旅レポ
2015年7月に世界文化遺産に登録されたばかりの熊本県宇城市・三角西港
明治の産業革命における海運物流の拠点を訪ねて
2016年11月9日 14:40
熊本応援企画として第1回は熊本城、第2回は熊本県荒尾市の万田坑をレポートしてきたが、第3回は、熊本市中心部から西方へ進んだ宇城市にある「三角西港(みすみにしこう)」を紹介したいと思う。
三角西港は、前回の万田坑同様、「明治日本の産業革命遺産」として、2015年7月に世界文化遺産に登録された。当時、熊本県に派遣されたオランダ人の水理工師ローウェンホルスト・ムルドルによって設計され、1887年(明治20年)に開港。三池炭鉱から産出される石炭や硫黄、さらに米、麦、麦粉の5品目が国外へ輸出されていた。
熊本市中心部からはクルマで1時間。天草方面への中継ポイントでもある
三角西港へのアクセスはレンタカーがオススメ。宇土半島の西端に位置しているので、海岸線沿いの国道57号をひた走るかたちとなる。熊本市中心部よりおよそ40kmの位置にあり、自動車移動で1時間ほどで到着するだろう。
途中、海面から突き出た電柱が沖へ向かって並ぶ光景に出会う。「長部田海床路(ながべたかいしょうろ)」という海苔養殖や採貝をしている漁業者のために作られた街灯は、ぜひチェックしておきたい。某焼酎メーカーのCMで登場した場所でもあり、記憶している人もいるだろう。また、天候がよければ雲仙普賢岳を望むことができる。
さて、現地に到着すると白く光る石畳が出迎えてくれる。敷地の東西に駐車場があるので、もし次の目的地が天草方面であれば、南側に停めておこう。
当時の様子そのままの姿で残されている各施設
三角西港には、当時の建物が再現され、資料館や土産店、カフェなどにアレンジされ、観光客が立ち寄れるようになっている。さらに、敷地内は近代的な設備が目に入ってこないので、タイムスリップしているような気分にさせてくれる。
周辺を歩けば長部田海床路や天草五橋1号橋なども
冒頭にも紹介したが、熊本市中心部から三角西港へ向かう国道57号を走っていると、長部田海床路に立ち寄ることができる。駐車場も広く、じっくり写真撮影することも可能だ。さらに三角西港の少し先、JR三角線の三角駅前の三角港フェリーターミナルにある「海のピラミッド」も立ち寄りポイント。天草方面に移動する前に立ち寄ってみるとよいだろう。
当時の雰囲気に包まれながら、産業革命を体感できる
国費が投じられた三角西港は、福井県の三国港と宮城県の野蒜(のびる)築港と合わせて「明治の三大築港」と呼ばれた産業革命のシンボルでもある。
熊本県には、三井三池炭鉱エリアをはじめとする「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産が多く点在しており、もちろん今回の三角西港も含まれている。当時の港の形状や、洋館の雰囲気そのままに営業している三角西港では、“明治”という時代を深く感じられる場所。波の少ない穏やかな内海は癒しも感じられ、オススメできる観光地だと思う。熊本市を旅行する際には、立ち寄りポイントの候補に加えてみてはいかがだろうか。