旅レポ

「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」の氷瀑ツアーで幻想的な世界にうっとり。冬期限定アクティビティを遊びつくそう

約5分間ライトアップされツアー参加者のみが鑑賞できる「馬門岩」の氷瀑

 四季折々の魅力で人々を魅了する青森・奥入瀬渓流。春は芽吹き、夏は深い緑に苔、そして秋はゴールドに染まった森。さらに冬は水墨画のような白と黒の幻想的な世界が広がり、1年をとおして楽しめる観光地だ。

 今回、十和田八幡平国立公園内の奥入瀬渓流河畔に位置する「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」に宿泊し、豪雪地帯ならではのアクティビティを体験した。

冬限定のアクティビティで遊びつくす。雪の奥入瀬渓流をバス&徒歩で周遊しよう

 宿泊したならば必ず参加しておきたいのが毎日7回開催される「冬の奥入瀬渓流ガイドツアー」。無料で参加でき、定員は各回20名。朝一番は7時、午後は最終15時出発となる。約50分間のガイドツアーで、渓流の流れが楽しめる代表的なスポット「三乱の流れ」や迫力の水爆を眺められる「雲井の滝」。そして夏の静かな表情とは一変し、圧倒的な氷の量で魅せる「馬門岩」などをシャトルバスで巡ることができる。

 受け付けは西館2Fの「アクティビティデスク」で前日の20時までの予約が必要。足元が不安な場合は「ウィンターブーツ」(1日500円)の貸し出しもしてくれるので安心だ。予約状況がボードで随時更新されるので早めにチェックをしておこう。

「アクティビティデスク」で希望のプログラムを事前予約
予約状況はボードで確認ができる。人気のアクティビティは満員になるのでご注意を
マップが掲げられているので訪れる場所を確認してから出かけてみてもよい

 同ツアーはネイチャーガイドの秋元夢美香さんが担当。青森県出身で雪の扱いに慣れているため心強い。まずはシャトルバスに乗り込み「雲井の滝」に出発。

 しばらく進み「雲井の滝」に到着。バスを降りると降ったばかりのパウダースノーが木々にふわっとかぶさっている光景が広がっていた。美しさにうっとりしていると風がさっと吹き一気に頭上に落ちてきた! そしてまわり一面が吹雪のときのように真っ白。ホワイトアウト状態に。こんなハプニングが起こってもネイチャーガイドがいれば安心。落ち着いて対処の仕方を教えてくれるのだ。

ネイチャーガイドの秋元夢美香さん
木々の側面にふわっと雪が乗っている
見とれていると風が吹き一気にこちらへ
突如風が吹きまわりが見えなくなるハプニングも。でもネイチャーガイドと一緒なら安心

「雲井の滝」では雪のなかを進み滝の方へ。夜のうちに氷が育ち前日では見られなかったブルーの氷ができたと秋元さんが説明してくれた。滝が凍るのは外側から扉が閉まるようになどの豆知識も。青空を雪と雲の間から眺めたりとのんびり。

「雲井の滝」に到着。ずんずんと雪のなかを進んでいく
曇っていた空が青空に。参加者で空を見上げてほっと一息

 続く「馬門岩」では大迫力の氷瀑を間近で鑑賞。巨大な氷柱やかたまりが岩壁いっぱいに。夏には水が染み出す場所のため夏と冬で異なる景色を見せてくれる。続いて代表的な渓流の流れが眺められると人気の「三乱の流れ」へ。なお、この日は朝から気温が低く、雪の結晶がそのまま残っている状態。そのため途中で客室のルーペを使い結晶観察をする時間も用意。かなりルーペと雪を近付けて見るなどのコツも教わった。

「馬門岩」では岩壁一杯に見事な氷瀑が楽しめた
「三乱の流れ」では岩が雪帽子をかぶった姿と流れを鑑賞
近距離で雪を観察。雪の結晶が若干残っていた

 この日は特別に奥入瀬渓流の大元である十和田湖の子ノ口付近へ行ってみることに。今の時期は風が強いことが多いとのことだったが、強風で煽られ湖の水が荒々しく波立っている状態。湖畔に近付くと雪がガチガチに凍結し乗ってもまったく沈まない。水際は逆に氷でツルツルと滑る。強風と水が常が自分自身に降りかかり、驚くほどの寒さだった。

