旅レポ
地震で被害を受けた熊本城の「今」を紹介
公式ボランティアガイドと見学
2016年8月11日 00:00
2016年4月17日に発生した平成28年熊本地震から4カ月が経とうとしている。熊本を訪れる観光客の数は、いっとき落ち込みを見せたが、少しずつ回復傾向にあるという。通常営業している観光地も数多くある。
そこで熊本応援企画として、実際に訪れることができる観光スポットを紹介していきたい。その初回として、県のシンボルでもある熊本城を、公式ボランティアガイドの協力を得て見学。敷地内にある「桜の馬場 城彩苑」では、地元グルメからスイーツまで、一挙に楽しむことができる。
今回はセットで楽しめるコースを紹介していこう。「九州ふっこう割」を利用すれば、リーズナブルに熊本を楽しむことが可能となるところも大きなポイントだ。
多くの飲食店・土産店が立ち並ぶ「桜の馬場 城彩苑」
熊本城の敷地内にある「桜の馬場 城彩苑」は、「総合観光案内所」、フード・スイーツ・土産の専門店街である「桜の小路」、歴史文化体験施設の「湧々座」(わくわくざ)と、大きく3つに分かれた施設によって、観光案内だけでなく、歴史に触れられ、地元グルメまでも一度に体感できる複合施設となっている。
芝居や人形劇を楽しめる湧々座
歴史文化体験施設である「湧々座」では、演者によるミニ芝居や、オリジナルキャラクターによる人形劇の映画が楽しめる。どの物語も10分程度にまとめられているので、好きなタイミングで訪れても、少ない待ち時間でコンテンツを楽しむことができるだろう。
現在は、1階の復旧をめざして工事中とのことだが、無料公開されている2階では、応援メッセージが掲示されていたり、崩落した城壁から発見された人物イラスト入りの石垣石材が展示されていたりと、通常では目にすることができないものが見学できる。
桜の小路には多くの飲食・物産店が集結
飲食店や土産店が軒を連ねるゾーンは「桜の小路」とよばれる。天草や阿蘇をはじめとする熊本県の名産品や、料理を味わうことができる。土産用の馬肉や、本格的なからし蓮根を販売している店舗もあり、ここで熊本の代表的な食を完結させることが可能である。
上記では紹介しきれないほど店舗数が充実しており、食事からデザート、お土産選びと、旅行の要素すべてがまかなえてしまうほどだ。後に紹介していく熊本城見学の際に、最初に訪れる拠点としてもベストな施設といえる。
熊本城見学はボランティアガイドによるツアーがオススメ
さて、お腹が満たされたら、いよいよ熊本城を周囲を歩くツアーに出発したい。城彩苑の入口近くにある総合観光案内所には、熊本観光のボランティアガイドが常駐しており、無料にてガイドを依頼できる。ただし、常に3名という限定的な人員となっているため、タイミングによっては全員が出払っている可能性もあることは気に留めておいてほしい。
今回は、「くまもとよかとこ案内人の会」の会長でもある吉村徹夫さんにガイドしてもらうことにした。「黄色いシャツが目印ですので、気軽にお声がけください。少人数であれば団体でもご相談にのれるかと思います」とのこと。
地震以降、天守閣内部の観覧はできなくなってしまったが、被災の状況とこれから少しずつ復旧をしていくであろう未来を予想する貴重な機会でもあるはずだ。
まずは城彩苑から二の丸広場へ向かう
北西の戌亥櫓を折れて加藤神社へ向かう道
そのままの姿を残している宇土櫓と人でにぎわう加藤神社
「人は元気なので熊本に来てほしい」という声
天守閣に登ることができない熊本城だが、こうして周囲をガイドしてもらう機会もそうそうないものだ。しかも、その場所で起こった歴史エピソードたっぷりで紹介してくれるので、臨場感もタップリだ。
熊本城は、長い歴史のなかで焼失や取り壊しがあり、その時代に則した建築技術によって復元を繰り返してきているが、今回の地震の被害によって、復元方法による歴史的証拠が明らかになった、ともいえる。晴れて復旧が完了した時には、こうして熊本城を違う側面から見学できる機会はなくなってしまうことからも、機会があるうちは現地で確認してほしい。
今回の取材を通じて、現地の担当者が口々に「地震が怖いというのもあるが、逆に気を使って来れないという声も聞くが、多くのエリアで日常を取り戻しているので、ぜひ熊本に来てほしい。まだまだ見どころはたくさんある」と語っていたのが印象的だった。