旅レポ

ビーチが美しく、インド文化が根付く南アフリカの港町「ダーバン」

ダーバンのホテルが立ち並ぶビーチ

 南アフリカ観光局主催のプレスツアーに参加して、南アフリカ共和国の「ダーバン」と「ケープタウン」と海沿いの街を巡るレポート、2回目はダーバンを紹介していく。

 南アフリカの都市観光というと、ヨハネスブルグとケープタウンが有名で、ダーバンはあまり紹介されないケースが多い。美しいビーチが魅力的な港町で、19世紀に労働力としてインド人が多く移住したため、あちこちにインドの文化が融合していて、本格的なインドカレーやスパイスが楽しめる食文化もある。

長く美しいビーチと大きな貿易港町「ダーバン」

 街はそれほど大きくはないが、2010年に開催されたサッカーのワールドカップで使われた、「モーゼス・マヒダ・スタジアム(Moses Mabhida Stadium)」という大きなスタジアムがあり、ビーチ沿いの遊歩道やテーマパークなどもこのときに整備されている。

 市街からクルマで20分程度の山側には「バレー・オブ・サウザンドヒルズ(Valley of 1000 Hills)」と呼ばれる、無数の丘陵が広がる地帯があり、絶景を楽しめるドライビングルートになっている。

南アフリカ共和国 ダーバン
丘の上からダーバンの市街とインド洋の海を望む
ダーバンの市街。鉄道が通っていて、ホテルなどの高層ビルも見える
2010年サッカーワールドカップが開催された「モーゼス・マヒダ・スタジアム」
モーゼス・マヒダ・スタジアムに近よったところ。上部アーチにはゴンドラが通っていて最上部まで登ることができ、バンジージャンプが楽しめたりする
ダーバン市街が見下ろせる丘には、モニュメントが建っていた
ダーバン市街から北西方向に広がる丘陵地帯は、バレー・オブ・サウザンドヒルズと呼ばれる美しい丘陵地帯
ダム湖のイナンダ・ダムはその中心的な場所

 インド洋に面し数km続くビーチ沿いには高級ホテルやレストラン、露店などが並び、整備された広く長い遊歩道が海との間にあり、多くの人で賑わっている。この遊歩道沿いには遊園地やプール、ショッピングモールなども整備されている。このホテルからビーチ沿いの地帯は、日中は比較的治安がよく散策や食事を楽しめる。また、自由に入れる桟橋がところどころにあり、砂浜だけでなく海の雰囲気を存分に楽しめる。

 ビーチには国外からの観光客よりも、南アフリカ国内から観光に来ている人が多く、英語ではなくおそらくズールー語と思われる不思議な言葉も飛び交っていた。ただほとんどの人が英語も話せるので、コミュニケーションに困ることはまずない。アジア人はめずらしいためか注目されがちだが、ビーチという場所もありワリと気さくな人が多かった。

ホテルから見たダーバンの美しいビーチ
ビーチと平行してホテルが建っている。右は宿泊した「サザン・サン・エランゲニ&マハラニ(Southern Sun Elangeni&Maharani)」
ビーチ沿いは、舗装された広い遊歩道が続いている
遊歩道の案内図
ビーチの砂浜。この辺りはノースビーチと呼ばれている
ところどころに大きな桟橋がある
桟橋から砂浜側を見たところ
夕日に染まるダーバンのビーチ
ビーチではサーフィンを楽しんでいる人も多い

巨大なダーバン港をクルーズ船から眺める

 ダーバンは19世紀からインド洋貿易風に乗ってインドとの交易で栄え、現在でもアフリカ大陸最大の取扱量を誇る貿易拠点となっている。港の全長は21kmもあり、大きな湾になっている。市街の中心部分は、このダーバン港に近い。

 今回は、ダーバン港からインド洋に出てビーチ周辺をチャーター船でクルーズすることができた。海からのダーバンをお見せしよう。

Madevu S.A Charters

Webサイト: Madevu S.A Charters(英文)

