旅レポ

南アフリカ発祥の地・ケープタウンの市街地とテーブルマウンテン

ケープタウンのウォーターフロントから眺めたテーブルマウンテン

 南アフリカを巡る旅、今回からはケープタウンを紹介していく。

 ケープタウンは、喜望峰やテーブルマウンテンがある南アフリカでも最も人気の観光地。バスコ・ダ・ガマが1497年に喜望峰経由で欧州とインドを結ぶ航路を発見したのち、南アフリカに白人が入植した地でもあり、ヨハネスブルグやダーバンが発展するまでは、もっとも大きな都市として栄えた。南アフリカ発祥の地ということから、「マザーシティ」とも呼ばれている。

 見どころは多く、特に「喜望峰」と「テーブルマウンテン」含め、周辺は珪質砂岩からなる雄大な自然が満喫できる。街は緩やかなテーブル湾を中心に栄えていて、欧風で雰囲気のよい街並みが並び、そのなかでカラフルな家屋が並ぶストリート「ボカープ」は、フォトスポットとしても人気。湾のウォーターフロントにはモールが広がっていて、ショッピングを1日楽しめる。市街は観光客も多く比較的治安がよい。特にウォーターフロントは美しく整備されていて、安心して散策を楽しめる。また内陸部の地域では、ぶどう畑が広がり一大ワイン産地となっている。少し郊外まで足を伸ばせばサファリも楽しめる。

 こういったケープタウン周辺の観光ポイントを2回に分けて紹介していこう。

市街近くにそびえ立つテーブルマウンテン

 まずは、ケープタウンといえば間近に迫るテーブルマウンテン。そして市街を見ていく。

 テーブルマウンテンは、ケープタウンのランドマークと言える山。市街地から急激に切り立った岩山がそびえ立ち、山頂が平たくテーブルのように見えることから、その名が付けられている。標高は1086m。テーブルマウンテン国立公園に指定されていて、自動車やバスでロープウェイ駅まで行け、ロープウェイで気軽に山頂まで登ることができる。ケープタウンを訪れたら、まずはとにかく登ってみよう。ケープタウン周辺を一望できるので、南アフリカに来たことを実感できるはずだ。平坦な山頂は広く、一帯を散策することができるので、滞在時間は長めでも、山頂から眺めるだけでなく、めずらしい高山植物やネズミが巨大化したような微妙にカワイイ小動物「ケープハイラックス(ダッシー)」を探したり(たくさんいるので確実に出会える。もちろん餌付けは厳禁)、自然散策が結構楽しめる。

 中央部分にテーブルマウンテンがあり、その両端にはデビルズピークとライオンズヘッドというとがった山がある。固い珪質砂岩が浸食されて作られた、切り立った崖が美しい。海からの風で雲が出来やすく、薄く雲がかかると「テーブルクロス」のように見える。

ケープタウンの街をテーブルマウンテンから見下ろす。テーブル湾を中心に街が広がっている
急に切り立っているので、稜線はどこからでも見える
頂上に雲がかかることも多い
テーブルマウンテン山頂へ向かうロープウェイ駅
昔のロープウェイが展示されていた
現在のロープウェイは丸形で回転しながら上昇するので、どこにいても360度見渡せる
ロープウェイの内部
ロープウェイで上昇中
ケープタウンの街を見下ろす
かなり切り立ったほぼ垂直の崖
どうも頂上は雲の中のようだ
頂上駅が見えてきた
頂上駅の周辺。頂上は平地が広がっている
テーブルマウンテン頂上から見下ろした眺望
大西洋が見渡せる。右に見えるのはライオンズヘッド
ワリと大きめの休憩所がある
周囲は散策できるような道が作られている
テーブルマウンテンの碑
位置関係を表わしたモニュメント。左の方に東京もある
見たことのない植物が自生している。日本ではツツジに近いエリカの花
黄色いマーガレット系の花
小さな実を付けている
カラスのような鳥もよく見かける
ケープハイラックスもすぐ近くで見ることができる
ケープハイラックスは南アフリカではダッシー(dassie)とも呼ぶ。いろいろな場所で目にする人気者
結局、滞在時間中に天候はよくならなかった。結構寒い
それでも、刻々と変わる眺望はとても美しい

ケープタウン市街地の見どころ

 ケープタウンのテーブル湾にある港の周囲は「ビクトリア&アルフレッド(V&A)ウォーターフロント」という再開発された一大施設になっている。ショッピングモールやホテル、水族館があり、マリーナや高級住宅街も含まれていて、ちょっとした別世界のようなエリアになっている。高級ブティックや土産物のショップもあるが、地元のスーパーも入っていて、半日はゆうに過ごせる。

 ここの一角にテーブルマウンテンをキレイに写真に収められるフォトフレームが用意されている。グループで記念写真を撮るのにピッタリのフォトスポットとなっている。

V&A ウォーターフロント
V&Aウォーターフロントのマリーナからテーブルマウンテンを美しく望むことができる
テーブルマウンテンをバックに収められるフォトスポット
こんなかわいいアートも飾られていた。Nardster*というアーティストの「The Rhinos are Coming !!!」
V&Aウォーターフロントの案内図
近辺はゆっくり散歩できる。治安も心配ない
このマリーナ辺りは、ツアー申し込みのカウンターも多く出ていた。次回にレポートするサファリのツアーブースも
ショッピングモールをマリーナから眺めている。大規模なモール
モールのエントランス。なんだかアメリカみたいだ
ショッピングモールの内部
気になった店を一つ紹介。「J&M Biltong」という南アフリカ名物の干し肉(ビルトン)ショップ
各種干し肉が売られている。実際には分量を言うとその場でスライスしてくれる
スライスして、カレーなど好みのフレーバーをかけてくれる。ジャーキーよりソフト
スライス前の干し肉。残念ながら加工肉はお土産として持ち込めないので、ホテルでおつまみにしよう

