旅レポ

「西郷どん」の足跡を辿りながら満喫する、JR東海の「そうだ 京都、行こう。」冬の旅

1月6日から15カ所の文化財を特別公開

2017年12月15日 実施

JR東海ツアーズの「そうだ 京都、行こう。」のツアーでは、期間限定で特別公開する15カ所の文化財を拝観できるのが魅力の一つ。写真は妙覚寺。

 2018年は明治維新から150年目という節目であることから、NHKの大河ドラマでは立役者の一人である西郷隆盛にスポットを当てた「西郷どん(せごどん)」が放映される。数々の歴史の舞台となった京都では、明治維新や西郷隆盛にゆかりのある寺院を中心に、建築物や庭園、仏像、絵画といった通常は非公開の文化財が特別に公開される「第52回『京の冬の旅』~非公開文化財特別公開~」が予定されている。

「そうだ 京都、行こう。」のキャッチフレーズで有名なJR東海ツアーズが手掛ける冬の京都旅行ツアーでもこちらがメインとなっており、報道向けに一足早く訪問することができたのでその模様をレポートしよう。

 ちなみにJR東海ツアーズのプランに申し込むと、特別公開される非公開文化財を1カ所拝観できるチケットと、老舗菓子店の限定新作京菓子とお茶がセットになったクーポン券が付いてくる。

2018年の京都の冬の旅は明治維新がキーワード

 今回、京都で特別に拝観できる非公開文化財は15カ所で、施設によって開始や終了時期は変わるが、2018年1月6日から3月18日までとなっている。拝観料は1カ所あたり600円(大人)、拝観時間は施設によって異なるが10時から16時(受付終了)となっているので、自分が行きたい場所をJR東海ツアーズや京都市観光協会のWebサイトで下調べしておくとよいだろう(なお記事中で紹介している施設や文化財などは、今回特別に許可を得て撮影している)。

第52回「京の冬の旅」~非公開文化財特別公開 15カ所

洛東~伏見エリア

常林寺
清水寺 成就院
泉涌寺 舎利殿
東福寺 禅堂・経蔵
東福寺 即宗院
伏見稲荷大社 御茶屋

洛中エリア

相国寺 法堂・方丈
相国寺 豊光寺
相国寺 林光院
宝鏡寺
妙覺寺

洛西エリア

妙心寺 三門
妙心寺 東海庵

洛南~伏見エリア

東寺 五重塔
大黒寺

Webサイト:京都市観光協会

西郷隆盛が倒幕作戦を練った即宗院

 今回のプレスツアーでは、特別公開の寺院2カ所とJR東海ツアーズのプランに含まれる和菓子チケットが使える和菓子店、それと京都で今話題の食事処とカフェを訪問した。

 まず最初に訪れたのは、通天橋から望む紅葉が大人気の東福寺のなかにある「即宗院」だ。こちらのお寺は薩摩の守護大名であった島津氏久の菩提を弔うため1387年に創建された。その後は時代の流れとともに廃れてしまうが、江戸時代に島津義久が再興させ、それ以来、薩摩藩の菩提寺として残されている。幕末には薩摩藩士であった西郷隆盛と僧・月照が倒幕計画をここで練ったとされている。

 こちらには島津家ゆかりの品が数多く残されており、西郷隆盛自筆の石碑や掛け軸なども特別公開される。そのなかでも15代将軍・徳川慶喜が「悠然得佳報」と書いた掛け軸と、西郷隆盛が好んで使った「敬天愛人」が並んで展示されており、同じ時代でありながら育ちや境遇による心構えの違いなど、歴史を色々な角度から知ることができる。本堂の裏山には、倒幕後に戦死者を弔うために建てた「東征戦亡の碑」があり、薩摩藩士524名の名前が刻まれている。

即宗院は東福寺の中にあり、偃月橋を渡った先にある。苔の美しい池泉回遊式庭園で、森に囲まれた自然豊かな場所でもある
「悠然得佳報」は“悠然と構えていれば佳報(果報)が得られる”と述べたものであり、「敬天愛人」は“天を敬い、人を愛す”という言葉で、厳しい自然のなかで運命を受け入れ、生き残った人たちが許し、愛おしみ、ともに生きていくことを意味しているとのこと
島津家の家紋「丸に十字」が入った火鉢や花見用の徳利に弁当箱。島津家から近衛家を経て徳川家に嫁いだ篤姫もお忍びで訪れたとされている
戦死した薩摩藩士524名を弔うために建てられた「東征戦亡の碑」。また、周辺は鳥羽伏見の戦いで威嚇するために大砲が置かれていたとも伝えられている
東福寺 即宗院