ダーバン港には、観光用のクルーズ船が係留されている
さまざまなツアーが用意されている。これは早朝にサメを見に行くツアー
ヨットハーバーに併設されたモール「Wilson's Wharf」。レストランやツアーカウンターなどがある
今回ダーバン周辺をクルーズした45人の乗客に対応するカタマラン(双胴)タイプのクルーズ船
船名は「Madevu SA」
船内はゆったりしている。食事などのオプションも可能
ヨットハーバーを湾側から見たところ
ダーバン港からダーバンの市街地を眺める
港湾内には、ところどころ浅瀬になっている部分がある。湾内の深さは最大12.2mになる
浅瀬には海鳥が休んでいる。58か所の停泊スポットがある大きな貿易港だ
南アフリカ最大のコンテナ貨物港
年間延べ4500隻の商船が行き交うそうだ
湾内でタグボートに曳航されるタンカー。大型タンカー用の停泊も可能
近くを通るタグボート。国家港湾局の管轄で操業している。南アフリカの国旗が掲げられている
砂糖を扱う倉庫
船内でのドリンク。南アフリカといえば日本でもおなじみのアップルタイザー。炭酸入りの果汁100%リンゴジュース
港の入り口近辺
ダーバン港を出て北東方面に向かうと、先に紹介したホテルが立ち並ぶビーチを沖から眺める形になる
沖から眺めたモーゼス・マヒダ・スタジアム
よく見るとアーチのトップが展望台になっているのが見える
湾沿いの道路には公園が広がっていて「海洋博物館(Port Natal Maritime Museum)」もある

活気あふれるダーバンの市街地

 ダーバン湾の最も奥の陸部分がビジネス街の中心街になっていて(ちょうど東京湾のような位置関係)、そこには「ヴィクトリア・ストリート・マーケット(Victoria Street Market)」という、1910年から続く庶民向けの大きな市場がある。食料品や生活雑貨が多くある市場だが、観光客向けのお土産を扱うショップも多く入っている。ビーズのアクセサリやバスケット、民芸品の置物、衣料品、革製品など、アフリカをイメージする小物が好きなら飽きない品揃えだ。お土産を選ぶにももってこいの場所だ。価格交渉も楽しみの一つ、うまく値切ってみよう。

 店先でスパイスを調合しているショップもあり、ショップオリジナルのカレーミックスを手に入れることもできる。お土産に持ち帰るなら瓶詰めされたものを選ぼう。瓶詰めなど容器に密閉された乾燥香辛料は、輸入植物検疫の対象とならないので、預け入れ手荷物に入れておけば持ち帰りできる。購入時には味見もできる。単なるカレー粉とは異なり、ハーブなども入っているので、肉や魚料理、揚げ物などににかければ、カレー風味になり美味しい。

ヴィクトリア・ストリート・マーケット(Victoria Street Market)

Webサイト: Victoria Street Market(英文)

「ヴィクトリア・ストリート・マーケット」はピンクで独特なデザインなのですぐ分かる
ヴィクトリア・ストリート・マーケットの周辺
ヴィクトリア・ストリート・マーケットの内部は古い商店街のよう
南アフリカならではのビーズアクセサリは実に豊富。まとめ買いで値切ろう
人形など民芸品も揃っている
アクセサリも豊富。店員はガンガンお勧めしてくる
さまざまなアフリカっぽい民芸品
スパイスを扱っているショップも多い。「MADARI&SONS」という店
店先でスパイスを調合している。好みで調合してくれるとのこと
「Delhi Delight」というこのショップオリジナルのカレーミックス。マイルドタイプをお土産に購入
スパイスは日用品と混在して売られている
マーケットの路上で売られていた野菜

