旅レポ

ケープタウンからワイナリー、喜望峰、ボルダーズビーチ、サファリを満喫

灯台のある展望台から半島南端のケープポイントを見たところ。この先は南極大陸

 前回は南アフリカの人気観光都市ケープタウンの市街地やテーブルマウンテンなどを見て回った。

 今回はケープタウン市街から少し離れ、喜望峰やワイナリー、サファリといった観光ポイントを巡っていく。

南アフリカはワインの宝庫

 ワイン通には常識だと思うが、南アフリカは歴史ある世界有数のワイン生産国で、アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃以降(アパルトヘイト時代は、経済制裁を受けていて、世界市場に多く出回ることがなかった)は世界中に出荷されるようになった。味の評価も高い。ケープタウン周辺では「ワインランド」というエリア有名で、ほかにコンスタンシア、タイガーバーグ、ケープ半島などでも作られている。郊外をクルマで走ればすぐにぶどう畑が目に入る、ワイン天国なのである。

 作られる品種は、赤が南アフリカ独自のピノタージュ(ピノノワールとサンソーの交配種)・シラーズ・メルロー・カベルネソーヴィニョン。白はシュナンブラン・シャルドネ・ソーヴィニヨンブランがある。

 日本ではフランスやオーストラリア、チリあたりが流通量が多く、巷で見かける機会は少ないが、注意して見ればちゃんとある。最近では、KALDIのワイン売り場で見かけたので、ぜひ探してみてほしい。ほかにもインターネットでは、南アフリカワイン専門店もあるようだ。生産量が多いせいか、価格がリーズナブルなのも南アフリカワインの特徴。賞を受けるなど評価が高くても、それほど価格が高くならず、1万円以下、いや5000円以下でも美味しいワインが手軽に楽しめる。

 今回訪問したワイナリーは、コンスタンシア地区で1685年に設立された老舗ワイナリー「グルート・コンスタンシア(Groot Constantia)」。南アフリカで最も古いワイナリーだそうだ。個人で行っても、80ランド(約704円、1ランド=8.8円換算)で気軽にテイスティングできる。取材時には、ちょうど日本からのツアー客がいた。見学ツアーもやっていて、レストランなどもある。

 個人的なオススメは、赤の「グーヴェルヌールリザーブ(Gouverneurs Reserve)2015」という、その年ワイナリーで採れたもっとよいものを集め、少し熟成させたもの。エイジングされたやや重めのワインだ。それでも750mLボトルで415ランド(約3652円)と安い。ほかピノタージュと白のシャルドネも爽やかで美味しかった。こちらは223ランド(約1962円)。

Groot Constantia(グルート・コンスタンシア)
グルート・コンスタンシアのワイン畑
グルート・コンスタンシアの入口
ワイナリーは、テーブルマウンテンの南に広がるコンスタンシア地区にある
ワイナリー内にあるワインの販売とテイスティングをする建物
窓枠のデザインや配置などは、ケープダッチ(Cape Dutch)建築を踏襲
80ランドでテイスティングが可能
テイスティング会場はとても広い。日本人ツアーの先客がいた
ワインを解説しながらテイスティング
ピノタージュ(Pinotage) 2016。チェリーとストロベリー、プラムの風味とわずかな酸味が感じられる
グーヴェルヌールリザーブ(Gouverneurs Reserve)2015。ワイナリーで最もよい品種を集め熟成させた重めの赤
グランドコンスタンス(Grand Constance) 2015。高価な甘いデザートワイン。ナポレオンが好んだそう
気に入ればもちろん購入もできる
テイスティングしたワイン

アフリカ大陸最南西端の喜望峰を目指せ

 次は喜望峰に向かう。ケープタウンから喜望峰のあるケープ半島へ向かう道路は、海沿いにとても気持ちのよいワインディングが続いている。クルマだけでなく、サイクリングやオートバイもよく見かけ、とても気持ちよさそうに走っている。

ケープ半島の道は、とても気持ちのよいワインディングが続く
サイクリングやドライブを楽しんでいる人も多い
途中のハウト湾を望む休憩ポイント
このような切り立った崖の場所(チャップマンズピークドライブ)もある
ビーチも美しい

 ケープ半島の南側半分ほどは自然保護区になっていて、途中で料金を支払うゲートがある。大人145ランド(約1276円)なのでわりと高め。この保護区はまさに手つかずの自然で、野生動物に出会う確率も高い。ところどころに休憩ポイントなども設けられているので、時間が許せば散策してみると楽しそうだ。ハイキングコースなどもある。

 目指すのは、半島の先端「ケープポイント」を見下ろす灯台のある「ルックアウト・ポイント(Lookout Point)」と呼ばれる眺めのよい展望台。保護区の道路終点には駐車場があり、ケーブルカーに乗ってさらに上を目指すと展望台がある。

