旅レポ
森の芸術祭で注目。「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山」を拠点に唯一無二の“肉グルメ”を堪能してきた
2024年10月3日 12:00
「未知なるニッポンをクエストしよう」をコンセプトに、積水ハウスとマリオット・インターナショナルが取り組む地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」。その中核として全国に展開するロードサイド型ホテル「フェアフェールド・バイ・マリオット 道の駅ホテル」を巡るプレスツアーに行ってきました。訪れたのは、岡山県と広島県に位置する3か所。
ホテルの特徴については前回の記事で解説しましたが、本稿では「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山」(岡山県津山市宮尾647-3)周辺のアクティビティや名産品、地元グルメの人気店などを紹介します。
特産品“ジャンピー”が魅力の「道の駅 久米の里」
フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山に隣接するのが「道の駅 久米の里」(岡山県津山市宮尾563-1)です。ホテルとは、道を挟んだはす向かいに立地しています。
道の駅 久米の里では、津山市や久米の地域産品を数多く取りそろえていますが、なかでも見逃せないのが特産野菜「ジャンピー」。
名前からなんとなく想像がつくかも知れませんが、ジャンピーは“ジャンボピーマン”の略で、その名のとおりとてつもなく大きなピーマンです。一言でジャンボといってもよく分からないかもしれませんが、一般的なピーマンと比べると3~5倍ぐらいある、まさにジャンピーと呼ぶに相応しい大きさです。
筆者も実際に買って帰り、家で味わってみました。サイズが大きくても大味ということはなく、ピーマン独特の苦みは少なめ。普通のピーマンより甘み強くとても食べやすい味わいで、炒め物にすると絶品でした。
ジャンピーは収穫時期の7月から11月上旬ごろまで販売しているそうなので、見かけたらぜひ手に取ってみてください。
そして道の駅 久米の里では、採れたてジャンピーをそのまま直売所で扱うのはもちろん、グルメコーナーではジャンピーを使った料理も提供しています。なかでも特に人気なのがジャンピーの手作りアイスです。
ピーマンらしくほんのりと緑色を帯びたアイスは、まずひと口いただくと最初はアイスらしい甘い味わいですが、徐々にやや苦みと青臭さのあるピーマンの風味が広がってきます。
個人的にはこの青臭さが甘みをいい感じに抑えてくれてさっぱりと食べられましたが、ピーマンが苦手な人はちょっと厳しいかもしれません。それでも、旅の思い出としてはかなりインパクトがあるでしょう。
またここで外せないお土産が、津山の老舗和菓子店「くらや」のお餅やお饅頭、ブッセ、どら焼きといった和菓子です。
ところで、くらやはおいしい和菓子が魅力ではありますが、別の点でも知る人ぞ知る存在。実は、津山市出身で、人気ロックバンドB'zのボーカル、稲葉浩志さんのお兄さんが経営しているお店なのです。そのため、B'zファンにとっても必見のお土産となっています。
くらやのお店は津山市内にありますが、お店に行く時間がなかったとしても、フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山に隣接する道の駅 久米の里で商品を購入できますので、ありがたい存在と言っていいでしょう。
道の駅 久米の里にはもうひとつ見逃せない展示物があります。今回は大人の事情で紹介できないのですが、屋外スペースに某有名巨大ロボットがそびえ立ちます。国民的アニメに登場するロボットなので、ぜひ実際に道の駅 久米の里を訪れて確認してみてください。
津山市の観光スポット「津山城」と「衆楽園」
津山市の観光名所では、なんと言っても日本100名城に認定されている「津山城」(岡山県津山市山下135)が外せません。津山城は、森蘭丸の弟・森忠政が築いたお城。天守は残っていませんが、高さ45mにもおよぶ石垣が当時の面影を残しています。また、津山城址の鶴山(かくざん)公園は桜の名所としても有名で、春の桜の季節には大勢の見物客が訪れます。
今回のプレスツアーでは天候の関係で津山城を見学できずちょっと残念でしたが、その勇姿は津山市内からも十分に楽しめました。またいずれリベンジで訪れたいと思います。
続いて、津山城から少し離れた場所にある大名庭園「衆楽園」(岡山県津山市山北628)を訪れました。
衆楽園は、津山藩の2代藩主・森長継が京都から作庭師を招いて京都御苑内にある仙洞御所を模して造営した近世池泉廻遊式の大名庭園です。森家やのちの藩主である松平家が、使者を謁見する場や別邸として使っていたそうですが、明治3年に今の衆楽園と名付けられて、一般公開されました。現在では「旧津山藩別邸庭園(衆楽園)」として国の名勝に指定されています。