十和田湖に到着。雪がブルーに見える
この先は水しぶきですべて凍結。足元はパリパリ&ガチガチ
水際は氷のかたまりがゴロゴロ。足元はツルツル滑り天然のスケートリンク状態

 ホテルに一旦戻り、続いては「スノーシューハイキング」(4320円)に参加。当初は「スノーモンスター」と呼ばれる樹氷を見るために「八甲田山樹氷シャトルバス」(2700円)を利用し「八甲田山ロープウェー」(往復1850円)に乗りこむ予定だったが、風速25m/s以上の吹雪となり運休に。その代わりに新雪の上をサクサクと進むハイキングをチョイスした。なお、こちらも前日までの予約が必要。「スノーシューハイキング」ではスノーシューズや手袋、ストックなどの貸し出し込みの価格のため軽装備で宿泊している場合も安心。サイズを確認し、装着方法のレクチャーを受けたらいざ出発!

まさかのロープウェー運休。吹雪ならば仕方がないので次回に望みをかけることにした
「ウィンターブーツ」や手袋の貸し出しも込み
ズボ足防止にスノーシュー。青森ではホームセンターで買えるほどメジャー
ストックも現地に到着後手渡される

 ツアーの担当はネイチャーガイドの丹羽裕之さん。北海道出身ながら青森の雪とブナの森に惚れ込み移住したとのこと。シャトルバスでハイキング場所である蔦沼周辺へ。当日の天気のコンディションなどを考慮して案内してくれる。開催は毎日9時~11時30分、13時30分~16時の2回。定員は各回6名。こちらも冬季限定のためかなり人気のアクティビティだ。

ネイチャーガイドの丹羽裕之さん
シャトルバスに装備持参で乗り込む
夏の景色と比較するために写真をチェック
蔦沼周辺に到着。装備を整えて森のなかへ

 この日の「スノーシューハイキング」では目的地を「蔦沼」に設定。積もったばかりのふかふかの雪に足を取られつつ森のなかを進んでいく。途中、夏に3種類の蛍の共演が楽しめるスポットや周辺に生えるブナについてを解説。風が止むと鳥たちが活動をはじめ野鳥観察なども行なわれた。

 ガイドの真後ろに付くと道を一緒に慣らしていくためかなりの体力が必要。その分手付かずの雪にファーストステップを刻むことができる。後ろの方だと雪が踏みならされ、かなり歩きやすい。

先頭付近の特権は誰も踏んでいないまっさらな雪の上に足跡を刻めること
後ろの方の場合道ができているので進むのがラク

 雪のなかを約1km歩くこと約30分。目的地の「蔦沼」に無事に到達。紅葉シーズンには大勢の写真家や観光客でごった返すこの場所も雪深いこの季節は自分たちだけで独り占め。ちょうど雪雲の間から光がさし暗かった周囲もふんわり柔らかな雰囲気に。

到着直後に撮影した「蔦沼」は雪が降り少しシックな印象
晴れ間が見え光が降り注ぐ。少し高い場所から見るとまた違う景色が見えた

 来た道を折り返して森の入り口まで帰還。ラストはスノーエンジェルの作り方でフィニッシュ。お手本を見せてくれるので上手にできるか皆で作りあうことに。雪深い場所だとはっきりできるが、起き上がるときに大変とのことだった。

ラストは雪遊びの定番スノーエンジェル作り講座が開講
うまく立ち上がると雪のなかに天使が現われる

ホテルから約20分の「奥入瀬ろまんパーク」へ。地元産のお土産にスイーツでまったり

 各種アクティビティに参加し、ほっと一息。地元産アイテムを探したくなったらホテルからクルマで約20分の「奥入瀬ろまんパーク」へ足を運んでみよう。ホテルのフロントからタクシーの手配で訪れてみても。同施設の「観光物産館 四季彩館」には種類豊富な地元産、そして青森の美味しいが豊富にそろっている。冬ならではの雪を利用した「そり山」などファミリーで楽しめる要素も用意している。