 展望台周辺からは、ディアス・ビーチが見えるのだが、その奥に「喜望峰(Cape of Good Hope)」がある。ここには大きな看板が立っていて、そこがフォトスポットとなっている。この喜望峰だが、実際にはアフリカ大陸最南端ではなく、最南西端ということになっている。150kmほど東にあるアグラス岬が最南端だ。最南端を目指すならこちらも制覇しよう。

 いずれにせよ、この先は南極かと思って眺めると感慨深いものがある。風が強いことが多いようなので、ウィンドブレーカーなどの上着を忘れないようにしたほうがよい。

Cape Point Nature Reserve(ケープポイント自然保護区)
自然保護区の料金所ゲート
自然保護区は、このような岩肌の平原が続く
海が見えてきた
自然保護区では野生動物が生息している。ダチョウに遭遇
自然保護区の道路終点にケープポイントがあり、駐車場やショップがある
ここからケーブルカーに乗って上を目指す
ケーブルカーの車内
登っていくケーブルカー
これは進行方向と逆を見ている。なかなかの絶景が見えてくる
ケーブルカーで一番上まで来た。左のビーチのちょい先に喜望峰がある
ケーブルカー山頂駅
ケーブルカーを降りたら、さらに少し上に登って灯台を目指す
灯台の上部が見える
展望できる場所はかなり狭い
灯台の銘板。1860年から1919年まで使われていた
各都市の方角が示されている
灯台から逆の北方向を見た眺望。ケープ半島を見渡していることになる
灯台から降りてきた。右にケーブルカー駅、左のディアス・ビーチ裏手に喜望峰がある
途中にあったケープポイントのフォトスポット
ディアス・ビーチの裏手側が喜望峰。こちらに向かっている。下りなので楽だがちょっと距離はある
喜望峰のフォトスポット。大人数でも大丈夫な大型のもの
海岸には大きめの石が並んでいて、これを記念に重ねていくのが流行っているらしい

海が見えるケープポイントのシーフードレストラン

 ケープポイントの駐車場には、ショップやレストランが入っていてゆっくりできる。そこにある「Two Oceans Restaurant」というシーフードレストランを紹介しよう。高い位置から、海を見ながら食事やお酒が楽しめる。テラス席も人気だ。説明しなくても分かると思うが、喜望峰付近が大西洋とインド洋が交わる場所なので「Two=2」つの「Oceans=海」というネーミングだ。

Two Oceans Restaurant(トゥー・オーシャンズ)
ケープポイントにあるシーフードレストラン「Two Oceans」
レストラン店内。目前に海が広がる
生ガキも用意されていた
ムール貝
プレート盛り合わせ。海老と白身魚、カラマリも
海老はクルマエビとイセエビの2種
サービングカウンター。屋根が凝った作り
2017年の白ワインはシャルドネ。南アフリカの「Hamilton Russell Vineyards」
ビールは地元クラフトビールでラガーを選択
クラフトビールは2種。CASTLEもある

ペンギンの大群に会える「ボルダーズビーチ」

 喜望峰からの帰り、ケープ半島の東側にあるサイモンズタウンという街の近くの、「ボルダーズビーチ」というペンギンの生息地にも寄った。ここも入場料のかかるケープ半島国立公園内になる。南アフリカにしかいない、アフリカ(ケープ)ペンギンが3000羽ほど集まっている。

 ビーチには遊歩道が作られていてそこから観察するのだが、遊歩道近くに巣をたくさん作っているので、間近に見ることができる。安全に繁殖できるように、奥には人工巣箱も設置されるなど、保護活動も積極的に行なわれている。

Boulders Beach(ボルダーズビーチ)
ボルダーズビーチへの入口は、住宅街を歩いていると突如ある
ビーチは近い。ペンギンはこちら
エントランス
ボルダーズビーチ。岩場の多い砂浜。回遊できる遊歩道が作られている
愛くるしいペンギンの姿をお楽しみください
道路に出てきちゃうペンギンもいた

ケープタウン近郊でサファリを手軽に体験する

 最後に「アキラ私営動物保護区(Aquila Private Game Reserve)」で、サファリを体験した。ここは私営の動物保護区となっていて、カルー(Karoo)地方のプライベートな約1万ヘクタールのエリアにて野生動物を保護している。

 サファリで傷ついた動物を保護する活動も行なっているそうだ。完全なオープンではなく、特に猛獣類は電気柵に囲まれたエリアにいるが、十分過ぎるほど広く、本物のサファリを手軽に体験できる。

 野生動物をサファリカーに乗って探しにいくことをゲームドライブと呼んでいるが、ここでのゲームドライブは、ある程度生息地が分かっていてコンパクトなので、空振りになることはない。通称「ビッグファイブ」と呼ばれるライオン、ヒョウ、ゾウ、バッファロー、サイがそろっている。ゲームドライブは2~3時間で組まれている。