庭園には大きな池が設けられ、その周囲を松の木や桜などが取り囲っています。池にせり出し水面にも映り込む松の樹や、池の中に設けられた島、島へとかけられた橋など、とても雅な雰囲気が感じられます。これも、京都の庭師を招いて造られたからこその美しさと感じます。
また、池には睡蓮が自生していますが、夏の時期には可憐な花が咲き誇ることでも特に人気のようです。
そして何より驚かされるのが、衆楽園が無料で開放されているという点。一般的に国の名勝に指定されるような大名庭園は、管理を行なうため入場料を設定しているところが大多数ですから、これは大きな魅力です。しかも、無料だからといって手入れがおろそかになっているということもありません。ゴミはまったく落ちていませんし、樹木や植え込みなども綺麗に手入れされていて、これぞ大名庭園といった風格があります。
場所は津山城にほど近い津山市内にありますので、アクセスも申し分ありません。津山城とあわせて衆楽園も欠かさず訪れたい名所と感じました。
津山市内を一望する「グリーンヒルズ津山」でアートを楽しむ
続いて向かったのが、津山市の北側に位置する「グリーンヒルズ津山」(岡山県津山市大田)です。
グリーンヒルズ津山は、市民憩いの場として親しまれている公園。敷地面積は25ヘクタールと広大で、四季折々の花を楽しめる「フラワーガーデン」や子供に人気のアスレチック施設「トリムの森のわんぱく城」、ピクニックが楽しめる広場などが用意されています。丘の上に立地するので少々高低差があり、普通に散策するだけでもちょっとした登山気分も味わえます。
観光で訪れた人にとっての魅力は、やはり眺望です。小高い丘にあるグリーンヒルズ津山から、盆地に位置する津山の街並みが一望できます。
そして2024年秋、ここグリーンヒルズ津山が大きく盛り上がるイベントが開催されています。それが国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」。
森の芸術祭 晴れの国・岡山は、津山市をはじめ岡山県北エリア12市町村を会場とした現代アートの祭典です。9月28日~11月24日に開催されますが、グリーンヒルズ津山も会場となっていて、期間中は公園内に現代アートが展示されます。
岡山県の瀬戸内側では、3年に1度の芸術祭「瀬戸内国際芸術祭」が開催されていますが、森の芸術祭 晴れの国・岡山もそれに次ぐ新たな芸術祭として注目です。ちなみに先ほど紹介した衆楽園も、森の芸術祭 晴れの国・岡山の会場になっていますので、グリーンヒルズ津山などと併せて訪れるといいでしょう。
津山のB級グルメ「津山ホルモンうどん」
津山のご当地グルメと言えば「津山ホルモンうどん」。「B-1グランプリ」でも準優勝に輝くなど全国的にも有名で、津山ホルモンうどんを目当てに津山を訪れる人も少なくないそうです。
B-1グランプリに出場しているということから、比較的新しいグルメというイメージもあるかもしれません。しかし実際には、津山で50年以上前から親しまれているご当地グルメなのです。
そもそもなぜホルモンうどんなのでしょう。津山では明治以前から肉を食べる文化があったことで、食肉の流通拠点だった歴史があります。そのため食肉はもちろん、新鮮なホルモンが昔から流通し、そのホルモンを使った焼きうどんが親しまれるようになったようです。
こう聞くと、津山に来たら津山ホルモンうどんは絶対に外せないグルメと感じます。というわけで今回は、その津山ホルモンうどんを提供するお店のなかでも特に人気の「お好み焼きよしむら」(岡山県津山市高野本郷1431-3)を訪れました。
お好み焼きよしむらはその名の通りお好み焼き専門店ですが、津山ホルモンうどんの名店でもあります。
シマチョウ、ハツ、てっちゃん、ハチノス、センマイなど、さまざまな部位のホルモンを、玉ねぎ、にんじん、ネギなどの野菜と炒め、やや太めの麺と合わせます。そして、味噌風味のタレで味付けするのが津山ホルモンうどん流です。
ひと口食べてびっくりしたのが、ホルモンの味わい。ホルモンと言うと、独特の臭みを感じることも多いのですが、お好み焼きよしむらの津山ホルモンうどんに入っているホルモンは、どの部位も驚くほどに臭みがありません。
また、ホルモンはやや辛めの味噌だれとの相性もとても抜群で、甘みも強く感じます。はっきり言って、ここまで臭みなく美味しく食べられるホルモンはこれまで経験したことがないほどです。
これは、使われているホルモンがとにかく新鮮だから、ということにほかなりません。昔から食肉文化があり、新鮮なホルモンが簡単に手に入る津山だからこその味わいなのでしょう。これならホルモンの臭みが苦手な人でも食べられそうです。