所在地:京都市東山区本町15
特別公開期間:2018年1月6日~3月18日
公開時間:10時~18時(受付終了)
Webサイト:東福寺
Webサイト:京都観光Navi 即宗院

京都の野菜を季節ごとに楽しめる野菜ダイニング

 お昼時というのもあり、次に向かったのは東本願寺の近くにある「漬け野菜 isoism」。こちらのお店では京都産の野菜をメインに、さまざまな技法を用いて漬け込んだ新しい“お漬けもん”が味わえる。

 例えば、京とまとを白ワインに漬けたものや、かぼちゃを甘醤油に漬け込んだもの、セロリをオレンジ漬けしたものなど、伝統技法だけにこだわらない新しいスタイルで調理している。

 ランチでは、それらの野菜を12種盛り合わせたプレートと季節の炊き込みご飯、野菜濃縮スープをセットにしたコースが提供される(予約制:1800円)。料理に使われる野菜は旬のものが用意され、四季ごとに入れ替わる。現在は秋メニューとなっており、1月からは冬メニューが提供される予定だ。どの料理も野菜そのもののうま味を引き出すような味付けとなっており、野菜本来の味わいを再発見できる。

店舗外観。京都駅に近い東本願寺の南、七条通沿いにあり、訪れやすい場所に立地している
1階はキッチンとカウンター、テーブル席が用意されており、木材を多く使用した内装が落ち着く空間を演出している。2階にはテーブル席が用意されている
野菜12種盛のプレート。左上から順に、京とまと(白ワイン漬け×水牛モッツァレラ)、ごぼう(ピリ辛醤油漬け×鴨肉)、ちんげん菜(からし醤油漬け×蒸し鶏)、茄子(だし醤油漬け×肉みそ)、たまねぎ(酒粕漬け×いくら)、小かぶら(柚子こしょう漬け×カンパチ)、みょうが(甘酢漬け×豚しゃぶ)、かぼちゃ(甘醤油漬け×パルメザンチーズ)、山芋(ゆず漬け×辛子明太子)、さつまいも(はちみつレモン漬け×クリームチーズとナッツ)、セロリ(オレンジ漬け×ミモレットチーズ)、九条ねぎ(西京みそ漬け×しめ鯖)
漬け野菜 isoism

所在地:京都市下京区七条通烏丸西入中居町114
営業時間:17時30分~24時(ランチは11時30分~15時までの予約制)
定休日:火曜不定休
TEL:075-353-5016
Webサイト:漬け野菜 isoism

狩野元信作の大涅槃図が見れる妙覺寺

 ランチ後に向かった先は「妙覺寺」。こちらのお寺は1378年に建てられ、日蓮宗京都十六本山の一つとなっている。今回の特別展示の見どころは、狩野派隆盛の基盤を築いたと言われている絵師、狩野元信が手掛けたと伝えられている大涅槃図。幅約4.6m、高さ約5.9mというスケールの大きさと、鮮やかな色彩で精緻に書き込まれたグラフィックに圧倒されること間違いなしだ。

 そのほか、本堂においては戦国時代の武将、斎藤道三の遺言状なども特別展示され、画家・塩澤文男氏によるお釈迦様と四天王(持国天、増長天、広目天、多聞天)の絵の制作実演も行なわれる。

立派な門構えの妙覺寺。度重なる移転によって現在の場所とは違うが、斎藤道三との繋がりから織田信長も京都の定宿として18回ほど利用していたそうだ
祖師堂の脇に展示されている大涅槃図
本堂に特別展示されている斎藤道三の遺言状
塩澤文男氏による法華経由来、霊鷲山 釈尊 四天王 刮目大顔面図「真祈」。左から多聞天(毘沙門天)、広目天、釈尊、持国天、増長天
妙覺寺

所在地:京都府京都市上京区上御霊前通小川東入下清蔵口町135
特別公開期間:2018年1月6日~3月18日
公開時間:10時~16時(受付終了)