 また、宿泊用にホテルのほかコテージも用意され、スパ、プールなども完備している。リゾートの感覚で滞在できる。ほかにも結婚式にも対応できるカンファレンスルームも用意。今回は体験しなかったが、サンセット(もしくはモーニング)・サファリもあるようで楽しそうだ。アウトドア好きなら、ここで1泊するプランもお勧めできる。

Aquila Private Game Reserve(アキラ私営動物保護区)

 アキラ私営動物保護区までは、ケープタウン市街地から約180kmあるが、高速道路でほぼ一直線とアクセスはよい。かかる時間は片道約2時間少々というところ。ケープタウンから日帰りで楽しめる。ケープタウンから近く、ゲームドライブで空振りなしというのがこのサファリのポイントだ。

 途中の景色はダイナミックで車窓も楽しめる。バイクも多くすれ違った。アキラ私営動物保護区では、移動時間がもったいない人向けにヘリコプターでの送迎も用意している。

ケープタウン郊外。遠くに岩山がある草原が続く
途中ダイナミックな岩山に迫る景色もあった
高速道路の料金所
霧が出て、幻想的な風景になった
途中で休憩したサービスエリア。近代的な作りだ
中庭で休憩できる
サービスエリア内のコンビニ。もちろんカフェもある
コンセントも用意されていた
学生が乗るバスからは大声で歌いダンスしながら降りてきた。日本ではまず見ない光景
到着したアキラ私営動物保護区の建物
サファリのエリア側から見たアキラ私営動物保護区。ホテルやコテージも併設されている
ヘリコプターの送迎もある
宿泊受付のカウンター
4つ星のゲームロッジ
窓をふと見たら孔雀がいた
大きなレストランがある
中庭。レストランのオープンテラスになっている
開放的なプール
こちらのサファリカーでゲームドライブに向かう
サファリカーの車内
座席の様子
運転席。助手席に座ることもできる
さぁ出発。柵に囲まれているのでゲートを開けて進む
要所でドライバーがこのような感じで解説してくれる
サファリカーでグイグイ進んでいく。広大なエリアだ
まずはカバの群れと遭遇。昼間はほぼ寝ているそう
野鳥はとにかくたくさん遭遇する
スプリングボックが一瞬出てきた
ダチョウもたくさんいる
好奇心旺盛なのでサファリカーに寄ってくる
かなり近くまで寄って来た
広く見るとこのような雄大な景色
4輪バギーでのゲームドライブも行なっている
山からシマウマが下りてきた。通常は平地にいるので山にいるのは珍しい
バッファローがいるとのことだが、肉眼ではまったく見えない。望遠レンズでもなんとなく見える程度
サイに遭遇。サイは絶滅の危機にある。図鑑のような写真が撮れた
動くと土煙があがる
子供のサイが一緒にいた
離れずに一緒に歩く
サイは雄と雌でウンチの匂いが違い、嗅ぎ分けて行動している
ここから猛獣のエリア。別の柵を開けて進む
いきなりライオンと目が合ってしまった
ライオンの雄は、やはり迫力ある。距離にして20mくらいだろうか
ライオンの雌
昼間は基本眠いようだ
つがいで頭を合わせるのは愛情表現のひとつ
シマウマは群れで行動している
キリンもいる
ゾウも近づいてきた
かなりサファリカーに近づいてくれた

ケープタウンの高級ホテル「ウェスティン・ケープタウン」

 最後にケープタウンの高級ホテル「ウェスティン・ケープタウン(The Westin Cape Town)」を紹介する。マリオット・グループに属するフルサービスの5つ星ホテル。ケープタウン・インターナショナルコンベンションセンターにも接続していて、日本人の宿泊も多い。新たに室内がリニューアルされた2部屋の見学ができた。

The Westin Cape Town(ウェスティン・ケープタウン)
ウェスティン・ケープタウンのフロントデスク
ウェスティン・ケープタウン。車窓から見た外観
エントランス・ロビー
1階レストラン。フランス料理の「Thirty7」
グランド・デラックス・ルーム
グランド・デラックス・ルーム
グランド・デラックス・ルームのシャワールームとトイレ
デラックス・ルーム
デラックス・ルームのシャワールームとトイレ
元クラブフロアにあるレストラン「ON19 Restaurant」。奥にはスパがある
ON19 Restaurant
夜景が美しく見える
スパの受付
スパの待合室
エントランスから見たウェスティン・ケープタウンの外観夜景
村上俊一

1965年生まれ。明治大学文学部卒。カメラマン、アメリカ放浪生活、コンピューター雑誌編集者を経て、1995年からIT系フリーライターとして活動。写真編集、音楽制作、DTP、インターネット&ネットワーク活用、無線LAN、スマホ、デジタルガジェット系など、デジタル関連の書籍や雑誌、Web媒体などに多数執筆。楽曲制作、旅行、建築鑑賞、無線、バイク、オープンカー好き。