旅レポ

南アフリカの大陸縦横断豪華寝台列車「ロボスレイル」と「ザ・ブルートレイン」

ロボスレイルロイヤル・スイートの客室

 南アフリカには、「ロボスレイル(Rovos Rail)」と「ザ・ブルートレイン(The Blue Train)」という2つの大陸縦横断鉄道がある。

 どちらも宿泊と食事が楽しめる豪華寝台だが、ロボスレイルは文明と切り離されたレトロ感を、ザ・ブルートレインは最新鋭の設備とサービスという、異なった特色を前面に出している。どちらも最上級のおもてなしは当然だが、例えばロボスレイルはゆっくりした速度で走行し、窓を開けたり最後尾デッキに出たりできるが、ザ・ブルートレインは窓が固定、高速で走行するほか、Wi-Fiやテレビを装備するなど、明確なコンセプトの違いがある。

古きよき大陸縦横断鉄道をそのまま満喫できる「ロボスレイル」

ロボスレイル (C)Rovos Rail

 ロボスレイルは1989年にロハン・ボス(Rohan Vos)が設立。南アフリカを中心にナミビア、ボツワナ~タンザニア周辺を、48時間から2週間までの各種プランで走行する大陸縦横断鉄道だ。バトラーが付くまさに動くホテルで、各部屋にはトイレとシャワーが完備している。

 南アフリカでは車両基地のあるプレトリアを中心に、ヨハネスブルグ、ケープタウン、ダーバン周辺を走行する。一例を挙げると、プレトリアを出発し、クルーガー国立公園でサファリを楽しみ、ダーバン市内を観光、ポートエリザベスを経由してケープタウンにいたる10日間のプランがある。ずっと列車内にいるわけではなく、それぞれの観光地では観光イベントやアクティビティがあり、途中ゴルフを楽しむこともできる。

 大昔に走行していた各地の古い豪華寝台車両を修理しそのまま使っていて、レトロな雰囲気と、ゆっくりしたペースで時折外の風を感じながら、南アフリカの雄大な自然を満喫するというのが醍醐味だ。牽引は走行区間によって蒸気機関車とディーゼル、電気機関車を使い分けている。

ロボスレイル創始者のロハン・ボス(Rohan Vos)氏
南アフリカの大自然のなかをゆったり走る豪華大陸縦横断鉄道「ロボスレイル」。ケープタウン近郊を移動中の車内で偶然出会った
ロボスレイルの車両
車両に付いているロボスレイルのロゴ
最後尾のオブザベーション・カーのデッキ。半分は完全に解放されている
デラックス・スイートの客室。ダブルベッド縦タイプ
デラックス・スイートの客室。ダブルベッド横タイプ
デラックス・スイートの客室。ダブルベッドL字タイプ
プルマン・スイートの客室(※ジョージ・プルマンは寝台車の開発で有名)。ダブルベッドタイプ
プルマン・スイートの客室。ツインベッドタイプ
オブザベーション・カーにてデッキ方向を見たところ
ピラード・ダイニング。柱があり個別イスの落ち着いたダイニング
ロボスレイルのオリジナルグッズが販売されている

近代的な豪華寝台列車「ザ・ブルートレイン」

「ザ・ブルートレイン(The Blue Train)」についても簡単に紹介しておこう。

 1920年から始まったザ・ブルートレインは、プレトリアからキンバリーを経由してケープタウンまでを27時間(1泊2日)で走行する豪華寝台列車。もちろん、コース料理やバーが楽しめる。先にも解説したが、Wi-Fiを含む近代的な設備を揃えていて、19両編成もしくは14両編成の2つのタイプがある。走行速度も90km/hと速い。窓は広くとられているが、最後尾の展望車を含め開けることはできない。

 2018年は旅程の前もしくは後に1泊、シェラトンなど5つ星ホテルの特別オファーが付いているそうで、お得感がある。また、2019年からは旅程が2泊へと延長される。

ザ・ブルートレイン (C)The Blue Train
(C)The Blue Train
最後尾の展望車 (C)The Blue Train
最後尾の展望車
展望車 (C)The Blue Train
デラックスルームのツインタイプ (C)The Blue Train
ラグジュアリールーム (C)The Blue Train
バーカウンター (C)The Blue Train
2018年は旅程の前もしくは後に1泊、5つ星ホテルの特別オファー付き
ミネラルウォーターも専用のボトル

 紹介したどちらの大陸縦横断鉄道も、旅行会社のパッケージツアーにて見付けることができるはずだ。個人で直接予約したい場合には、ヨハネスブルグにある「プラネット・アフリカ・ツアーズ」というツアーオペレータをお勧めしておこう。ザ・ブルートレインはサイトでの直接予約ができるが、ロボスレイルは受け付けていない。プラネット・アフリカ・ツアーズでは、どちらも個人で申し込みむことができる。同社社長の宮田氏は日本人なので、日本語の問い合わせメールで問題ない。興味を持ったら、ぜひ楽しんでみてほしい。

 なお、日常はカジュアルスタイルでよいが、ディナーだけはフォーマルが必要なので注意。新婚旅行にでも組み込んだら、忘れられない旅行になることは間違いない。ロボスレイルは、手軽な2泊3日プランも多いので、ぜひ乗車してみてほしい。

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。