京菓子の資料館も併設されている俵屋吉富 烏丸店

 京都といえば和菓子も有名で、老舗の菓子店が数多く存在する。先にも紹介したが、JR東海ツアーズのプランでは有名京菓子店の新作とお茶が用意されている。対象となる店舗は、俵屋吉富 烏丸店、笹屋伊織 本店、亀屋良長 本店の3店舗で、今回は俵屋吉富に訪れた。

 こちらのお店は1755年に創業された老舗であり、各地の百貨店で開かれる物産展にも積極的に出展している。材料を厳選し、できるだけ手作りにこだわる姿勢にファンも多い。烏丸店には京菓子の作り方や道具、今までの品評会で受賞した作品を展示した京菓子資料館も併設されており、京菓子の奥深さを知ることができる。

相国寺にほど近い烏丸通沿いにある俵屋吉富 烏丸店。京菓子資料館も併設されているので見学するのも楽しい店舗だ
京菓子資料館には製法や使われる道具、品評会に出店して受賞した作品などが数多く展示されている。展示されている作品は粉糖と寒梅粉(もち米粉)によって製作されたものだ。なお、こちらの施設内は撮影禁止となっているが、今回は特別に許可を得て撮影させてもらっている
JR東海ツアーズのプラン特典として用意されている新作京菓子とお茶のセット。京菓子は数種類が用意されている
俵屋吉富の代表的なお菓子である「雲龍」。大粒の丹波大納言小豆を炊き上げた小倉餡と村雨餡を一本ずつ手巻きにし、雲に乗る龍の姿をイメージした京菓子
俵屋吉富 烏丸店、京菓子資料館

所在地:京都市上京区烏丸通上立売上ル
営業時間:9時~18時(京菓子資料館は10時~17時)
定休日:水曜日(京の冬の旅期間中は無休)
電話:075-432-3101
Webサイト:俵屋吉富

SNSで話題のレトロなカフェ さらさ西陣

 最後に訪れたのは銭湯をリノベーションした風変りなカフェ「さらさ西陣」だ。銭湯の面影を色濃く残している外観からして、どこか懐かしい感じがふつふつと湧き上がるのだが、店内に入るとレトロ感はなお一層強く感じることができる。

 壁一面に残された和製マジョリカ・タイルはそれだけで一瞬にして目を奪われ、レトロな調度品と相まってノスタルジックな気分に浸ることができる。お茶やケーキだけでなく、カレーやピラフ、グラタンといった食事も楽しめるので、SNSでも話題のお店として人気になっている。北大路通から5分ほど街中に入った場所にあるので若干分かりづらい立地ではあるが、興味を持った人はぜひとも訪れてもらいたいスポットだ。

外観からして銭湯そのままのカフェ「さらさ西陣」
今回のプレスツアーにモデルとして参加してくれた「2017 京都・ミスきもの」の境沙織氏
店内は精巧に作られた和製マジョリカ・タイルがびっしりと貼られており、ノスタルジックな空間を演出
大浴場を取り壊さず、その上に板を敷いただけの内装なので、天井には換気窓、床下には浴槽といったものが残されている
濃厚な味に仕上げられたケーキも女性客に大人気
さらさ西陣

所在地:京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
営業時間:12時~23時
定休日:毎月最終水曜日
電話:075-432-5075
Webサイト:さらさ西陣

 寒さの厳しい冬の京都ではあるが、普段お目にかかれない非公開文化財が今年も15カ所で展示されるので、興味を持たれた方は訪れてみてはいかがだろうか。きっと、新しい発見があるはずだ。

 また、「そうだ 京都、行こう。」も24年を迎え、2018年は公式のInstagramアカウントも運営が開始される予定になっている。公式アカウントでは撮影場所のトリビア情報や知られていない撮影スポット、著名なインスタグラマーによる新しい京都や意外な京都を写真で伝えていくとのことだ。

「そうだ 京都、行こう。」公式Instagram

公式アカウント:soudakyoto_official(2018年1月8日開始予定)
公式Webサイト:そうだ 京都、行こう。」(2018年1月8日公開予定)

野村シンヤ

IT系出版社で雑誌や書籍編集に携わった後、現在はフリーのライター・エディターとして活動中。PCやスマートフォン、デジタルカメラを中心に雑誌やWeb媒体での執筆や編集を行なっている。気ままにバイク旅をしたいなと思う今日この頃。