 奥の喫茶でくつろぐならばここでしか味わえない限定セット「青森紅玉アップルパイ」(500円)がお勧め。しっとり仕上げの紅玉フィリングがさっくり仕上げられたパイに包まれており、酸味と甘さ加減も絶妙。ごろっとした大きめの果肉が食欲をそそってくれる。付属する「奥入瀬ソフトクリーム」はしゃりしゃり感があり、生乳を飲んでいるかのようなフレッシュさに驚く。お土産選びの休憩にぜひ利用してほしい。

「奥入瀬ろまんパーク」の「観光物産館 四季彩館」でお土産選び
定番アイテムから地元産の野菜までそろっている
津軽産りんごも宅配で自宅へ
喫茶ではなかがひんやりしたアップルパイとソフトクリームがセットの「青森紅玉アップルパイ」を食べよう

 また、敷地内には「地ビールレストラン 奥入瀬麦酒館」も営業中。こちらではチェコの技術で醸造された地ビールが堪能できる。ビールサーバーの奥にはタンクがあり醸造の様子を間近で見ることも。「奥入瀬源流水」を仕込みに使ったここだけの味を楽しんでみては。もちろん土産用に瓶ビールも用意しているのでホテルに戻ってから楽しんでもOKだ。

すぐ隣には地ビール工場を併設する「地ビールレストラン 奥入瀬麦酒館」
タンクが目の前にあり醸造する様子が楽しめる
瓶ビールも販売。「奥入瀬ビール(ピルスナー)」が先月の1位

「森の学校」で奥入瀬の魅力を学習。夜の「氷瀑」見学ツアーは必見

「青森りんごキッチン」でお腹いっぱいディナーを味わったあとはまったり西館ラウンジ「河神」で毎晩20時から開催される「森の学校」を受講。パチパチと暖炉からハンノキが燃える音を聞きながら奥入瀬渓流を楽しむためのポイントを聞くことができる。同プログラムでは毎晩異なる講師が「深発見」をコンセプトに奥入瀬渓流の魅力を宿泊者にレクチャーしてくれる。ある日はネイチャーガイド、そしてあくる日は写真家など奥入瀬渓流を愛するメンバーならではの切り口が人気。約30分で無料。予約不要。

 この日はネイチャーガイドの折原直廣さんが担当。カナディアンロッキー観光ガイドなどを経て2011年に青森に移住し、その自然にぞっこんだそう。講義では青森県の西と東側では雪の降る量が異なることから、奥入瀬渓流の冬の楽しみかたまで幅広く紹介。約14kmに渡る奥入瀬渓流では「森エリア」「渓谷エリア」「滝エリア」と大きく分けて3つありぞれぞれの魅力があること、さらに部屋に付属するルーペの活用法も教えてもらえた。

ネイチャーガイドの折原直廣さんが「森の学校」を担当
奥入瀬渓流は大きく分けて3つに区分することができる
美しい氷の結晶を撮影するコツはスマホのカメラとルーペを密着させることだそう

「森の学校」終了後そのまま20時40分発の「氷瀑ライトアップツアー」(1080円)に参加。1日3回開催され、所要時間は約1時間。定員は各20名で出発の1時間前までに申し込みが必要だ。

 夜になりマイナス7℃まで冷え込むなか、シャトルバスに乗りライトアップ場所まで出発。途中、青森県十和田市とパナソニックが共同開発したRGBのLEDフルカラー投光器を搭載したライトカーと合流し、「馬門岩」「千筋の滝」「三乱の流れ」へ。環境への配慮により約5分間のみ光を投影、そして完全移動型のライトアップツアーであることもポイントだ。2017年冬期にスタートし、今年で2期目となっている。

 さらに、ライトアップは光で照らすだけではなく「馬門岩」では“氷”をイメージしたブルーなどのカラーを使用。「千筋の滝」は活火山である周辺エリアをイメージしたイエローやオレンジ、赤系で“カルデラ”。そして「三乱の流れ」は“牡丹雪”をテーマにした白っぽいカラーなどで演出。ゆっくりと色が変化し、陰影による表情の違いが堪能できる。

「馬門岩」へは15分ほど走行し到着。昼間も見たが、大きな壁に氷柱がいくつも連なり氷の壁のような姿。プラスして夜ならではのライトアップでさらに幻想的な雰囲気に。光をあてることで影もはっきりし、陰影がさらに美しさを引き立てていた。