またお好み焼きよしむらでは、2代目店主が考案したオリジナルのホルモンうどんがあります。ホルモンうどんを玉子で包んだ「ホルうどんオムレツ」です。見た感じは、焼きそばを玉子で包んだオムそばに近い印象ですが、中のホルモンうどんを醤油味で味付けしているのが津山ホルモンうどんとは異なる点です。
今回はホルうどんオムレツもいただきましたが、こちらは比較的さっぱりとした味わいで、玉子のまろやかさと相まって、津山ホルモンうどんとは違ったよさ。比較的さっぱりとした味付けで、ホルモンの風味をよりダイレクトに楽しめると感じました。
こってりとした津山ホルモンうどんも美味しいですが、ホルうどんオムレツもいい勝負です。とにかくどちらも大満足でした。津山ホルモンうどん、ホルうどんオムレツともにボリュームはかなりありますので、1人で2品いただくのはちょっと難しいでしょう。ただ、複数人で訪れるのであれば、シェアする形で両方とも味わう価値ありです。
津山独特の肉文化「養生食い」に触れる
津山では、慶雲2年(705年)に牛馬市場が開市された記録が残っているように、とにかく古くからの食肉文化があります。肉食が禁止されて以降、江戸時代においても薬として肉を食べる「養生食い」が続いていたそうで、全国的にも希な食肉文化が育まれてきました。
そういった歴史のある津山では、現在でも独特の食肉文化が残されています。そのひとつが先ほどの津山ホルモンうどんですが、ほかにも「干し肉」や「ヨメナカセ」、「そずり肉」といった独特の肉グルメが存在しています。これら津山の食肉文化を味わえるレストラン「津山和風肉ダイニング源」(岡山県津山市川崎46-3)へ、ディナーで訪れました。
立派な門構えの古民家を改装したお店で、なかは和モダンな広間や洋風の個室が備えられています。それぞれの部屋からは綺麗に整えられた和庭園が望めるようになっていて、まさにハレの日、非日常が感じられる落ち着いた雰囲気です。
ここでいただいたのが、「肉づくし 作州の宴」というコース料理。その名のとおり、津山の養生食い文化を余すことなく楽しめる、肉づくしのコースとなっています。
肉づくしなので、前菜からお肉料理が満載。牛肉を干してうま味を凝縮させた津山の名物「干し肉」、牛の大動脈「ヨメナカセ」、牛の骨の周りの肉を削った「そずり肉」、そして牛すじ肉を煮込んで冷やし固めた「煮こごり」と前菜が並び、津山独特の肉文化を楽しめます。
干し肉は、しっかりとした歯ごたえと、噛みしめるたびに広がる牛肉の濃厚なうま味に驚かされます。また、添えられているおろしポン酢がそのうま味をさらに増強しつつ、さっぱりとした味わいに変えてくれて、いくらでも食べられる印象です。
続いてヨメナカセ。一般的にはハツモトやフエ、コリコリなどと呼ばれる部位です。天ぷらに仕立てられていましたが、コリコリとした食感と、こちらも噛むたびに干し肉とはまた違うさっぱりとしたうま味が広がり絶品でした。
次は、骨のまわりの肉を削ったそずり肉。本来骨のまわりのお肉は特に美味しいですから、そずり肉も当然の美味しさです。今回はぬた仕立てとなっていましたが、パンチの強いうま味は味噌にも負けていません。
そして煮こごり。こちらは牛すじ肉を煮込んで冷やし固めた煮こごりなので、牛肉のうま味たっぷりで、歯ごたえある肉との対比が絶妙です。
コースには、津山からやや東に位置する奈義町のブランド和牛「奈義和牛」を使ったローストビーフ寿司も登場。ローストビーフはクセがなく甘みの強い味わいで、お寿司としても抜群でした。
前菜のあとは「そずり鍋」。そずり肉を醤油ベースの出汁で煮込んだ鍋ですが、出汁はそずり肉から溶け出した濃いビーフコンソメのようなしっかりとした味わいに驚かされました。
やや歯ごたえのあるそずり肉や、濃厚スープがしみ込んだ野菜や椎茸からもお肉のうま味を感じられて、肉好きにはこれ以上ない鍋という満足感。
そして、コースのメインとなるのが焼き物の「奈義和牛ステーキ」です。レアでも美味しく食べられそうな新鮮な奈義和牛のヒレ肉を、溶岩プレートでさっと炙っていただきます。柔らかくうま味の濃い赤身と、甘みの強い脂のコントラストが絶妙で、これはもう塩と胡椒、ワサビでいただくのがベスト。その美味しさに、あっという間に平らげるほどでした。
今回「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山津山」の周辺を巡り、津山の養生食いを心ゆくまで堪能できました。その美味しさはもちろんですが、昔から受け継がれた特有の食肉文化に奥深さを実感。何より、肉好きの筆者にとってまさに贅沢で夢のようなひとときでした。
この秋開催中の「森の芸術祭 晴れの国・岡山」へ訪れる人にも、肉文化を中心としたグルメも楽しんでもらいたいと思います。