 市街に入ったところにある「ボカープ(Bo-Kaap)」地区は、カラフルな家屋が並んでいる。モスクやミュージアムのあるが、ほとんどが一般の家屋。このようになったいきさつは諸説あるようだが、労働者として移住してきた子孫が解放された喜びを表わし家をカラフルに塗ったというのが有力なようだ。主にマレー系のイスラム教徒が住んでいて「マレークオーター」地区とも呼ばれている。

Bo-Kaap
ボカープ地区のカラフル街並み
ボカープ地区のカラフル街並み
ボカープ博物館
ボカープ博物館

 このすぐ近くには、「グリーンマーケット・スクエア」があり、お土産物を選ぶのにぴったりな青空市場となっている。アフリカ各地の民族の民芸品や装飾品、絵画などがところ狭しと並べられている。アフリカっぽい土産物を考えているなら、必ず何かめぼしい物が見付かるはず。それくらいの品数であふれている。もちろん値段交渉も楽しみのうち。

 この広場は、国会議事堂の近くにあたり、ちょうど街の中心地となっている。

Greenmarket Square(グリーンマーケット・スクエア)
グリーンマーケット・スクエア。たくさんの露天の土産物屋が並ぶ
洋服や装飾品も多い
絵画やトートバックなども。なかなか日本では見かけないデザイン
民芸品は無数にある
複数買いで値段交渉をすると、向こうもがぜん乗り気になる

南アフリカの多様な植物を体感できる「カーステンボッシュ国立植物園」

 市街地からは少し離れるが、ガーデニングや自然散策が好きならぜひ、「カーステンボッシュ国立植物園」を訪れてみてほしい。テーブルマウンテン東側の斜面に広がっていて、世界遺産に登録されているケープ植物区系保護地域の一部となっている。

 南アフリカは植物の楽園。そのなかの絶滅危惧種を含めた7000種の植物を観察することができる。園のなかでは、南アフリカの国花「キングプロテア」も見ることができる。春に見ごろを迎える。ほかにも100種を超えるプロテアを集めたエリアもある。

 とても広いので、十分楽しむなら半日以上は時間をとっておきたい。取材時は一部を見ただけだったが、見たことのない植物が多く、個人的には1日かけてゆっくり回ってみたいと思ったほど居心地がよく圧巻の植物園。園内には、カフェやレストランもある。

Kirstenbosch National Botanical Garden(カーステンボッシュ国立植物園)
カーステンボッシュ国立植物園の園内。広々としていてとても居心地がよい
エントランスを入った直後のスペース。カフェやショップもここにある
盆栽風の仕立ても
木立も大迫力
南アフリカの国花キングプロテアが運よく咲いていた
パイナップルフラワー
クリビアだが、通常のタイプとは異なっている
極楽鳥花と呼ばれているストレリチア・レギナエが少しだけ咲いていた
多肉植物の花
園内は広々としていて気持ちがよい
園内の概略図

ケープタウン市街で極上肉が楽しめる「カルネSA」

 ケープタウン市街で肉が美味しいレストラン「カルネSA(Carne SA)」を紹介しておこう。先に紹介したグリーンマーケット・スクエアやボカープから近い中心街にある。

 イタリア料理の店で、美味しいお肉が食べられる。牛のTボーンやサーロイン、ランプといった各部位はもちろん、チキンや豚、ラムもある。ラムはすべて南アフリカのカルー(Karoo)地方で育てられたもの。ジビエ系もそろっていて、狩猟で獲られたジビエはゲームミートと呼ばれていて、店にはダチョウ、クードゥー、ヌー、インパラ、ブレスボックがあった。

Carne SA(カルネSA)
カルネSAの入口
店内は広い。オープンキッチンになっている
ショーケースで肉が熟成中
肉の種類や部位を説明してくれている
自家製ラビオリ。ラムとパルメザンチーズ入り
タルタルステーキ3種。タルタルは牛肉タタキ。ニンニクなどで味付けしたもの
肉は、お任せでさまざまな種類を少しずつ混ぜてもらった
ゲームミート系も入っている
デザートのベイクドクリーム
南アフリカ産赤ワイン。Jacobsdal Pinotage 2014
ビールはローカルのクラフトビールを選択
ほかにも、ベルギービール「ステラ・アルトワ(Stella Artois)」もあった

ケープタウンでの宿泊「Protea Hotel Cape Town Victoria Junction」

 最後にケープタウンで宿泊したホテル「Protea Hotel Cape Town Victoria Junction」を簡単に紹介する。ホテルは、市街地よりやや港側に位置している。内装が最近リニューアルが入っていて、部屋やレストランも広く、バーもあり居心地よい。いわゆる欧州調で重厚なフルサービスホテルではなく、カジュアルな雰囲気があり、気負わずに宿泊できる。特に若い人にオススメ。少し長めの滞在にも使いやすいはずだ。

Protea Hotel Cape Town Victoria Junction
ケープタウンのカジュアルな雰囲気のホテル「Protea Hotel Cape Town Victoria Junction」。背後にテーブルマウンテンが見える
ホテルロビーはコンパクト
部屋も広く、ベッドもキングサイズ。作業用のデスクもある
シャワールームとトイレも明るく広い

 次回は、ケープタウンの市街から少し外れ、喜望峰やペンギンのいるボルダーズビーチ、ワイナリー、サファリなどを巡る。

ケープタウンのウォーターフロントでの夕暮れ

村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。