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フィンエアー、世界14都市に新規就航、日本路線は最大週28便体制に。未曾有の危機乗り越えた「sisu」精神でリブランド
ヘルシンキでグローバル向け発表会
2026年3月31日 06:00
- 2026年2月 発表
フィンエアーは2月下旬、主要就航国である北欧、欧州、アメリカ、日本を含むアジア各国のメディアを本拠地ヘルシンキに招致し、グローバル向け発表会「プレスデー」を開催した。
CEOのトゥルッカ・クーシスト氏らが登壇し、同社の現状と新たに掲げるブランドテーマ「sisu(シス)」、今後の路線拡大やビジョンについてプレゼンを行なった。
2023年に創立100周年を迎えたフィンエアーは、世界でもっとも長い歴史を持つ航空会社のひとつ。ヘルシンキ・ヴァンター国際空港をハブに、日本や世界各都市へのネットワークを展開するが、近年はパンデミックとロシア領空閉鎖という二重の危機に直面した。
当面はロシア上空を飛べない前提のもと、市場での立ち位置と戦略の再考を迫られたが、過去3年間の業績が示すとおり、さまざまな施策を重ねて安定した利益を生み出すまでに回復させた。
その原動力としてトゥルッカ氏が強調したのが、フィンエアーの新たなブランドテーマでもある「sisu(シス)」。sisuとは、フィンランド人特有のマインドであり、「ふんばりながら少しずつ前に進む」「強い決意と実行力、そして無駄のない現実的な姿勢」を意味する。
航空機を実際に飛ばすのはジェット燃料や持続可能な航空燃料(SAF)であっても、フィンエアーという組織を根底で動かしているのは、この「sisu」の精神にほかならないとトゥルッカ氏は語った。
この精神のもと、大規模なリブランドに踏み切るとしたのが今発表会のテーマ。これまでは「北欧のフィンエアー」「北欧のマリメッコ」「北欧のイッタラ」という広い枠組みでサービスをアピールしてきたが、今後は「フィンランドのブランド」としてのアイデンティティを前面に打ち出す方針へ転換し、「フィンランドだから選ばれる航空会社」を目指すという。
当初は2025年に推進するリブランドだったが、ストライキや世界情勢の影響を経て、2026年のこのタイミングで改めて発表するに至った。
2026年は14の新規就航地を追加し、世界ネットワークを拡充
まず大きな事業戦略としては、主要市場の需要拡大を取り込み、年平均約4%の成長を目標に掲げる。
現在、ハブのヘルシンキから1日約300便を運航し、欧州約90都市、アジア・太平洋に12都市、北米7都市に就航しているが、2026年には長距離路線であるオーストラリアのメルボルン(バンコク経由)やカナダのトロントなど、14の新規就航地を追加し、ネットワークを拡充する計画だ。
特にメルボルン線には大きな期待を寄せており、「オーストラリアは最大の未就航市場。これまでは提携便のみだったが、バンコク経由での運航により新大陸の翼を広げる。新たな旅行需要を呼び込む」とスピーチ。
同時に「私たちは“時間を売る”ビジネスである」考えのもと、世界トップレベルの定時運航率と安全性にもこだわりを持つと強調。航空業界では天候や空域制限による混乱は避けられないが、ハブのヘルシンキ空港では厳しい冬季でも運用できる3本の滑走路と雪対策のノウハウを備えている。
また、顧客体験を向上させるためにデジタル投資も加速させており、欠航時の代替ルートの自動提示やホテル選択機能、会話型AIとエージェント型AIを活用したチャットサービス、パイロット・CA・グラハン・管制が最新情報(乗り継ぎ客や荷物の積み下ろし状況)を瞬時に共有するためのオペレーションコントロールシステムなどを順次導入してきた。
「誰とも話さずに解決できるならそれがいいい」というフィンランド流の合理的な考え方が、デジタルサービスにも反映されていると紹介した。
日本市場は「長期的なアジア戦略の中心」。フィンランドと日本は“ソウルメイト”とトゥルッカCEO
グローバル展開を加速させるフィンエアーにとって、「日本市場はフィンランド本国に次いで極めて重要な最大の市場」であり、「長期的なアジア戦略の中心」に位置付けているとトゥルッカ氏。
日本路線における2026年夏期の運航スケジュールでは、最大週28便という充実したネットワークを展開する。具体的には、羽田へ1日2便(JALコードシェア便含む)、成田へ1日1便、関空へ最大週10便、セントレア(中部)へ週4便を運航予定だ。特にセントレアについては、「ヨーロッパと結ぶ直行便を運航する唯一の航空会社としての優位性を保っている」という。
