台湾式の淹れ方で楽しむ凍頂烏龍茶の茶屋、新旧入り乱れたお土産店など、混沌とした凝縮感にこそあると感じられた。



















































































