「馬門岩」では“氷”をイメージしたクールな照明が楽しめた
水墨画のようなダイナミックで吸い込まれるようなフォルムに圧倒される
RGBのLEDフルカラー投光器を3基搭載したライトカーが氷瀑を照らす

 続く「千筋の滝」はフォトスポットも併設。少し近付いて記念撮影も可能。照明は“カルデラ”をイメージし、イエローから赤系統へと変化。氷瀑と色彩の意外な組み合わせを楽しめる。寒さも厳しくなってきたためホットアップルジュースも支給されほっと一息。

 最後に「三乱の流れ」を堪能し、夏との違いを実感したらホテルへと戻ることに。昼間とは異なる氷瀑の美しく幻想的なライトアップを目に焼き付けツアーが終了した。

氷瀑と暖色で“カルデラ”をイメージ。活動的な印象
見ている姿を写真に撮ってもらうこともできる
あまりにも寒いためホットアップルジュースが支給された
ラストは「三乱の流れ」へ。こちらは“牡丹雪”をイメージした演出

 なお、極寒の夜の気温に不安な場合はホテル内の売店が便利。アウターから小物類まで揃っているのでこちらで新調してもよい。また、お土産用にりんごやホテル周辺で目撃するテンをモチーフにしたオリジナルのぬいぐるみ「テン(立ち)」(1300円)は大注目。ぬいぐるみは昨年(2018年)完売したという人気アイテムなので見かけたらマストバイだ。

寒さをガマンせずにプラス1枚で暖かくなるので売店で購入するのもあり
りんごも自宅に直送してもらえる
昨年完売したぬいぐるみがリニューアルを経てさらにかわいくなって新登場

 室内アクティビティも気になる&暖かいお部屋でぬくぬくしながら創作するならば、アクティビティデスク前体験スペースでの「奥入瀬ランプ制作体験」(5000円)や「こけ玉作り体験」(2500円)がベスト。体験時間が約30分から1時間とほどよく、自作した作品は持ち帰れるメリットも。ともにスタート10分前までの予約が必要。少人数制での実施なので早めに「アクティビティデスク」を訪れよう。

アクティビティデスク前の体験スペースには制作エリアや作品が飾られ購入もできる
手のひらサイズのひょうたんに苔をイメージしたデコレーションを施す「奥入瀬ランプ制作体験」
手のひらサイズの愛らしい苔玉を作ることができる「こけ玉作り体験」も人気

観光資源「氷瀑」の認知度をさらにアップ。1年をとおして奥入瀬渓流の美しさを広めたい

 滞在中、2017年冬に続き2期目の冬期運営で同ホテルが目指す部分について、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」総支配人の山下麗奈氏に話を伺った。

「奥入瀬渓流は秋の紅葉のイメージが大きくお客さまのご来館も多いのですが、実は春の芽吹きに夏の深い緑と苔の美しさも素晴らしいです。そしてこの冬。雪のなかの大自然の魅力をぜひ知っていただきたいと考え、冬期運営を9年ぶりに2017年に開始いたしました。

 1年をとおして愛していただける観光地へと成長することで土地自体の価値も上がり、近隣の皆さまにもよかったねと言っていただけるように日々邁進しております。

 弊社の代表が“雪は石油以上の財産だ”とよく言っておりますが、奥入瀬渓流ホテルではまさにそうでして、雪を見るために皆さまに足を運んでいただいています。本当に雪は資源のかたまりなのです。

 樹氷、流氷など冬ならではの見どころは各地にありますが、ホテル周辺は滝が多く美しくダイナミックな氷瀑を見ることができます。ですので私たちは“氷瀑”。今年は2期目ですので、日本全体の活性化も含めて天然の氷瀑を観光資源として昨年以上に広めていきたいと考えています」と話してくれた。

「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」総支配人の山下麗奈氏
多くの滝と厳しい寒さだからこそ見ることができる氷瀑を観光資源に

相川真由美

フリーライター/鉄鋼業やIT系やエンタメ関連の雑誌やWeb媒体の編集者を経て、フリーの記者として活動中。海外は一人旅がほとんど。趣味は世界のディズニーのパーク&リゾート巡り。最近は年間パスポート片手に日々舞浜通い。うなぎとチョコレートが好物で、旅の基本は“出されたものは全部食べる”。激辛とうがらしから謎の木の実まで挑戦するのがモットー。