フィンエアーの日本就航の歴史は40年以上で、ここ数年のあいだにも日本人旅行者の需要に応えるべく路線拡大や機材のアップデートを行なってきたが、日本路線の好調を支えているのは「双方向の強い需要」であるとトゥルッカ氏。
日本人の渡航は、「従来からのレジャー需要(GW、お盆、年末年始のピークなど)に加え、特に羽田とセントレア発では企業の出張需要が増加傾向にある。一方でヨーロッパから日本へのインバウンド需要も非常に力強い状態が続いている。日本の文化、食、四季折々の体験はヨーロッパからの旅行者にとって極めて魅力的であり、桜のシーズンやイースター時期にもフィンエアーの直行便がこの旺盛な需要を強力にサポートしていく」とコメントした。
顧客満足度を高めるため、2022年10月からは日本路線に最新世代のエアバス A350-900型機を投入。ビジネスクラス・プレミアムエコノミー・エコノミークラスのすべてのキャビンを全面刷新した長距離路線の主力機で、なかでも新型ビジネスクラスシート「AirLounge(エアラウンジ)」を搭載しているのが特徴。
AirLoungeは、プライベート感のある“シェル型”シートの座り心地や広々としたレイフラットベッドが好評を博しており、さらにマリメッコの寝具やイッタラのテーブルウェアといったフィンランドブランドもふんだんに取り入れている。新機材の就航以来、顧客からは「新しいプロダクトにより日本路線の魅力がさらに高まっている」と良好なフィードバックが得られているという。
また、運航スケジュール面での利便性も特徴。日本を夜に出発し、ヘルシンキに早朝に到着、そこからスムーズに乗り継いでヨーロッパ各地に午前中のうちに到着できるダイヤであり、「レジャー客にとってもビジネス客にとっても時間を有効活用できる魅力的な選択肢」となっている。
今後は、この夏のスケジュールを春や秋のショルダーシーズンまで拡張する可能性も検討中とのことだ。
“世界で最も幸福な国”フィンランドで味わう癒やしの観光体験。春夏は湖や森など自然散策を、北極圏ではオーロラ観測を
フィンランド・エスポー生まれで、理学修士(工学)の学歴を持ち、2024年4月にフィンエアーCEOに就任したトゥルッカ氏だが、幼いころから空手を学び、黒帯の保有者という一面もある。
日本にはとりわけ深い敬意と愛情を抱いており、「本物志向、静けさ、自然を敬う精神といった価値観は、両国に共通している。ある意味で、日本とフィンランドは“ソウルメイト”のような存在」とコメントした。
日本人利用者に向けては、「40年以上にわたりフィンエアーを信頼してくださり、心から感謝している。日本は私たちにとって特別な存在」とメッセージを送り、今後も日本語を話す客室乗務員の配置、日本食や日本映画の提供、そして定番の「ブルーベリージュース」など、日本人に寄り添った温かいサービスを変わらず提供していくとアピールした。
また、自身にとってフィンランドの魅力は「自然・空間・静けさのバランス」と表現。「澄んだ空気、森や湖、そして本物志向や他者への敬意を重んじる文化」は、現代の忙しい生活のなかで多くの人々が求めている癒やしであり、“世界で最も幸福な国”に何年も選ばれ続けている理由のひとつであるという。
2025年の外国からの訪問客数は前年比12%増を記録、宿泊数も過去最高の720万泊に達しており、なかでも日本を含む長距離市場からの増加が著しい。欧州では英国、ドイツ、イタリア、フランスが伸びた。
サンタクロース発祥の地でもあるフィンランドは、真冬には氷点下20℃の厳しい寒さとなるが、それでも冬の旅行が根強い人気。CEO自身も冬にはスキーなどのスノーアクティビティでリフレッシュするのがお気に入りだそう。一方、白夜となる春夏は過ごしやすい気候で、長い日照時間のなかで湖や森などの自然散策が楽しめる。
また、フィンランド北部のラップランドでは、オーロラを年間約150日観測することができ、8月下旬~4月上旬には北極圏の都市ロヴァニエミの市内でも幻想的な天体ショーを見られる。
これからのシーズンには、食やインテリア、サウナといったローカル文化を探索するのはもちろん、「フィンランドらしさ」を極めるフィンエアーの国内線を利用して北欧地域を周遊するのもお勧めと語った。






























