 ヴィクトリア・ストリート・マーケットの周辺は、ショップや屋台が建ち並んでいて、混然としている。駅や警察署、郵便局などもあり街の中心街で人通りも多い。

 ここからは、ストリートスナップで街の活気をお見せしよう。

ヴィクトリア・ストリート・マーケットの周辺に広がるショッピング街
歩道には露天も多い
車道を平気で歩く人もいて活気がある
普通な感じの洋品店などもある
こちらは雑多な商店街。修理から印刷まで何でも屋が並んでいる
荷台で踊っている。どこでも踊るのは、なんともアフリカ的
露天で衣類を売っているのだが、かなり投げやりなディスプレイ
道路はかなり広くとられている。両脇に店が並んでいる
モスクの塔が見える
ワンボックスワゴンの乗り合いタクシーの待合所
頭の上にモノを乗せている女性をときどき見かける。ここは駅の近く
手前にスーパーマーケット、奥にビジネス街の高層ビル
少し離れた場所の小さなショップが入るビル。カラフルな建物も多い
ビーチ近くの衣料品を売る屋台
ヒルトンホテル。この横は次回紹介するINDABAの会場となる「Durban ICC」がある

ダーバンではカレーグルメ「バニーチャウ」を試そう

 後半は、ダーバンのレストランを紹介していこう。

 まずはランチにお勧めのビーチ沿いにある、オープンエアが気持ちいいレストラン「カルフォルニア・ドリーミング(California Dreaming)」。ビーチの遊歩道沿いにあり、バーガーやステーキなどのアメリカンなメニューが楽しめる。ここでは、ダーバンの郷土料理「バニーチャウ(Bunny Chow)」を試してほしい。食パンの中をくり抜き、カレーを入れている。カレーは本格的な味のインドカレーで、結構辛い。ダーバンに来たらカレーは外せないので、一度は食べて見よう。

カルフォルニア・ドリーミング(California Dreaming)

Webサイト: California Dreaming(英文)

食パンの中にカレーを入れたバニーチャウというメニュー。ラム肉のカレー
「California Dreaming」の看板
ビーチの遊歩道沿いに店がある
ビーチの見えるテラス席は、開放感抜群
ヘイク(Hake)はメルルーサとも呼ぶ白身魚。カラマリ(Calamari)とコンボで
500gのTボーンステーキ。現地の人は肉料理が大好き
ビールは最もよく見かけるキャッスル・ライトで。アメリカでいうところのミラー・ライトに似た存在

 もう1つは、ディナーで訪れた「カーゴ・ホールド(Cargo Hold)」。ビーチの南端に位置する水族館やウォーターアクティビティが楽しめるモール「ウシャカ・マリンワールド(uShaka Marine World)」内にある。

 不気味な船のような奇抜な建物の中に入ると、中ではサメが泳ぐ巨大水槽が迎えてくれる。料理はシーフードをメインに楽しみたいレストラン。海老や蟹、白身魚はもちろん、生ガキ(価格は時価)まで食べられる。ビーフ、チキン、ラムといった肉系やパスタも揃っている。

カーゴ・ホールド(Cargo Hold)

Webサイト: Cargo Hold(英文)

シーフードが美味しいレストラン「カーゴ・ホールド」の船のような奇抜な外観
レストランは水族館などのあるモール「ウシャカ・マリンワールド」内にある
カーゴ・ホールドの店内は窓の大きな作り
店内で大きなサメが泳ぐ水槽が楽しめる
魚のダシが利いたブイヤベース。ポテト添え
生ガキも時価で食べられる
トマトソースのパスタ。地魚が乗っている
焼き海老。レモンバターソースを浸けて食べる
キングクリップと呼ばれる南半球ではメジャーな大型の白身魚
白ワインは南アフリカ産、Boschendal「Elgin Sauvignon Blanc」2015年
赤ワインは南アフリカ産、Groot Constantia「Pinotage」2016年。ピノタージュ種は南アフリカの赤ワインではもっともメジャー
最後に南アフリカでメジャーなビール勢揃い(撮影は上記レストランではない)。左からハンサ・ピルスナー、カーリング・ブラックレーベル、キャッスル(カステルとも)・ラガー、ウイントフック・ラガー、ウイントフック・ライト、アムステル・ライト
村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。